個性【クロスオーバー】リメイク   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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入試に向けて

 私、廻流瞳は雄英高校への入試に向けてトレーニングを続けていた。

 

「なになに……もし一流のヒーローになりたかったら色々な道があるけど、殺せんせーのオススメは教育環境が整っている雄英高校に進学するのがオススメかぁ……」

 

 プロヒーローになるための近道として、今はヒーロー科というヒーローを志す為の学科を選択する必要がある。

 

 勿論独学で仮免試験を受けて合格し、プロヒーロー試験を受けて……という道も無くはないが、殺せんせーが残したプロヒーローへのすゝめというアコーディオンみたいに長いノートにはできればプロヒーロー科のある学校で、他のヒーロー候補生達と切磋琢磨した方が実力が伸びるでしょうと書かれていた。

 

 その中で雄英をお勧めされた理由は国立で、学費が他のヒーロー科がある私立高校に比べると安いのと、希望をすれば近くの物件を借りる際に補助金が出るのもありがたい点であった。

 

「うーん」

 

 私は通帳を見るとお祖父ちゃん、お祖母ちゃんが残してくれた遺産の額がはっきりと記されている。

 

 その額約1000万……学生の身の私からしたら大きい額であるが、私立高校の場合、ヒーロー科は学費が高いことも合わさって、600万くらいを目安にした方が良いだろう。

 

 それが国立の雄英は半額以下になるので、ヒーローとして活動していく為の準備期間も合わせると、私立にいけば残高がキツキツになってしまう。

 

 それに雄英は学食が安い事も有名であり、昼と夕食を学食で済ませれば、たらふく食べても2食1000円以下に抑えることもできるらしい。

 

 それに先ほども言ったが、賃貸の補助金が出ることを考えると、競争倍率が高いことを除けば、雄英高校に入学するのが一番ベストであった。

 

「学校側へ願書の提出は済ませたし、中学校も3学期中は自由登校だから、時間いっぱいトレーニングすることができる……と言っても、本体である私はやることは変わらないんだけどさ」

 

 感謝の正拳突き1万回を水上の上でやり続ける。

 

 住んでいるところの近くにある川の上流では、水が激しく流れているが、私はその上にチャクラと呼ばれる力を足に流して、裸足で水の上を歩くと、流れに負けないように足に力を入れながら、チャクラや念と呼ばれる力で身体を強化し、正拳突きを繰り返す。

 

 正拳突きのやり方を習ってから約5年間毎日私はこれを繰り返していた。

 

 最初のうちは20時間近くかかる日もあったが、今では2時間を切れる様になり、学校から帰ってきてから日が落ちるまでで、やり切れた。

 

 ただネテロ先生はこれをチャクラや念の強化無しでやったんだから凄い……私はチャクラや念、そして六式と呼ばれるゼファー先生から習った技術をフル動員してやっとなのに……。

 

「フッフッフッフッ!」

 

 今日も感謝の正拳突きを続けているが、腕は武装色の覇気と呼ばれる力を纏って黒色へと変色し、最後の一撃を川に叩き込むと、川の水が割れた。

 

 直ぐに川は元の流れに戻ったが、今日も十二分にやれたと思う。

 

「さて、魚拾って家で食べるか」

 

 私は川を割った衝撃で岸に打ち上げられた魚を拾って、家で料理し食べるのだった。

 

 

 

 

 

 

 食事の後は勉強である。

 

「あなたは英語、あなたは国語、私は数学やるから、日本史はあなた、世界史はあなた。理科はあなたで、時事問題はあなたでお願い」

 

「「「「「了解」」」」」

 

 私は凄い頭が良いわけじゃないから、物量で頑張るしか無い。

 

 殺せんせーが作ってくれた雄英高校入学マニュアルなる問題集や雄英高校入学後に覚える問題集、ヒーロー学科の勉強も含めて影分身を使って覚えていく。

 

 力技とは言え、影分身の数だけ効率が上がるので、今の私は常人の10倍の効率で勉強ができている。

 

 お陰で、中学では成績トップを常に維持できたし、模試でも雄英でA判定を取っていた。

 

 しかし、入試の緊張でコケる可能性は十分にある。

 

 だから多少コケても大丈夫な様に色々準備しておく必要がある。

 

「忍び……じゃないけど、事前準備と日頃の鍛錬で勝敗は決まることが殆どって皆は言ってたもんね……私も頑張らないと」

 

 殺せんせーの予想では筆記の他に実技試験があるらしいが、殺せんせーが居なくなって3年が経過するため、実技内容は変わってしまっているかもしれないと、実技に関する注意書きがあった。

 

 それを踏まえて、ロボットが使われることが多いとも言われており、ロボットを破壊する試験であれば私は大丈夫であろうとも書かれていた。

 

「入試まで残り1ヶ月……絶対に合格するんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生、交通費を出していただきありがとうございます」

 

「おう、廻流なら我が校初の合格者になれるだろう! 都会もんには負けるんじゃねぇぞ」

 

「はい!」

 

 入試前日、私は中学の担任の先生から激励してもらい、地元から雄英近くのホテルまで移動を開始する。

 

 距離は約200キロ。

 

 電車で移動すれば2時間から3時間で到着するが、準備運動を兼ねて走って移動する。

 

「荷物良し、受験票良し、体調良し、いつも修行として走ってるのと同じくらいの距離だ。張り切っていこう」

 

 私は靴を脱いで、リュックの中に入れると、素足で走りを開始する。

 

