憑依転生者伏黒くんは最強になりたい   作:つーふー

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遅れました。
十種影法術独自設定もりもりでいきたいと思います。
感想欄で触れた縛りによる呪力量の増加に関しては、元々考えてた設定と噛み合わせると矛盾がなくなるのではと思い、一旦修正せず様子見させてもらおうと思います。


僕の考えた最強の十種影法術

 

 

 

 十種影法術は強い。

 

 俺がそう思ったのは、宿儺の扱う十種影法術を見たときだった。

 (よろず)との戦いに始まり、五条との戦いでの活用方法。

 呪力量が必要という前提はあるが、それをクリアすれば状況に応じた戦い方が可能になる。

 魔虚羅の力ばかりに目を奪われがちだが、そんなことはない。

 器用貧乏という視点もあるが、出来ることが多いということはそれだけ発展の幅も広いということだ。

 更に自身や周りへの影にすら潜れるという破格の性能。

 某忍者漫画のような影縛りなどは出来ないが、それでも十分すぎる。

 

「言ったな? 式神のガキ」

「ああ、お前のことを踏み台にしてやるよ最強」

 

 対峙する宿儺と呪霊を前に俺が選んだ最初の一手は、ここに来た当初に虎杖へと潜ませていた玉犬の使用だ。

 影から飛び出した玉犬は噛み付こうと牙を剥くが、宿儺は一瞥もせず腕を振るうだけで弾き飛ばす。

 しかし俺はその隙に式神の能力を自身に付加し、破壊される前に玉犬を仕舞う。

 

 選んだのは鵺だ。

 鵺は雷を扱うことの出来る式神。

 それがどれほど優秀なことなのか、呪術廻戦を読んでいたのなら分かるだろう。

 思い描くのは雷神の姿。

 バチバチと、俺の呪力の性質が変化していく。

 

「ほう、拡張術式だな?」

 

 そのことに気付いた宿儺は関心した様子を見せる。

 けれど逆に呪力の性質が変化したことに気付けなかった呪霊は、俺に飛び掛かってきていた。

 

「まずは前菜からだな」

 

 虎杖を相手に身体能力の圧倒的な差を見せていた呪霊だが、俺にとっては圧倒的でも何でもない。

 呪力量を含め、全ての能力が呪霊よりも高いのだ。

 動きを見切った俺は、振るわれた腕をいなすと顔面、胸部、腹部に拳を叩き込む。

 怯んでる間に蹴り飛ばし、呪霊に付加された呪力に対して意識を向ける。

 

「計5回だ。どうなる?」

 

 ーーバリッ。

 

 そんな音と共に、俺と呪霊の間に雷が走る。

 呪霊は反応も出来ずに焼かれ膝を突く。

 けれどそこで堪え、倒れはしなかった。

 

「なるほど。もっと電荷を纏わせないと必殺には至らないか」

 

 打撃とともにプラスの電荷を相手に纏わせるそれは、江戸時代最強の術師である鹿紫雲一を踏襲したものだ。

 どれほどの電荷でどれほどの破壊力を生み出すのか分からなかったため、この呪霊を相手に試させてもらったのだ。

 5回の接触で焦がす威力があるのならば、並の呪霊や術師相手には十分必殺足り得るだろう。

 特級に区分されるような呪霊が相手ならば、更に倍は必要だろうなと予測する。

 

「まあ、検証はこれが限界か」

 

 鵺の能力付与は一旦終了し、俺はそろそろ呪霊にトドメを刺すことした。

 今の宿儺は興味深そうに観察しているだけだが、あまり時間を掛けすぎると動き出してしまうだろう。

 メインディッシュを持たせるのも申し訳ない話だ。

 

虎葬(こそう)

 

 掌印によって繰り出すのは、真っ白な虎だ。

 呪術廻戦にて登場しなかった虎葬だが、その性質は至ってシンプル。

 玉犬の索敵能力を無くし、より攻撃特化になったものである。

 玉犬以上渾未満といったところだろうか。

 俺はその戦闘能力を更に強化するため、再度術式を拡張していった。

 

「性質付与ーー『満象』」

 

 呪術廻戦にて伏黒恵は、拡張術式にて2つの式神を組み合わせ新たな式神を生み出していた。

 それに対して俺が行うのは、性質のみを別の式神に付与するもの。

 先ほどから自身に対して行なっている式神の能力付与を、式神同士に行なわせていくのだ。

 

 だが、まだ性質の付与は行わない。

 満象はその重量を武器にしているのだ。

 今その特性を付与すれば、虎葬が動けなくなる。

 

「行け、虎葬」

 

 故に虎葬が一撃を加えようとした瞬間に、俺は満象の性質を付与した。

 それにより満象の性質を組み合わせた一振りが、呪霊の半身を叩き潰すのだった。

 まだ祓いはしない。

 祓ってしまうとこの生得領域がなくなってしまうので、戦いにくくなってしまうのだ。

 全てが終わってから始末しよう。

 俺は虎葬を仕舞うのであった。

 

「見ているだけで助かったよ宿儺。お陰様でやりやすかったよ」

「五条悟といい、やはり厄介なものだな、呪術師は」

 

 それは宿儺なりの褒め言葉だったのだろう。

 だが俺はそのような褒め言葉を特に必要としていない。

 欲しているのは最強の座だ。

 

「それじゃあメインディッシュといこうか」

「ケヒッ、その呪霊といい貴様は呪いのなんたるかをまるで分かっていない」

「そうか?」

「小細工を伸ばしたところで、行き着く果ては知れている」

「なるほど」

「貴様は呪術の本質を知らんのだ」

「ところで」

 

 宿儺は講釈を垂れていたが、俺は話を途切るように一言告げる。

 

