個性【クロスオーバー】リメイク   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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幼少期の思い出

「えい! やぁ! とぉ!」

 

『腰が甘い! もっと力を込めろ』

 

「うっす!」

 

 真っ赤な髪の毛は腰辺りでリボンで結んで束ねた胸の大きな幼女が一人、木に向かって拳を振るう。

 

 拳を振るう少女の名前は廻流瞳(かいりゅう ひとみ)。

 

 夏休みに山籠りをする変わった少女である。

 

 

 

 

 

 

 

 事の始まりは中国で発光する赤子が生まれたというニュースだった。

 

 以後各地で【超常】が発見され、超常は日常へと変わっていった。

 

 世界の総人口の約8割が何らかの特異体質である超人社会となった現在。

 

 混乱渦巻く世の中でとある職業が脚光を浴びた。

 

【ヒーロー】

 

 超常社会に伴い犯罪者も凶悪となったことにより、ヒーローという職業が誕生し、市民権を得た。

 

 この物語はそんなヒーローを志す1人の少女の物語である。

 

 

 

 

 

 

 

【個性】と呼ばれる特異体質は生まれながらか4歳までに発現し、その者の根幹を形作る。

 

 例えば父親が炎の個性、母親が冷却の個性とした場合片方の個性か両方の個性を混ぜた個性、もしくは突然変異の個性を授かることが起こる。

 

 先ほどの例ならば、子供は炎の個性、氷の個性、複合個性、特異個性のどれかとなる。

 

 廻流瞳の両親は物を操る個性と人の心を読める個性であった。

 

 ごく普通の家庭に生まれ、ごく普通に生活をする……ハズであったが、4歳の時……両親が経営していたコンビニをヴィランが強盗に押し入り、抵抗した両親が亡くなるという事件が発生した。

 

 普通の家庭から一変、親亡き子となってしまい、父方の祖父母の家に住むことになる。

 

 しかし、程なくして祖父母達も足腰を悪くして要介護者となってしまい、老人ホームに入居したため小学校高学年の頃には1人で生活しなければならなくなってしまった。

 

 町までバスで1時間(バスは1日4本)。

 

 学校まで徒歩2時間。

 

 秘境とも言える農村で廻流瞳は生きる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよー皆」

 

『ヌルフフフ、おはようございます』

 

『おう、起きたか』

 

『ちゃっちゃと分身してくれー』

 

『今日もビシバシ鍛えるぞ』

 

 個性【クロスオーバー】。

 

 私の個性は異世界の人物とその世界の習わしを持ってくることができる……という個性らしい。

 

 病院で検索したわけじゃないから、これが正確な個性かどうかは知らないけど……。

 

 ただデメリットとして呼んだ人物達が別人格の様に勝手に動く。

 

 まぁ賑やかで楽しいからいいのだけど。

 

 今私の中に居る人格の人物は、タコみたいな生物でお話が面白い殺せんせー。

 

 忍者の猿飛ヒルゼンさん。

 

 スパルタサングラス筋肉のゼファーさん。

 

 武道家のネテロさん。

 

 ……ものの見事に殺せんせー以外お爺さんだな。

 

 魂という状態の時に私に引かれてこの世界にやって来たらしい。

 

 この世界よりも発展していたり、異世界だったり話を聞いていて飽きないし、彼らが私にとって家族のような人達だ。

 

 彼らが居なかったら私は今頃他の親戚に引き取られていたか、孤児院で生活していただろう。

 

 4歳で個性が目覚めたばかりの時は自我があやふやでおじいちゃんやおばあちゃんからイマジナリーフレンドと遊んでいる扱いだし、個性も無個性扱いだったけど……自我がしっかりした6歳からは奇妙な同居人達達に鍛えて貰っている。

 

 私が寝ている間にこんな会話があったらしい。

 

 

 

 

 

『さて、瞳ちゃんがヒーローという職業に憧れて目指したいと言ったからには最高のヒーローに育てたいですねぇヌルフフフ』

 

『ワシらはなんだかんだ教育者として自信がある者達が集ったからのぉ』

 

『まず俺達の世界の能力が使えるかどうか確認してぇがわかりやすいのはあるか?』

 

『話を聞くと忍者のヒルゼンのチャクラだったか? あれが一番わかりやすいんじゃないか?』

 

『チャクラもそうじゃが、まずは基礎体力とか勉強からじゃないか?』

 

『ではそれは先生が教えますよヌルフフフ』

 

『タコにできるのか?』

 

『失礼な! 私は学生を教えるのは得意なのですよ! しかもたぶん世界観的に一番近いのは私の世界ですし』

 

『それだけ言うならお手並み拝見といこうじゃないか』

 

『ヌルフフフ、任せてくださいよ』

 

 ということで殺せんせーがテレビでやっていたヒーロー特集を見てヒーローになりたいと言ったために私を鍛えることが始まった。

 

 最初はくたくたになるまで走らされた。

 

 走って、勉強して、お婆さんの料理をいっぱい食べて良く寝てを繰り返した。

 

 最初の1ヵ月は頑張ったが、1ヵ月経つと飽き始めたが、私に飽きが来ないように手を変え、品を変え、遊びを取り入れながら鍛え続けた。

 

 例えば裏の森の小川で魚を獲る罠のやり方だったり、早く木を登れる方法だったり、速く走れる走り方だったり、体を柔らかくする方法だったりを教えられた。

 

 半年殺せんせーが担当した後にヒルゼンさんが忍術を教えてくれた。

 

『身体エネルギーと精神エネルギーを混ぜ合わせることでチャクラを練ることができる。チャクラが練れれば忍術を扱うことができるぞ』

 

「おお! 忍者!」

 

『ワシはお主にしか触れることができないからな。チャクラを流すから感じとるのじゃぞ』

 

