名探偵プリキュア!vs 大怪盗プリキュア!   作:MOZO

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どーも、MOZOと申します。
大変お待たせしました。ここから原作アニメ第2話部分を投稿していきます。
言い訳になってしまいますが、最近仕事の方がめちゃくちゃ忙しくなってしまい、帰宅しても夕飯後にはバタンキュ~と寝てしまうことが多々あり、進行が遅れ気味でした・・・。
仕事との両立が難しいのは覚悟の上でしたので、なるべく一行でも書けるように今後とも頑張って参ります。



File.02
霧生邸へようこそ


 

 改めまして、わたしは蝶野ゆめ。2027年の『マコトミライタウン』に暮らしてた世界一のマジシャンを目指す中学二年生。

 ある日、マジックの練習中にシルクハットの中からポシェタンっていう妖精がスポーンと飛び出してきたかと思ったら、お婆ちゃんのペンダントがピカーって光って、ヒューンと落ちた場所は『まことみらい市』っていう街だったの。

 そこは、わたしのいた時代から1999年の過去の世界。まさかのタイムスリップしちゃって、びっくらーイズ!

 親切なお嬢様の霧生とばりさんに助けてもらったのも束の間、成り行きで花嫁さんのティアラが盗まれる事件に巻き込まれたり、本物の怪盗とか変なお金持ちが現れたり、おまけに怪物に襲われたりで絶体絶命の大ピンチに!

 そんな時、わたしととばりさんは持っていたペンダントの力で『大怪盗プリキュア』に変身。怪物をバチコーンってやっつけちゃった。

 わたし、これからどうなっちゃうの? 元の時代に帰れるの?

 

 

 

 奇怪なティアラ盗難事件は『大怪盗プリキュア』。そして、『名探偵プリキュア』の活躍により人知れず幕が下ろされたのであった。

 撤退したフリをして変身を解いた後、ゆめととばりは会場へ戻ってきた。

 

「とばりお嬢様。ゆめ様もご無事で!」

 

「わたくしたちは大丈夫ですわ」

 

「心配させて、ごめんなさい・・・」

 

 二人はたった今、帰ってきたふうを装い烏丸と合流する。無論、自分たちがプリキュアなるものに変身してゴーマンダーと戦ったことも伏せて。

 

 

 

 まりのティアラと指輪が無事に見つかったことで結婚式は予定通り行われた。参列した招待客は皆、まりと新郎の門出を盛大に祝福する。

 ティアラと指輪を身に付けて幸せそうな笑顔を浮かべるまりを見て、ゆめは心底喜ばしく思えた。その時。

 

「ごめん、遅れちゃった!」

 

 息を切らしながら駆けてきたのは、藤井ともか。ゆめはお祝いムードから一転して彼女を敵視した。

 

「ま、またティアラを盗みに来たわね。怪盗!」

 

「えっ、私が怪盗・・・?」

 

 警戒心剥き出しのゆめに何事かと困惑した表情をするともか。

 そこへ、とばりがゆめの肩をポンと叩く。

 

「おそらく、ともかさん本人だと思われますわ。本物のともかさんであれば遅刻癖があると仰っていましたし、もしティアラにもあの不思議な宝石があったのだとしたら今更盗まれる心配は無いでしょう」

 

「言われてみれば、確かに・・・」

 

 勘の良いとばりの推察には合点がいく。

 あのニジーとかいう怪盗はともかに変装してまでティアラ(に宿るマコトジュエル)を奪おうとし、『大怪盗プリキュア』に風体の似た少女たちに取り返されたのだろう。キザったらしい彼の性格上、一度失敗した手口を使うのは恥の上塗りに等しいはずだ。

 

「あの、すみません。人違いでした・・・」

 

「は、はぁ・・・」

 

 怪盗と見間違うなんて甚だ失礼ではあるが、その場はどうにか誤魔化した。

 そうしている内、式も大詰めとなりブーケトスの瞬間が訪れる。

 

「それッ!」

 

 まりが高々と放り投げたブーケは放物線の起動を沿って落下すると、ともかの手の中へスッポリ収まった。

 

「やったー!」

 

 思いがけない幸福にともかはブーケを握り締め歓喜する。あたかも、ニジーの策略が現実になろうとは皮肉なものだ。

 何にせよ、結婚式はめでたく締め括られ一件落着の運びとなった。

 挙式後、烏丸がリムジンを入り口に回して来たので乗り込もうとするとばりの後ろを歩くゆめであったが、ひたりと足を止める。

 

「ゆめさん、どうかされまして?」

 

「・・・やっぱり、これ以上とばりさんには迷惑を掛けられません。自分のことは自分でなんとかします」

 

 とばりの無償の厚意に甘えていては心苦しさに堪え兼ねない。ゆめは自身の力で元の時代に戻る方法を模索すると決意した。

 

「助けてくれてありがとうございます。それじゃあ」

 

「あ、ゆめさん!」

 

 とばりが呼び止めるも、ゆめは逃げるように走り去って行くのだった。

 

 

 