 私が普段履いている様な安物の靴だと、1回の修行にも耐えきれない為、学校に行く時以外は素足で移動したり、修行するのが普通だったので慣れているし、武装色の覇気を足に纏えば、アスファルトの暑さや寒さも特に感じることがないので、問題は無い。

 

「町とかには個性用で耐久力が凄い靴もあるらしいけど……値段が高いんだよね……それを考えると、素足の方がチャクラや念、覇気を通しやすいから楽なんだけど……」

 

 走り出して20分、町中に出たので、普通の路上を高速で移動すると人や車にぶつかってしまうかもしれず、相手が危ないので建物の屋上を伝って移動する。

 

「殺せんせーにパルクール習っておいてよかった〜気持ち〜」

 

 大きなリュックサックを背負った少女がビルを飛び越えながら移動するというのは、個性社会でも異質であるが、人様に迷惑かけるよりはよっぽど良い。

 

 それにヒルゼン先生の忍びとしての技術やゼファー先生から習った月歩という空中歩行術も駆使すればまず落下する事も無い。

 

 まぁ月歩は20分もしていると足がつるからあまり長時間やりたくはないけど……。

 

 そんな事を考えながら進んでいると、町中を抜けて、海岸沿いをひたすら走る。

 

 まだ冬の時期なので、サーファーとかもおらず、無人の浜辺を潮風に当たりながら走っていく。

 

「これはこれで気持ちいいな! アハハ!」

 

 ランナーズ・ハイになりながら進むこと約1時間半、雄英高校近くの予約したホテルに到着。

 

 チェックインを済ませ、荷物をリュックから取り出してクローゼットに収納していく。

 

 雄英へ受験する学生が全国から集まるので、私は3ヶ月前に予約したが、安いホテルでも素泊まり1泊1万円を超えてしまう。

 

 まぁせっかくのホテルなので、少々奮発して温泉付きのホテルにしたお陰で、浜風に当たり続けて、冷え切った体をちゃんと温める事が出来たが……ただホテルの食事は高かったので、食事オプションは切っておいた。

 

 その為、夕食は事前にチェックしておいた近くの大盛り食堂に行くことにする。

 

「1000円でチャーハン、ラーメン大盛りに唐揚げも付いてくるなんてありがたい限りで……すばらです!」

 

 で、夕食食べに、食堂に入店するとコスチュームを着た男性が食事をがっついていた。

 

 カウンターの席に案内され、席に座ると、私は立てかけられていたメニュー表を見た後に

 

「ラーメンセット全部大盛りで!」

 

 そう頼むと周囲の客達がざわつき出した。

 

 店員さんから

 

「お嬢ちゃん、うちの大盛りは本当にとんでもない量が出てくるわよ」

 

「ええ! 大丈夫です! 胃袋には自信があるんで!」

 

「そ、そうかい……残したら持ち帰りもできるから無理はしないでね」

 

 店員のおばさんは優しく教えてくれたが、後ろの座敷に座っていた大学生くらいのお兄さん達は、おいおい死んだわアイツみたいな事を言われてしまった。

 

 すると横で食べていたコスチュームの男性が

 

「お嬢さん、雄英受験生か?」

 

 と聞いてきた。

 

 私ははいと返答すると、彼は少し考えた後に

 

「全部食べられたら奢ってやるよ」

 

「え! 良いんですか!」

 

「雄英に挑むんなら体が資本だからな! これくらい食わないと……プルスウルトラってやつだ」

 

「おお! 雄英の校訓! という事はおじさんも元雄英生?」

 

「……てなわけじゃないんだな〜これが、たまたま管轄が雄英近くなだけのヒーローの1人だ。デステゴロって言うが知らないか?」

 

「すみません、遠方から来ていたのと、ヒーローのチャートは上位10人位しか知らなくて……」

 

「まぁしゃぁねぇか。ヒーロー飽和社会と言われてるくらいだ。だが雄英に入るんだったら、ある程度上位のヒーローは知っておいて損は無いぞ」

 

「じゃあおじさんも結構上位のヒーローで?」

 

「まぁ100番以内には入っているな!」

 

「凄い!」

 

 そんな事を喋っていると、ラーメンセットがご到着。

 

 普通のラーメンの器の2倍はあるんじゃないかという大きさのラーメンに拳くらいの唐揚げが6個、チャーハンも3合くらいありそうである。

 

「うは! すばら! 美味しそう!」

 

 私は勢いよく食べ進めると、最初は心配そうに見ていた周りの客や店員達も、10分もすると殆ど残りが無くなってしまい、15分で完食したため、驚愕と拍手が沸き起こった。

 

「すげぇな嬢ちゃん! 名前は」

 

「廻流瞳! 雄英でトップになる女なのでよろしくお願いします!」

 

 そう言うと再び店内は拍手に包まれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ホテルに戻った私は流石に食い過ぎたと反省しながら、念を絶状態にして体力や気力を回復させていく。

 

 私の場合、様々な力……チャクラ、念、覇気色々あるが、その力を十二分に活用するためには外部からエネルギーを摂取する必要があり、それが大食いに繋がっていた。

 

 まぁ省エネモードで動けば、絶食状態でも2週間は動けるってヒルゼン先生は言っていたけど……弱るから殺せんせーは絶対にしないでくださいとも言われたっけ。

 

 ベッドで横になり、念能力の1つ絶で外部に漏れるエネルギーを全て体内の回復に回すと、張っていたお腹はみるみる縮み、食事を効率的にエネルギーへと変換していき、私はそのまま眠りにつくのだった。

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