「はい!」

 

 チャクラというものを掴むのに1ヵ月、そこからチャクラをコントロールするために垂直木登りができるようになるのに2週間、水面に立てるようになるのに2週間かかった。

 

 そこから影分身を教えて貰った。

 

『……並みってところじゃな』

 

 とのことただ影分身に人格を付与することで同居人達も自由に動くことができるようになった。

 

 しかも影分身で経験した事は本体にフィードバックされるとのことでマックスの5人を常に出して本体が学校に行っている間にも分身達にトレーニングや勉強をさせる。

 

 一応この出来事で私の個性登録は分身ということになったが……

 

 同居人達も私には触れられることを利用して体術を叩き込んだりされたが

 

『並みだな』

 

『ヌルフフフ、鍛えがいがありますねぇ』

 

『並みだなぁ』

 

『まぁ才能は努力で幾らでも伸ばせるわい』

 

 と言われてしまった。

 

どうやら異世界の能力の才能は並みらしい。

 

これでもこっちは必死に努力しているんだけどね……。

 

 小学3年生になった頃にはゼファーさんの海軍式スパルタ特訓が始まり、素手で木を切り倒せとか毎日フルマラソンさせられたりとか、分身と組み手100本とかめちゃくちゃハードなことをさせられた。

 

 そしておじいちゃんとおばあちゃんが老人ホームに入居した4年生からは特訓は更にハードになる。

 

 ネテロさんから毎日感謝の正拳突き(1万回)をやるように言われ、本体は寝る以外殆ど正拳突きをやるようになり、分身1体が学校や家事をして、残りが同居人1人1人に付いて特訓をするようになった。

 

 脱水状態で死にかけること15回、疲労困憊で気絶することほぼ毎日……そんな生活を3年以上続けていると体に変化が現れた。

 

 力が溢れ出す感覚を掴むことに成功する。

 

『ようやく精孔が開いたか』

 

「精孔?」

 

『ワシらの世界では念と呼ばれる能力の基礎とされる部分だ。その溢れ出たオーラを身に纏うようにして漏れ出すのを防げ』

 

 言われるがまま溢れ出る力を纒えるようになるのに2日、そこから念を完全遮断するのができるようになるのに1ヵ月、そこから力を練るのに更に3ヵ月かかったが、その力を練るようにすると腕が黒く変色した。

 

『なんだ? 武装色の覇気に目覚めたか』

 

 念を覚えていたら別の世界の技術に目覚めていたらしい。

 

 もうハチャメチャである。

 

 チャクラ、念、覇気。

 

 チャクラは身体エネルギーと精神エネルギーを混ぜることで生み出し、念は生命エネルギー……活力の様なものからエネルギーを生み出す。

 

 覇気は意識の力……目に見えないエネルギー全般らしい。

 

「全部重複しまくってるやないかい!」

 

 そう突っ込んでしまうのは仕方がないだろう。

 

 まぁでもそれらを上手く使い分けることで鍛えることができていた。

 

 忍術も色々教わった。

 

 念の使い方も学んだ。

 

 武装色と見聞色の基礎も学んだ。

 

『『『『後は応用だ』』』』

 

 中学に上がる数日前にいきなりそう言われて彼らは消えてしまった。

 

 

 

 

 

 残された私は彼らが残したアコーディオン並みに長い指導書を元に私は鍛錬を続けた。

 

 影分身の人数も中学生になる頃には10人まで増やすことができ、とにかく集団で組み手を行ったり、山で捕まえてきた兎とか鹿を医療忍術を使ってどこまで復元できるかを試してみたり、自分の腕に傷をつけてみてそれの修復も試してみた。

 

 勉強も今まで以上に頑張った。

 

 私が両親が居ない事を馬鹿にされないように。

 

 できる限りのお洒落もして自身を魅せる方法も頑張った···。

 

 

 

 

 

 

『生徒会長の廻流です……』

 

「2年で生徒会長になった廻流さんだ」

 

「廻流会長! 今日も凛々しい」

 

「成績優秀、人当たりも良くて完璧超人だもんなぁ」

 

 同居人が居なくなり、辛く楽しい時間は終わり、現実が始まった。

 

 今でも毎日トレーニングは欠かせない。

 

 ただ、ポッカリ気持ちに穴が空いてしまった。

 

 4歳からの8年間……彼らとは常に側に居てくれた。

 

 しかし、彼らは消えてしまった。

 

 私は刺激を求めて生徒会に入り、生徒会長となった。

 

 勉強を頑張りテストでは満点を獲り続けた。

 

 同級生や下級生に勉強を教えたり、下駄箱にラブレターが男女問わず入っていて断るのに苦労したり、そこそこ楽しい時間が過ごせたと思う。

 

 思うけど……刺激が足りない。

 

 強烈だった毎日がどうしても恋しくなる。

 

 ヒーローになりたいという目標の為にトレーニングを続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「廻流、進学はどうするんだ? お前の学力ならどこでも行けるが……ヒーローになるなら県内の房一高校とか藤原高校当たりか? 特待生で学費免除で行けると思うが……」

 

「先生、せっかくですし雄英に行ってみたいです」

 

「……雄英か。言うと思っていたが、普通の市立の学校から雄英のヒーロー科に進学した生徒は居ない……が、廻流なら行けるかもな。しかし、金はどうするんだ? お前の家庭環境なら厳しいだろ」

 

「バイトでも何でもしますよ。なーに、最悪土地や家を質に入れても良い」

 

「そこまでの覚悟か……わかった。先生に任せろ。入試の交通費等は工面してやる」

 

「ありがとうございます先生」

 

「ただやるからには受かれよ。我が校初の雄英入学者になってくれよ」

 

「はい!」

 

 

 




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