「そうか、そんな事になってしまったか。ドクターゲロは、俺の正反対な失敗をしたのか」
16号に事情を一通り話したが、そこから語られたのは【ある事】を除いた内容だ。16号は自分をパワーにおいては17号と18号を遥かに上回る存在。そんなバカな事がとされたが手を出された。
「孫悟飯、一旦表に出てかめはめ波でも何でも良いから、この手に自分が撃てる最大の技を撃ってみろ。それが証拠代わりになる」
「で、では・・・・」
真剣な目なので言われた通りにした。片腕のかめはめ派を掌で止められて事も無げにエネルギーが消滅させられる光景には全員が唖然とさせられた。悟飯以外から見たら充分過ぎる威力なのはわかるのだ。
証拠にはなった。少なくとも勝てないとして再び地下室に戻る。やはり生身では応える寒さだからだが、わかった事がある。
「ゲボ、いや16号よ。見たところ悟飯君には危害を加える気は無いな。今暴れてる人造人間をどうにかするのに手を貸してくれ」
「フラッペ博士、それは駄目なんだ。俺は戦えない・・・・」
「な、何でよ?」
はっちゃんがビーデルに待ったを掛けた。数日の付き合いでしかないが、はっちゃんが悲しそうにしているのがわかるので気付いた事があるなら聞かせるようブルマは促した。
「駄目だ。俺にはわかる・・・・16号は孫悟空だからだ」
「孫君って、何言ってんの・・・・?」
「孫悟空・・・・お、オレは何を?」
「そうだな、俺はお前と会った事がある。見せようか」
立体映像のようなものが出たが、目を見張る光景である。
「え、何よあれ。小さい頃の孫くん?」
「それに、はっちゃんじゃないか」
小さな頃の悟空が、はっちゃんと出会ったマッスルタワーから出た辺りの画像だ。スパイ用ロボットが同行しているから第三者的な視点から映されているので一通り見て欲しいと16号は頼んだ。
――――――。
『な、何だおめえ?』
悟空は村長を助け、はっちゃんに抱えられながらマッスルタワーから出て帰ろうとした時に近付いて来る人影に気付いた。機械的な目だが友好的ではないとわかるので疲労とダメージを堪えて向き合った。
『俺はお前を抹殺する為に来た。人造人間16号だ』
『人造人間・・・・つまり、レッドリボンか。ところで【まっさつ】って何だ?』
はっちゃんとタワーの入り口に隠れた村長はずっこけた。16号も目を丸くしたが、説明はした。つまりタワー内でホワイト将軍やムラサキ曹長から言われていた事を難しくしただけ。
『べ~っ、だ!おらが死ぬもんか、お前もやっつけてやるぞ!』
『ソ、ソンゴクウいけない!』
消耗はしても並の人間の比ではない悟空は正面から飛び蹴りを仕掛けるが、微動だにしないので一端、離れ。何度も攻撃をするが全く堪えないので仕方なく切り札を出した。
『波~~っ!』
この時点で体力切れの更に体力切れを招くのを覚悟でかめはめ波を撃つが、全く微動だにしない。ブヨンのようにゴムのような身体でもないのにと悟空は心底参ってしまう。
『俺、孫悟空守る』
『よせ、お前は俺より悪い意味で旧型だ。敵にはならん』
『16号、8号な俺より倍な・・・・けど、俺は戦う、戦う!』
はっちゃんはパンチを放つが片手で簡単に止められてしまう。もしも力を入れられたらと思うが、16号は何やら動きがおかしい。そして後方から悟空の如意棒が伸びて来たので16号は思わず距離を取る。当たっても効かないのに何故と16号は困惑した。
『孫悟空!』
『はっちゃん、アイツ何か変だけど無茶苦茶強いのは確かだ。オラが何とかすっから村長さん連れて逃げてくれ!』
『・・・・駄目だ。俺、ケンカは大嫌い。けど友達を傷付けるヤツ許せない!』
『はっちゃん・・・・あんがとな。オラだって同じ気持ちだ』
タフなのはタワー内で最初に戦ったメタリックみたいな何かとした悟空とはっちゃんが次々と攻撃をするが、16号はやはり攻撃を出来ずにいた。
『トモダチ、ソンゴクウ・・・・』
尚も続く攻撃を手であしらえなくなり、16号の左こめかみにはっちゃんのパンチが決まって右膝を着いた。はっちゃんは機械が壊れたのかとした。
『お前、やっぱり変・・・・最初から故障していたか?』
『かもしれんな、トドメを刺せ』
『はっちゃん、こいつ見逃してやろうよ。悪い奴じゃねえみたいだぞ』
『・・・・孫悟空、良いのか?』
『うん、それにコイツ滅茶苦茶強いしよ。オラもっともっと修行して、もう一度戦いてえ!』
『もう一度か・・・・そうだな。もう一度、会えるかもしれん。その時は・・・・』
そう言って16号は悟空達の前から消えた。モニターしていたドクターゲロが失敗作と見なして無理矢理戻したと戦ってた二人と隠れていた村長に知る術は無い。
――――――。
「な、何だったの?」
「これは、俺が過去へ行った時のデータだ」
【過去】
つまり、タイムマシンか何かをドクターゲロは発明していた。そんな馬鹿なと思ったが、眼の前の16号や今も何処かで暴れている人造人間達を造れるならそれくらいはと納得せざるを得なかった。
しかし、この世界の過去と違った世界だったようだとした。歴史や未来は多少の事で変化してしまう、現にはっちゃんが16号を知らないのだから。
