個性【クロスオーバー】リメイク   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

4 / 7
入学前に

「実技成績出ました」

 

 モニターには昨日行われた入学試験の採点結果が表示される。

 

 合格ボーダーが40ポイント以上と例年よりやや高いポイントとなる中、1位の生徒が飛び抜けていた。

 

「廻流瞳……か」

 

 俺……相澤消太は自分の担当になるかもしれない生徒の情報を見つめる。

 

 この試験の採点基準として受験者にも知らせていたロボットの撃破によるポイントと、教えていないレスキューポイントという採点者側でポイントを付与できる点数があった。

 

 プレゼントマイクこと(山田)ひさしの奴は廻流が巨大ロボットを場外までぶっ飛ばした事にクレイジーだの叫んでいるが、今年巨大ロボットを破壊したのは2人居た。

 

 緑谷出久という生徒は腕を犠牲にしながらも、ロボットを撃破し、高加点が入っていたが、腕を犠牲にしている点が気に食わない。

 

 自己犠牲ありきのヒーローほど脆いものは無い。

 

 緑谷も問題であるが、廻流の方は登録してある個性と違っていることが問題になっていた。

 

「イレイザー、廻流の個性で出来ると思うか?」

 

「確かに分身をしているのは確認できているが、分身の力を使って超パワーを起こしたとは考えにくい……個性を偽っているか、個性が成長したことを中学校側に伝えてない……か」

 

 ひさしが呼んだイレイザーとは俺のヒーローネームであり、イレイザーヘッドと名乗っている。

 

 個性に関しては恐らく後者であるだろう。

 

「ロボットを簡単に撃破出来る攻撃力、分身によって手数が多くなる点はヒーロー向きね。災害救助なんかは人手が欲しいものだから」

 

「それもそうだね! それに彼女は今期実技1位だ。将来有望な生徒を確保出来たことを喜ぼう」

 

 実際、廻流の点数はロボット撃破によるヴィランポイント102点、大型ロボットに立ち向かって撃破したのを評価して多くの生徒を助けたため、50点の加点が入っていた。

 

 2位の爆豪勝己という少年が77点なのを考えると2倍近くの点数が入っていることになる。

 

「少々気になる」

 

 この後、俺が廻流瞳という少女の担任になる事が決まり、それを踏まえて、高い才覚のある彼女をどう教育していくか、悩むことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜廻流瞳サイド〜

 

 雄英の試験が終わり、家に帰宅した私は、その後も日課のトレーニングを続け、合否が出るのを待っていた。

 

 一応滑り止めの私立の受験は終わっているから、雄英の結果次第で進路が変わってくる。

 

 中学の担任の先生も自己採点に協力してくれたけど、筆記は合格点をちゃんと超えていた。

 

 満点……とはいかなかったけど、十分良い点数と言えるだろう。

 

 実技の方は、あれで不合格ならしょうがないと思えるくらいは出し切れたと思う。

 

 切り札の1つも切った。

 

 ここぞと思う場面だったからだけど、螺旋丸よりも別の技の方が良かったかなとも思うが……他の必殺技だと広範囲に被害が出るかもしれないから使わなかったけど、ヒーローとして他の受験者に被害を出したら減点の可能性が捨てきれなかったから、これで正解のはず。

 

 そして約10日後、雄英から家に手紙が届けられた。

 

 ハサミで封筒を切ると、中から映像レコーダーが入っていた。

 

『私が投影された!』

 

「うわ、びっくりした……オールマイトだ」

 

 オールマイト……プロヒーローでも30年近くトップヒーローに君臨し続ける日本の至宝だとか象徴と言われるヒーローである。

 

 他国がヴィラン犯罪率が30%とか滅茶苦茶高い中、オールマイトがトップになってから日本のヴィラン犯罪率は一桁まで低下していたし、組織だったヴィランはほぼ駆逐されたと言える歴史の教科書にオールマイト時代と書かれるくらいには偉人でもある。

 

『私が投影されたのは今年度から雄英高校に勤める事になったからだ! そして気になる合否についてだが……』

 

『合格だ。それも首席合格。おめでとう廻流少女! 雄英は君を歓迎するよ』

 

「よし! よしよしよーし!」

 

 思わずガッツポーズをしてしまった。

 

『実は今回の試験は君達に伝えていたロボット撃破によるヴィランポイントの他に、ヒーローとして人助けをしたことを評価するレスキューポイントがあったのさ! 両方を合算した結果、文句無しの1位だ! おめでとう』

 

『ただし、君の個性は分身となっていたはずだが、分身という個性では説明がつかない点が散見された。なので一度病院で個性診断を受けてくれ。雄英側も正しい個性が分からないと教えるのに時間がかかるからね』

 

 その後オールマイトとは別の試験官の先生から入学案内について説明を受け、何度かリピートしながら、必要書類を記入していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、病院で個性診断を受けたのだが、レントゲンで小指に関節があると診断された。

 

 これは個性黎明期と呼ばれる100年以上前に結論付けられた研究結果で、小指に関節があるか無いかで個性のアリナシが分かるというものだった。

 

 その為、本来の分類であれば私は無個性……ということになるのだが、私は異世界の技術や力を使うことができる。

 

 それを説明しろと言われても困ってしまうのだが、お医者さんに正直に伝えても、検査できないものを言われても……と頭の病気を疑われてしまったりもした。

 

