ワイ卿、Fate世界の円卓の騎士になる。   作:サーッ・タドコロ

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たくさんの高評価と、滅茶苦茶にいっぱいの…1000オーバーものお気に入りと、たくさんの感想を、本当に本当にありがとうございます。

これは寒いからなのか、異常な速度で評価が伸びていることに怯えてるせいなのか、とにかく体の震えが止まりません。
頂いた感想が本当に暖かくて、冷えた指先にじんわり滲みます。感謝…。


※注意・感想欄について
・作者返信のせいで感想欄が「ややネタバレ・閲覧注意」状態になっています。すみません。
・モルガンに関する可愛いイジり系の感想が増えています。ネタバレを覚悟した方だけ自己責任で閲覧してください。

・すみません、砂糖の登場時期を勘違いしてました。蜂蜜に変更してます。プリンが砂糖不使用→蜂蜜使用(ただし分量要調整)で作れてよかったです。




6:ワイ、イン・ザ・コーンウォール

 

ようお前ら!元気にしとるか?

ワイは(ハッソゥ!マッソゥ!)元気やで!

 

 

モルガンちゃんを背負い歩き続けて半月ほど。

そろそろワイの腰も膝も、筋肉超人バトルの終盤くらいには限界に近づき、それでも手作りの杖にワイの体重の一部を肩代わりしてもらいながら、なんとか森を抜けて目的地にたどり着いたんや。

 

え?お前それ、ホンマに元気なんかって?

そんなもん、もう元気があるかないかもわからんに決まっとるやろ。

 

子どもの体で暗中の森でサバイバルって、そんなん無事でいられるわけないやん。

そういうんは、ちゃんとした装備や食料がある場合か、創作の中だけの話や。

 

そりゃあ、とっくのとうに限界や。

それでも元気って言わんと、元気があるんやって思わんと、足が止まりそうになってまう。

 

幸い、ワイの目的地は決まっとった。

どのくらいで着くかも、道行きも、ちゃんと教えてくれる人も一緒に居った。

だからなんとか、ワイは歩き続けていられたわ。

 

…まあつまり、こんなんでも一応ワイも、創作みたいなラッキーマンだったってことやね。

 

 

そういや、ここってアーサー王伝説の元になった時代と国やったな。

もしかして、ワイも登場人物ってことになったんやろか?

 

サーンキュ♡やでマーリン。

成り行きだったとは言え、あんたが拾ってくれたおかげで、ワイの運命力?っちゅうやつも、それなりのもんになっとったらしいわ。

 

 

んで、森を抜けるとそこには、リンゴの果樹や様々な花々で彩られた美しい光景が広がり、

 

「ようやくか。随分と時間がかかったようだが、まあいい。まずは工房に行くぞ、()()()()()

 

…そこへ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

ワイは、怪我を負ったモルガンちゃんを背負いながら、もう一人のモルガンちゃんに案内される。

そうして導かれるままに、コーンウォールに構えられた魔女モルガンのお屋敷…そしてその工房へ向かっとる。

 

…いや、みなまで言わんともええ。お前らの疑問くらいお見通しやで。

なんでワイが「ンちょいちょいのちょーい!?モモッモ、モルガンが二人おるやんけーっ!?!?」って突っ込まんのかってことをな。

 

無理言わんといてや、最後の方はもう喉カラッカラやったんやから、今は一言も喋れんわ。

後でちゃーんと突っ込むから、ちょっと待っとってや…。

 

 

道中は静かで…いや、静寂と表現する他無いほど、もしくはその表現すら似合わないほど、音が欠けていた。

耳に響くのは、疲労が限界で少し荒くなっていたワイの呼吸と、靴裏に砂や土が噛んでジャリジャリと鳴るブサイクな足音ばかり。

 

そこに、ほんの僅かばかりの…ト、ト、ト…という、まるで小鳥が歩いているんやないかというほどに、とてもとても小さな足音が微かに混ざる。

 