 式場を後にしたゆめは、一人トボトボと歩みを進める。しかしながら、違う時代にいるというのに道なりに覚えがあるのは妙な気分である。

 

「どうしてあのまま、とばりって子に付いて行かなかったポシェ?」

 

「これ以上とばりさんを変なことに巻き込む訳にはいかないでしょ」

 

 今、ポシェタンは首から紐を伸ばしてゆめの肩に掛けられポシェットに擬態している。ポシェットが口を訊いてくるというのは実に異様なものだが、妖精の姿を誰かに見られて大騒ぎになるよりは増しだ。

 

「ところで、あなたどうやって花瓶の中から出て来られたの?」

 

 とばりに見つからないよう咄嗟に花瓶の奥に押し込めたはず。だというのに、ゆめととばりの危機に駆けつけられたのは不可解でならない。

 

「あの時はもうダメかと思ったポシェ。けれど、ポシェタンは諦めなかったポシェ。花瓶の中でぐ~るぐる回りながら飛び出してどうにか脱出することができたんだポシェ」

 

「・・・うん。全然意味分かんない」

 

 イメージしてみたものの、理屈がさっぱり解せない。「妖精なんだし、そういう芸当もできるんだろうなぁ」と自己完結するのである。

 そうこう歩き続けて数十分。ゆめが行き着いた場所は、地面が剥き出しの更地で脇に看板が立ててあった。

 

『マコトミライタウン予定地』

 

 なんたることか、そこは後にマコトミライタウンが建設される場所。無論、ゆめの実家である『Sleeping Butterfly』の店舗の姿形などあるはずもない。

 

「まぁ、薄々分かってたけどね。ハハハ・・・」

 

 1999年の世界でホームレスになってしまったゆめは、泣き喚くでも癇癪を起こすでもなく、ただ虚しく笑うしかなかった。

 

「どうするつもりポシェ? ポシェタンは野宿は嫌ポシェ」

 

「そんなこと言われたって、住む家どころか街すら無いんだからしょうがないでしょ」

 

 勝手知ったる街のはずが、まさかの路上生活を余儀なくされるとは。ホテルに泊まりたくとも宿泊費の持ち合わせも無く、おまけにスマホも繋がらない。中学生少女が宿無し一文無しで到底生きていけるはずがない。

 

「あ~あ、こんなことなら素直にとばりの申し入れを聞いていれば良かったポシェ」

 

「あなたって本当に性格悪いわね!」

 

 ゆめとポシェタンがまたしても一触即発な雰囲気になろうとしていた時だ。

 

「ゆめさーん!」

 

 自身の名を呼ぶ声に振り向くと、とばりがリムジンから降りてこちらへ駆け寄って来る。

 

「とばりさん、どうしてここに?」

 

「やっぱりゆめさんのことが心配で、捜していたんですわ」

 

 わざわざ追い掛けてきてくれるところ、とばりの優しさがゆめの寄る辺なかった心に染み入る。

 

「ゆめさん、住む場所が無いのでしたらわたくしの家に来ませんこと?」

 

「とばりさんの家に?」

 

「わたくしの家は大きいですから、一人住まわせるくらい問題ありませんわ」

 

「いや、でも・・・」

 

 丁度困り果てていたところでとばりの提案は申し分ないが、先程断ってしまった手前、施しを請うのは今更頼みづらい。

 

「行く当て、ありませんわよね?」

 

「ウッ、それは・・・」

 

 とばりの意外な頑固さと、ポシェタンからの「これが最後のチャンスだポシェ」と言わんばかりに圧迫感のある視線を向けられ、とうとう根負けする。

 

不束者(ふつつかもの)ですが、よろしくお願いします・・・」

 

 ゆめは渋々承諾し、とばりに連れられリムジンに乗り込み、彼女の自宅に向かって発車する。

 そんな彼女らと入れ替わる形で、あんなとみくるが更地を訪れていた。

 

「えっとねぇ、ここがわたしのウチ!」

 

 * * *

 

 ゆめを乗せたリムジンがしばらく走っていると、公道から右側に生垣が設けられた道へ曲がっていく。

 サッカー場が何坪も入りそうな広々とした草原に青々と繁る木々が丁寧に剪定されており、ゆめはつい見惚れてしまう。

 

「すごく綺麗な景色。ここでピクニックなんてできたら最高なんだろうなぁ」

 

「そうですわね。何せ、我が家の(・・・・)庭師が寄りを掛けて整備していますもの」

 

「・・・へ?」

 

 ──今、なんと?

