転生したら弓聖になった件   作:アキ1113

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 どうも、作者です。今回はヴェルドラやリムルと会ったところから始めていきます。

 それでは、どうぞご覧ください。



第2話 竜とスライム

 

 俺の名はリムル=テンペスト、1匹のスライムである。元々俺は『三上悟』という人間で、大手ゼネコン勤務の独身37歳―――自分で言ってて虚しくなるな、これ………とにかく!俺は通り魔から後輩を守って刺されて死んだと思ったのだが、気が付いたらなんと……異世界にスライムとして転生していたのだ!

 

 転生した後は未知の連続で混乱していたが、ユニークスキルである大賢者先生のおかげでスキルを獲得しながら洞窟の中を進み、封印されているという暴風竜ヴェルドラのところに辿り着いたのだ。そこで俺はヴェルドラと友達になり、その封印を解くことを約束した―――というのが、ここまで俺の身に起きた出来事だ。

 

 『じゃあ、俺の胃袋に取り込むけど、さっさと脱出して来いよ?』

 

 俺は洞窟の外に出る前に、ヴェルドラを封印している無限牢獄を解析するため、胃袋の中へヴェルドラを取り込もうとしたのだが………

 

 『クァーハハハハハ!無論、そのつも―――む?』

 

 『どうした?』

 

 『お前の他にも、客がいるようだぞ』

 

 『え?』

 

 どうやら俺の他にもここに辿り着いたやつがいるらしい………確かに俺の魔力感知も何か引っ掛かってる。あった方を向くと、そこには……

 

 『……』

 

 銀に近い灰色の毛並みを持ち、右眼が銀色―――いや、あれは白か?―――で左眼が綺麗な緑色の瞳を持った可愛らしい子狐がいたのだ………もし人間のままだったらそのままモフってた気がするな……。

 その子狐は、ヴェルドラや俺の姿を見ると警戒した様子で……

 

 『えっと……誰?』

 

 そう訊いてきたのだ。それに対し……

 

 『クハハ……クァーッハハハハハハハハハハ!!』

 

 『ヴェルドラ?』

 

 『我らの姿を見ても物怖じせず、何者かを問い掛けるか!』

 

 ヴェルドラは面白いものを見たように笑ったのだ。確かに、ヴェルドラのようなドラゴンを見て、怖がらずに声を掛けるというのは簡単にできることじゃない………実際、俺は初めてヴェルドラを見た時、心の中でだけどめちゃくちゃ驚いたし……。

 

 『そんなに知りたいならば答えてやろう!』

 

 そして、ヴェルドラは子狐に向かって得意気にこう言った。

 

 『よく来たな小さきものよ!我こそが、この世界に4体しか存在しない竜種が1体!暴風竜ヴェルドラ=テンペストである!!』

 

 『暴風、竜……?』

 

 子狐はそれを聞いて驚いて―――

 

 『……何、それ?』

 

 いたわけではなく、単純に知らなかったようだ。

 

 『えっ?わ、我のこと知らない……?』

 

 『!えっと……はい』

 

 何故かショックを受けているヴェルドラを余所に、俺は子狐に近づくと……

 

 『初めまして!俺はリムル=テンペスト!悪いスライムじゃないよ?』

 

 悪いイメージを持たれないように、そう自己紹介をしたのだ……が、

 

 『……?』

 

 子狐は首を傾げていた。ま、マジか……この鉄板ネタが通じないだと……!?

 

 俺はショックを受けながらも、次にこんな質問をした。

 

 『えっと……君、名前は?』

 

 すると、次に子狐から返ってきたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『……天音凪冴です』

 

 『!?』

 

 その名前の響き……まさか……!?

 

 『なぁ!君ってもしかしなくても日本人か?』

 

 『!何でそれを知って……?』

 

 やっぱり……この反応は間違いなく俺と同郷だ……!

 

 『実は俺も君と同じなんだよ』

 

 『同じって……リムルさんも転生を?』

 

 『あぁ、前世の名前は三上悟で歳は37。大手ゼネコン勤務のサラリーマンをやってたんだ』

 

 『!』

 

 反応は薄いものの、凪冴……君?さん?は驚いた様子でいた。

 

 『改めて……僕は天音凪冴。歳は15で―――』

 

 『15!?』

 

 15って……いくら何でも若過ぎるだろ!?