耳に響くのはそれだけで、それ以外の音は一つもない。

ワイとモルガンちゃん以外の、命の音も、空気の音も、塵が舞い落ちるほどの…無いと言っていいほど小さな音すら、ここには無かった。

 

「ここだ、()()はその台の上に寝かせろ」

 

工房内へと招かれたワイは、言われるがままに怪我をした方のモルガンちゃんを台の上に寝かせた。

…残念ながら、歩けるほどにまで怪我は治っておらず…一応毎日、水の魔術で洗うようにはしていたものの、今は少し膿んでいるようにすら見える。

 

目的地へと向かっている最中、途中から急に森の様相が変わってしまい、昨日まで見つけられた薬草が取れなくなってしまったんや。

代わりになるものをなんとか探して、すると今度は道中で飲み水が手に入らないことに気づいて…ずっと川の近くを歩くよう気をつけとったはずなのに、まるでさっぱりと消えてもうたかのように水の気配がなくなってなぁ、とんでもない話やで。

 

つまり、ワイは、油断してもうた。

怪我人が居る状況で、ライフラインを見失った。

 

ワイのせいや。

そうと気づいてからの、ワイの焦りは酷かった。ともかく急いで森を抜けなアカン!って、ペースも考えずに夢中で目的地に向かって走った。

 

で、ペース配分を間違えた結果、全然早く着くこと無く、結果としては予定通り…いや、ペースが遅かった場合くらいの期間、森の中で過ごすことになったっちゅうわけ。

そりゃ、モルガンちゃんに「ようやくか」なんて呆れられてもしゃーないことやで…ペースを守っとったら、もう数日は早く森を抜けられたはずなのにな…。

 

やっぱ、遭難したときこそ慌てちゃいけないんやね。

もうこんなこと、ホンマのホンマに勘弁やで。

 

「…いつまでそれを見ているつもりだ。それの()()は後で行う、今はそこに置いておけ。貴様はこちらだ、着いてこい」

 

…まだ歩くん?

あのぉ…申し訳ないんやけど、その、ちょっと…その前に、水の一杯くらい貰えへんかな…マジでもう、そろそろ限界や…。

 

 

ブッハァーーーーーッッ!!生き返るぅ~~~~♡

 

ブリテンでこんなちゃんとした水を飲めるなんて、ホンマ美味しくって元気ハツラツやでぇ!!

前世がある(と思う)ワイにとっちゃ、日本の田舎の蛇口から出る水の方が断然美味しく、恋しく感じるけどな!

 

「大袈裟だな、魔術で生水から不純物を取り除いただけの物に。…フッ、しかしその程度の魔術すら使えなかったとは、よほど師の教えが悪いと見える」

 

…いや、もう、ホンマにそれについてはもう、返す言葉がないわ。

こんな便利な魔術があるんなら、そういうやつこそ真っ先に教えたってや、マーリンのカスがよぉ…。

 

マーリンが見せてくれたような、ドバァーッ!!と水が出せる魔術なんてワイには使えんかったし。

一応ピチピチチャパチャパと出せるようになったものの、魔術で生み出した水じゃあ飲み水に使えんかったし。いや、お掃除や水浴びには便利やったけども。

 

そんで、「ワイが使える水の魔術って、ホンマに日常のちょっとした便利以外の何で役に立つんや?」ってずっと疑問やったもんな…。

 

「水を生み出す魔術は、基本にして高等な術ではあるが、それよりも元ある水を魔術で使役するほうがはるかに容易だ。いや、水を創造する魔術と、水を従える魔術の違いも教えていないということなのだろう、本当に腹が立つほど中途半端で雑な教えだ…。…まあいい。私が新たに、一から、貴様に魔術というものを教え直してやる。人でなし…前の師から教わったことは、一度すべて忘れろ。いいな?」

 

お師匠様の言う通り、マーリンの教えは基本的に全部感覚やったからなぁ…。

一応わからんことをアレコレとワイなりに尋ねてみたけども、「君が加護をコントロールできる程度に魔術を教えられればいいだけだからね、それ以外は気にしなくてもいいよ」って言うて…アカン、なんかあのカスを師匠だと思っとったのが間違いな気がしてならんくなってきたわ。

