転生したら弓聖になった件   作:アキ1113

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 今回から、シズさんの話へと入っていきます。

 それでは、どうぞご覧ください。



第8話 運命の人

 

 村を出てから約一週間……あっちで裁判などに巻き込まれたりしたものの、俺はドワルゴンから最高の技術者であるカイジンとドワーフ三兄弟を連れ、村へと戻ってくることができた。 

 

 「お帰りなさいませリムル様!ご無事でお戻りくださり、何よりでございます!」

 

 「あぁ、ただいま。村に変わりはないか?」

 

 「はい!リムル様が留守の間、カノン様が我々をお守りくださっていたおかげです!」

 

 「そうか……」 

 

 俺がいない間、カノンは上手くやってくれていたようだ。

 

 「あれ?そういやカノンは?」

 

 さっきからカノンを探しているが、近くにその姿は見当たらない。出迎えの集団の中にもいなかったしな……。

 

 「カノン様でしたら―――」

 

 「僕がどうかした?」

 

 すると、俺たちの横から現れたカノンが声を掛けてくる。 

 

 「お帰りリムル。交渉は……上手くいったみたいだね」

 

 「お前も元気そうで良かったよ」

 

 「それでリムル、帰ってきて早々なんだけど………取り敢えずこっちに来て」

 

 「あ、あぁ……?」

 

 そんな風に言ってくるカノンについて行くと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「な、何だこれは!?」

 

 俺の目の前には、この村のホブゴブリンやゴブリナ、嵐牙狼族たちを合わせた数以上のゴブリンたちが集まっていたのだ……な、何人いるんだこれ……?

 

 《解。ゴブリンたちの総数、およそ500》

 

 ご、500!?そ、そんな数が何でこの村に……?

 

 「この村の噂を聞いて、他の村からやってきたんだって」 

 

 「え?噂……?」

 

 「牙狼族を仲間にしたのと……あとは僕の存在のせいかもね」

 

 カノンから話を訊くと、このゴブリンたちは俺たちが来る前のこの村と同じく、ヴェルドラがいなくなった時期から他の種族に淘汰されそうになっていたそうだ。そんな中で牙狼族を下した―――正確には仲間にしたこの村の噂や狐霊族のカノンがいると聞き、庇護を求めてここまでやってきたのだという……それに対しカノンは、俺が帰ってくるまでは保護することを決め、最終的な決定は俺にさせる方向で話を進めたらしい。

 

 「それで、リムルはどうするの?」

 

 うーん……なんかヴェルドラを俺の胃袋に入れたことで、思ったよりも色々なところに影響が出てるな………今は村を復興させている最中だが、ここで追い返すもの無責任な気が……。

 

 「……分かった!来たい奴は来い!」

 

 『……!』

 

 考えた末、俺はゴブリンたちにこの村に受け入れることを告げた。あとは……

 

 『よく頑張ったな、カノン』

 

 俺は思念伝達でそう言いながら、スライムボディーでカノンの頭を撫でた。

 

 『!……急にどうしたの?』

 

 『いや、上手くやってくれてありがとなってことだよ』

 

 『……?』

 

 カノンは俺が褒めて頭を撫でてくることを疑問に思っていたようだが、嫌なわけではなくそれを受け入れていた。さて、取り敢えずはこのゴブリンたちにも名前を―――

 

 『あれ?俺、今からこいつら全員名付けるの……?』

 

 『そ、そうなるね……今回は休み休みやろうか』

 

 『あ、あぁ……』

 

 そうして俺は、約500人のゴブリン全員に、二日間かけて名付けをすることになった………ちなみに今回は、魔素量に注意して名付けをしたから、スリープモードにはなることはなかった……。

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 リムルが帰ってきてから数週間が経った。ドワルゴンからリムルが連れてきた職人であるカイジンさん、ガルムさん、ドルドさん、ミルドさんたちのおかげで、建築、衣類面の技術指導も進めていくことができていた。カイジンさんたちは、とても優秀な職人たちなのだが……

 

 「おう!カノンのお嬢!」

 

 「こんにちは、カイジンさん。あとお嬢じゃないです」

 

 「いらっしゃい!お嬢!」

 

 「だからお嬢じゃないですって……」

 

 「何かご用ですかい、お嬢?」

 

