悟飯達が人造人間を倒す手段を求めてジングル村に旅立った一方、チチはブルマからトランクスを預かって子守りをしていた。幸い、悟飯が生まれた後に牛魔王が大量に買い過ぎたベビー用品がまだ残っていたし、場合によっては危ない旅だからだ。
悟飯の時を思い出して救われる一方、チチは自分の今までを密かに後悔していた。
人生の転機となるのは、やはり初めて会った時から変わり者とも映るが無垢な野生児や武道家としての悟空を愛した事。
その気持ちは絶対に本物だとしている。
世間の常識に疎い悟空は結婚してから一銭も稼いだ事は無い夫であったが実は違う。修行を兼ねた依頼として材木やマグロのように巨大な川魚を取って来てくれた。売れば稼ぎとなっていただろう、実は悟空の稼ぎは食費に消えていると思えば十二分過ぎる。
だが、悟空の純真さと武道家としての在り方に影響を与える事を言いたくは無かった。そして、生まれて来た子供に【育ての祖父】である悟飯と名付けてから間も無くの事。
【これからはお勉強の時代だ!】
そう言って悟飯を鍛えてやろうとした悟空を一喝した。
【怖かったのだ】
溺愛する息子が、仙豆を食べなければ死んでいたかもしれない程にピッコロに痛め付けられた悟空のようになるのではないかと。それはサイヤ人との戦いで現実となったから、ナメック星に行く前、ヒステリックに悟飯は戦うべきではないと叫んだが、その悟飯からの反論には黙らされた。
そこで納得しきれないのは悟空が自分だけでは勝てなかったので再戦をしたいからとベジータを敢えて逃がした流れが一因だった。
結果論であるが当のベジータがいなければナメック星で悟飯は何度か死んでいた。
当のベジータは、今世話をしているトランクスをブルマとの間に設けたし、クリリンに聞くところでナメック星での共闘で悟飯の潜在能力を認めて一目置く程になったので悟空の次に気に掛けたのも思い出した。
そして、悟空は心臓病で死んで悟飯の今に繋がる。
「おっ父。オラ、やっぱり間違ってたべか・・・・悟飯ちゃんを最初から悟空さに鍛えさせてやってれば、こんな事にならなかったんだべか?」
それがチチの後悔だ。戦いに参加出来るようになるどはなく、悟空が心臓病で死んだ時に数分で良いからドラゴンボールを集めるのが早くなっていたら程度、それなら今頃は助かった悟空が人造人間を倒していたかもしれないとする類いの後悔、それは悟飯自身も後悔して自分を責める一因になっている。
「わかんねえ、けど悟飯が強くなれば事態が上手く行ってた保証はねえ。かえって逆効果だったかもしれねえ。ナッパちゅうサイヤ人と戦った時、早目に本気になって悟飯が殺されたりしたかもしんねえって可能性あんべ?」
「あ、そだな。クリリンさが言うにはナッパは遊び半分で戦ってたそうだしな」
「そんだ。そんに例えば悟空みたいになれた保証はねえ。悟飯はピッコロさが戦力にしようとしただけあって素質だけなら悟空さ以上かもしんねえ、いやきっとそうだ。でなければ、あん時のベジータさを一旦追い返す迄に死んでたかも。けんど、素質があって修行しただけじゃ生き残れるかどうかの前に強くて良い武道家にはなれるワケじゃねえさ・・・・かめはめ波を撃てるようになれなかったし。集めた宝なんかの為に何人も無益に殺して武天老師様に怒られたオラなんかが言えた事じゃねえが」
二人の話題は重苦しいものばかりだし悟飯が抱える悩みを言い当ててもいる
その悟飯は思わぬ光景を目の当たりにした。
「や、やった!見てよ、私。飛べた!」
ドクターゲロの研究所を探る為の計画をブルマ達が整える中、リハビリ中にビーデルから舞空術を教えて欲しいと頼まれたので教えたら二日で習得してしまった。才能だけなら地球人の中で屈指かもしれない。嘗てのサバイバル生活の自分より早いと悟飯は驚かされた。
(つまり、僕は半分がサイヤ人じゃないなら才能は・・・・いや、やめるんだっ!)
