それでは、どうぞご覧ください。
「周りのやつは僕が何とかするから、シズさんのことは頼んだよ!」
「え!?ちょ、カノン!?」
俺にそう言い残すと、カノンはサラマンダーを引き付けに行ってしまった……カノンのことに気が付いたイフリートは、狙い通りにサラマンダーを向かわせる。
『カノン、来るぞ!』
『大丈夫、分かってるから』
カノンは自身の周りに浮かべているいくつもの風の剣を……
「っ!」
走りながらサラマンダーへと放った。その剣は見事サラマンダーに命中したものの、あまりダメージを与えられている様子ではなかった。
その直後、攻撃を当てられていない周りのサラマンダーが、カノンに炎を吐き出した。だが、カノンはそちらに目を向けないまま、攻撃を難無く避けていく………カノンが限界を迎える前に、早く俺がイフリートを……!
『カノン!そいつらは任せるけど、無茶だけはするなよ!』
『分かってるよ』
俺はカノンに思念伝達でそう呼び掛け、正面にいるイフリートの方を向いた。
「おい、お前の目的は何だ?」
『……』
イフリートにそう訊いてみたものの、その返答は火炎球での攻撃だった。
「っ!水刃!」
イフリートの攻撃を避けると同時に水刃を放ったが、攻撃が届く前に蒸発してしまう……やっぱりそうなるよな……。
「
「おっ?」
『!?』
あの3人のところにもサラマンダーが1匹襲い掛かるが、エレンは魔法で氷の槍を作り出し、それを撃ち出して攻撃していたのだ。さらに、カバルが障壁で守りを固め、ギドはいつでも襲撃に対応できるように位置取っていた………少し心配だが、あの3人も冒険者だ。ここは信じて任せることにしよう。
「っ!ランガ!」
「はっ!」
俺は影から呼び出したランガの背へと乗り込み、イフリートの周りを回るように駆け出していった。さて、どうするか………イフリートへ水刃を放っても、届く前に蒸発してしまうし、イフリートは今でも無差別に火球を飛ばして、辺りを燃やし尽くしている。それに、カノンに無理をさせるわけにもいかない―――あっ!いっそのこと、胃袋の中の水を一気にぶっかけるってのは……?
《解。大量の水の放出は可能です。その場合、イフリート及びサラマンダーとの接触時に水蒸気爆発を引き起こします。実行しますか? Yes/No》
水蒸気爆発か……それでサラマンダーは消滅するのか?
《可能です。ただし、爆発の威力でこの辺り一帯は吹き飛ぶでしょう。》
アホか!却下だ却下!そんなの起こしてたまるか!!
「
『!?』
あの攻撃………もしかしてサラマンダーに効いてるんじゃ……?
《解。魔法攻撃は、精霊に対して有効です。》
そうか、なら……!
「エレン!それを俺に向けて撃ってくれ!」
「えっ?でも―――」
「頼む!早く!」
エレンは俺の言葉に一瞬戸惑うが……
「っ……後で文句言わないでくださいよ!
俺に向かって、魔法を放ってくれた。それを俺は……
「ほいっ!」
「えぇ!?食べちゃった!?」
捕食者で捕食し、大賢者で解析を行う。その結果……
《告。水氷大魔槍の解析に成功しました。》
よし!じゃあ、早速……!
「ランガ!」
「はっ!」
俺はランガにサラマンダーたちの間を駆け回らせつつ、空中にいくつもの氷の槍を作り出し……
「
『『『『!?』』』』
それを一斉に撃ち出し、サラマンダーたちを一気に倒していく………倒せたのはいいんだけど、俺が解析した魔法よりも、数も威力も上がってたよな……?
《解。水氷大魔槍を解析した際、加えて『水氷大魔散弾』を獲得しました。》
い、いつの間に……でも、さすが大賢者先生だ!
「!そうだ、カノンの方は―――」
カノンはサラマンダーたちを引きつけてくれているが、さっきの様子だと俺みたいに有効な攻撃手段を持っているわけではない。怪我をさせるわけにはいかないし、早く下がらせた方が―――
「
『!?』
「え?」
そう心配していたのだが、俺と同じように魔法を解析したのか、カノンは氷の剣や弓矢を作り出す魔法を獲得していた。その魔法は俺やエレンの魔法よりも速く飛んでいき、サラマンダーの胸を一瞬で貫き、一撃で倒してしまったのだ。
「か、カノンさんも!?」
エレンがカノンの魔法を見て驚いていたが、その間にもカノンは何本も氷の矢を放ち、次々とサラマンダーを倒していった。
◇
僕はサラマンダーたちの注意をこちらに引きつけながら、リムルがイフリートに集中できるように立ち回っていた。その途中で、エレンさんが撃っていた魔法の
「これで……!」
そうして攻撃し続けていく内に、僕が引きつけていたサラマンダーは全て倒してしまったようだ。それを確認した僕は、すぐさまリムルたちのところへと駆け出す。すると……
「!」
「うそ!?」
「こいつ、自爆を……!?」
1体のサラマンダーが、向こうで戦っていたエレンさん、カバルさん、ギドさんの背後から近づき自爆しようとしているのが見えた。
「っ!」
『!?』
『え?』
僕は走りながら素早く氷の弓矢を作り出し、自爆しようとしていたサラマンダーの頭を撃ち抜く。
「これって……!」
「大丈夫ですか?」
「カノンさん!」
「た、助かったでやす」
どうやら今ので最後のサラマンダーだったらしく、3人に怪我がないのを確かめた僕は、そのままリムルのところへと向かう。
「リムル、無事?」
「カノン!お前こそ怪我は?」
「問題ないよ。それより―――」
『―――!』
すると、イフリートは僕たちを囲むように分身を生み出した。それを見たリムルは、氷の魔法を撃とうとするが……
「
それよりも早く、僕は一本の氷の矢を上に放った。それは空中で拡散して増え、雨のように降り注いで、全ての分身を消滅させた。
「よし!ナイスだカノ―――」
「リムル、次来るよ!」
そう言った直後、僕たちの足元に赤い魔法陣が浮かび上がる。その魔法陣からは炎の竜巻が出現し、僕はすぐにその場から飛び退くことで回避したが……
「っ!?」
リムルは反応が遅れて巻き込まれてしまった………まぁ、リムルは炎や熱に耐性があるスキルを持っていることは前に霊眼で確認済みだから、心配はいらないと思うけど……すると案の定、炎の中から無数の糸が伸びてきて、イフリートの動きを止める。
「今、何かしたのか?」
『!?』
リムルはそう言いながら、無傷で炎の竜巻から出てきた。イフリートはリムルに向かって炎を吐き出し抵抗するが、効いている様子はまったくない。
「俺のターンだ………シズさんは返してもらうぞ」
『!?』
そして、リムルは捕食者でイフリートを捕食し、シズさんを助け出すことに成功する。
「リムル、シズさんは?」
僕はリムルのところへと駆け寄り、そう声を掛ける。シズさんはというと、外見は無事だが、意識を失ってしまっているようだ……。
「!あぁ、シズさんなら今は寝ているよ」
「そう……」
「……そう心配すんな。きっと、すぐに起きるさ」
そうして僕とリムルは、目を覚まさないシズさんを寝かせられる場所へと運んでいった。
読んで下さり、ありがとうございます。
次回が第1章の最終回となります。カノンは最後に、シズさんとどんなやり取りをすることになるのか……。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。