 

それはそうと、マーリンが必要と思ったこと以外は何も教わっとらんから、水の創造と使役に魔術的な違いがあるなんて、言われるまで気づかんかったわ。

言われてみれば、確かになんか全然違う筋肉を使う…みたいな感覚やったんよなぁ。

 

「…加護か。気になってはいたが、貴様のそれは一体何だ?古き神秘による加護(もの)のようだが、…あの人でなしのものではあるまい、何者から与えられたものだ」

 

ああ、いや、それがワイにもわからんくてなぁ。

なんや、水・火・風の三重属性がウンタラカンタラ…ってだけは聞いたけど、それで結局この加護は何なんや?ってのは、そういや教えて貰えとらんわ。

 

「…ふむ。最初こそ懐かしいものだと思ったが、よく見れば酷く気味の悪いものだな…」

 

ええ…。

なんか、同じようなことをマーリンも言うとった気がするけど、この加護ってそんなキモいやつなんか?

 

…ちなみに、キモいのは加護であってワイの方ではないってことでええよな?

 

「…見れば見るほど気味の悪い、これではまるで神秘で編み上げられた迷宮(オリ)だな」

 

その「見れば見るほど」ってのは、ワイやなくて加護の方でええんよな?

ワイの方をジロジロ見とるけど、加護の方よな?

 

「…あの人でなしは、これを、アレに…」

 

あの、ワイはキモくないってことでええよな?

 

…あの、お師匠様。

なんや、急に手を伸ばして…ワイの顔がどうかしたんか?

 

あ、まってや、何も言わんといて。

ワイの顔がちょっとアレなんはワイがいちば…えっ、そんな両ほっぺを挟むように顎を持って…アゴ、ク・イ…?♡

 

…あイダダダダダダダ。

ちょちょちょ、お師匠様。爪が食い込んどる、コンドルみたいな爪が食い込んどる(コンドル)…アギッ!?

 

冗談!!冗ぅー談ですぅ!!嘘嘘嘘!!ホンマちっちゃくて可愛い綺麗なお手々ですぅ!!

ンギョオオッ!!ほっ、ほっぺがっ!!ワイのプリちぃなもちもちエンジェル両ほっぺがエンゼルリングになってまうぅぅっ!!

 

ンパッ……んほぉ~…ひぃ~、あいちゃちゃちゃ…あの、ホンマになんです…?

ちゅうかワイのほっぺ、今どうなっとるん?…水とか含んでもピュウピュウ抜けてったりせんよな?

 

「…そうだ、こんなもの、気にするほど特別なものではない」

 

すんません、お師匠様。

今ほっぺに穴が空いとらんか舌で触って確認中なんで、ちょっと待ってな。

 

 

…その後、お師匠様はホンマに何事もなかったかのように、ワイが生活する寝床へと案内してくれた。

 

さっきの行為に何の意味があるかはわからんかったけど、意味のあることはキチンと長文で説明してくれるお師匠様がなんも言わん。

ちゅうことは、特別意味のある行為じゃなかったってことか?それとも、説明せんことに意味があるっちゅうことなんやろか。

 

そういうことなら…自分なりに意味を考えるとするなら、多分お師匠様なりの躾みたいなもんなんやろか。

マーリンは犬扱い、エクトル卿は鉄拳制裁、お師匠様…モルガンちゃんは爪で傷をつける。

 

忍者が体に傷を付けて記憶するっちゅう記憶術のそれと同じ感じなんか?

