C.T.B 揺り籠から戦場まで ―老人徴兵制の未来。武器は阿波踊り!?―   作:電機羊

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【ノードID】torrent-12 勝者たちの決意
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(送信開始)
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【ノードID】torrent-12 勝者たちの決意

[sideA]

 

(鬼若)「…私が負けました。」

 

 

判定員は一度だけ、リング外の兵士達を見渡した。

誰も異論を挟まなかった。

 

(ジャッジ)「…戦意なし。戦闘不能とみなされる。

 

       よって、本決闘はここで終了。勝者はー

 

 

 

       訓練兵3746番!マエダ・ゴロウ!!」

 

 

決闘実記:

皇紀2781年(西暦2120年)6月14日 午後16時35分

終了/勝者:訓練兵3746番 前田 吾郎

 

(木戸・佐藤・兵士達)

「ウオーー!!! や、やったー!!前田 ! 前田 ! 前田 …。」

 

〜阿波踊りの大合唱〜

オニワカとマエダは余力を振り絞って立ち上がり…吹く風に倒れそうになりながら、お互いに対峙した。

(前田)「え…何? 私…。」

 

(鬼若)「ジャッジの言った通りです。…私の身体はもう動かない(笑)。あのキック、たった一発で(苦笑)…。あれは反則です(笑)。いや、完敗です。」

 

(前田)「…いえ! いえいえ!! そんなはずないでしょう? 取り消しましょう! 取り消しましょう!! 私は除隊して、貴方のお父さんの仇を探すんです。…こんな形で親子の話が終わっていいわけがない! 私が…」

 

(鬼若)「違うんです(笑)。それはまた、いつか必ず。…でも、それよりも私には、もっとやりたい事が出来たんです。

 

私は貴方と―戦友になりたいんです。

 

そしてこの…どうしようもなくメチャクチャな世の中を、

 

共に…

闘い…

共に…

 

変えたいんです。」

 

(前田)「…またそんな大それた事を、鬼若さん(泣)。

 

…でも私みたいな、

 

…でもそれが私みたいな臆病者でいいんでしょうか?

 

私…なんかで…。

 

 

ゴホッ(血)!!」

 

(鬼若)「もう言うな(笑)ゴロさん。グッ(血)!!」

 

…オニワカとマエダは、それぞれお互いの肩にもたれ掛かり合いながら、立ったまま失神した。

 

ー4時間にわたる決闘は太陽を赤く傾かせ、

 

死闘を生き延びた

“鬼”と“臆病者”に、

互いを支え合う形でリング上に

 

“人”

 

という長い影を描かせた。

 

(木戸)「た、担架じゃあー!! 早く!!」

 

(佐藤)「み、皆さん手伝ってー!!」

 

(兵士達)

「ま、前田ー!!」

「鬼若さん! しっかり!!」

「(泣)二人とも俺らの誇りじゃぁ!」

「同僚!! バンザーイ!!」

 

その日は就寝時間まで兵舎内では、主役二人そっちのけのお祭り騒ぎが続いた。

ー教官達も決闘の習わし(決闘の処理後は自由時間)に則って、その夜は兵士達の好きにさせた。

 

診断結果:

鬼若 海衆:背骨および左腕、肋骨複雑骨折 ―全治4ヶ月

前田 吾郎:頭部、顔面および全身複雑骨折 ―全治4か月半

 

この決闘によって二人は、同期よりも1年遅れて訓練所を卒業する事になった。

 

*   *   +   ー   +  *   *

 

(※ハッキング成功/スクランブルモード稼働

しばらく発見される事はありません。)

 




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[sideB]

(喜屋武)「ここでいいだろう。さあ、続きを…決闘をはじめよう!!」

5m程離れて2人は対峙した。

喜屋武は言った。
(喜屋武)「さぁ始めるぞ!貴様は真田よりも強いのか?奴が死んでからの俺の人生は本当に楽しかったぞ!さっさとお前も真田の死を受け入れていれば後ろ向きな半生を送らずに済んだものをな。

…まぁその人生も今日までだが。」


オニワカは静かに、真空を切るように手刀を回し、朝倉流の構えを取った。

(鬼若)「いえ…今日からは
  
      …前に進みます。」

オニワカは間合いを詰めた。


(喜屋武)「(笑)なるほど。ではあっちで父親に聞いて来い。」

喜屋武の口角が上がったー

その瞬間、周囲は異常な空気の揺れと衝撃音に包まれた。

その間約0.2秒ー

…逃げそびれた野鳥の羽根が衣雪のように宙に散乱している。
ーすぐそばの茂みから蒸気が上がっている。

そしてさっきまで立っていた場所に、オニワカは横たわっている。

約0.2秒ー無音式速射砲が発射されて弾丸の周りの空気が蒸発するまでの時間。
    真空弾放出後の匂いがした。

(喜屋武)「ここは俺がトラップを仕掛けた場所でな。」

虫の息のオニワカが話した。

(鬼若)「…武、武闘家としての…」

(喜屋武)「生き延びる。武闘家の目的はそれのみだ。」

(喜屋武)「さらばだ。鬼若」

周りには誰も居ず、何も聞こえなかった。
ただ、喜屋武が仕掛けたリモートの無音式速射砲の、蒸した空気を割く無数の音と蒸気だけがあった。

(国王)「…とまぁこんな具合だ。なかなかの最期だった。」

ー前田は、これまでに感じたことのない感情で全身が満たされた。

怒りでもない。恐怖でもない。

もっと冷たく、もっと重い“無”に近い何か。

前田は、ゆっくり顔を上げた。

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