自分に期待するのは、もうやめた。
どうせ何も変えられない。
この世界に来ても、俺は結局、何一つ成せなかった。
それでも――仲間くらいは守りたい。
それが俺にできる、せめてもの償いだ。
俺がいる限り、仲間には指一本触れさせない。
もし守りきれなかったら……その時は、みんなの力を借りよう。
大丈夫だ。アザトースも、ヨグ=ソトースも、ゼウスだって、皆俺の味方だ。
皆が俺を支えてくれる。
ここまでしてダメなら……俺に価値なんて、ない。
……いや、元からか。
(――自分を卑下するな。貴方は思っているより強く、賢く、優しい人間だ。)
「……ありがとう、ヨグ。ところでアザはまだ起きないのか?」
(……そろそろ目覚める頃合いだろう。)
「いいね。もっと話したかったんだよ、アザとは。もっと皆と遊びたいしな。」
(……学校へ向かうか?)
「……うん、行こう。ミレニアムサイエンススクールへ。」
俺はこの世界において“異物”だ。
それでも――仲間を守るくらいは、許されるだろ……?
なあ、■■■■。
――外が騒がしい。
机に突っ伏して寝ていた俺でも目が覚めるほどの喧騒。
どうやら“先生”という存在が来ているらしい。
よし、見に行くか。
俺だけ男だから、肩身が狭いんだよな……
「ちょ、どこ行くの下神!」
才羽が声をかけてくる。
「……すぐ戻る。心配するな。」
「はぁ?そんなわけ――って、早っ!」
廊下に出た瞬間、状況は“とんでもない”の一言だった。
銃撃、乱闘、爆発……そして――あれが先生か?
……女性かよ。はぁ。
(……ヘイローがないようだな。)
ヨグの声が響く。
「ああ。確か、銃弾一発でアウトなんだよな?」
(当たる場所によるがな。貴方と似ているようで、まったく違う身体だ。)
「俺と比べるなよ。比べられる方は嫌がるだろ。」
(……そうか。)
ヨグと話しながら、先生の前に歩み出る。
「……こんにちは、先生。」
「……君は?」
突然現れた俺に驚きもしない。肝が据わってるな。
「失礼。俺は――」
「ちょっと!なんで貴方が……どうしてアゼス君がここにいるの!?」
知らない顔が三つ……いや、一つは知っている。
「……早瀬か。面白そうだったから見に来た。」
「……え?」
聞き返すなよ。もう一度言おうとしたところで――
「自己紹介させてもらう。ミレニアムサイエンススクール所属、下神アゼスだ。よろしく、先生。」
「……私はシャーレの先生。よろしく。」
動揺を見せない。すげえな。
(……内心は動揺しているぞ。)
……ポーカーフェイスかよ。
「……で?行く場所があるんでしょ?なら、とっとと行きましょうよ。」
「……う、うん。そうだね……」
歩く先々で銃撃戦が始まる。
何回目だ、これ。
早瀬には
『あなたは先生の近くにいて、守ってあげて!』
と言われた。
(おそらく、貴方に体を張らせたくないのだろう。)
「だろうな。血を見るのは嫌か……」
それにしても先生、指揮が上手い。
戦況を瞬時に把握し、的確に指示を出す。
人間離れした視野だ。
それでも――彼女は“ただの人間”だ。
俺とは違って。
……考え事をしていたら、先生に銃口が向いていた。
「先生!」
「……へ?」
咄嗟に身体を投げ出し、銃弾を受ける。
肩に穴が空き、血が流れる。
「アゼス!」
「あ〜……大丈夫だ、先生。」
「大丈夫って……その状態で……」
絶望したような顔をしている。
じゃあ、驚かせてやるか。
「大丈夫だって。ほら……」
「……えっ……」
肩の傷は、もう塞がっていた。
「俺、再生能力がめちゃくちゃ高くてさ。すぐ治るんだよ。すげえだろ?」
「う、うん……痛みはないの……?」
「あ〜……俺、痛覚がなくてな。痛みを感じないんだ。」
「……そ、そっか……」
……引かれてない?
(いや、心配しているだけだ。)
ならいいか。
「アゼス!大丈夫!?」
早瀬が駆け寄ってくる。
問題ないアピールのためにジャンプしてみせる。
「大丈夫だ。ほら、この通り。」
「……血が……」
「あっ……」
服に血がついていた。忘れてた。
「よし!先生、行くか!」
「……え?あ、うん……」
強引に進む。
銃弾は不法流通らしい。
この不良どもの末路が楽しみだ。南無三。
「俺は先生の護衛だ。遠慮なく指揮しろ。」
「……うん!絶対に近づけさせないよ!」
(もう貴方を傷つけないようにしているようだな。)
……優しいな、先生は。
(……本当にそう思っているのか?)
……まあな。
「アゼス!」
「ん……?」
「ここだよ。着いた。」
ぼーっとしていたらしい。
「じゃあ、俺は先生の護衛役だから……」
「……あとで、必ず説明してもらうからね……」
……早瀬は面倒だ。
聞こえないふりをして中に入る。
「じゃ、先生。オフィスに入ろうぜ。」
「……そうだね……」
俺と先生はオフィスへと入っていった。
(……あの不良。アゼスを傷つけた罪は…重いぞ…)
ペルソナ達は皆アゼスの事が好きです。アザトースは起きても世界を滅ぼすことはありません。この時のアゼスは、キャラを作っています