悟空も実は舞空術習得や神様の指導には悪戦苦闘したと知らないが、今は目の前の現実に向き合わないといけない。自分はサイヤ人失格なのだろうけどと・・・・そして、出発前の夜。
――――――。
『情けねえ・・・・てめえ。本当にあのカカロットのガキか・・・・?』
「えっ、お父さん・・・・うわ!」
暗い空間でいきなり蹴り飛ばされたと理解した。現れたのは瓜二つなようで傷がある顔は悟空ではない、荒々しさを纏っていて。自分もナメック星で着たサイヤ人の戦闘服。否、ベジータの着た旧タイプに近い。この男もサイヤ人なのかと思った。
「だっ、誰なんですか?」
『てめえなんかに名乗る気はねえ、半分でも自分がサイヤ人だって事すら自覚しねえ奴にな、ラディッツのような弱虫呼ばわりされてる奴の方がまだマシだ!』
【ラディッツ】
良く覚えている。最初に出会ったサイヤ人で悟空の兄、最初に悟空が死ぬキッカケになった男でもある。それに【カカロット】とは、そう考えた時に今度は殴り飛ばされた。
「ちっ、生まれた時の戦闘力たったの2のガキがフリーザを倒したのも驚いたが、ソレは地球でサイヤ人だったのを今のてめえよかマシに忘れてたからなのか・・・・結局、クズの子はクズだってのか」
「な、何だとぉぉっ!」
ベジータにも同じような事を言われたにしても大好きな父を侮辱された怒り任せに殴り掛かるが、片手で止められてしまう。
「バカが、片腕がないしチビな奴ならカッカした際にする攻撃パターンは読めるぜ。ちったあ頭使え!」
今度は投げ飛ばされてしまう。そして受け身も取れずに叩き付けられて倒れたままエネルギー弾の追撃を受けてダメージが重なった。
「クズが、立ちやがれ!立って向かって来やがれ、死ぬまでなノリで戦い抜け!少なくとも、俺はてめえやカカロットが初めて戦った時の歳にはそうしてたぜ!」
「そ、それが理由ですか・・・・貴方の強さは、死に掛けるまで戦って復活を繰り返したから」
男は小賢しいとしながら少し感心した。悟飯にはわかった事がある。恐らく、自分も経験したサイヤ人の特性で強くなり続けた。それに戦闘におけるクレバーさで悟空以上に何度も何度も死に掛けるまで戦っていたのだろうとわかった。
「俺もサイヤ人じゃ最下級な出でな、何とか生き延びる度に使い捨て感覚で適当な場に送り込まれたもんだ。だからよ、てめえみたいにイジけてる暇なんざ無かった!」
追撃を仕掛けられるが、回避が精一杯なだけと思ったが違う。一発目は回避出来ても二発目か三発目は確実に当てられてしまう。片腕が無いハンデも手伝って打たれ放題、ならばとしながら鳩尾に受けて崩れた瞬間。
「・・・・めっ、波~~~っ!」
何度か繰り返したパターンを繰り返したと見せ掛けてゼロ距離の片腕かめはめ波を放った。凄まじいエネルギーに相手は飲み込まれたが、何事もなく立っていたので、敢えて無くした腕が前に出るよう右側に離脱した。虚を突いたつもりかと顔に出ていたが。
「ようし、良いぞ。ちったあ頭使い始めたな」
近付いてくる男は悪人顔だが、悟飯には父とピッコロに近い顔に見えた。
「てめえは、勉強出来る癖に戦いの時に頭を使わねえ。感情任せにパワー任せに戦うだけに近い。カカロットはバランス型なせいか、実力が近いか上の奴には勝率が低い奴だったしな」
「あ、貴方は・・・・」
「てめえ、セコい手で何とかしようって程度で躊躇ってどうすんだ。カカロットの奴は修行じゃなくて死に掛ける薬飲んで強くなったりしたし、ベジータ王子はドラゴンボールで不老不死になってフリーザに勝とうとした。今のてめえとあんまり変わんねってわかるだろ!そうまでして勝ちたかった理由は何だと思う!?」
「仲間の仇、いいようにされたままなのだけは我慢ならない・・・・」
「そうだ。お前もだろが!話題に出した時期のカカロットは薬出される迄は負けるのわかってたって行こうとしたぞ!」
襟首捕まれながら目線を合わせて怒鳴り続ける男から悟飯は目を逸らさなかった。逸らしてはならないとした。
「どんなに無様な形でも戦え、てめえがやらねえで誰がやるんだ!クズで落ちこぼれだからこそ必死にやれ!」
そう言って男の手からすり抜けるようになって地面に落ちた。せめて名前をとしたが、男は背を向けて一言だけ述べた。
「・・・・【バーダック】」
目を覚ました悟飯は夢を見ていた事は理解したが、出会った男がサイヤ人だろうとしかわからなかった。名前だけで何者か知る術は無い。そして、出発前の悟飯は目の色が違っていた。
細かい点は置いといて、今の悟飯に必要なのは?な結果で、この男に来てもらったな回。