 「いやだから―――」

 

 「……」

 

 「せめて何か言いません?」

 

 何故か僕のことを『お嬢』と呼んでくるのだ……。

 

 「えっと……何で僕のことをお嬢と……?」

 

 「あー……それはだな―――」

 

 カイジンさんの話によると、リムルたちはドワルゴンでエルフの女性が接客してくれる店に行ったらしく、そこで占いが得意なエルフさんにリムルの運命の人を占ってもらったのだそう……そこで水晶玉に映し出されたのが、黒髪の女性と……僕の毛並みと同じ色の髪に、同じ色の瞳を持った獣人の女性だったのだという。そのせいで、リムルと同じように『旦那』と呼ぶと違和感が凄いらしく、しっくりくるお嬢と呼んでいるのだそう……そんなこと言われても―――

 

 「カノン様!ここにおられましたか」

 

 カイジンさんたちの作業の様子を見ていた僕のところに、リグルドがやってきた。

 

 「どうしたの、リグルド」

 

 「実は、この村の近くまで人間……冒険者らしきものたちが来ておりまして―――」 

 

 「人間……?」

 

 リグルドの話によると、どうやらその冒険者たちは魔物に襲われていたところをリムルに助けられた様で、お腹を空かせていたためこの村に招いたのだという………人間が来たのはいいとして、一体何の目的で……? 

 

 「……分かった。わざわざ報告ありがとね」

 

 そう言ってから僕は、スキルの鍛錬へ行こうとしたのだが……

 

 「あの……カノン様は、会いに行かれないのですか?」

 

 「人間たちへの対応は、リムルがしているんでしょ?」

 

 「は、はい……腹を空かせているようでしたので、食事を出してもてなしています」

 

 「なら僕が今、直接会いに行く必要もないよ。邪魔になってもいけないし」

 

 「……承知いたしました。リムル様にもそのように伝えておきます」

 

 リグルドはそう言いと、リムルのところへと向かっていく………本当は守護者として挨拶するべきなんだろうけど、僕は前世のある出来事から基本的に人間が苦手―――いや、人によっては嫌いな部類に入る。だからできることなら、あまり関わりたくはないのだ……でも、リムルは人間と関わりたいみたいだし、僕も会わなければならないだろう………。

 

 「はぁ……」

 

 僕は思わず溜息をつきながら、スキルの鍛錬へと行った。

 

 

 

  

 

    ◇

 

 

 

 

  

 冒険者であるカバル・ギド・エレン………そして、水晶玉で見た運命の人であるシズさんを助けた俺は、村に4人を招いていた。それから、4人に食事を振る舞いつつ話を聞いていたのだが……

 

 「失礼いたします。リムル様、カノン様ですが―――」

 

 リグルドがカノンはここには来ないということを伝えにきたのだ……俺はそれに驚くことはなく、むしろ納得していた。カノンは洞窟から出る時、この3人―――というよりは、人間に苦手意識があるように見えたのは、俺にも分かっていたからだ。まぁ、後でカノンがいいって言ったら紹介することにしよう。

 

 「分かった。わざわざ済まないな」

 

 「いえいえ!」

 

 すると……

 

 「リムルさん、カノン様って誰のことですか?」

 

 エレンが今の話が気になったのか、興味深そうに訊いてきた………まぁ、話すくらいならいいよな……。

 

 「カノンは俺の弟で、狐霊族っていう種族なんだよ」

 

 「こ、狐霊族って……!?」

 

 「あの狐霊族なの!?」

 

 「マジでやんすか!?」

 

 「……!」

 

 案の定、4人とも驚いた様子でいた。すると……

 

 「スライムさん、その弟さんが狐霊族ってことは、信用できる人以外には話さない方がいいかも」

 

 「えっ?」

 

 シズさんが急にそんなことを言い出したのだ。

 

 「狐霊族って珍しい種族だし、見ると願いが叶うって言われるでしょ?だから昔から、奴隷商や欲深い王とかに狙われたりしているんだよ」

 

 「!?」

 

 「ジュラの森に住んでいる魔物たちなら、まだいいかもしれないけど……人間に軽々しく話すのは止めておいた方がいいと思うよ」

 

 「わ、分かった……教えてくれて助かったよ」

 

