旅の仲間は家族となりて   作:氷ユリ

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第3話:武器の調達

 

 

 アイミーとボシュそしてどデカいお供が増えて、サチの仲間探しの旅が再開となる。

 

 

「あの宿の人が言ってた、この山に住む魔物っていうの気になるね…」

「ついでに倒して行こう!」

「ついでで倒せるような奴なのか?」

「分かんないっ」

「あのなぁ…」

 

「でも、もし倒せたらあの村の人達も安心だね」

「そうだな。結構被害出てるみたいだったし」

 

 

「ムムム…」

 

 

「ジョニー、どうしたの?」

「魔物の気配がするのである!」

「ウソでしょ…私が魔物なんて言ったから!噂話なんてしなきゃ良かったぁ」

「探す手間が省けたじゃないか。なあサチ?」

「全くその通り!」

 

 瞳を輝かせる二人とは裏腹に、アイミーとジョニーは怯える。

 

「ジョニーさんも魔物なんでしょ?何で怖がってるんですか」

「ムムっ、おぬし今、そのデカい図体で、と思うたな?」

「お、思ってないです!念のため聞くけど、心読める能力とかあります?」

「さあな!である」

「…。」

 

 

 アイミーは余計な事を考えないようにしよう、と真剣に思うのだった。

 ちなみにジョニーは心など読めはしない。ただの力自慢、つまり怪力である。

 

 

 

・・・

 

 

 

 一行の前に現れた山の魔物は、思い描いた通りの獣の化け物だ。

 

 

「こいつ、結構強そう。ボシュ、下がってて」

「何だよそれ。カッコつけやがって!強いなら力を合わせてだな…」

「いいから早く!何事も先手必勝なの!」

 

 サチの鋭い一声にビクリとなるボシュだが、そんな弱気な姿はおくびにも出さない。

 

「分かったよ、ここはお手並み拝見と行くか!」

 

 こう言いつつそそくさとアイミー達の元へ。

 

 

 2名プラス1に見守られ、サチは愛用の剣を構える。

 

「この一振りで終わらせる。さあ、行くわよ!」

 

 

 これに答えるかのように魔物が雄たけびを上げる。

 その天を仰いだ瞬間を、サチは逃さない。

 振り上げた剣から、凄まじい音と共に眩い光の柱が天へと突き上がる。

 

 突然の光と音に驚いた魔物は無防備だ。

 

 

「覚悟、覚醒の炎!」

 

 

 それは一瞬の出来事であった。

 

 巨大な魔物がいた場所には、黒ずんだカスだけが残っている。

 呆気にとられたのは魔物だけではない。

 アイミーもボシュも呆然とサチを見つめるばかり。

 

「さ、終わったわ。行きましょ」

「…あ、うん。サチ今の凄かったね!剣からあんな光が湧き上がるなんてどういう仕組み?ほらお兄ちゃん、置いてくよ!」

「あ、ああ…」

 

 怖気づいたかのようなボシュとは裏腹に、アイミーは興味津々だ。

 

 

「これね、グランゼドーラの剣って言って、さっきの光は炎よ。ちなみにライデインっていう雷の攻撃もできるわ」

「なら最強じゃないか!あんな物凄い攻撃食らって生き残る奴なんていないって!」

「それは違う。残念ながら効かない敵もいる」

「そうなのか…」

 

「魔物にも様々な耐性を持つ者がおるのじゃ」

 

「ジョニーさんは何に耐性があるの?」

「そのようなピュアな瞳で尋ねられては、答えない訳には行かぬわい!」

「で?じいさんは何に弱いんだ」

「…おぬし、弱みを握る気満々じゃな?まあよい。わしは暑いのも寒いのも苦手じゃ!」

「ダメダメじゃねーか。名前負けもいいところだぜ?ジェネラルさんよ!」

 

 

「はて。何の事やら」

 

 

「その態度、どうも怪しい。本当はウソだろ!なあサチ、マジで胡散臭いコイツ連れて行くのか?そのドラキオって奴が認めると思えないが!」

「姉さまは仲間を見定めるって言った。お供の人には興味ないと思う。細かい事は気にしない人だから大丈夫!」

 

「ホッと一安心である」

 

「要するに大雑把なのね…。私、細かくて面倒だって言われそう」

「それ以前に。第一俺達、魔物討伐隊には見えない。ああ、心配でしかない!」

「大丈夫だったら!見えなくてもいい。見た目なんて気にしない」

 

「そう言われてもなぁ」

「そうだ、ボシュも武器持ってみたら?何か手頃なの見繕いに行こう!ほら、アイミーだって杖持ってるんだし?」

 

 

 アイミーは実家から杖を持参している。

 聖風の杖、主に回復魔法用だが多少の攻撃も可能ななかなか優秀なシロモノだ。

 

 

「俺は武闘家だぞ?武器なんて邪道だ」

「あなたの回し蹴りも魅力的だけど、武器があったら体力温存にもなると思うの」

 

 得意技を魅力的と言われて照れるボシュ。

 段々その気になって来る。一見強情そうで案外乗せられやすい性格だ。

 

「私も、剣を持った武闘家がいてもいいと思う!手ぶらより討伐隊の雰囲気出るし」

「そうか?まあ、手ぶらもアレだな、確かに」

「そうだよ。よし決まり!ジョニー、どっかこの辺で、良さそうな武器売ってるとこ知らない?」

「任せてくれたまえ!付いて来るのである!」

 

「おお…マジか。旅の道中なのに何でそんなの知ってんだ?」

「そういうの年の功って言うんじゃない?物知りのジョニーさん、ステキです!」

「そ、それほどでも…っ。若いオナゴは眩しいのである…」

 

