旅の仲間は家族となりて   作:氷ユリ

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第11話:子供たち救出作戦

 

 

 事前調べの甲斐あって、森の入口付近に潜んでいた魔物達はサチとボシュで効率よく始末する事ができた。

 先手必勝、敵からの攻撃を受ける前に倒せたため、こちらのダメージはゼロだ。

 

 

「サチ、今日も絶好調だな!その帽子のお陰か?」

「これは関係ない。ボシュの回し蹴りがパワーアップした成果よ」

「お兄ちゃん、槍あんまり使ってなかったね」

「剣の方が合ってるんじゃない?」

「正直決め兼ねてる。まだ慣れてないだけかも」

「迷いを持ちながら使うのはお勧めしないよ」

 

 

「しっくりは来てるんだ。コイツとの相性はいいと思う」

 

 ボシュが槍を天に掲げて言い切った。

 

 

「そっか。とにかく今はまだ、皆いろいろと手探りな部分が多いから。気だけは抜かないようにしよう」

 

 

 3人は声を揃えて了解!と答えた。

 

 

 

 

 森を進む事小一時間、次なる敵が襲い掛かる。

 サチの覚醒の炎が炸裂するも、生き残る敵が増えて来た。

 さらにはボシュの必殺技でも倒れない。

 

 

「クッソ、あの白い毛むくじゃらムカつくな!」

「アタシが行こうか?」

「待って。アイツ、大分弱ってる。アイミー、できる?」

「分かった!“メラミ”かな」

「いや、“メラ”で十分じゃろ」

 

 

 アイミーは僧侶だが、心を整えれば多少の攻撃魔法は使えるようになっている。

 

 

「“メラ”!やった、倒せた!倒せたよ、サチ!」

「上出来」

 

 やや疲労の色が濃くなり出したサチが返す。

 

「サチ。少し消耗が激しいみたい。次は休んでな」

「そうよ、私も少しは戦力になれそうだし」

「そうしろ」

 

「ボシュだって初めから全力で戦ってるじゃない。私だけ休めないよ」

「俺はまだ平気だ。持久力はお前よりあるからな!」

 

 どこか勝ち誇ったようにボシュが言った。

 

 

 

 

 さらに一時間が経過。いよいよ辺りの空気はおどろおどろしくなって来る。

 

 

「私何だか、さっきからずっとゾクゾクしてる…っ」

「魔物の気配がビンビンするわい。アイミー殿、つらければワシの背に乗るがよい」

「大丈夫です。私が一番魔物に免疫ないから…早く慣れなきゃ」

「無理しないで、アイミー。焦らなくていいから」

「うん、ありがとうサチ」

 

 

 魔物の瘴気に当てられたような症状を見せるアイミーを、皆が気遣う。

 防御の装備をもっと手厚くしなければ、とサチは改めて思った。

 

 

「ゴメンね、皆。私が無計画すぎるから、迷惑かけてる…」

「サチ!何弱気になってるの?私は大丈夫だから」

「そうよ、しっかりしてくれないと困るわ、リーダー!」

「みんな…ありがとう!私、頑張るっ」

 

 立ち直りの早いサチは、すぐに気を取り直して笑顔で宣言する。

 

 

「さてと。リーダの決意表明も聞けた事だ、先へ進むのである!」

「はい!」

「次はいよいよ毒を吐く魔物達が来るようじゃ。心してかかるが良い」

「そういうの分かるなら、最初から教えてくれよ?」

 

 

 ボシュの突っ込みに、どこ吹く風のジョニー。

 

「ボヨ~~ン」

 

 

「おい!誤魔化してんじゃねーよ、ジジイ!」

「お兄ちゃんっ!」

 

「おぬしの兄は怖いのー」

「ジョニじいも、ちょっとは悪いと思うよ?」

「はて?」

「ちょっとじゃねーだろ」

 

「ちょっとそこ!こんな時に言い合いしないの!リーダーも何とか言ってよ」

「何が襲って来ようと関係ない。先手必勝でやられる前にやるのみ」

「そうだよ、別に教えてもらわなくたって問題なかった。俺が出会い頭に倒してやる!」

「それは危険じゃ。ボシュ殿は接近戦しかできん。毒を吐く輩に不用意に近づくのは厳禁である」

「って事で、私がやる」

「結局サチがやるの?休めないじゃん!私がやるよ、いいでしょジョニじい」

 

 

 ぼよんぼよんしながら考えていたジョニーだが、ピタリと止まって頷く。

 

「肩慣らしのためにも、一回くらいは発動しておくかの。どう思う、リーダーのサチ殿」

「うん。それで行こう」

 

 ようやく出番を与えられたリリが、ガッツポーズを決めた。

 

 

 

 

 そうこうするうちに現われたのは、巨大な球形の岩。

 

 