 

 『!それで……中学3年生で弓道やってて、優勝経験もあります。あと、よく間違えられますけど、ちゃんと男です』

 

 俺の反応に少し驚きながらも、凪冴君は自己紹介を続けていた………それにしても中3だなんて……。

 

 『それで、その……凪冴君は、どうしてこっちに?あ、俺は後輩を通り魔から守ってそのまま……』

 

 『!……大変、だったんですね』

 

 『まぁ、な……でも、こうしてもう1回生きられたのはラッキーだったかな』

 

 実際、俺はあのまま転生することなく死んでしまうと思っていたから、こうしてどんな形でも生きることができるというのは、幸運だったんだろう―――

 

 『ってそうじゃなくて!凪冴君の方が俺よりよっぽど大変じゃないか!?』

 

 俺を気遣い『大変だ』と言ってくれた凪冴君に、俺は声を上げてそう返した。その後、改めて理由を訊いてみた―――無理に話す必要はないとちゃんと言ってある―――のだが……

 

 『それが……死んだ時のことは覚えてなくて』

 

 『!?』

 

 『覚えていないといけないのに、何で忘れて……』

 

 覚えていない………相当、ショックなことで死んでしまったんだろうな。でも……

 

 『無理に思い出す必要はないんじゃないか?』

 

 『えっ?』

 

 『辛いことなら、むしろ忘れたままの方がいいかもしれないし……もちろん、凪冴君が思い出したいって言うなら、俺も協力するよ』

 

 『……ありがとう、ございます』

 

 『いいっていいって!』

 

 さて、自己紹介も終わったことだし……

 

 『我のこと、知らない……我のこと―――』

 

 『おーいヴェルドラ!そろそろ戻ってこーい!!』

 

 『はっ!?』

 

 『おぉ、帰ってきた帰ってきた』

 

 『わ、我は今まで何を……?』

 

 『大丈夫大丈夫!何もなかったよ!な?』

 

 『!えっと、何も……なかったです』

 

 『そ、そうか……ならば良い!』

 

 うーん……ヴェルドラにとっては、あれが地雷だったのかな……?

 

 『それでそこのお前、見たところ精霊に近い種族のようだが……』

 

 『はい……僕もリムルさんと同じで、死んだらこの姿に……』

 

 『!リムルと同じとはな……それで、種族は何と言うのだ?』

 

 『えっと……僕のスキルによると狐霊族だと』

 

 それを聞いたヴェルドラは………

 

 『狐霊族か……お前、珍しい種族に転生したな』

 

 『珍しい……?』

 

 『狐霊族は何百年かに1度、このジュラの森にしか現れない種族でな……人間たちやジュラの森に住む種族の間では、一目見ることが出来れば願いが叶うとされている』

 

 異世界にも、そういう見ると縁起がいいっていう種族がいるんだな………というか『スキルによると』ってことは、凪冴君にも俺と同じように『大賢者』みたいなスキルがあるってことか。

 

 『それに加え、狐霊族の魔素は我の魔素と似ておるな……狐霊族よ、我の場所に来るまでにどれほどかかった?』 

 

 『ちょっと待ってください―――えっと、1日くらいだそうです』

 

 凪冴君は自身のスキルに訊いたのか、そう答えたのだ。ヴェルドラは一体、どういう意図でそんなことを訊いたんだ……?

 

 『なるほどな……どうやらお前は、我の眷属のような存在になったらしい』

 

 『『眷属……?』』

 

 『そうだ。だから我とお前は、魔素の性質や気配が似ておるのだよ』

 

 『てことは……凪冴君はヴェルドラの親子や兄弟みたいなもんか?』

 

 俺がそう訊くと……

 

 『というより、お主も我の魔素から生まれたから、狐霊族と同じようなものなのではないか?』

 

 『じゃあ俺って……ヴェルドラの子供か兄弟……?』

 

 『いやだが、我らは既に友としての契りを……』

 

 うーん……なんだかややこしいことになってきたな。どうにかしていい形に―――!そうだ……!