シンプルに嫌やなぁ…しっかり勉強頑張ろ…。

 

とりあえず、水飲んで元気が出たし、怪我をしてる方のモルガンちゃんの様子を見に行ってええかな。

本当は治るはずやったのを、ワイが薬を作れんかったからああなっとるんやろ。せめて、看病くらいワイにさせてや。

 

 

──こうして、ワイの小さな小さな冒険は、どうにかこうにかゴールを迎えることができて。今度はほんの短い間の、ワイとモルガンちゃんだけの不思議な生活が始まったんや。

 

 

 

 

次の日。

モルガンちゃんとの生活、1日目。

 

 

ぼんば、ぶびばべんべびば(ホンマ、すみませんでした)

 

「謝罪は受け入れん、次は無いと思え」

 

 

ワイは寝起き早々、モルガンちゃんに「来い、案内してやる」と言われて、屋敷のどこかへと連れ出されとるとこや。

 

ワイの顔面がボッコボコのパンッパンになっとるのは、お師匠様が昨日のワイを寝かせる?ために、気絶するほどぶん殴ったからやね。

で、一日経ってこんなに腫れ上がってもうたらしい。

 

いや、本気でぶん殴りすぎやろ。

ちゅうか、眠らせるだけなら魔術でなんとかできんかったんか。知らんけど。

 

 

この顔については、後で魔術薬の効能を確かめるための教材になるからそのままにしておけって言われとる。

 

いや、会話はどうすんねん?って思ったら、師弟なんやから念話でいいだろって言われたわ。

…念話の方法なんて教わっとらんけど、どうすりゃええんや?

 

結局やり方が分からず、ブリブリと唇を震わせながらなんとかこうして喋っとる。

一応これでもお師匠様には伝わるみたいで、会話に支障がないことは助かった…助かっとるんか?

 

 

どうしてこんな事になったのか。

 

怪我をしとった方のモルガンちゃんの看病をしようと動き出したところ、いきなり「煩い、黙れ。」とだけ言われてぶん殴られ、そのまま殴打の連続…。

アカン、死ぬぅ!?って思って、意識を手放して…で、次に気がついたら部屋に備え付けてあったフッカフカのベッドの上で寝とった。

 

目覚めたワイは、知らない天井や…って思って、誰もいない部屋で上体を起こして、ここはどこやとあたりを見渡し…。

…ふと気が付けば、すぐそこにモルガンちゃんが居った。チョチョチョ超スピード!?

 

モルガンちゃんはワイを一瞥だけして、ワイを立たせて連れてって、相変わらず鳥の足音みたいな静かな歩調で前を歩いて…そんで今はココってことやねん。

 

 

で、ワイはいったいどこに案内されとるんやろか。

 

煩いって言われてボコられたのがちょいトラウマで、下手に尋ねるのが怖い。

一応謝ってみたけど、まったく許してくれへんし…。どないしよ…。

 

そうして、さっき謝った一言を最後に、会話のないまま歩みだけ進む。

…にしても、ちょっと筋肉痛っぽいのが残っとるな。脚の関節全部がギシギシいうとる。まあ、歩くだけなら問題ないやろ。

 

「…痛むのか」

 

え?

 

あ、ハイ。顔面全部ずっとジンジンしてます。

すんませんけど、薬作りはいつ頃になります?できれば早めが嬉しいです。

 

「脚の方だ。…痛むのか、答えろ」

 

?…まあ、このくらいなら、ほっといても…。

 

「黙れ。…少し楽にしてやる、そこを動くな」

 

ら、楽にって…なはは、ちょ、か、勘弁してや~(笑)

…あの、これ以上なんかされたらホンマに死んでまう…。

 

「もう済んだ。…着いてこい」

 

え、なに…?なにぃ…?

 

 

……あっ、少し楽になっとる…。トゥンク…///

 

 

 

 

「ここだ」

 

そう言って案内されたのは、真っ白に艶めく、清潔感溢れた調理場だった。

 

 

エクトル卿の厨房は、土間に鍋を煮るための竈と調理台があるくらいの、かなり質素なものだ。

それと比べて、モルガンちゃんに案内されたここは…一応調理場とわかるものの、どちらかと言うと「魔女の工房」という言葉が思い浮かぶような場所だった。

 