 結局分身するのを見せて、分身というのが個性扱いとなり、診断結果として再度出されることになる。

 

「これ……一応雄英側に連絡しないと不味いよな……」

 

 私は雄英に電話で連絡をするのだった。

 

 

 

 

 

「廻流さん! あなたが生徒会長で本当に良かった!」

 

「楽しい中学校生活をありがとう!」

 

「生徒会長! 雄英行っても頑張ってね!」

 

 中学校の卒業式は同級生からも在校生からも、もみくちゃにされながら卒業となり、担任の先生にも挨拶に向かう。

 

「思い出の家なのに本当に売却してしまって良いのか?」

 

「はい、雄英に行っている間、管理もできませんし……シティーガールになっています!」

 

「だいぶ古い言葉だぞそれ……まぁ大人が書かないといけない書類は代行したから、引っ越しも完了しているのだろ?」

 

「はい、雄英に問い合わせたら、学生用の物件を紹介してくれましたので! 駅近で1LDKの賃貸が学生補助金のお陰で月1万ですよ! 安くないですか?」

 

「それは十分安いな……でも貯金には気をつけろよ。雄英のヒーロー科なんてバイトしている暇も無いだろうからな」

 

「そこは分身を使って……」

 

「個性使用は許可が降りるかヒーローじゃないと本来ダメなんだからな!」

 

「えへへ……じゃあ行ってきます!」

 

「ああ、またな! そして卒業おめでとう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雄英高校近くの賃貸への引っ越しも終わり、雄英高校に電話で話した結果、入学前に一度学校に来るように言われた。

 

「相変わらず大きな正門ですねぇ」

 

 見上げるほど大きな正門を合格通知と一緒に届いていた学生証を持って通る。

 

 これが無いと侵入者対策のシステムが発動してしまうらしいから、学生証もしくは制服は必ず着用しないと駄目らしい。

 

 春休み期間中の雄英に入ると、人気が無くて静まり返っている。

 

「試験の時は人が多くて驚いたけど、ここまで静まりかえっていると……ちょっと不思議な気分かな?」

 

 そんな事を考えていると、なんか清潔感が無い人が校舎前に立っていた。

 

「予定の時間5分前、社会に出たら15分前には到着しておくのがマナーだぞ」

 

「でも私はまだ学生ですよ? ……えっと? 先生ですか?」

 

「ヒーローになりたいんだろ。世間からは学生ではなくヒーローの卵として見られる。それをどう思うかだ。担任になる相澤だ。電話で事情は聞いている……入れ」

 

「は、はい!」

 

 相澤先生に着いていくと、1-Aと書かれたクラスに入る。

 

 入口は3メートルくらいあり、巨人でも入れそうであった。

 

「まぁ座れ」

 

「はい」

 

 近くの席に座ると、相澤先生から質問される。

 

「病院からは相変わらず分身の個性と診断されたと?」

 

「そうなのですが……体的には無個性のはずらしいんですよね……困ったことに」

 

「体的には無個性?」

 

「はい、小指に関節があるので、本来は無個性のはずらしいんですが……私分身以外にも色々力が扱えて」

 

「どんな力だ?」

 

「先生は異世界やパラレルワールドって信じますか?」

 

「信じては無いが、関係があるのだな」

 

 私は相澤先生に少なくとも4つの異世界の住人と交信を行い、彼らの世界の世界では当たり前に使える技術を学ばせてもらった……と伝えた。

 

「忍術、念、そして覇気……組み合わせることで実技試験のような強大な力を発揮することもできます。まぁ異世界基準では私の才能は平均よりやや良い程度らしいのですが」

 

「まぁ特殊な個性とも言えなくは無いな」

 

「私はこの個性をクロスオーバーと呼んでいます」

 

「ジャンルの融合か、確かに言い得て妙だな。しかしそれだったらその個性で登録すれば良かったのではないか?」

 

「病院側に伝えても計測できないからと」

 

「……なるほどな。廻流の個性については把握した。あとはバイトについてだが」

 

「はい」

 

 私は両親や祖父母も亡くなってしまったので、バイトをできないかと聞いたが、返ってきた答えは国の保障を使えという提案だった。

 

「両親が何らかの理由で死亡し孤児になってしまった場合、18歳までは年金を受け取ることができるはずだ。受け取っていなかったのか?」

 

「いや、幾つか受け取ってはいますが」

 

「どれ受け取っているかわかるか?」

 

「えっと……」

 

 私は受け取っている保障を書き出していく。

 

「……これだと返済不要の奨学金と月5万の衣食費の補助を受けれる筈だ。貯金もあるのだろ?」

 

「ええ、まぁ」

 

「……まぁここだけの話になるが、ヒーロー科では後々インターンという短期間プロヒーローと契約して実戦形式で技術を学ぶ場が用意されている。契約次第では金銭の受領を受けることができるからな」

 

「それはいつからできますか!」

 

「遅くても2学年からになるな。有望であれば1学年に繰り上げることもある」

 

「じゃあバイトをせずに学業に集中した方が良いですね!」

 

「バイトも社会勉強として良いと個人的には思うが、学業と両立が難しい1学年では許可はまず下りない。奨学金もあるんだ、贅沢をしなければ暮らせるだろう」

 

「そうですね……ありがとうございます」

 

 こうして入学前に伝えておくことを終えるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。