転生したら弓聖になった件   作:アキ1113

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 今回は、ゴブリンたちと出会ったところからになります。果たして、カノンがいることでどう変わるのか……。

 それでは、どうぞご覧ください。



第4話 ゴブリン村防衛戦

 

 「つ、強きものよ!この先に何か、用事がおありですか?」

 

 目の前にいる頭にバンダナを巻いたゴブリンにそう言われ、俺たちは揃って首を傾げた。

 

 「強きもの……?カノン、何のことか知ってるか?」

 

 「いや……僕にも何のことだか―――あ」

 

 「何か分かったのか?」

 

 「多分リムルのことだよ、それ」

 

 「え、俺!?」

 

 俺は思わず声を出して驚いた。俺が強きもの……?何かの冗談なのか?

 

 「……俺?」

 

 『!』

 

 何だかゴブリンたちも頷いてるし………確か、思念を乗せて発声すれば……

 

 「えーと!初めまして!」

 

 『っ!?』

 

 「俺は!スライムの!リムルと言う!」

 

 「リムル声抑えて……!」

 

 「えっ?」

 

 耳を抑えたカノンに言われて周りを見渡すと、ゴブリンたちもカノンと同じようにしていて………

 

 「つ、強きものよ!あなた様のお力はよく分かりました!どうか声を鎮めてください!」

 

 「あ……」

 

 これ、俺やらかした……?

 

 《告。個体名:リムル=テンペストの思念を抑えることを推奨。》

 

 思念が強すぎたのか。なら……

 

 「で、俺に何か用?」

 

 「はい!強力な魔物の気配がしたので、警戒に来た次第です!」

 

 今度は大丈夫そうだな……それにしても、強力な魔物って何のことなんだ?ここに来るまでに、俺たち以外の魔物には会わなかったよな……?

 

 「そんな気配、俺は感じなかったけど……?」

 

 「御冗談を!そのようなお姿をされていても、我々は騙されませんぞ!」

 

 「……」

 

 やっぱカノンの言う通り、俺のことなのか……。

 

 「強きものよ。あなたを見込んでお願いがあるのですが……」

 

 「……?」

 

 「そちらのお方も、どうぞご一緒に」 

 

 「は、はい……」 

 

 こうして俺たちは、ゴブリンたちの村へと案内されることになった。

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 「よ、ようこそお客人方……私はこの村の長を務めているものです」

 

 僕とリムルはバンダナのゴブリンに案内され、ゴブリンたちの住む村へとお邪魔させてもらっていた。

 

 「ご丁寧にどうも……」

 

 「ど、どうもよろしく……で、自分にお願いとは何ですか?」

 

 「は、はい、実は―――」

 

 ゴブリン村の村長によると、最近魔物の動きが活発になり、近隣の魔物がこの村に襲撃を仕掛けてくるようになった。ゴブリンたちも村を守ろうと応戦したものの、力の差は歴然で苦戦を強いられていた。そんな状況の時に出会ったのが……僕たち―――というよりもリムルなのだという。

 

 「えーと……自分スライムなもので、期待されているような働きはできないかと……」

 

 「そんなご謙遜を」

 

 「ご謙遜を」

 

 「?」

 

 「ただのスライムにそこまでの妖気(オーラ)は出せません。さぞや名を馳せる魔物なのでしょう」

 

 妖気……基本的に魔物は、それで相手の力量を判断するんだっけ。

 

 『うわっ!?』

 

 『どうかしたの?』

 

 『い、いや!何でもないぞ?』

 

 『……?』

 

 「さ、さすがは村長、分かるか?」

 

 「もちろんでございます。漂う風格までは隠せておりません」

 

 「そうか、分かってしまうか……お前たちは中々見所があるようだな?」

 

 リムルは今の今まで妖気を出しっぱなしにしていたが、どうやらゴブリンたちを試していた―――

 

 「おぉ、我々を試されていたのですね?その妖気に怯える者も多かったもので、助かります……」

 

 「そ、そうだな。怯えずに話し掛けてくるとは、見所があるぞ」

 

 「……」 

 

 のかな……?

