旅の仲間は家族となりて   作:氷ユリ

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第2話:お供との出会い

 

 

 アイミーとボシュが加わり、サチの仲間探しの旅は続く。

 

 

「早くもう1人探さないと。時間がもったいないから、姉さまの元に戻る途中で見つけよう」

「ねえ?どうしてそんなに急ぐの?」

「戻るって、もしや俺達までその女に会うのか?」

「うん。連れて来いって言われたから」

「…行って何が始まるんだ?」

「素質を見定めてくれるって!」

 

 若干気後れ気味のボシュ。横目で見ながらアイミーが言う。

 

「私は会ってみたい、サチのお姉さんに!きっと素敵な人なんだろうなぁ」

「そりゃ~ステキなんてもんじゃないわ。最強のクールビューティなんだから!もう大尊敬っ」

「へぇ、クールな感じなんだ。サチとはタイプ違いそうね」

「お前はクールとはかけ離れてるからな!」

 

 こんな会話をする3名は、どちらかといえば皆童顔寄りである。

 

 

「ボシュはどっちがタイプなの?」

「たっ、タイプ?!俺の?」

「そう言ったけど。声裏返ってるよ?何、慌てて」

「お兄ちゃん硬派で通ってるけど、実は綺麗な女の人苦手なの。特に年上?」

「こらアイミー!余計な事しゃべるな!」

「サチが年上じゃなくて良かったね、お兄ちゃん?」

「例え年上でも、こいつなら問題なかったよ」

 

「ボシュ君?それはどういう意味かな。色仕掛けも一通り姉さまから学んだの。やってみる?」

 

 

 突然サチの目が据わった。猫なで声をボシュの耳元で発する。

 ボシュの顎に軽く指を掛けてくすぐり、クイと持ち上げた。

 

 

「なっ、何だよいきなりっ、やめろよ!昼間っから酒でも飲んだか?」

「あら。私の息、お酒臭い?」

 

 至近距離でサチが吐息を吹きかける。

 

 

「お兄ちゃん、墓穴掘ってる…まさか挑発してる?…訳ないよね」

 

 アイミーの呟きは二人には聞こえていない。

 大きく息を吸い込んで、声を張るアイミー。

 

「あのぉ!この茶番、いつまで続く?私先に出発するからね!」

「あん!アイミーったら待ってよ。私も行く!早くしないと姉さま呆れてどっかに行っちゃう~」

 

 

 あっさりと背を向けられたボシュが取り残される。

 

 

「あいつ…、一体いくつの顔を持ってやがる?」

 

 今後、下手に絡むのはやめようと心に誓うボシュであった。

 

 

 

・・・

 

 

 

 堅実なアイミーが加われば、路頭に迷う事も行き倒れる事もない。

 

 

「今日はこの辺で宿を探しましょう。この先は山だから夜は危険よ」

「そうだな。あそこの宿屋はどうだ」

「良さそう。ねえサチ、サチ?」

 

 振り返れば、先程までいたサチの姿がない。

 

「おかしいな、さっきまで後ろにいたよな」

「何で一本道ではぐれるワケ!」

 

 元来た道を引き返そうとした時、側の茂みの中からガサガサと音がして動きを止める。

 

「…何、早速魔物とかやめてよね?」

「下がってろ、俺がやっつけてやる」

「お兄ちゃん気を付けて!」

 

 

 アイミーを庇いボシュが一歩前に出る。

 武器は所持していない。その身一つが武器である。

 

「出て来い化け物!俺が相手だ!」

 

 ボシュの威勢の良い掛け声に続いたのは、場違いな間延びした声だ。

 

 

「おぉ~~~~~~い」

 

 

「待って、この声って…」

「サチに化けた魔物かもしれない、気を抜くな!」

 

 再びボシュが構えた時、勢い良く藪の中から真っ赤な巨大な何かが飛び出して来た。

 

「ぼよ~ん、ぼよ~ん」

「うわぁ~っ!!何だ?!」

 

 風船のような弾力で弾き飛ばされたボシュ。

 地面を転がるも、素早く体勢を整え前方を見据える。

 

「何ヤツ…っ、どう見ても魔物だ、ぶちのめしてやる!」

「ちょっと待ったぁ!」

「サチ!どこに行ってたのよ」

「声が聞こえて。行ってみたら、この人達が困ってたから助けたら、付いて来た」

「助けたって、魔物を助けたのか。バカか?」

 

「…ぼよぉぉん」

 

「ねえお兄ちゃん、この人、人?まあいいか、何だか悲しそうだよ」

「魔物に襲われてたのよ。って事は、彼らは魔物じゃないって事じゃない?」

「いやだって、このなりはどう見てもスライム…」

 

「我らはスライムジェネラル、ジョニーと呼んでくれたまえ!サチ殿には命を助けられた。よって我らはこの恩を返さねばならん」

「ほ~ら、やっぱりスライムじゃねーか。敵だ!」

「まーまー、聞いて。恩返ししたいって言われて、私が魔物討伐の旅に出る話をしたら、一緒に来たいって」

 

「…マジかよ。このオッサン達が最後の一人ってか」

「それは違う。仲間は人間じゃないとダメなの。もう1人はちゃんと探すよ」

「つまりこの人達はお供って事ね」

 

「そうなのである。よろしくなのである!」

 

 

 深紅のどデカい物体が、小人騎士を乗せてボヨンボヨン跳ねている。

 

 

「何かカワイイっ!いいじゃないお兄ちゃん、私は賛成だな~」

「俺に拒否権があるなら行使したいところだが…」

「ゴメ~ン、ないみたい」

「やはりな!勝手にしてくれ」

「は~い、勝手にしま~す。じゃあジョニーさん、お供する事を正式に許可します!」

 

 

 

 

 デカすぎて宿には入れなかったため、ジョニーは野宿となった。

 

「ねえ、あの小人さんだけでもお部屋に入れてあげれば良かったかな」

「それがね、彼らは一体、分離はできないんだって」

「サチ、ちゃんと聞いてたんだ」

「変な生き物!やっぱ魔物だ」

「そりゃ魔物にもいろいろいるよ。人間もね」

「仲間になってくれるなら頼もしいじゃない、お兄ちゃん」

 

 楽天家の女二人に言いくるめられるのは、これからきっと恒例になるのだろう。

 

「それよりサチ、いつ俺達から離れた?全然気づかなかったんだが」

「ほんの数分前なんだけど」

「いなくなる時は申告してよね?心配するから!」

「ゴメンなさい…すぐに戻るつもりだったの」

 

「それで一人で魔物退治しちまうんだから、大したもんだよなぁ?」

「お兄ちゃん。そういう嫌味な言い方は禁止」

「全く…すっかり風紀委員気取りか!」

「別にそんなつもりじゃ…。ゴメン、出しゃばった事した?」

 

 アイミーに上目遣いで問われて、サチはすぐさま首を横に振る。

 

「全然!パーティに一人はこういう人が必要よ。ありがとうアイミー。これからもよろしくね」

「ホント?嬉しい!なら、バンバン行くから」

「そこはお手柔らかに!」

 

 妹の視線が痛いボシュであった。

 

 

 

 




近所を散歩中にスライムジェネラルに出くわした時は驚きました。。。
今思えば、これはまさに運命的出会いでした。
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