ワイ卿、Fate世界の円卓の騎士になる。   作:サーッ・タドコロ

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評価といっぱいのお気に入り…100オーバー!?、さらには初感想も…、ありがとありがとねぇ…。

誤字修正、ホンマのホンマにありがとナス…!
文中に「魔法」が登場してました、とんでもない誤字で草。
Fateでそれはあかんすぎる。圧倒的感謝・・・っ!

※注意
・相変わらずちょっと下品で汚いです。また、今回は一応R-15要素の部分です。少年誌レベルの微エロ。



4:ワイ、ブレッシング・ル・フェ

 

ようお前ら!元気にしとるか?

ワイは(ワイパンマーン!新しい顔やで!そーれぃっ!)元気やで!

 

 

先日から、日々の食卓にパン(しあわせのあじ)が並ぶようになったことで、ケイ義兄ちゃんやアルトリアちゃんが摘み食いしようと厨房を覗きに来る頻度がバチクソに増えたりと、ワイの日常がちょっとだけ騒がしくなったわ。

 

さて、ワイの我が儘でパン作りからさせてもらったわけやけど、本題は「食べられるものを増やすための、料理開発」なんよな。

小麦粉はそもそも麦粥(ポリッジ)として使われてたから、それがパンに代わったところであんまり変化はない。

 

一応、麦粥と比べるとパンの方が小麦の量に対して2から3倍くらい食べられるから、これも一つの成功っちゃあ成功なんやけどな…。

でも、そもそも麦の収量がどんどん悪くなっとる…凶作の傾向が続いている状況やから、麦に頼った食事を続けられなくなるかもっちゅう問題の解決にはならんのや。

 

数年先まではパン食でなんとかなるやろうけども、ブリテンが抱える問題の前では焼け石に水ってことや。

ほんで、今回こそは一般的には食いもん扱いされとらんもので料理を作っていきたいと、ワイは思うわけ。

 

 

ちゅうてもなぁ…そもそも、食料にならんもんを普通はわざわざ集めたり残したりしないもんやん?

 

だから、料理開発したくても、そもそも材料が無いねん。

それに、この時代のブリテンで何が手に入るのかもよう知らんから、何を集めてきてほしいとも言えん。

 

困ったワイは、いつも通りエクトル卿…お義父ちゃんに相談することにしたわ。

するとお義父ちゃんは、それなら今度は自分の狩りに着いてくる形で森に入って、そこで食べられそうなものを探してみるのはどうか?って提案してくれた。

 

も、森に入るんか…正直、この前の野獣の群れに囲まれた恐怖を思い出すから腰が引けてまうんやけど…流石にお義父ちゃんが一緒に行くならなんとかなるやろ!

よっしゃ、男は度胸!いっちょやってやらんかい!お義父ちゃん、ワイも着いてくで!!

 

 

 

 

嘘やん。

ワイ、お義父ちゃんと逸れてもうたみたいやわ…こんな、暗くて深い森の中で…。

 

お、おちけつ、おちけつんや、ワイ。

まずは現状把握や…こういうとき、混乱してあっちこっちに移動するんが、いっちゃん危ないんや。まずは落ち着いて、立ち止まって、考えるんや…。

 

 

ワイは、お義父ちゃんの勧めもあって、初めて狩りに着いていくことにしたんや。

 

ケイ義兄ちゃんはワイと同じくらいの歳の頃から狩りについて行ったって励ましてくれたけど、よう考えんでもそりゃノッポのケイ義兄ちゃんだったからできたんやと思うで…。

ワイの方はと言えば、未だに一人では上手くUMA(ウマ)を乗りこなせんから、エクトル卿の狩りについていく私兵の一人に相乗りする形でついて行ったんや。

 

で、その私兵の人が、狩りの真っ最中に突然ワイを森の中に投げ捨てよった。は?

 

…いや、まあ、わかっとんねん。

ワイの異国情緒あふれる顔立ちを、そんなによく思っとらんやつが結構いるってことくらいはな。

でも、まさかエクトル卿がすぐそばにおったっちゅうのに、こんな露骨に捨ててくなんて思わんやん?