 

 『……なぁ、カノン?』

 

 『何?』

 

 『もしかしてお前、俺が妖気を全開にしてるのに気づいてたり……』

 

 『うん、この眼でもはっきりと』

 

 『な、何で言ってくれなかったんだ……?』

 

 僕はリムルにそう訊かれるが…… 

 

 『いや、何か考えがあってそうしてるのかと思って……』

 

 正直にそう言ったのだ……さっきの様子だと、リムルは単純に気付いていなかったようだけど……。

 

 『そ、そうか―――って、眼?カノンってさ、眼で魔素とかを見ているのか?』

 

 『え?そうだけど?』

 

 『魔力感知じゃなくて……?』

 

 『魔力……感知……?』

 

 何、それ………?

 

 『もしかして……持ってない?』

 

 『今初めて聞いたよ、それ』

 

 『……あとで、やり方教えるよ』

 

 『うん、それはそれとして……』

 

 『!そうだな』

 

 僕たちは念話を終えると、村長に向き直って話の続きを聞くことにした。

 

 「そ、それでですね、お願いというのが―――」

 

 村長の話によると、東の地から約100匹の狼の魔物………牙狼族が押し寄せてきて戦いになった。本来、牙狼族1匹に対してゴブリン10匹で戦っても勝てるかどうかという戦力差だという。その戦いでゴブリンの戦士たちが多数討ち死に……その中には、村の守護者である名持ちの戦士もいて、牙狼族の数の情報はその戦士が命懸けで得たものだった。

 

 「その戦士の名は『リグル』……私の息子で、これの兄でした……」

 

 「っ……」

 

 「そうか……悪いことを聞いた」

 

 すると、それを聞いたリムルは……

 

 「……村長、1ついいか?」

 

 「は、はい……?」

 

 「俺たちがこの村を助けるなら、その見返りはなんだ?」

 

 『!』

 

 「お前たちは俺たちに、何を差し出せる?」

 

 リムルがそう言うと、ゴブリンたちは驚いたような表情をする……。

 

 「わ、我々の忠誠を捧げます!我らに守護をお与えください!さすれば我らは、リムル様に忠誠を捧げましょう!!」

 

 『捧げましょう!!』

 

 村長がそう言って頭を下げると、その息子のゴブリンや後ろにいるゴブリンたちも続いて頭を下げた………その時、

 

 「?」

 

 僕のスキル『強化六感』によって、微かな音と気配を感じ取ったのだ。そして、その直後……

 

 「ウォオオオオオーーーン!!」

 

 ここからそう離れていないところから、狼の………おそらく牙狼族と思われる魔物の遠吠えが聞こえてきたのだ。

 

 「が、牙狼族だー!?」

 

 「もうおしまいだ!!」

 

 「は、早く逃げよう!」

 

 「逃げるってどこに!?」

 

 それを聞いたことで、ゴブリンたちはパニックに陥る………それを見て、リムルは……

 

 「ビビる必要はない。これから倒す相手だ」

 

 『!』

 

 「で、では……!」

 

 「お前たちのその願い、暴風竜ヴェルドラに代わり………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このリムル=テンペストが聞き届けよう!

 

 『!!』

 

 こうしてリムルは、ゴブリンたちの主……守護者となり、この村を牙狼族から守ることになった。

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 「ところでリムル様、そちらの方は……?」

 

 「?誰ってそりゃ―――あっ!?」

 

 そういえば、カノンの紹介がまだだったな……

 

 「お前たちにも紹介しておく。俺の弟で狐霊族のカノン=テンペストだ」

 

 「僕はカノン=テンペスト。リムルと同じく力を貸すから、よろしく頼むよ」

 

 そう自己紹介をすると……

 

 「り、リムル様………ほ、本当にカノン様は狐霊様、なのですか?」

 

 「その狐霊様が狐霊族のことを言ってるなら、その通りだが……?」

 

 村長が何故か震えながら訊いてきたのだ。そして、俺がそう言うと……

 

 『う……』

 

 「「う?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『うおおおおおおおおお!!』

 

 「「!?」」

 

 急に歓声を上げ始めたのだ。ど、どうしたんだ急に……!?

