真っ黒な組織の裏切り者を片付ける的な存在にTSしてなった   作:しょうげきは

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三話:帰り道の奇襲

「それで?今回集まった理由は?……まぁ大体予想は付きますが」

 

あの方が悠然と発言する。

 

「その予想で合ってる。今回集まって貰ったのは他でもない。対異能組織――通称アストライアーが最近になり更にその勢いを強めていることについてだ」

 

「ガハハハッ!確かに最近のやつら活きがいいな!」

 

ピエロの低い声に、大男が半裸を見せびらかしながら豪快に笑う。

まだまだ余裕がある、というかまだアストライアーを下に見ている感じだ。

 

「特に、やつらの上位が我々に迫る勢いで強くなっているのだ」

「何て?私達に並ぶ?冗談は止してよ」

 

ゴスロリの少女がピエロを睨みつけ、プレッシャーを垂れ流す。

ここの連中は全員プレッシャーをこんにちはの挨拶程度で使うのだ。

だがピエロはまるでそよ風のようにそれを気にせずに続けた。

 

「冗談ではない。つい先日我の腹心が一人アストライアーにやられた」

「ほう、腹心といいますと、確か”波”の異能を持つテトラスさんですか?」

「相変わらず恐ろしい情報力だなQ。その通りだ」

 

ピエロの平然とした同意に、一同が驚きの表情を浮かべる。

テトラスというのはピエロの組織ファイティクスでも上位の実力者だったからだ。

あらゆる物質を波のように操ることから波のテトラスという安直な二つ名があった。

 

「ガハハハッ!俺の所はもう何人も弟子が捕まったわ!」

「キョキョ……アストライアーの今のトップは誰なんだえ?」

 

ローブの老婆が笑いながら問いかける。

やつらの組織にはまだアストライアーの魔の手が及んでいないため、対岸の火事とでも思ってゆったりとした感じだ。

だがピエロはそれに対して苛立ち気だった。

 

「トップか……今のアストライアーの組織長の名は、西園寺薫という人間だ」

 

 

 


 

 

 

 

場所は移り、聳え立つ大きな庁舎の入口。

そこでは、警察に似た服を纏った高校生ほどの少女が立っていた。

 

「じゃあ私は見回り行ってきます!」

 

元気に叫ぶと、彼女の隣に、今度は立派な軍服を纏った少女が現れた。

一見可愛らしく見えるが、その体躯からは恐ろしいほどの圧が昇っている。

 

「ああ、気を付けて行けよ」

「はい!ありがとうございます!」

「今日は大体の組織が会合でいない。あまり気負いすぎるな」

 

軍服の少女が微笑むと、もう一人の少女は「はいっ!」と元気に返事した。

 

「それじゃあ行ってきます!西園寺組織長!」

「ああ、行ってこい」

 

西園寺と呼ばれた少女の名は、西園寺薫。

アストライアーの頂点にして、組織で最強と呼ばれる存在だった。

 

 

 


 

 

 

 

「確か……薫さんは西園寺の秘蔵っ子でしたね」

「よく知っているな」

「ええまぁ情報屋の取り柄ですから。ただ、悔しいことに異能が何なのかまでは知りません」

 

あの方が少し悔しそうに言うと、ピエロは「そうか……お前も知らないのか」とだけ呟いた。

 

「我はやつを完全な脅威だと思っている」

「貴方が、ですか?日本で最強と言われているのに?」

 

あの方が意外そうに問いかける。

だがピエロは深く頷いた。

 

「我は一度西園寺薫を見たことがある。まだ少女だったが、その体躯から溢れるプレッシャーは最早怪物と変わらない」

「そこまでですか……」

「ああ。それで一つ注意をしておきたい」

 

「おい」とピエロが後ろのメイドに合図を送る。

メイドが指を鳴らすと、テーブル上にもう一枚の紙が現れた。

そこには、大男の組織の関する情報とあの方、つまり俺達の組織の情報が書かれていた。

 

「ウォーリーは勿論だが、Q、お前の組織も狙われている」

「私が、ですか」

「ああ。やつらは情報の元締めを絞めたいらしい」

 

ピエロが不満げにフンと、鼻を鳴らす。

その体から、少しづつ殺気が立ち上っていた。

だが周りはそれを何ら思っていないように、各々の部下と雑談をしたりしている。

 

「了解しました。私の方も警戒しておきます」

「ガハハハッ!お前らだけでいけんのか?武闘派でもないのによ!」

 

大男が不敵な笑みを浮かべながら、あの方を見る。

試すような目だ。

だが、あの方はそれに対しゆっくりと微笑んで見せた。

 

「ご安心下さい。私は優秀な護衛もいますし、自身も逃げるのは得意ですから」

 

一見微笑んでいるが、目は凍てつくようだった。

大男も息を顰め、挑戦的な目をしている。

張った紙が破けるか、破けないかの寸前のような空気感だった。

俺も護衛として戦闘態勢を取る。

大男はそれに気づいたようで、不利だと分かっているのに更に笑みを深めていた。

だが、それはピエロのパン!と手を叩く音で断ち切られた。

 

「おい、今はそれどころじゃない」

「……そうですね」

 

あの方が大男から視線を外す。

大男も腕を組みながらフンとだけ鼻を鳴らした。

俺も戦闘態勢を解き、あの方の後ろに控える。

 

「今日はこのくらいにしておこう。Q、精々気を付けてくれ」

 

言い捨てたピエロが、メイドの女性を連れて広間を出ていく。

残されたあの方も席を立ち、広間を出る。

俺はそれの後を静かに付いてく。

だが途中で話しかけることを忘れてはいけない。

 

「よろしかったのですか?喧嘩を買わなくて」

「いいじゃないですか。どうせ勝てる試合に労力はつぎ込みませんよ。それよりも、今度の会合で可愛い部下達にもアストライアーについて報告しなければなりません。今日は帰り道を変えてみましょうか」

「分かりました」

 

あの方の傍に立つと、パチンと指鳴らしの音と共に再び俺達は別地点へ転移する。

着いたのは、アジトから少し離れた路地裏だ。

 

「それではいきましょう」

 

あの方に従って、俺も一歩踏み出そうとしたときだった。

 

「――――――その容貌、ファームの人間ですね?」

 

突如背後から声がした。

振り返ると、そこには一人の高校生くらいの少女が立っていた。

外見は警察の服と似たような制服を纏っており、随分我の強い感じがする。

 

「私はアストライアーの一人です!大人しく検挙されて下さい!」

 

そう叫びながら、俺達に剣先を向けてきた。

 

 

 

 

 

……フフフ。望んていた景色が目の前になる。

俺はあの方の前に出ながら、不気味な笑みを浮かべた。

一瞬、少女の剣先が震える。そう、それだ。

一体誰に向かってそんな威勢のいい声を発しているんだろうね。

 

 

 

 

 

 

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