 

…しかし、まあ、なんや。

エクトル卿は、ワイがこんなんなってることに気づいてくれて、ちゃんと…探しに来てくれるんやろか。

いや、案外エクトル卿だって…。

 

…ああ、やめや、やめ、こんなときに何考えとんねん、アホくさ。

ちょ、もー、ワイくんってば(笑)心細くなったからって、変なこと考えすぎやって(笑)

 

こんなの考えるくらいなら、なんか食いもんになるものでも探そ。そや、それがええわ。

どうにか生き残るにしても、このままじゃ腹を空かして野垂れ死にするだけやからな。うん、それがええ。

 

食えるもんなら何でも…キノコでも野草でも、できれば果物とか灰汁の少なくて食べやすいお野菜とか、欲を言うなら死にたてホヤホヤで腐っとらんお肉とか、見つけんとな。

 

 

 

 

遭難1日目。天気・不明(空が見えん)、気温・めっちゃ寒い。

 

いや、マーリンに魔術を教わっとらんかったら、この時点で死んどったな。春先とは言え、ブリテンの暗中は寒すぎや。

ほとんど身一つのワイが火の魔術を使えたから良かったものの、もしもワイに暖を取る方法が無かったら…なんて、想像したくもないわ。

 

出発前に腹いっぱい飯食ってきたからまだ平気やけど、ろくな食いもんを持ってきとらんから、すぐにでも食材を見つけられんと、明日にでも腹減って動けなくなるかもしれん。

ワイ、精神(なかみ)は多分成人だと思うんやけど、体は推定小学生くらいのガキンチョやからね。

 

幸い、エクトル卿たちが狩りで野獣共を追い立てまくった後だからやろうか、野獣の気配みたいなのは感じん。ただ、それもいつまで維持されるもんかわからん。

やっぱ、今のうちに食材を探せるだけ探しまくったほうが良い気がする。…あんまりチョロチョロ動き回るんも怖いんやけどなぁ…はぁ。

 

よっしゃ、うじうじ迷っててもしゃーない。食材探し探検といこうや。

 

 

…で、ワイの不安とは裏腹に、次から次へと見つかりよったわ、食材。

 

普通、こういうのってもっとこう、苦労した果てに見つけて「や、やったぁ!食料だぁ!」って大喜びして感動する場面になるもんちゃうん?

いや、現実にそんな場面を演出されるより、サクッと見つかってくれたほうが全然ありがたいんやけど。なんかお約束をぶっ壊されてる感じがして、ちょい残念な気持ちもある…そんな複雑な乙女心のワイや。

 

 

見つかったのは、まず最多なのはキノコやね。

 

カロリーは無いからこればっかり見つかってもしゃーないけど、一応腹は膨れて空腹は誤魔化せるやろうし、こういうときこそ味がいいもんを食って活力にするのは大事やから、全然ありがたいわ。

キクラゲとかエノキとかクロラッパタケとか…全部黒くてそれぞれ独特の見た目しとるけど、洗って煮るだけでも食えるから簡単でええわ。

 

乾燥させても食味が悪くなるエノキは今日のうちに消費するとして、他2つは多少乾燥して萎びても水に戻せば旨い出汁が出るし食感も戻って来るから、とりあえずエノキから使っていこうや。

 

 

次、ブラックソーンの実。

 

現代人には馴染みの無い植物やろうけど、要は黒いスモモや。

ただ、コイツは常食されるような木の実ではない。結構酸っぱいし、「ソーン」っちゅう名の通り危険なトゲが生える木で危ないし、一粒一粒がちっさくて種はデカいっちゅう収穫効率の悪さやねん。

 

樹木としての見た目は、新緑の葉っぱと黒い樹皮に黒い実、そして樹皮のいたるところがトゲトゲで、そんなに背は高くない…ワイのような子どもでもギリギリ木の実に手が届いて収穫できるくらいや。

