それでは、どうぞご覧ください。
第1話 転生
『う……ん……ここは……?』
僕は朧気ながら目を覚まし、ゆっくりと身体を起こした。そこは周りが岩に囲まれた場所で、洞窟の中のような場所だと思った………そもそも僕の予想が当たっているにしろ外れているにしろ、何でこんな場所に……?
『それに何か目線が低いし、感覚がおかしいような……』
……1回整理してみよう。僕の名前は天音凪冴、歳は15の中学3年生、弓道をやってて………それで………それで――――
『あれ……?思い出せない……』
自分の名前、年齢、得意なことなどは思い出せたが、肝心などうしてここにいるのかを思い出せなくなっていた。どうやら僕は、何らかの理由でここに来る前の記憶を一部失くしてしまったらしい……そもそも、ここはどこなんだ――――
《告》
『!?』
《現在地点から、ここはジュラの大森林にある洞窟だと推測されます。》
突然、僕の頭の中に無機質な声が響いた。
『誰かいるの?』
《解。ユニークスキル『
『観測者……?それにスキルって……?』
その声は聞いたことのない単語を次々に発しており、僕の頭の中は疑問でいっぱいになっていた。そんな僕の疑問に対し……
《解。スキルとは、この世界の生物が持つ能力のことを指し、コモン・エクストラ・ユニーク・アルティメットと性能によって分類されています。また、現在所有しているスキルとしては、ユニークスキル『観測者』、エクストラスキル『霊眼』・『■■■』・『強化六感』、コモンスキル『風魔法』、固有スキル『霊体化』があります。》
そんなことを説明してくれたのだ。でも僕には、それよりも訊きたい重要なことがあった……。
『じゃあ、観測者――――観測者さんって呼ばせてもらうけど……今の僕って、どうなってるの?』
さっき観測者さんが言っていた『この世界』という言葉、それに日本―――いや、地球に存在するはずのないスキルというもの………今の僕の予想が正しければ、ここは……
《解。現個体の種族は『狐霊族』……精霊に近い種族となっています。》
『っ………じゃあここは、異世界っていう認識でいいの?』
《是。》
噓でしょ……?こんなのライトノベルとかの創作物の話だと思ってたのに………それに狐霊族って……。
『……観測者さん。今の僕の姿って、どうなってるの?』
《解。客観的な視点に切り替え、お見せします》
すると、僕の視点がまるでそこにいる誰かから見たような光景に切り替わり……
『!?これは……』
そこにいたのは、灰色に近い銀色の毛並みと翠玉色の瞳―――正確に言えば、右目は白に限りなく近い灰色をしていたが―――を持った小狐だったのだ。
それにしても、僕がまさか異世界転生するなんて………転生したってことは、人間としての僕は死んだんだろうけど、何で死んだのかは何も思い出せないし………
『……ここでこうしていても埒が明かないし、とりあえず進んでみよう』
僕はここでじっとしているわけにもいかないと思い、洞窟の中を進んでみることにした。
◇
慣れない身体で洞窟の中を進んでいる間、途中に草が沢山生えているところや鮮やかな色の岩などがあったので……
『何かいっぱい草とか岩があるけど、これは……?』
試しに観測者さんに訊いてみることにした。
《解。ヒポクテ草と魔鉱石です。ヒポクテ草は魔素の濃厚な場所にしか生えない貴重な薬草です。また、魔鉱石は魔素の濃厚な場所にある鉱石が長い年月を掛けて魔素を取り込み、変異したものです。ヒポクテ草は回復薬に、魔鉱石は武器などの材料として使われます。》
『そうなんだ……ん?というか魔素って何?』
《解。魔素とは、この世界に干渉できるエネルギー物質であり、魔物にとっては生命の源になるものです。》
『てことは……それがないと魔物は死ぬ……?』
《是。そのため、体内の魔素を使い果たさないようご注意ください。》
『そ、そうするよ……あと、教えてくれてありがとう』
僕はその事実に少し頬を引きつらせながらも、観測者さんに礼を言っておいた。それにしても……
『ここって洞窟の中だよね……なのに何でこんなに明るいの?それにこの虹色の煙(?)は何?』
観測者さんによるとここは洞窟の中なのだが、灯りらしきものもないのに何故か周りの光景がはっきりと分かったり、何やら空中に虹色の煙のようなものも見えているのだ。
《解。エクストラスキル『霊眼』による効果で、周囲の明るさに応じて視界の明るさの調整を行っています。加えて、視力の大幅上昇、魔素の可視化、観測者とのリンクも既に実行済です。》
『なら、この虹色の煙みたいなのが魔素なんだ……』
それらは全て、霊眼というエクストラスキルの効果らしいのだが……
『じゃあ………
何で、右目は見えないままなの?』
人間だった時―――いや、ここは異世界だから前世か―――から、僕は右目が見えなかった。どうやら生まれつきのものだったらしく、それが理由で生みの親に捨てられていた。そこを孤児院の人に拾ってもらい、僕は何とか生きることができた……とは言っても、それが原因で過激な虐めにあったり、暴力を振るわれたりしたけど。
《解。所持スキルである『■■■』の影響によるものだと推測されます。》
『?今、何て言ったの?』
それはあるスキルの影響のようだが、何故かノイズになって聞き取ることが出来なかったのだ。僕はもう一度訊いたのだが……
《スキル『■■■』の影響により、右目の視界が失われていると推測されます。》
二度目もノイズとなり、聞き取ることが出来なかったのだ………仕方ない、大まかな原因が分かっただけでよしとしよう。その後も僕は、取り敢えず魔素が濃くなる方に向かって進んで行った。そして、その先で………
「よく来たな小さきものよ!我こそが、この世界に4体しか存在しない竜種が1体!暴風竜ヴェルドラ=テンペストである!!」
「俺はリムル=テンペスト!悪いスライムじゃないよ?」
そう名乗る竜とスライムに出会った。
読んで下さり、ありがとうございます。
今回はここまでで、次回はリムル視点からになります。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。