 

我が家の(・・・・)って。ここ、とばりさんチの・・・?」

 

「えぇ。あの道の入り口からすべて霧生家の敷地なんですの」

 

「びっくらーイズ・・・」

 

 これぞお金持ちの特権か。庭一つにせよ土地の面積も桁外れ。あまりにスケールが違い過ぎてゆめは呆気に取られてしまう。しかし、驚きはまだ序の口であった。

 広大な庭を進むこと更に十数分、鉄格子の門に行き着き、開錠した先には何とも豪勢な建築物が(そび)えていた。

 

「びっくらーイズ!」

 

 貴族が暮らしていそうな中世ヨーロッパの建築様式を彷彿とさせるデザイン。これでは家というよりも城である。

 

「「「お帰りなさいませ、とばりお嬢様」」」

 

 フォーマルなスーツを纏った執事や典型的なロングドレスを着たヴィクトリアンメイド。何人もの使用人たちが玄関前で並び立ちとばりを出迎える。これだけでも壮観ではあるが、邸宅の中は一層度肝を抜くことに。

 扉を開け放つと、豪華絢爛なエントランスが広がっていた。大理石の床、クラシカルな大階段、天井にはシャンデリア、まさしく上流階級の大貴族が住まう豪邸。

 

「びっくらァァァァイズ!」

 

 驚愕の連続と膨大な情報量にゆめの脳内がキャパオーバーを起こしそうであった。

 狼狽するゆめであったが、壁に掛けられた絵画や棚に置かれた彫像など数々の美術品に目移りしてしまう。

 

「こんなに沢山、絵とか石像があるなんてなんだか美術館みたい・・・」

 

「わたくしの両親は美術商でして、ここにあるものは海外から集めたコレクションのほんの一部ですのよ」

 

 やはり、お嬢様は生活レベルも段違い。庶民の自分がこんな家に菓子折り一つ持たず上がり込んでしまったら罰が当たるのではなかろうか。

 

「これだけお宝があるなら盗み放題ポシェね」

 

「余計なこと言わなくて良いの!」

 

「何か仰いまして?」

 

「い、いえいえこっちの話ですぅ・・・」

 

 これ以上失言を口走る前にゆめはポシェタンの口を両手で塞いだ。

 

 * * *

 

 来客用の部屋の準備が済むまで、ゆめはとばりの自室にお呼ばれされた。

 清楚なイメージのとばりに似合った内装で、キングサイズのベッドにレースが掛けられ、アンティークの家具が揃い、花瓶に生けられた花に彩られている。まるで、ドールハウスの人形になった気分だ。

 ゆめととばりはテーブルに向き合って座り、陶器のティーカップで紅茶を嗜みながら優雅なひとときを過ごす。

 

「ゆめさん、付かぬことお伺いしますわ」

 

「は、はい・・・」

 

 突如とばりに真剣な眼差しで見詰められ、ゆめは緊張で頭から糸で吊るされるようにビーンと背筋が伸びてしまう。

 

「ゆめさんって、本当に未来からいらしたんですわよね?」

 

 深刻そうな表情で何事かと思えば。共に大怪盗になった間柄、隠し立てする必要もあるまい。

 

「まぁ、一応・・・。わたしは2027年のマコトミライタウンってところに住んでて、このポシェタンに無理矢理こっちに飛ばされて来たんです」

 

 傍らで呑気にチーズケーキを頬張るポシェタンとの出会いも含め、ゆめは身の上を粗方打ち明けた。

 

「素敵ですわ! まさか本物の未来人にお会いできるなんて、これまでの人生で一番の大ニュースですわ!」

 

 奇想天外で突拍子な話を鵜呑みにするところ、とばりは相当好奇心旺盛のようだ。

 

「未来の世界とは一体どんなところですの? 是非聞かせてくださいませ!」

 

「だから、一旦落ち着いてくださいって!」

 

 瞳を輝かせて興奮気味に前のめるとばりに、ゆめはたじろぐばかりだ。

 そこへ「コンコンコン」とドアが三回ノックされた後、烏丸が入室する。

 

「失礼致します。お嬢様、お客様がお見えになられました」

 

「あら。今日は誰か来る予定は無かったはずだけれど、どなたですの?」

 

「それが、お嬢様とゆめ様にお会いしたいとのことで」

 

「わたしもですか?」

 

 ゆめが首を捻るのも無理はない。2027年の未来からタイムスリップしてきた彼女に1999年で知人がいる訳がない。

 不審を抱きつつ、ゆめととばりは謎の来客を出迎えに行くのである。

 

 

 

 二人を名指しした人物が待つ客間に足を運んだゆめととばり。その人影は粛然(しゅくぜん)とソファーに腰掛けていた。

 

「お待た致しましたわ。わたくしが、霧生とばりですわ」

 

「同じく、蝶野ゆめです」

 

 ゆめととばりが声を掛けると、客人はソファーから立ち上がる。

 その人物──彼は、センター分けにした黒髪に、大きなレンズの丸眼鏡を掛け、白のYシャツにブラウンのベストとショートパンツを身に纏った、見た目小学三~四年生ほどの少年であった。

 

「初めまして。ボクの名前はエンジン」

 

 ソファーの脇に立て掛けていたトランクを持つと、エンジンなる少年はゆめととばりの元へ歩み寄る。

 

「会いたかったよ、──大怪盗プリキュア」

 

 瞬間、その場の空気が凍てついた。初対面のはずの二人をエンジンは『大怪盗プリキュア』であると一目で見抜いたのだ。

 正体が露見され、動転するゆめはパニックのドツボに()まってしまう。

 

「秒でバレちゃったぁぁぁぁ!?」

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