竈はあるが、そこにどれほどの大鍋を乗せて火にかけるんだというほどに、堂々たる巨大な竈がズンと鎮座している。

光沢を放つほどツルツルピカピカに研磨された石材製の調理台の上には、いくつものガラス製の容器が並んでいる。

 

そんな、一見すると実験室にしか見えない場所だが、ガラス容器の隣に不自然に並ぶ野菜や肉などの食材が、この空間をギリギリで調理場だと演出していた。

 

 

「お前は料理が得意と言っていたな」

 

そう言ってモルガンちゃんは、物体を宙に浮かす魔術なのだろうか、調理台の上から…金属?宝石?製のナイフを手元に呼び寄せ、それをさらにワイに向けてきた。

 

「道具と材料は用意してやった。特別だ、貴様も同じものを食べて良い。この私に作ってみせろ」

 

…ま、まあ。

エクトル卿のとこで料理番を任せてもらってたから、やらせていただきますけども。

 

な、なんや…変なプレッシャーを感じるっちゅうか…。

あらためてこうして二人とも立って面と向かってみると、モルガンちゃんの方が少しだけ背が高くて…そのせいなんやろか、威圧感がある。

 

ちゅうか、怪我した方のモルガンちゃんも、こっちのモルガンちゃんも、違いがわからんくらいほとんど一緒なんやな。…分身ってことか?

そういや、そのことも突っ込もうと思っとったけど…とりあえず、飯作ってからにしよ。

 

余計なこと聞いてグーパン飛んできたら、今度こそ死ぬ自信がある。

ほんで死ぬ前に、せめて最後に美味い飯を食っておきたいわ。

 

 

さて、じゃあ作ってみようかと思ったんやが…。

 

凄いな、お酢も油も、塩も蜂蜜も、バターもチーズも、すんごい量が並んどる。

何なら卵まで…鶏の鳴き声なんて聞こえへんけど、どっから用意したんや?

 

どないしよ、卵がこんなに使えるんなら、プリンが食いたいな、プリン。

でもなぁ、この時代の卵って滅菌処理が出来ないから、安全に作れるもんじゃないんやないか?

 

…いや、よう考えたらいつも水の魔術で野菜を洗っとるのと同じ要領で、卵の滅菌処理みたいなことも出来たりせんやろか?

普通の水洗じゃ無理でも、水の魔術なら不可能じゃない…と思う。卵にソレをやるのは初めてやから、間違って割ったりしないかって不安やけど。

 

で、やってみたら魔術の圧で卵が割れたりせずに、あっさり上手くいったわ。

流石ワイや、しょっぱい出力で魔術を放つことに関しては相当な自信を持ってええかもな!

 

んじゃ、デザートはプリンにするとして、普通の飯も作らんと…。

 

 

そんでもって、出来たで!

ワイ特製、何かの肉の唐揚げ・マヨネーズ添えや!

 

衣には小麦粉(…だと思ってたけど、正しくは(オート)麦粉だってお師匠様に訂正された)を使って、あと異世界転生では定番のマヨネーズを作ってみた。

こんだけ油も卵も使い放題やったら、そりゃあ作ってみたくなるやろ、異世界転生のド定番料理。

 

ただし、肉は何の肉かわからんかったから、とりあえず何でも唐揚げにしてみた。

卵があるんやし鶏肉なんかと思ったけど、ちょっとようわからんかったわ。

 

一応味見して確認した分には、どの肉も歯ごたえが固すぎるとか食味が悪いってことはないから、まあモルガンちゃんでも大丈夫やろ。

 

 

…しかし、よう考えたら、あんなほそっこい女の子に出す料理ではなかった気がする。

ガキ・わんぱく・ガキのアルトリアちゃんやったら、掃除機みたいに吸い込んで食う姿が想像できるけども。

 

いやいや、そうでなくても女の子だからって、どんくらい食べられるかっちゅうのは別として、そないに唐揚げが嫌いってこともないやろ。

それに中学生くらいの年頃なら、どんなに細くたってバクバクモリモリ食っててもおかしくない。

 

