C.T.B 揺り籠から戦場まで ―老人徴兵制の未来。武器は阿波踊り!?―   作:電機羊

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【時代】2136年(送信側)
【送信枠】sideA(比較的安全)
【位置】GPS:取得不能(妨害)
【ノードID】torrent-7 Nothing but Strong
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【ノードID】torrent-7 Nothing but Strong

[sideA]

 

sample:鬼若 海衆(オニワカ カイシュウ)

birth:ロシア連邦/ボリショイ経済州

nationality:Japan(as of 2120)

age:65(as of 2120)

family:none

 

日本人の父とロシア人の母のもとに生まれる。

 

外交官としてロシアに滞在中の父と現地の女性との間の子であった。

近代日本の祖・勝海舟を尊敬する父は子を海衆と名付ける。

学問好きで言語学者でもあった父に似ず、海衆は暴れん坊で我儘し放題。

現地では『“怪衆”ラスプーチン』と呼ばれていた。

 

海衆が12歳になる頃、外交官の父の任務が終わり帰国。実家のある北海道へ移り住んだ。

そこで彼は初めて、自分と同じ日本人ばかりの村社会を経験した。

それが良かったか理由のない喧嘩はしなくなり、学問にも精進、成長とともに父と同じ外交官への道を歩もうという夢もできた。

 

ーある日、その父が殺害された。

 

父はその日、後輩の労いに行きつけの居酒屋へ行った。

飲み始めてしばらく経った頃、ほろ酔いの後輩が転んで近くの男の飲み物をこぼしてしまい、謝ったにも関わらずその男は泥酔しており、執拗に絡んできた。

それを止めようと間に入った父は思い切り突き飛ばされたのだ。

…その酔っぱらいの突きは、心臓に障害を持つ父の発作を引き起こすのに十分な衝撃だった。

胸を抱えてうずくまり、そのまま亡くなった。

男は、とある格闘家、という事だった。

 

噂では軍が訓練をアウトソーシングしている武術インストラクターのようだったが、軍は知らぬ存ぜぬのたらい回し。証拠も目撃も乏しく、父の後輩もその日を最後に自主退職した。

 

母は、寂しさで鬱になり、父の死の1年目の命日に失踪し、未だに行方不明。

 

…海衆は仇討ちを誓った。

それらしい格闘家たちを見境なく襲撃するようになった。

だが相手は闘いのプロ。毎度ひどい返り討ちを受けていた。

ある日、いつものように襲撃が失敗に終わりひどい重傷を負わされた。

相手は当時世界最強の総合武道家 の“朝倉 悔” 。勝てるわけがない。

そしてこう告げられた。

「格闘家に勝つのは結局格闘家しかない。

お前に必要なのは、お前が憎む格闘家になることだ。

筋はいい…よし、

 

俺がお前を、お前が”一番嫌いな格闘家”にしてやる。」

 

こうして海衆は朝倉の門弟となり、類稀な才能で師範への坂を登り切った。

しかし、武器を使っての他流派への襲撃を、「ただの外稽古」と呼んで一向に辞めることはなく、師範にまでなった海衆ではあったが悔はついに破門を決意した。

 

その後の海衆は仕事もせず、全国を放浪しながら仇討ちの名目で無関係な格闘家を襲って暮らしていた。犯人像にかすりもしない彼は、自身の襲撃を動画にし父殺しの犯人へのメッセージとともに配信した。情報収集に一番早い方法だと考えての行動だったが、まったく無関係だった一般大衆が大いに反応した。

 

襲撃動画は刺激とスリルに飢えていた当時の国民のニーズに刺さり、出す動画はバズり続けた。

配信サイトのみならず、TVの特番などでも取り上げられ、『オニワカ』の名は日本中に知れ渡った。

 

しかしいくら有名になっても、親の仇の情報は皆無で、

海衆本人は、苛立ちを募らせていた。

そして日本に名を馳せて3年

海衆は世間から姿を消し、

 

ーそして40年経った。

 

鬼若海衆は突然新日本軍に現れた。

練兵の同期たちは格闘家の実力をまざまざと見せつけられた。

『やはり鬼若だ。』

『…凄ぇ。』

『彼は別格だ。』

否応なく自分たちとの差を意識させられる。

実力と戦闘センスは教官たち以上、同期の中で海衆は憧れを通り越し神格化され、部隊配属前から”救世主”と呼ばれていた。

…そこに、ひょっこり現れたのがマエダだった。

オニワカを知らない男。

舐めていたとはいえ、技を遮られた上に言葉でも煽ってきた。

(鬼若)(心)「(…お前は一体、何なんだ?)」

―今朝マエダに言われたあの言葉。

オニワカが自分を表すのに、一番否定したい言葉。

しかし、これ以上なく芯を喰った言葉。

『可哀想』

だった。

この一言でオニワカの最後の良心は吹き飛んだ。

父を亡くしてから今までの半生を、丸ごと否定された最悪の気分だった。

(鬼若)(心)「(…私の、私の何を知っていると言うのだ!!)」

…おぞましい。

一度は認めたが、やはりマエダが生き続けることは、自分の人生を否定され続けることと同じだ。

 

(鬼若)(心)「(私は、お前を生かしておけない。

私はこの先も信念のもと、父殺しの犯人を探し続けるんだ。)」

 

(鬼若)(心)「(たとえ私の人生そのものが復讐で終わったとしても。)」

 

(鬼若)(心)「(たとえ私の人生が―)」

 

(鬼若)(心)「(…無意味…なんだとしても)」

 

(送信終了まで1分)




[sideB]

(タツヤ)「俺の話をしよう。俺は前田に助けられた多くの仲間の一人だ。
俺は血の滲むような努力で労働許可証を取得して上京し、
巣鴨に小さなうどん屋台を構えた。

ある夜、いつものように店じまいを始めていたら、
『食いモンねぇか?』と不良老人どもが集ってきた。
…若者が働く飲食店やガソリンスタンドは、日常茶飯事にシニアギャングの”たかり”の餌食になることが多くて、店主が若い場合は嫌がらせに対するお咎めはスルーされていた。
この日は特に酷かった。奴らの機嫌はすこぶる悪くて、店が倒壊するんじゃないかってぐらい暴れやがった。
俺が立ち尽くしていると、「こいつを殺っちまおう」って奴らの矛先が俺に変わった。
あぁ。まったくツイてない。生まれる時代を間違えたんだと思ったよ。
俺は思いつく限りの方法で殴られ、蹴られ続けた。

(…誰か……助け)
俺が声にならない叫びを上げたとき、
薄れゆく視界に映ったもの。

一人の老人が、踊りながらやって来て―そのまま彼らを一蹴したのだ。

目覚めた時、俺は彼に抱き抱えられていたのさ。

彼は泣きながら、

『偉いやっちゃ』
『偉いやっちゃ』

と呟いていた。

この時はまだー俺はまさかこの老人が本当に世界を変える人物になるとは知らなかった。」

(送信終了)

-log-
シルバニア王国東京都品川区 役所通りにて
GPS:取得不能(※妨害)

Next Packet: Shut Up and dance.
Est. Tim<br>
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