この木は、エクトル卿のお屋敷の周りを囲うようにも植えられとる。つまりは生け垣に使われとるってことやね。

 

木質が結構しっかり硬くてトゲだらけなのが、害鳥や野獣を追い払うのに使えるってことらしいねん。

あと、この木に体を近づけると痛いっちゅう経験から学んどるんか、そこからこの木の臭いを獣が嫌がるようにもなったって話も聞いたな。…どのくらい効果があるんかはわからんけど。

 

この森の中に生えとるのは、エクトル卿のとこのヤツが森に広まったのか、逆に森に生えてたこの木の実を回収して屋敷の周りに埋めて育てたんか?

ともかく、一応食える木の実っちゅう知識を得られる環境があって、ちょうどその木の実が森ん中で手に入る状況で、マジで助かったわ。

 

ちゃんと食える木の実もありがたいが、この木は訓練用の木剣や棍棒なんかにも加工して使えるっちゅう優秀な木材でもある。

結構硬いけど、火や風の魔術とか使えば、どうにかワイの手持ちの道具で…ナイフと片手鎌だけでも、護身用の武器に加工できんやろか。後で試してみよ。

 

 

んで次、女の子。

 

ン女の子ぉ!?!?

 

 

いやいや、流石に気のせいかもしれん。一旦目を閉じて…開く。パチパチ。

 

うーん?もういっちょ!瞼を、パチ♡パチ♡

…パチパチ、パチパチパチパチパチ………………

 

うわあああ!?!?!?!?女の子ぉ!?!?!?!?

 

 

だだっだ、誰やねんこの子!!

…ワイと同い年くらいか、ちょい年上くらいに見えるけど…なんや、怪我してるし意識はないし、気が動転しまくってもうて、食材探しを中断してワイが起こした焚き火の近くに大急ぎで引っ張ってきてもうた。

 

はあ~、ホンマに、自分が森に捨てられた時より動転したわ。

ちゅうか、生きとるんかいな?この女の子…。

 

いや、死にたてほやほやのお肉があれば嬉しいなぁ~なんて思いはしたけど、食人はNGに決まっとるやん。

ま、この子が生きとるのか死んどるのか、まだよくわかっとらんのやけども。ガハハ!(現実逃避)

 

 

え?ちゃんと生死を確認してないのか、って?

 

…いや、その、なんちゅうか、ちょっと恐れ多いっちゅうか…ぶっちゃけ、クッソエロいねん。

…エロいと言うか、妖艶と言うか、場違いとしか言いようがないほど綺麗すぎるんや…。

 

触ったら止まらんくなりそうというか…その、ふふ…下品なんですがね。下品なんで言わんでおきます。

 

 

いかんいかん。

いいか、ワイ。冷静に考えてみい。ここ、野獣がひしめくような森の中の、そこそこ奥深くやで?

なんでそないなとこに、こんな絶世の美少女がおんねん。おらんやろ、普通。

 

だから、いくら「うっひょ~!肌にぺったり張り付くエッロい衣装を着た美少女や~!」とか思っても、絶対手を出したらあかん。

でも、できれば手を出す気がなくなる言い訳を今すぐに思いつきたい。アカン、ワイの手が、ワイの意思と反して吸い寄せられそうや。早くなんかうまい言い訳を思いつかんと、ワイの春をこの美少女に捧げることになってまう…。

 

せや!!こんな森の奥深くにおるなんて、コイツがいわゆる魔女ってやつなんやろ!!

エクトル卿からも聞いたことがあるでぇ、人を惑わす魔女の老婆が森の奥深くから現れることがあるってなぁ!!

 

……まあ、どう見ても老婆ではないけど。

いやいやいや!!ともかく魔女や!!魔女!!魔女に手を出したらヤバい!!オーケー!!はいっ、セーフ!!