なんなら、むしろ女子のほうがカロリー大好きなんや。

「お菓子は別腹」とかいう意味わからん理論で、摂取カロリーをねじ伏せるバケモンどもやしな。圧縮すればカロリーはゼロにもなるし。

 

せや、もちろんプリンも作ったで!食後のお楽しみや♡ルン♡

 

 

 

 

「油煮か?それにしては随分表面が固いな…」

 

「ほう、これは…思ったより悪くない歯触り、そして度し難いほどに暴力的な味だ」

 

「高級な材料…などと俗な言葉だが、それらを注ぎ込んだという割に、土気色をした粗雑な見た目…フッ、良いではないか。一目で愛されるような見た目のもの(とくべつなそんざい)が優れている訳では無いというところが、特に良い」

 

「このマヨネーズというものも、味は悪くない。だが色味は気に食わん、黄色はやめろ、もっと白くしろ」

 

 

「なんだ、まだあるのか。…これが蒸し焼き(プディング)だと?何だこれは、肉も野菜も使っていないのか」

 

「ふむ、甘い菓子に仕上げたということか。特に甘味を好むわけでもないが、どれ…。…ふむ…。…黙れ。貴様ではない。煩い、邪魔だ。鬱陶しい。…、……」

 

「………」

 

 

「……悪くなかった。朝、夕と、必ずこれを出せ。他は貴様の好きに作れ」

 

「待て、3…いや、そのたびに10個は作っておけ。…甘味は一時的な機能の向上、特に集中する場合に適しているからだ、それ以外の理由はない」

 

「まずは、今回の分の残り9個を用意しろ、今すぐにだ」

 

 

「おい。遅いぞ、まだできないのか」

 

「…待て、何だそれは。オトコの特大プリン?それが貴様の分だと?」

 

「ふざけるな。私は貴様に同じものを食べて良いと言った。お前だけが食べて良いなどとは言っていない」

 

「それは私が食べる。貴様も食べると言うなら、別に作れ。…中身は普通のものと同じ?あの人でなしを想起させられる、不愉快極まる理屈だな。今回は特別に聞き流してやる、二度とそのような理屈を並べるな」

 

 

「?…何を言う、その普通のプリン9個も私のものだ」

 

「食べ過ぎだと?…それを言うなら、そもそも私に有機的な食事など不要だ。食べ過ぎも、食べなさ過ぎもない、これはあくまで一時的に機能を向上させるための手段にすぎん」

 

「食事量についてのこれ以上の問答は不要だ。ともかくだ、もし新しいものを作るなら、必ず私が食べてから、貴様はその後に食べろ。いいな」

 

 

「…フッ、それでいい」

 

 





▼現代魔術史における、モルガンのフォークロアについての見解

妖精。魔女。落とし仔。

ブリテン島の所有者。
邪悪な黒魔術を行使する魔性。
アーサー王を癒し、その身を護る役割を持つ者。

など。など。など。


モルガンにはいくつもの民間伝承や伝説が存在し、内容によって土地も役割も性格も様々だ。

同名の別存在と考えるべきものも多いが、一概にただ同名なだけの存在とも言い難い。
また、いくつもあるモルガンのフォークロアは、どれが正史であり、真実と偽りなのか、未だに定かではない。

理想主義のアーサリアン共が、アーサー王伝説を自分好みに書き換えながらいくつも派生させたように。
モルガンのフォークロアもまた、幾人もの著者の都合のいいように書き換えられたものばかりである。…長い間、そう考えられてきた。


しかし、可能性の話として。

少なくとも魔術史においては、それらのいくつものモルガンのフォークロアは、ほぼ全てが同じモルガンを元にした話だったと考えられる。
どれが真実かを比較し論じる資料には乏しくとも、この可能性を否定できる資料は未だ発見されていない。

これを否定することは、モルガンの実在を否定することにほかならない。
そして、魔術史においては、モルガンは実在したと判明している。

つまり、モルガンは遍在したのか、全ては一人のモルガンだったのか。論じるべきはこちらだろう。
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