 

 「お、おい?急にどうしたんだ?」

 

 「ま、まさか狐霊様にお会いできるとは……!!」

 

 「俺、生きてるうちに会えるとは思っていなかったので感激です!!」

 

 「それにリムル様の弟君だとは……!!」

 

 「え?え?え?」

 

 あまりの変わりように、カノンは明らかに困惑した様子になってしまっていた。狐霊族って、そんなに珍しいものなのか……。

 

 「カノン様!リムル様と同様、貴方様にも我らの忠誠を捧げましょう!」

 

 『捧げましょう!!』

 

 「え?いや、別に僕に忠誠とかは―――」

 

 村長がそう言うのに続き、周りのゴブリンたちは一斉にカノンへと頭を下げていた。

 

 「……」

 

 『カノン?大丈夫か……?』

 

 『いや……』

 

 『ま、まぁ、鼓舞は明らかにできたみたいだし……な?』

 

 本人は納得していなかったが、カノンも俺と共にゴブリンたちの主となり、この村の守護者をすることになった。

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 僕もリムルと一緒にこの村の守護者をすることになった後、リムルは戦いで負傷したゴブリンたちの治療を、僕は洞窟で手に入れた魔物のスキルを使い、村の周りにある柵の強化を済ませた。それが終わり、手が空いた僕は村の外れの方で、スキルの確認をして過ごした。それから、リムルに魔力感知を教えてもらい、僕も無事にそれを手に入れることができた。

 

 そして日は暮れ、僕はリムルやゴブリンたちとの打ち合わせ通りに、村の周りを霊眼・魔力感知だけではなく、強化六感も使って見張っていた。この戦いにおける僕の役割は、周りの監視と警戒だ。こうしておくことで、不測の事態が起きてもすぐに対応できるようにする作戦だ。すると……

 

 『リムル、来たよ』

 

 『あぁ、ありがとう……じゃあ、打ち合わせ通りに頼むな。あと、無理だけはするなよ?』

 

 『了解』

 

 牙狼族がこちらに向かってきているのが見えた。リムルは村の正面で牙狼族を迎え撃ち、僕は村の後ろの方で側面や背後からの奇襲に備える。

 

 「止まれ!」 

 

 「!……スライムだと……?」

 

 「そうだ!」

 

 「矮小なスライム如き、捻り潰してくれよう!」

 

 その族長の言葉を合図として、周りの牙狼族たちが村へと襲い掛かろうとする………が、

 

 「!あれは……!」

 

 「スキル『剛糸』さ」

 

 攻撃を仕掛けた牙狼族たちは、リムルが張り巡らせた『剛糸』によって次々と倒されていく。

 

 「!スライム、お前の仕業か……?」

 

 「そうだ!」

 

 「小賢しい真似を……行け!」

 

 その言葉と共に、数匹の牙狼族が剛糸を躱してこちらに向かってくる。だが……

 

 「はぁっ!」

 

 「!?」

 

 それをゴブリンたちが柵の向こうから弓で仕留めていく。すると……

 

 「う、うわああああ!?」

 

 「!」

 

 離れたところで牙狼族に襲われそうになっているゴブリンを見つけ、僕は……

 

 「っ!」

 

 「ぐっ!?」

 

 「!」

 

 準備しておいた風弓ですぐさま牙狼族の頭を射抜き、こちら側に犠牲を出さないようにしていた。さらに……

 

 「!」

 

 こちらにも、数匹の牙狼族が奇襲を仕掛けようと向かってきていた………想定通り……!