 

 

ふう、危ないとこやった。

 

ワイの鋼鉄が如き理性やったから、なんとか耐えられたわ。

いや、もしくはワイが超紳士だったおかげやと言っても良い。感謝するんやで、名前も知らぬ魔女ちゃん。

 

…にしても、見てるだけでも随分痛そうな怪我やな。

生憎と、今のワイの手持ちには傷薬も清潔な包帯も無いから、ろくな治療もしてあげられんけど…。

 

……うーん。アカンわこりゃ、ワイの目に良くないわな…。

 

 

 

 

──気配を感じた。

 

懐かしい気配だ。

あの人でなしが管理者を気取る花園のどこかに、ある時から、遠く古き神秘の気配が滲んでいた。

 

森人(アールヴ)か、小人(ドヴェルク)か、…わからない。ただ、不思議と懐かしさを覚える。

 

確かめてみようか。

 

ちょうど、そう思ったところだ。

わざわざ人でなしの方から、見たくもない胡散臭い顔を見せに来たかと思えば、「関わるな」などと忠告してきた。不愉快極まるとはこのことだ。

 

私の行動を、貴様に制される謂れなど無い。

…だが、こんな人でなしを相手に強情(ムキ)になるのも癪に障った。

 

言われずとも、それほどまでの興味など無い。

貴様こそ、わざわざ関わるな。

 

花の残り香の一欠片すら拭い、疾く消え去れ。

今まさに放たれようとするこの私の魔術が、貴様を撃ち抜かぬうちにだ。

 

 

 

 

──あの気配が、花園から去っていった。

 

あの人でなしが理由もなく手放すとは思えんが。

さて、さして興味があるわけでもないが、どこに放逐したのかくらいは知っておくか…。

 

…なんだと?

なぜ、アレと同じ場所へ送り出した。

 

確かに、奇妙な気配ではある。

だが、それほどのものか。アレに与えるほどのものだというのか。

 

何が「関わるな」だ、アレを贔屓するためにわざわざ私に釘を刺すだと?そうまでして与えたかったものだと?

…いちいち癇に障る、不愉快な真似をする。

 

ろくでなしの、人でなし(マーリン)

貴様が私を虚仮にしてまで遠ざけようとしたそれが、一体どれほどのものだというのか。

 

見定めてやろう。その価値を。この私が。

 

 

 

 

──あの気配は、ただ静かに守られ続けた。

 

獣を使い、魔を遣い、どれほど連れ去ってみせようとしても、掻い潜る。(きわ)で助けられてしまう。

人でなしのくせに、花園から放逐したくせに、わざわざ貴様が出向くとは、随分と世話を焼く。

 

それほどのものか。

私が見定めてやろうという、ただそれだけのことを拒むほど…そうか!!それほどのものか!!

 

いいだろう。

手ぬるい真似はここまでにしよう。

 

私が直接に出向いてやろう。

貴様がどこまで本気なのかは知らんが、それすらも阻もうと言うなら、相応の覚悟をすることだな。

 

 

 

 

……冷たい。だが、暖かい。

 

…私、は。

そうか、撃ち落とされたのか。

 

ふん、腹を焼いてやったというのに、そのまま捨て身で反撃とはな。

相変わらず、無駄に頑丈な奴だ。

 

 

…冷たいのは、地に体を着けているからだろう。

 

暖かいのは…火が弾ける音がする。火災か。

派手に焼いてみせたからな、森が燃えぬように気をつけていたとはいえ、飛び火したのかもしれん。

 

…いかんな、体の一部が機能していない。

一度帰り、修復せ(なおさ)ねばならん。

 

身を起こし、火を消さねば…。

 

 

すうっと、静かに瞼を開く。

 

少し朧げな視界には、火災にしては小さすぎる暖かな火がある。

その向こうには、緑の外套を羽織る何かがあった。

 

外套を羽織る何かは、静かに木を削り、小さな鍋で湯を沸かしている。

その身から、ほんのりと磨り潰した薬草の香りを纏わせていて…なぜか、どこか()()()()()()だと思った。

 

「……」

 

静かにその何かを観察する。

顔立ちは…南方の異人種(がいてき)に似ているようで、気配だけは古き神秘の血族(ほくおう)の色をしていた。

 