「人面岩ってヤツか、気持ちわりぃな…」

「そんじゃ早速」

「待って。あれの後ろに何かいる。リリ姉、毒に十分気を付けて!」

「諸共吹き飛ばしてやるわ。任せて!“落陽”!」

 

 

 リリの呪文と共に、上空に現われた火の玉が急激に巨大化して行く。

 振り下ろした杖に合わせ、大地をも揺るがすような熱気と轟音を響かせながら、巨大な火球が魔物を跡形もなく消し去った。

 

 

「すっげぇ…。サチの技より凄くないか?俺、自信なくすぜ」

「ボシュ殿。落ち込む事はない。魔力での攻撃は武器と呪文さえ覚えれば、ある程度はできるようになる。じゃが、おぬしの持つ持久力というものは簡単には手に入らん」

「そうよ。日々鍛錬を積んでいるからこそ。体が丸ごとボシュの強みなんだから凄い事よ」

「そっ、そうか?二人にそこまで言われると照れるぜ!」

 

 

 落ち込む兄の姿は見たくない。アイミーはジョニーとサチに心から感謝した。

 

 

「さあ。そろそろラスボスが登場する頃合よ。アイミー、子供達救出の際の手順、もう一度確認しよう」

「オーケー!」

「リリ姉はバッチリね。合図したら次もその感じでお願い。次は一番手でリリ姉だから」

「まっかせなさい!」

「俺はアイミーの方に付く。護衛、必要だろ?」

「さすがボシュ。まさにそう言おうとしてた」

 

 

 

 こうして迎えた最終局面。一行の目前には洞窟がぽっかりと口を開けている。

 

「ワシは入れそうにない、ここで待つとしよう。さあ。行って来るのじゃ」

「ジョニじい…」

「大丈夫じゃ、アイミー殿ならばきっとやり遂げられる。皆を信じよ。自信を持つのである!」

 

 迷いを断ち切ってアイミーが強く頷いたのを合図に、一行は中へと入った。

 

 

 アイミーの魔法で道を照らしながら進んで行くと、開けた場所に辿り着く。

 

「ここか?誰もいないが」

 

「声が聞こえる。子供の声だわ!」

「うん!この下じゃない?」

「アイミー、ボシュ、行って!」

「了解。アイミー、行くぞ!」

「はい!二人とも無事でいて。外で必ず会おうね!」

 

 

 サチとリリが手を上げて答えた。

 二手に分かれたちょうどその時、今回のボスキャラ魔物が姿を現した。

 

 

「えっ、サイ?思ったより小っさ…」

「油断しないで。その横の小悪魔みたいなのは、魔力が強いみたい」

「ねえサチ、今さら確認だけど、こんな穴の中でアタシの技使って平気?」

「魔法で生み出される火や水、炎は特別なの。大丈夫、怖がらないで思いっきりやって」

「よっしゃ、やってやろうじゃない?」

 

 

 リリの放った火球が見事敵共にヒット。一瞬で勝負が決まっていた。

 

 

 

 

 

 一方、子供達救出に向かったボシュとアイミー。

 洞窟全体が振動し始めて身構えたものの、崩れる気配がないと分かり先へと進む。

 

 

「やっぱり来て正解だ。小物共が見張りに付いてやがる。待ってろ、一人残らずやっつけてやる」

「お兄ちゃん、頼もしい!」

 

 

 二人の姿を見つけた子供達が騒ぎ出し、見張り達に気づかれた。

 

 

 ボシュはお得意の回し蹴りをお見舞いし、一気に敵が吹き飛んで行く。

 

「邪魔だ邪魔だ!さみだれ突きもくれてやる!」

 

 起き上がった敵を槍で突きまくる。

 まだ習いたてのため技は粗削りだが、的確な位置を攻めているお陰で瞬殺だ。

 

 

「よし。助け出してここから脱出だ」

「みんな、もう大丈夫だからね!一緒に外に出よう!」

 

 アイミーの優しい声かけにより、怯えていた子供達の表情が緩むも、女の子の一人がぐったりしている。

 気づいたアイミーが抱き上げる。

 

 

「その子は生きてるのか?」

「ええ…。でも瘴気に当てられてる。早く新鮮な空気を吸わせてあげないと」

「俺が負ぶってく。他の子達の誘導を頼む。さあ行くぞ!」

 

 

 女の子を背に立ち上がったボシュを先頭に、子供達、アイミーの順に洞窟を慎重に進んで行く。

 

「みんな、あのお兄ちゃんの後に続いて。ケガした子はあとでお姉ちゃんが治してあげるから」

「もう、魔物、いない?」

「ああ。俺の頼もしい仲間がやっつけたみたいだぜ」

「とっても強いお姉さん達だよ」

 

 子供達が明るい声を上げる。

 

「皆、案外元気そうで良かった」

「ああ。それにしてもアイツら、何のためにさらったんだ?」

 

 

 

 まだ辿り着けていない真相に、二人の表情は険しかった。

 

 

 

 

 

 

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