 

 『ヴェルドラ!あと、凪冴君も聞いてくれ!』

 

 『『?』』

 

 『俺たち、兄弟にならないか?』

 

 『それってどういう……?』

 

 『俺とヴェルドラは既に友達だから、親子っていうのは何か当てはまらないって思った。だから、友達よりも近しい存在である兄弟ならいいかなって思ったんだけど……どうだ?』

 

 そんな俺の提案を聞き………

 

 『クハハハハ………クァーッハハハハハハハハハハ!さすがはリムルよ!我らは今日より、兄弟であるぞーー!!』

 

 ヴェルドラは興奮しながら喜びを表していた。一方で……

 

 『あの……本当にいいんですか?さっき来たばかりの僕なんかを入れて……』

 

 凪冴君は、何故か遠慮した様子を見せていた………なんだ、そんなこと気にしてるのか。

 

 『何を言うか!お主は我の眷属!兄弟も同然なのだから当たり前であろう!』

 

 『あ、当たり前……?』

 

 『そうだぞ!それに俺は絶対に仲間―――いや、兄弟を見捨てることはしないからな!』 

 

 『……!』

 

 ヴェルドラと俺の言葉に驚いた表情をした凪冴君は、少しの間黙り込んだ後でこう言った。

 

 『じゃあ………よろしくお願いします』 

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 『では、兄弟の契りを交わした証として、お主にも名をやらねばな』

 

 『名前?名前はさっき言って―――』

 

 『そういう意味ではない』

 

 ヴェルドラ―――本人が他人行儀はやめてくれと言ったので、呼び捨てで呼ぶことにした―――によると、狐霊族は精霊の一種だがそれと同時に魔物にも分類されるらしく、魔物にとって名前を得ることは格を上げることにもなるらしく、名付けられたことで進化することもあるようだ。

 

 『そういうことなら……お願いするよ』

 

 『任せておれ!リムルと共に良い名を考えてやろう!』 

 

 それからリムルとヴェルドラは、僕に付ける名前を相談し始めた………それから少しして………

 

 『お主は今日から………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カノン=テンペストを名乗るがよい!

 

 それを聞いた途端、僕の中で何かが変わるような感覚がした。カノン=テンペスト……カノン、それが僕の名前……!

 

 『……ありがとう、ヴェルドラ、リムル』

 

 『気に入ってくれたようで何よりだな!』

 

 『うむ!そうであるな!』

 

 ヴェルドラは満足したようにそう言うと……

 

 『リムル、カノンよ……特にカノンは会ったばかりだが、しばしの別れだ』

 

 『えっ?どういうこと?』

 

 2人の説明によると、ヴェルドラは無限牢獄というものに300年閉じ込められており、今も少しずつ魔素が身体から漏れ出ている。あと100年もすれば、魔素が底を突きてヴェルドラは消滅してしまうという………観測者が説明してくれていた魔素云々の話か……そこでそれを何とかするために、魔素が漏れ出ることのないリムルの胃袋に入り、内側と外側から解析して脱出する作戦のようだ。

 

 『……僕は何か手伝えることはある?』

 

 『うーん、どうだろうな……』

 

 『っ……』

 

 ………やっぱり、僕はここでも―――

 

 『それならあるぞ?』

 

 『『え?』』

 

 『リムルを……兄のことを支えてやってくれ。あとは、この世界はカノンがいた世界とは違い弱肉強食だ。だからカノンも、長兄の我が出てくるまで無事にいることだな』

 

 それが……僕に出来ること……?

 

 『……分かった。約束するよ』

 

 『おう!頼りにしてるぜ、カノン!』

 

 今度こそ、必要とされる存在にならないと。じゃないと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世界に転生した意味がない……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 この日、世界に激震が走った。

 

 天災級モンスターである、暴風竜ヴェルドラの消滅が確認されたのだ。

 

 ヴェルドラの消滅を感じた各国が騒ぎになっていることを、兄であるリムル=テンペストと僕………カノン=テンペストは、知る由もないのだった……。

 

 

 

 

 

 




 読んで下さり、ありがとうございます。

 凪冴はカノンの名を与えられ、リムルと外の世界に旅立つことになりました。果たして、ここからどうなっていくのか……。

 それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。
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