そして、中身(たましい)外身(にくたい)がチグハグで、それだけではなく影像(りんかく)までもツギハギされているように見える。

 

 

なるほど、あの人でなしめ、私を近づけさせたくなかった理由は、これか。

確かに、腑分けすれ(バラせ)ば色々使えそうだと思えてしまう。

 

ああ、認めてやろう。

これは私の、興味を唆る。

 

随分と私の手を煩わせた、それだけの価値があるだろう。

 

 

「…お、おお。目ぇ覚めたみたいやね!…どないや、怪我の具合の方は?」

 

それは、やっと私が目覚めたことに気づいたというように振る舞う。

 

実際は、すぐに気づいていたくせに。

まるで子栗鼠が走り回る足音かのように、忙しなく疾る心臓の音が、どこか滑稽で、しかし健気にも思えて、なんだか少し…可笑しい気分だ。

 

しかし、ふむ。

怪我の具合か。

 

機能不全を起こしている部位を見る。

何かが塗られ、布の端切れを巻かれているようだが…。

 

なんだ、凄まじく下手くそなようだが、これは即席の魔術薬か?

…花の蜜を媒介とした、せいぜいが化膿止め程度の効能だな。私の機能不全を改善できるほどのものではないだろう。

 

それにこの魔術のクセ…教えたのは、あの人でなしだな。

相変わらず中途半端な仕事ぶりだ、どうせ丁寧に魔術を教えることを面倒くさがったのだろう…そういうところが不愉快なのだ。

 

 

「…ありゃ、傷が痛むんか?…すまんなぁ、碌な薬がなくって…とりあえず悪化しないよう傷を洗って、急拵えのモンやけど、化膿止めだけ塗らせてもろたで」

 

…ほう?

薬の出来栄えは下手くそとしか言いようがないが、存外と効能は正確に把握しているようだな。

 

…ふむ、少し試してみるか。

 

「この薬、貴様がこの場で作ったもののようだな」

 

「…は、はい。その、未熟なモンで申し訳ないんやけども…」

 

「未熟か、その通りだな。随分雑な作りだ、よほど師の教えが下手くそだったと見える…」

 

「…ん、な?!ちょ、ちょいちょーい!失礼やで~!?…って言い返したい気持ちはあるけど…言うほどキチンと教えてもらえたわけでもないってのは事実やしなぁ…。いや、ワイが未熟なだけってのも本当やし、お師匠さんのことは悪く言わんといてや、一応は」

 

「卑屈だな。そして訂正しろ、貴様が未熟故に至らなかったのではない、師の教えが下手くそだった故に未熟な薬しか作れんだけだ。…少なくとも、貴様はこの下手くそな薬の効能を正確に把握している、そうだろう?」

 

「え、ええ…?まあ、効能を理解していると言うなら、ハイ…」

 

「ならば、もっとマシな薬も作れたはずだ。それができなかったということは、師が悪かったという他にない。そもそもだ、こんな花もろくに咲かぬ深い森で、わざわざこの時期に薬の媒介となる花を探し出すなぞ非効率極まる。よく探し出せたものだな、こんな薬に使う花を」

 

「は、はい…確かにその通りです…花は、あの、ちょっと探せば見つかったっちゅうか……あの、なんだか、すんまへんね…へ、へへ…」

 

探せば見つかった、か。

まさかとは思っていたが、やはり自分の才能に気づいていないらしいな。

 

上出来だ。私が価値を見出しただけのものであるから、当然でもあるが。

…しかし…

 

「…それはなんの謝罪だ。多少の卑屈は赦すが、過ぎれば不愉快だ。…そして、やはりな。認めろ、お前には薬毒を扱う才能がある。あくまで師が悪かっただけだ、いいな?」

 

「は、はあ。…ワイにそんな才能があるって言ってもらえるのは、その、嬉しいわ。…へへ、ありがとうな!」

 

「……チッ、その純粋さは凄まじく不愉快だ。それならまだ卑屈になられたほうがマシだ、今すぐその笑みをやめろ」

 