 

 「……」

 

 僕はすぐさま風剣をいくつか作り出し……

 

 「!か、カノン様!!」

 

 「大丈夫。みんなは守りに集中して………っ!」 

 

 『!?』

 

 奇襲を仕掛けてきていた牙狼族たちの頭を、一気に剣を飛ばして射抜くことで仕留めたのだ。その時……

 

 《告。ユニークスキル『観測者』により、個体名:牙狼族の解析が完了。スキル『威圧』、『超嗅覚』、『思念伝達』の獲得に成功しました。》

 

 牙狼族をずっと見ていたせいか、解析が進んでいたらしく、新たに三つのスキルを獲得したようだ。その一方で、村の正面はというと……

 

 「ちっ!矮小な魔物の分際で……許さんぞ!」

 

 「!親父殿!?」

 

 牙狼族の族長が剛糸を嚙みちぎってリムルの方へと向かっていた。そして、剛糸を仕掛けた場所を突破して飛び上がり、リムルへと襲いかかろうとする………が、 

 

 「なっ!?」

 

 突然、空中でその動きを止めた。

 

 「こ、これは……!?」

 

 ……どうやら、あれが効いたみたいだ。

 

 「『粘糸』さ」

 

 「くっ!こんなもの……!」

 

 それは、リムルが剛糸と一緒に仕掛けておいた『粘糸』で、牙狼族の族長の動きを空中で見事に封じていた。そして……

 

 『水刃!』

 

 リムルは水刃を放ち、牙狼族の族長の首を落としたのだ。

 

 「お、親父殿……!」

 

 族長が死んだことで、他の牙狼族たちに動揺が広がる。すると……

 

 「聞け!お前たちのボスは死んだ!選べ……服従か、死か!」

 

 リムルはそう言って選択肢を与えたのだが……

 

 『っ……』

 

 牙狼族はその場から動けずにいた………まぁ、その選択肢だとね……。

 

 『リムル』

 

 『カノン!そっちは無事か?』

 

 『うん、こっちはみんな無事だよ。それで………全部聞いてたけど、これどうするの?』

 

 『そ、そうだよな……服従よりも死を!って向かってきてほしくはないんだけど―――あ!』

 

 『リムル?』

 

 『俺に任せとけ!捕食!』

 

 すると、リムルは牙狼族の族長の死体を捕食し……

 

 『!?』

 

 「今回だけは見逃してやろう……我に従わぬというのなら、この場より立ち去ることを許そう!」 

 

 牙狼族の族長へと姿を変身し、威圧することで生き残った牙狼族を追い払おうとした。だが……

 

 『あ、あれ?まだ戦うつもりか……?』

 

 牙狼族はそのまま少しずつリムルへと向かってくる。このまま戦いが続くのかと、僕もリムルも思っていたが……

 

 『我ら一同、貴方様に従います!』

 

 「……え?」

 

 「……ん?」

 

 牙狼族たちは一斉にリムルの前に伏せをし、服従する姿勢を見せた。

 

 「り、リムル様……これは……?」

 

 「うーん……俺たちの勝利ってことでいいんじゃないか?それに戦う必要がなくなったのはいいことだしな!」

 

 そのリムルの言葉に、村の正面にいるゴブリンたちは勝利の歓声を上げる。それは、こちらにいるゴブリンたちにも聞こえた様で……

 

 「カノン様、これって……!」

 

 「うん、僕たちの勝ちだよ」

 

 『!やったーー!!』

 

 『勝ったぞーー!!』

 

 僕がそう言うのを合図に、声を上げて喜んだのだ。こうして、リムルが牙狼族を仲間にするという形で戦いは終結した。

 

 

 

 

  




 読んで下さり、ありがとうございます。

 今回はここまでとなり、次回はゴブリンたちと牙狼族の名付け回を書いていきます。

 それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。
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