旅の仲間は家族となりて   作:氷ユリ

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第109話:不思議なお嬢さま

 

 

 二人が次に向かったのは、花の町と呼ばれる地だ。

 

 

「果実があちこちに散ってるなら、これからは船が必要かもね」

「羽があれば飛んで行けたのにー!」

 

 そこへ町の娘が寄って来た。

 

「今、船が欲しいって言った?だったらマキナお嬢様のお友達になるといいわ。あの人、何でもお願いを聞いてくれるから!」

 

「それマ?船くれるの?行ってみようよナイン、サチ!」

 

 

 

 

 早速行ってみれば、すでに何人もの男が贈り物を手に言い寄っているところであった。

 

 

 順番待ちの後、ナインが代表して声をかける。

 

「あの~ええと…はじめまして。初対面でスミマセンが、僕達船がほしくて」

「ナインたら、なかなか直球で行くね…」

 

 

「だあれ?新しいお友達?」

 

「そうなれたらいいな。私からもお願い!船をください!」

 

「サチだって直球じゃないか」

「だってもう要求しちゃってるんだし仕方ないでしょ?」

「それ僕のせい?」

 

 言い合いが勃発しそうなところでマキナが答える。

 

「ええと…船?いいわ、あげる。その代わり私のお友達に…」

 

 そこまで言って言葉が切れた。

 

 

「待って!あなた方は町の人じゃないわ。もしかしてマキナを迎えに来たの?」

 

「え?違いますが」

「ええ、違います」

 

 

「絶対ウソ!マキナを迎えに来たの!でも絶対ダメ!私あなた達の事嫌い。お友達じゃない。船もあげない。帰って!」

 

 

 

 

 訳も分からず追い返された二人。

 

 

「サイアク!あの女、いきなり何キレてんのさ、意味不明なんですケド!」

「あっ、あれを見て」

 

 ナインの示した先では、マキナに瓜二つの幽霊が通りを横切って行くところだった。

 

「マキナに似てる。どういう事?追い駆けてみよう」

 

 

 

 

 そして辿り着いた先は墓地であった。

 

「大好きなお友達、ここに眠る…だって」

 

 

『あの子は私の、たった一人の大切なお友達…』

 

 全体的に青白い少女が現われた。

 

『私はマキナ。この墓の下で眠る者です』

 

 

「ええ?!マキナはさっきお城に…」

「どゆこと?!」

 

 

『あの子は私のお人形、マウリヤ。不思議な光る果実のチカラで命を宿したの』

 

 普通の子のように外で遊ぶ事ができなかったマキナは、毎日マウリヤと遊んだ。

 やがて病気はどんどん酷くなり、ある時召使が万病に効くという珍しい果実を取り寄せた。

 

『そんなものを食べても治らないって分かってた。だから私は、果実を手に願った。マウリヤに命が宿って、人間のように動いてしゃべってくれたらと』

 

 

 その時、奇跡が起こった。人形が語り出したのだ。

 

「やっとお話できた。とっても嬉しい!」

 

 

 願いが叶ったと同時、マキナの命は尽きようとしていた。

 

『私はマウリヤに言いました。あなたがマキナになって、私の代わりにたくさんお友達を作って幸せになって、と』

 

 そしてマウリヤは、私のお墓を誰にも気づかれぬよう作り、自分がマキナになった。

 

 

「えーと…?女神の果実のチカラで、人形がヘンテコお嬢になったって事?!」

 

「そうか、だから僕達が行ったら、天使が迎えに来たと思ったんだね」

「ちゃんと話せば誤解解けるんじゃ?」

「船、欲しいよねー」

 

 

 

 墓地を後にし、もう一度お屋敷へ行く事に。だがマウリヤはおらず。

 

 

 テーブルに手紙がある事に気づく。

 

「娘は預かった、返してほしくばカネを北の洞窟まで持って来い、だって!」

「「ウソ、誘拐!?」」

 

 そこへ幽霊マキナも慌てた様子で登場。

 

『あの子が私の代わりにひどい目にあってしまう…。天使様、どうか私の大切なお人形を、

大切なお友達を助けて!』

 

 

「こんだけ頼みこまれちゃ、断れないよねー?二人の天使サマ?」

 

「助けに行こう!」

「もち!」

 

 

 

 

 

 すぐさま指定された洞窟にやって来ると、ゴツイ体格の男が待ち構えていた。

 

「お前達、まさか身代金を?いやぁ~こんなとこまで持って来てくださるとは!」

 

 

「この人本当に誘拐犯?倒していいのかなぁ」

「いいんじゃない?えい!」

 

 

「く、いてぇじゃねーか!身代金持って来たんじゃなかったのか?ちくしょう!」

 

 男が逃げ出す。

 

 

「きっとこの奥にいるんだ、追い駆けよう!」

 

 

 

 読み通り洞窟の奥にマウリヤはいた。

 

「大丈夫?!マウリヤ!」

 

 

「どうして私の名前を知っているの?…ううん、私はマキナよ。みんなが欲しい物をたくさんあげて、お友達を作らなきゃ」

「マウリヤ、それは…」

 

「…分かってる。皆ほんとのお友達じゃない。みんな、ほんとは私なんていらない」

 

 

 これに答えたのは幽霊マキナだった。

 

『いらなくなんかない。あなたは私の大切なお友達よ、マウリヤ…』

 

 

「マキナ!お帰りなさい!どこへ行ってたの?ねえ、今日は何して遊ぶ?」

 

『ごめんなさい、もう二度と遊べないの…。私は遠い国へ旅立ちます。マウリヤ、私のお願いはもういい。ニセモノのマキナじゃなく、どうかお人形のマウリヤに戻って…』

 

 そう言うとマキナの霊は消えてしまった。

 

 

「マキナ…旅立つ。私は…マウリヤに戻る。…でもその前に…天使さん、船をあなた達にあげる。最後にマキナとお話できたのは、二人のおかげ…ありがとう」

 

 そう言うとマウリヤは動かなくなった。

 

 

 その手には女神の果実が握られていた。

 

 

 

「こちらこそありがとう」

「果実も船も、大切に使わせてもらうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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