「その三下みたいな笑い方止めたほうがいいですよ」

「…………クソガキが」

 

 宿儺が三角形を作るかのように手印を結ぶ。

 俺はそれが何を意味するのかを知っていた。

 閻魔天印と呼ばれるその手印は、呪術における奥義を意味する。

 

 領域展開ーー『伏魔御厨子』

 

 様々な生物の頭骨に象られた寺のお堂をシンボルに、周囲に生得領域が張り巡らされる。

 その効果は領域内の呪力を帯びたモノには『捌』を、呪力の無いモノには『解』を。

 領域消失まで絶え間なく浴びせられる斬撃の嵐が俺へと迫りくる。

 

「『彌虚葛籠(いやこつづら)』」

 

 領域展開に対し、俺は自身の領域を展開することで必中効果を打ち消す。

 彌虚葛籠はシン・陰流簡易領域の原型だ。

 門外不出で相伝されているその技術だが、俺は五条先生から教えてもらうことで使用出来るようになっている。

 彌虚葛籠は相伝のものではないが、簡易領域の仕組みを逆算することで独学で辿り着いたものだ。

 簡易領域との大きな違いは、印を組み続けることで簡易領域以上の耐久性を持った領域を作ることが出来ることである。

 

 だが、宿儺を前に両手を防ぎ続けるのは自殺行為だろう。

 俺は影の中に蝦蟇(がま)を顕現し、代わりに印を組ませることで自身の両手を使わずに彌虚葛籠を展開した。

 

「ほう、大口を叩くだけのことはあるようだ」

「これくらい出来なきゃ最強なんて目指せないんで」

「ハッ、だからどうという話でもないが」

 

 先ほどの指摘を気にしたのか不明だが、笑い方を変えていることには触れない方がいいのだろうか。

 そんな下らないことを考えてる間に、宿儺は接近してくる。

 俺は再び式神による呪力特性の変質を行い、近接戦闘に備えて構えた。

 そして宿儺の一閃を防ぐ。

 

「!!」

 

 宿儺は驚いた表情を見せた。

 驚いたのは防がれたことに対してではない。

 変質した俺の呪力特性に対してだろう。

 

 ビヨーンという擬音が似合いそうなほどに、俺の呪力が触れた宿儺の手に絡み付く。

 蝦蟇の持つベロと同じ特性だ。

 某ハンター漫画ではないが、今の俺の呪力はカエルの舌のようなしなやかさと粘着性を併せ持つ。

 呪力の切り外しも俺の意思ひとつで可能だ。

 

「動揺してる暇はないよ」

 

 腕を引っ張ると、呪力で繋がっていた宿儺も引き寄せられる。

 体勢を崩した宿儺の腹に膝蹴りを入れ、更に足に触れ呪力の粘着性を付与した。

 体勢を戻し反撃しようとしていたが、腕を引くことで足を引っ張られることとなり、宿儺はその場でバランスを崩し転けるのだった。

 

 厄介な呪力の絡み付きをどうにかしようとしたのだろう。

 宿儺は『捌』により俺の呪力を切り離していたが、その身にへばり付いた粘着性は依然として残り続けている。

 動きの阻害には成功しており、手足を動かしにくそうにしていた。

 俺は瓦礫を拾い上げ、それを宿儺に投げ付ける。

 当然ながら『解』によりバラバラに分解されるが、バラバラになった瓦礫それぞれに俺の呪力は繋がっているのだ。

 そのまま宿儺を捕らえる網として覆い被さり、更に行動を制限していく。

 

「指2本分、堪能させてもらったよ」

 

 完全に動きが鈍ったこともあり、宿儺に大きな隙が生まれる。

 俺は既に懐へと入り込み、拳を振るい上げていた。

 

 ーー『黒閃』

 

 黒い火花が飛び散る。

 全身を駆け巡る呪力の奔流。

 細胞の一つ一つに呪力が行き渡り、満ちていくのを実感する。

 最高の気分だった。

 だと言うのにも関わらず、宿儺は俺の一撃を受けて気絶していた。

 

「起きろよ宿儺。これからが良いところなのによ」

 

 無理やり身体を起こした俺は、再度拳を振り上げる。

 けれど既に勝敗の決した状況だ。

 環境も心理的な要因も噛み合わなかったのだろう。

 2連続の黒閃は起こすことは出来ず、ただ気絶している宿儺を殴るだけの結果となった。

 

 テンションも上がりこれからだという気持ちではあったのだが、こればかりは仕方ないだろう。

 けれど俺は呪力の核心をようやく掴むことが出来た。

 呪力操作は得意だと自負していたが、今まで以上に緻密に呪力を操れるようになっていた。

 何度も呪力操作を繰り返し、満足した俺は一息吐いて宿儺ーー既に虎杖へと戻っているーーを見下ろす。

 

「さて、虎杖を連れて帰らないとな」

 

 ここで出来ることは全て終わった。

 少年院にいた呪霊は物足りなかったが、宿儺の相手はお釣りが出るほどに満足出来るものだった。

 デメリットももちろんある。

 宿儺は一度見たことを学習出来るため、次に戦うときは確実に今回の手は対応してくるだろう。

 だがそれは戦闘中に起きうることであり、遅いか早いかの差でしかない。

 少なくとも、呪力特性を変えるというのは出来ないだろう。

 原作でも五条先生を相手に、それは出来ないと断言していたのだから。

 手の内のひとつを知られても、他にも出来ることは沢山ある。

 それが十種影法術の強みのひとつなのだ。

 何よりも宿儺の領域展開を見ることも出来た。

 黒閃の経験も出来たことだし、今日は豊作である。

 

 そうして俺は虫の息となっていた呪霊にトドメを刺し、宿儺の指を回収するのだった。




宿儺の指は無事五条先生に引き渡されましたとさ。
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