「それより、これが俺の実情だ。機械にも心があるのだと昔から言われていた。だとすると、それを含めた計算をした結果、はっちゃんが俺を孫悟空だと言ったのは、俺が孫悟空の心を再現するプログラムを組み込まれた存在だからだろう」
「え、何で?」
「ドクター・ゲロは孫悟空の強さは【心】にあると考えた。そして無から作られる存在、つまり俺のようなロボットに孫悟空の心を持たせれば究極の人造人間になるとして産み出されたのも俺だ。ドクターゲロはロクに戦えもしないから廃棄を考えてたが・・・・」
「成る程、わかったぞ。亡くなった息子をモデルにしたから廃棄には踏み入れなかったか、そして次は今暴れてる人造人間だから、確かに逆な失敗。惜しいな。ゲロの奴・・・・そんな事を思えるくらいなら、あの天才振りをもっと正しく使えば良いと何度言ったか・・・・」
「わ、悪いけど。やっぱり何か人造人間対策をと言いたいけど・・・・無理よね」
「そうだ。だから俺は例えば孫悟空がドクターゲロを殺すような時にしか役に立たん。次に地球そのものを滅ぼすような存在、だが17号と18号は兄弟だ。破壊は出来ない」
「そ、そんな・・・・けど!」
「ビーデルさん、もう良いです。やっぱり間違ってたんだ・・・・お父さんのように戦うべきだったんだ。お父さんみたいな優しい人にこんな事は・・・・『それが間違いだ』・・・・え?」
「孫悟空は怒る時は怒る。データで見たラディッツは覚えてないから【兄】とは見なかった。サイヤ人に仲間が殺された時は静かにだが怒っていた。俺が孫悟空の心を模倣された理由はレッドリボンとピッコロ大魔王との戦いの孫悟空が目に止まったからだ。あの時は一番命を奪うことに躊躇が無かった時期だからな。普段はどうあれ、肝心な時にアレはドクターゲロには都合が良い」
「つまり、都合良く。敵からしたら一番狂暴で容赦なかった時の孫君を再現しようとしたのが貴方ってワケね。まあ、普段は穏やかで悪く言えば軽いけど、ギリギリで敵には容赦なく怒り任せになん、て・・・・」
ゾワッ。
聞いていた悟飯の中で何かが動いた。
【穏やかな心と、限りない狂暴さと怒り】
そうだ。自分は知っていたのに、聞いていたハズなのにと・・・・その時、16号が手を肩に置いて首を横に振って、思い出した。
『でえじょ、う・・・・ぶだ。父ちゃん、まだ魚釣りに・・・・連れてって、やってねえ・・・・おめえは学者に、なんだろ・・・・』
あの時、病気に苦しみながら息子の自分を気遣う悟空は。何を思ってたか悟飯は知らない、けどとして。一番自分や16号が求めるものはとした。
「・・・・16号さん、ブルマさんの持っている設計図。内容はわかりますか?」
「ああ、俺はデータは持っている。だが、二人を殺すなら『違います』・・・・何?」
「二人を直して下さい」
息を飲む声が聞こえた。悔しくて仕方ないけど。これが正しいとした。
「制御装置なり爆弾なりで止めた二人を直してあげて、普通の人間に、無理ならフラッペ博士の話が正しい場合な狂暴になる前に戻してあげて下さい。そして、もし駄目なら僕が止められるように修行相手になって下さい」
『オラだって同じ気持ちだ』
声を聞いた。方向性が違うが確かに自分を見上げる少年は【孫悟空の息子】だと確信した。
「・・・・わかった。先ずは半壊してる場ではなく普通に設備のある場。フラッペ博士の家にでも行くか。俺も、自然が破壊されるのは嫌だからな」
そう言った16号は、聞きたかった声を聞いて協力してくれた。その日からデータを使った流れで、人造人間との戦いは呆気なく終わった。
「これで良いの?」
「わかってます。ビーデルさんだって仇を討ちたかったハズなんでしょ。だから・・・・」
「言わないでよ、私だって悟飯君が寝た切りだった間に色々あったから、それは気が向いたら話すわ」
やるせなさを堪える二人をブルマは良い子達なんだからと思って茶番を考えた。ここからは大人のやること。
それから一週間。
ガラクタ部品を駆使して17号と18号を模したダミーを使った残骸を証拠にしたニュースが世界を駆け巡った。
【孫悟空の息子と、ミスター・サタンの娘】
この二名により、人造人間が倒されたと。
飽くまでブルマ達が人造人間がサイボーグである故な弱点を見つけた事が勝因な事や片方が重傷という事実を交えた嘘を交えて人目を避けるべく姿を消したと伝えられた。
世界各国は主要な地が複数破壊されたのでヒーローを持ち上げる暇は無いとする計算。
何よりも、大好きな父を失った共通点がある二人をソッとしてあげる事にした。
だが、悪の根が途絶えたえたワケでは無い。
「報告は以上です」
「ふん、他種族混じりだからなのか、サイヤ人の息子にしては頭が回るようだ。だが、これは良い。孫悟飯か・・・・甘いガキだが、だからこそ都合が良い。予定の案件1508番を採用。地球に向かうぞ!」
一応、戦った事は戦ってた16号。スパーキング・メテオ風に。
途中のゾワッはわかりやすいか。
戦わずして勝つな展開は超悟空伝覚醒編にもあった。
しかし?な引き。