旅の仲間は家族となりて   作:氷ユリ

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ダーマ試練達成からの転職は独自設定です。


第42話:次なる職業

 

 

「カンパーイ!そしてダーマの試練達成、おめでとー!」

 

「リリ姉のサポートあっての達成だよ。ありがとね!」

「いやいや、アタシは至って普通の事してただけ」

「だけどリリ姉も良かったじゃない。神秘の水晶?どう使うか分からないけど、凄そうな武器もらえて」

「水晶は武器か?って思うが、ま~敢闘賞って事で!有り難く使わせてもらえ」

 

 

 

 ここで話は少しさかのぼる。

 

 ワイトキング戦後、サチ、ボシュ、アイミーの3人は見事その絆により最後の試練に合格。

 晴れてそれぞれの職を極めた者という称号を得たのであった。

 これで次なる職業へと移る事が可能となった。

 

 ダーマ神殿にて授与式が厳かに行なわれ、また試練設定がないスーパースターリリには、特別に新たな武器が与えられたのだ。

 

 

 

「だけどこんな水晶持ってたら、スターじゃなくて占い師みたーい」

「お、試しに何か占ってみろよ」

「だからっ、占い師じゃないってば?」

 

「サチの玉より結構大きいね」

「残念ながらこれはポケットには入りません!」

 

 

 サチが光の玉を取り出して見せる。

 

 

「いつ見てもキレイ!増々輝いてない?」

「無造作にそんなとこ入れててよく落ちないな」

「私も思う。宙返りしたり飛ばされたりしてるのにって」

 

 ちなみにサチの技には、空中で何回転もして勢いをつけながら斧を振り下ろす等があり、かなりアクロバティックだ。

 

 

「だけど、サチがそれ失くしたらすぐ分かるね」

「オーラが消えるもんねー」

 

「ま、あんだけやって失くさないんだから、それはもうお前の体の一部になったんだろ」

 

 

「持ち物にも心がある。武器や防具と心を通わせる事ができたらいいよね」

 

 皆がサチの言葉にしんみりと頷く。

 それぞれの愛用武器を思い浮かべている事が分かる。

 

 

「で?アタシはこれかぁ。どうやって心を通わせるか、だわね…」

 

 リリは難しい顔で水晶を覗き込んで見る。

 が、何も見えてこないし感じない。

 

 

「睨めっこしてても始まらないぜ。そん時が来りゃできるさ。あのハープん時みたいにな」

 

「あれ、お兄ちゃん最初にリリ姉があれ使った時いなかったよね?」

「あ?…いっけね、口が滑った」

「え?何なに、もしかしてあの時のショー見てくれてたの?ボシュ君!」

「みっ、見てねえ!ちゃんとは…。声は…聞こえたが」

 

「え~そうだったの?ヤダ~言ってよ~」

 

 リリがボシュに絡みつく。

 

 

「離れろっ、何だよ、聞いてて悪いのか?」

「逆逆、嬉しいの!」

 

 そのまま頬にチュっと音を立てて唇が触れる。

 

 

「んなっ!どさくさに紛れて何をするっ」

「相変わらずカ~ワイっ」

「あ~ズルい、私もやる。ボシュ君~」

 

「はあ?サチ、飲みすぎだ!アイミー、グラス取り上げろ」

「イヤでーす。サチが私のお姉さんになるの賛成なので!」

 

 

「何の話だ、何の!」

 

 いつもながら賑やかな夜である。

 

 

 

 

 一息ついてサチが話題を変える。

 

 

「ねえ皆。次の職業は決めてる?」

 

「俺はゴッドハンド狙いだから次はパラディンだ」

「私は魔法戦士しかないよね。戦士っていうのが不安でしかないけど」

「今のアイミーなら大丈夫だって。自信持って」

「本当はこのポジションにはリリ姉がいたはずなんだけど!」

 

 

「流れだから仕方ないね~。観念しなアイミー!それでサチは?」

 

 不服そうなアイミーとは逆に、リリはどこか嬉しそうだ。

 

 

 当初は強力な魔力を持っていたリリがアタッカー候補であった。

 しかしながら乗り気ではなかった本人。

 

 この流れは果たして偶然か仕組まれたものか。

 

 

「私は取りあえずレンジャーになろうかな。魔物マスターと悩んだけど」

「ドラゴーンなだけに?今やサチはドラゴンもありだと思えてしまう自分が怖い」

 

 肩をすくめて一人語りをするボシュを笑いながらリリが言う。

 

「アタシはむしろドラゴン狙いと思ってたよ。って事はニンジャになるの?」

「忍びってカッコ良くない?姉さまのために影ながら活躍するのっ」

 

「なぜに影ながらだ?堂々としとけよ」

「案外謙虚なんだね、サチって」

 

 

「そうなのかなぁ。何か時々ズレてるんだよねこの子は!」

「ズレてたとしても芯はブレてない。問題ない」

「おお…。何かボシュも成長したねぇ」

 

 

 自分がどう言われようがどこ吹く風。

 サチはどこか遠くを見つめて目を輝かせる。

 

 

 その先にいるのはもちろん、ドラちん姉さまただ一人である。

 

 

 

「いいなぁ。私はそういう憧れとかないし。何となくで道を決めていいのかな」

「いいんだよ。案外それが合ってたりするし」

「これからまた変わる事もできる。いろいろ試して決めたら?」

 

「うん、そうだね。やってみないとだよね」

 

「そうそう!しかしボシュがパラディンか。身を挺して仲間を守るってヤツよ?できる?」

「俺だってそのくらいの心意気はある」

「バトルバカ卒業だもんね~」

「おい。やっぱりバカって言ってるじゃねーか!訂正しろ!」

 

 

「まあまあ!また始まっちゃったよ」

「ホント仲いいね」

「そうなのかなぁ」

 

 

 

「だけどボシュ、本当に逞しくなったね」

「日に焼けて黒くなっただけだよ」

「うん、それはある。最初に会った時は白い方だったもんね」

 

 

 リリと言い合うボシュを眺めながら、サチとアイミーが語る。

 

 

「今度のパラディンは、一番乗りでただ突っ込んで行くだけじゃ務まらない。動きも遅くなるし、力も弱くなる。自分よりも仲間優先。ボシュもいろいろ学べると思うよ」

 

「あの口の悪さもどうにかなるといいんだけど」

「ふふ!でもそれだと、ボシュらしさがなくならない?」

「やだサチったら!お兄ちゃんの口の悪さ、個性だと思ってる?」

「それもアリかなって」

 

「…。やっぱリリ姉の言う通りズレてるかも…」

 

 

 

 

 はてさてこの先の冒険やいかに…。

 

 

 

 

 

 

 

 




この当時はまだ「ドラゴンのさとり」は存在しませんでした。
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