「…あの……いえ、ひゃい…」

 

ふん…嫌悪する存在(アルトリア)のことを思い出させるような、気色の悪い純粋さだ。

 

 

まあ、良い。

 

腑分けする(バラす)のは後回しだ、その前に…あの人でなしの鼻を明かしてやるとしよう。

 

「おい、貴様。名はなんという」

 

「え?…ワイは、ワイと申しますやで」

 

「…貴様、自分のことを名前で呼び言い触らしているのか?気色の悪い奴だな…」

 

「ちょ…い、いきなりなんやねん…やめてや?ワイの心は硝子なんやで、今すぐ泣きじゃくって転げ回ったってええんやぞ?そないなみっともないもん見たいんか?」

 

「やってみろ、その不愉快さに免じてなるべく惨たらしく貴様の息の根を止め、剥製にしてやる」

 

「…は、はは…じょ、冗談やん…へ、へへ……ちゅうか、ワイは名乗ったんやから、お嬢さんの方もお名前は何て言うんや?」

 

「…ほう?貴様、私の名を()()()とは、随分と良い度胸をしている。…少し、気に入った。いいぞ、ならば名乗ってやるとしよう…」

 

「…あ、やっぱいいです。あの、遠慮します…あの、お口チャックして?ね?ね?」

 

「私は、モルガン。妖精モルガン(モルガン・ル・フェ)。…貴様は我が名を求め、私はその求めに応じた。これは我が祝福、我が契約だ。…喜べワイ、()()()()()()()()()()()()()

 

「…?…モ、………ンも゜ッ!?!?」

 

 

……フッ、人でなし(マーリン)の魔術がどれほど雑で幼稚なものだったかを教え込み、私の方が師として優秀だと心から認めさせる。実に良い気味だ。

 

そして…守りきれなかったどころか、弟子まで奪われた管理者気取りの覗き趣味め、攻守交代といこうじゃないか。

()()を取り返しに来る貴様を、今度は私が、(ことごと)く撃ち落としてやろう。

 

 





▼モルガン・ル・フェ(リリィ)

妖精モルガン。
ブリテンの落とし仔。
アルトリアに父王の愛を奪われたことを憎悪する妖妃。

先王ウーサーの娘であり、アーサー王の姉。
アルトリア/アーサーへ、偏執的なまでの嫉妬と憎悪を抱く、災禍の魔女。
円卓の騎士に名を連ねることになる「ガウェイン」「アグラヴェイン」「ガレス」「モードレッド」の母となる人物でもある。


その血に妖精と人のものが混ざっており、ブリテンの運命に対して『与えられた役割』が多すぎたため、精神および魂への高負荷を原因とする「役割に応じて人格を切り替えてしまう、多重人格者」としての兆候が、この頃には既に出始めている。

その人格は、一つは「アルトリアの姉」、一つは「星を愛する妖精ヴィヴィアン」、一つは「ブリテンの仔にして人を支配せんとする悪の女王/ファタ・モルガーナ」である。

今回の作中での人格は、ファタ・モルガーナとしてのモルガンであり、支配欲とアーサー王(…となるアルトリア)への対抗心が強く現れている。


マーリンがワイとモルガンを接触させようとしなかったのは、成人するまでのモルガンの人格分裂はまだ不安定であり、自らの意思でスイッチできているわけではない状態であるため。
…つまり、どうなるかがマーリンでも予測できない危険人物だったため、決してブリテンにとって異分子であるワイを接触させたくなかった。

ちなみに、マーリンがワイを処分するかどうか迷っていた要因の一部は、これのこと。
…これを前提に考えると、いつの日か『なぜ処分しなかった!?』と思われても仕方がないことだろう。


なお、モルガンは成人する頃には、自身の人格を完全にコントロールできるようになっている。
(マーリンは未来のことなど把握していないので、そんなことは知らない。)

ただしそれは、ワイとの接触がなかった場合の、「原作改変なしのモルガン」の場合である。
ワイとの接触により、将来どうなるのかが未知数となってしまった。
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