旅の仲間は家族となりて   作:氷ユリ

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第89話:対決ブレア

 

 

 炎の魔城を進んで行くサチ達一行。いよいよ決戦の時がやってきた。

 

 

「リムゾンの代わりに必ず倒すわ!」

 

「その前に魂を見つけねーとな」

「あ」

「そうだわよ!すっかり忘れてた」

「お兄ちゃんナイス!」

 

「って何でそんな肝心な事忘れてんだよ、お前ら…」

 

 

 

 体力が戻りしゃべる元気も戻った一行は、いつもの調子で玉座へとやって来た。

 

 そこには隠しもせず魂が鎮座している。

 

 

「あれか、魂!」

「予想外に堂々と置いてるね」

「探す手間省けたじゃん」

 

 

 リリのコメントに答えるように、目の前から声が聞こえる。

 先ほどの辺りに響き渡るものではない。ブレアがすぐそこにいるのだ。

 

「大魔王様より頂いた新たな生だ。永遠の忠誠の証として、こうして大事にするのは当然の事。貴様らになど指一本触れさせはしない。今ここで始末してくれよう!」

 

 

「大魔王から生を授かった?どういう事…?」

「待ってください!あなたはかつて、英雄フェルドと呼ばれた人間だったんですよね?」

 

 ここは説得上手のアイミーの出番だ。

 

「久々に聞く名だ。そんな人間はもうこの世にはおらぬがな」

「どうして?人間だったあなたが、どうして魔物の味方になんて…!」

「大魔王様こそが、この世に人間の存在しない正しき世界を創る事ができるからだ」

 

「人間の存在しない世界が、正しいですって?」

 

 

「人間は傲慢で愚かな生き物。己の欲望のために平気で人を殺め、屍の上に偽りの平和を築く。人間がいる限りこの世から争いは絶えぬ。いずれ世界を破滅へと導くだろう」

 

 

「妙に説得力あるな…。確かに一部は事実だ。だがそれだけじゃねーだろ、人間って」

「そうだよっ」

 

 

 こちらの言葉はスルーされ、ブレアが興奮状態となって続ける。

 

「貴様らの女神は間違った!人間は守るべき価値などない!滅びるべきだったのだ!」

 

 

「女神さまが、人間を守ってくれた事があるの?」

「これは驚いた、英雄の割に何も知らぬとは!」

 

「うるさい!何だっていい、女神さまは間違えたりしない!この世には正しい人間だってたくさんいるんだから!」

 

 英雄という言葉になぜかイラ立つサチ。

 

 だが経緯はどうあれ、女神は正しいと信じて疑わない。

 それは他の3人も同様だ。皆がサチの主張に同意を示す。

 

 

 そんな様子を眺め、ブレアが会話を打ち切った。

 

「話してもムダなようだ。よかろう。武器を取るがよい。今度こそ貴様らに引導を渡してくれる!」

 

 

 

 そしてついに戦いの火ぶたが切って落とされた。

 

 

 けれどまたもやボシュのギガブレードが思うように効かない。

 

 サチのドラゴーンだけでは力不足が否めず。

 どうにかアイミーのマヒャデドス連発でブレアを覚醒に追い込んだのだが…。

 

 

「四天王って変身好きだね、まただわよ!」

「今までより強くなるって事?!無理だよっ」

 

「クッソ…ここまでか」

「悔しい…っ」

 

 

 

 一行を火の海が襲う。

 さらには全員に火種が仕掛けられ、動く度にダメージを受ける始末だ。

 

 そして極め付きにブレアご自慢の槍での強烈な斬撃が襲い、サチ達は敗北を喫した。

 

 

 

「今のままでは勝てない。出直すよ、皆」

「おいサチ、諦めんのかよ!」

 

 

「ダメなの!…っ、私が、今のままでは!」

 

 サチが思わぬ大声を出した事で3人は黙り込んだ。

 

 

 決意は固いのだと納得はしたが。

 

「そうは言っても逃げ道ないよ?どうすんの!」

 

 

「あ、見て、大鎌が…勝手に動いてるよ!」

「まさかアイツが戦ってくれるのか?」

「違う。そんな訳ない」

 

 サチは内心期待してしまったが、言い分は当たりだった。

 大鎌はブレアではなく、空間を切り裂いた。

 

 

 そして一行を誘導するように、切り裂いた空間へと進んで行くではないか。

 

 

「あれって…」

「付いて来いって言ってる?」

「行くっきゃねーだろ、急げ!ほらサチ!」

 

 

 ボシュがサチの手を掴んで引っ張り、最初に空間へ飛び込んだ。

 続いてリリとアイミーが飛び込む。

 

 

 あっという間にサチ達の姿はその場から消え去った。

 

 

 

「…逃げたか。ふっ!よかろう。もっと強くなって戻って来るがいい。我はいつでも相手になろうぞ」

 

 根っからのファイターは、自分よりも弱いと判断した者とは戦わない。

 

 

 

 

 だがしかし、これは魔物にはあるまじき見逃し行為であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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