 これはみんなにも言っておかないと……もし悪い人間に知られたら、カノンに危険が及んでしまうしな。その点、狐霊族のことについて教えてくれたシズさんたちは信用できるのだろう。

 それから、4人の腹も満たされ……

 

 『カノン、今大丈夫か?』

 

 『大丈夫だけど……何かあった?』 

 

 俺はカノンに

 

 『そういうわけじゃないけど……お前に会わせたい人達がいるんだ』

 

 『……それって、今来てる人間のこと?』

 

 うーん、明らかに嫌そうな声色だな………それでも俺は、カノンにも人間と仲良くして欲しいと思っている。この先村が街になっていく時に、人間たちが沢山訪れることもあるだろう………その時にカノンだけを仲間はずれにさせるわけにはいかないしな。

 

 『シズさんって人から訊いたんだけど、狐霊族はその珍しさから奴隷商や欲深い王なんかに狙われてきたこともあるんだ』

 

 『じゃあ……あまり人間には言いふらさない方がいいってこと?』

 

 『そうだな……言うにしても、他の種族だって言った方がいいな』 

 

 『……だからそれを教えてくれた4人を信用しろってこと?』

 

 俺はさっき教えてもらった狐霊族のことを話すと同時に、4人は信用できるいい人間であることを説得する。カノンは少し考えた後……

 

 『……分かった。そこまで言うならいいよ』

 

 『本当か!?』

 

 4人と会うことを了承してくれたのだ。

 

 「4人とも、ちょっと付いて来てくれないか?」

 

 「いいっすけど……どこに?」

 

 「食後の散歩と、今からカノンに会いに行くぞ」

 

 「本当ですか?楽しみ!」

 

 俺は4人を連れて、村の中を案内しつつカノンがいる場所へと歩いて行く。そして俺たちは、スキルの鍛錬をしているカノンのところに到着したのだ………カノンは風の剣をいくつも浮かべると、それを少し先の地面に向かって打ち出していた。凄いな……もうこんなにスキルを使いこなせるように―――

 

 「わぁ……!可愛い!」

 

 「っ!?」

 

 「あ、ちょ―――」

 

 エレンはカノンを見つけると、そのままカノンを抱き上げたのだ………まぁ、気持ちは分からなくもないけど……。

 

 「リムルさん、もしかしてこの子が?」

 

 「あ、あぁ……俺の弟のカノンだ」

 

 急に抱き上げられたカノンは戸惑っていたものの……

 

 「は、初めまして……リムルの弟でこの村の守護者をしている狐霊族のカノン=テンペストといいます」

 

 4人に向かって自己紹介をしたのだ。

 

 「!これはご丁寧にどうも………俺はカバル、こっちはパーティーメンバーのエレンとギド。そして、一時的にパーティーに入っているシズさん」

 

 「どうも……それで、皆さんは何でここに?」

 

 「そんなに畏まらなくてもいいっすよ?えっと、リムルの旦那には説明したんだが、俺たち3人はギルドの依頼で調査に来たんだ。シズさんは目的地の方向が同じってことで、臨時メンバーとして入ってもらっている」

 

 「………じゃあ、ここのこともギルドに報告するってことですか?」

 

 カノンは少し険しい表情をして訊いたが……

 

 「私たちも依頼で来ているから報告はするけど、カノンさんが思っているようなことにはしないから安心して」

 

 「それに、恩を仇で返すような真似はしないでやんすよ」

 

 「……!」

 

 カノンはこの場所を悪いように報告される可能性を警戒していたようだが、真っ直ぐな目でそう言われた後はまるで毒気を抜かれたような表情をしていた。

 

 「……信用して、いいんですよね?」

 

 『もちろん!』

 

 「……はぁ、分かりましたよ」

 

 そう口にしたカノンは、少なくともこの4人は信用してくれたように見えた。その後、軽く話をしたところで……

 

 「スライムさん、子狐さん。ちょっといいかな?」

 

 「「……?」」 

 

 俺たちはシズさんに呼ばれ、ある話をすることになった。

 

 

 

 

 




 読んで下さり、ありがとうございます。

 次回はリムル、カノン、シズさんが中心の話になります。カノンはシズさんと何を話すことになるのか……。

 それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。
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