 

 うっとりした様子でアイミーを見下ろす小人騎士。

 意味深に微笑んだのは無自覚だが、ジョニーはさらに心を奪われる。

 アイミーがあっさり背を向けても釘付けだ。

 

 

 それを目聡く見ていたボシュ。透かさず牽制開始だ。

 

「おいオッサン。俺の妹にちょっかい出したらどうなるか分かってるよな?」

「どこぞの若造と一緒にするな!である」

 

 

「何だかんだ言って、お兄ちゃんとジョニーさん、仲良くなったみたいね!」

「何より!ちょっとそこー、おしゃべりに花咲かせてるとこ悪いけど、早くしてくれる~?」

 

 いつの間にか二組の間は、数十メートルは開いている。

 ああだこうだと言い合いながら男性陣が追いついた。

 

 

 

 

 

 その後ジョニーの案内で、古ぼけた武器屋に到着。

 

 

「ジョニーのお勧めはどれ?」

「うむ。おぬし、武闘家ならば力はあるな?」

「ああ。腕っぷしには自信ありだ!」

「ではこれなぞいかがかの」

 

 

 店主に耳打ちした後に差し出されたのは、片手剣ながらやや重量のありそうな一振りだ。

 

 

「オチェアーノの剣じゃ」

「オチェアーノは大洋という意味ね」

「さよう。水の聖者が持っていたと言われる、水竜の剣じゃ。使い方によっては敵を一振りで一掃できるぞよ!」

 

「そりゃいいな、よし、それをくれ」

「お兄ちゃんたら、あっさり買う方向?あんなに渋ってたのに!」

「なんか言ったか?」

「何も言ってませーん」

 

 ジョニーとサチが兄妹のこんなやり取りに密かに微笑み合った事を、当人らは気づいていない。

 

 

 

 

 

 こうして無事武器を手に入れたボシュだが。

 なかなかに扱いが難しい。何せ武器の類をほとんど使った事がないのだ。

 

 

「そんなに力入れて握ってたらダメって言ってるでしょ!」

「いてっ!そっちこそ、一々叩くなって言ってるだろーが!」

「何度言っても覚えないのが悪い!」

 

 

 移動中の時間を活用すべく、道中に始まったサチの剣術教室はかなりのスパルタだ。

 こんな最中に現れてしまった魔物達が哀れすぎる。

 

「こうやるの!ほら、やってみて」

「だからこうだろ」

「違~う!こう!」

「こうじゃなかったら、こうか?」

「そっちでもいいけど、もっとコンパクトに!」

 

 こんな過程で倒した魔物の数、およそ300匹。

 

 

「これはボシュ殿、前途有望なのである。アイミー殿、心配されるな」

「別にしてない。それより自分よ!サチは魔法使えないし、私は誰に教えを乞えばいいの!」

「我らで良ければ教えるのである」

「…え?」

 

「何を隠そう、わしの元に控えるはスライムジェネラルじゃぞ?もう一度言うが、ジェ、ネ、ラ、ル!先ほどおぬしの兄が失礼な事を言うとったが」

「ああ!えっとその節はゴメンなさいっ」

「まあよい。で、その意味は分かるかえ?」

「ええと、将軍?」

 

「良い響きじゃのー。他にも全般的という意味もあるじゃろ。つまりわしは全能なのじゃ!愛らしいそなたにならば、特別に教えて進ぜよう」

 

 

 真っ赤な体躯がさらに真っ赤になっている。

 果たして何に興奮しているのかは、定かではない。

 

 

 

 

 こんな調子でアイミーの修練も始まり、さらに賑やかな道程となった。

 

 小物の敵はアイミーの練習台だ。一通り説明を受けた後、早速魔物に出くわす。

 

 

「良いところに的が現れた。アイミーよ、やってみるのじゃ、バギクロス!」

「ええ…もう?倒し損ねて、逆上して襲って来たりしない?」

「あのレベルならば心配ない。わしの教え通りにやれば問題ないのである!」

「俺が後ろで構えといてやる。さあ、やってみろ」

「お兄ちゃん…うん!」

 

 微笑ましい兄妹愛である。またもジョニーとサチは目を合わせて微笑む。

 

 

 

 

 初めは恐る恐るだったアイミーも、回数を重ねるごとに慣れて来る。

 

「バギクロスー!」

「大分慣れて来たのう。おぬしは筋がいい!」

「褒めすぎじゃないのか?スパルタ・サチはどう思う?」

「何そのあだ名、やめてくれる?カッコ悪い!」

「カッコ良ければいいのかよ…」

 

「それだけできれば上出来。でも、アイミーは自分の身を守る事を優先して。攻撃役は私とボシュで十分だから。ね、ボシュ?」

「異議なし」

 

「わしもそう思うのである。アイミー殿は皆のサポート役になるのが良かろう」

「うん!私もその方が向いてると思う。ありがとう皆。私、何だか自信が出て来た!」

「いい感じ!パーティっぽくなって来た!」

「そうかぁ?」

 

「魔物もたくさん倒したし。今日はもうここで宿探そう。そんでもって、気持ち良く乾杯しに行くわよ!」

「賛成!ジョニーさん、いいお店知ってますか?」

「それならば、オーヴァの酒場が手頃であろうな。そこならばわしも入れる!」

 

 

 ようやく飲みの席に参加できるジョニーは、嬉しさのあまり弾み具合が倍増したのだった。

 

 

「分かりやすいオッサンだなー」

 

 

 

 

 

 

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