ワイ卿、Fate世界の円卓の騎士になる。   作:サーッ・タドコロ

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たくさんの高評価、お気に入り、感想をいただき、本当にありがとうございます。
誤字報告、大変助かっております。感謝…。

ここまで感想全返信を楽しませていただいておりましたが、自己管理が甘く若干寝不足になってきてしまったため、いったん返信中止にさせていただきます。
返信したい(楽しい)のですが、私生活に影響が出ては元も子もないため、急な中止となりますがお気になさらずにいただければと思います。
その分、執筆と体調管理にリソースを割きたいと思います。オッスお願いします。


※注意
・ワイの考えてることなどが、いつも通りですがちょっと汚いです。



7:ワイ、ザ・マジック・ワンド

 

ようお前ら!元気にしとるか?

ワイは(今度はちゃんと)元気やで!

 

 

モルガンちゃんとの生活は、ふとした時に死の恐怖を感じることはあるけど(はあ?)、毎日良いもん食わせてもろてるし、モルガンちゃんが…あいや、お師匠様がそう言ってくれたように、ホンマにマーリンとは比べ物にならんほど丁寧に魔術の師として教え導いてくれて、ワイとしてはかなり楽しい日々って感じや。

 

もちろん、魔術の勉強だけやのうて、エクトル卿の教えの通りに騎士として…まあ、そうなれる見込みは薄いけど…騎士としての特訓も毎日欠かさず行っとる。

ちゅうても、いつもチャンバラ相手になってくれとったケイ義兄ちゃんやアルトリアちゃんが居らんから、まあ一人稽古ってやつしかやっとらんけどな。

 

あ、もちろんちゃんとお師匠様から許可もらっとるで。

勉強に支障が出えへんならやっていいって、お師匠様から言われとる。

 

…なんや、みんなが言うほど話が通じん人じゃないんよなぁ。

そりゃ、たまに…割と…結構、クッソ怖いけど…。

 

 

ホンマはエクトル卿に心配かけんために、すぐにでも家に帰してもらえんか相談するべきなんやろうけど…。

お師匠様が「あれの外郭の修復技術を貴様に教えよう。貴様にとっては肉体の修復の魔術となるものだ、修得しておけ」って言われてて。

 

…つまり、怪我した方のモルガンちゃんはワイが治していけってことらしくてなぁ。

お師匠様は本気でそのまま放置する気みたいやし…エクトル卿には申し訳ないけど、ちゃんと治してから家に帰して貰おうとおもてな。

 

で、それはそれとしてエクトル卿に心配かけたくないからって、今はお師匠様にお願いして手紙の一つでも書かせてほしいってお願いしとるところやね。けど…

 

「…なんだ、これは?」

 

ワイが書いた手紙をお師匠様に見せてみたんやが、なんや見たこともないような苦々しい顔をしとる。えぇ…?(困惑)

 

なんや、よう気づかんかったけど、ワイってそんな字が汚いんか…?

まあ、キーボードポチポチで文字打っとる世代(だと思う)やからね。許してやで!

 

「…貴様、文字の書き方は誰に習った?」

 

?…そういや、言われてみれば誰にも教わっとらんな。

 

まあ、生活の中であんまり文字を書く機会って無いし…少しはあったけども。

それに、まだ座学も口頭講座か読んで勉強するってくらいやったからなぁ。

 

言うなれば、読みながら文字を覚えたって感じやと思う。…あれ?まあ、最初から読めてたけどな。

ちゅうことは!?もしかしてこれがいわゆる、転生特典ってやつなんか!うっひょー!!

 

 

「……。…なるほど。私の書く文字を、そのまま書き写してみろ」

 

そう言ってお師匠様は、ワイ書いた手紙の端っこに「モルガン・ル・フェ」って書いた。

いやあの、それワイの手紙…あ、はい、書きます書きます…。クゥン…。

 

んじゃ、えーと。…も、る、が、ん…る、ふぇ…と。

フッ…どうですか、お師匠様。ちょっとだけ丁寧さを意識してみましたよ。採点オナシャス!

 

「……」

 

……。

………。

 

あの、お師匠様。なんでそんな激渋顔を…。

で、できれば、100点満点やなくて、10点満点中の1点とかにしてもらえへんかなぁ~?なんつって…。

 

「……気にするな、()()していただけだ。やはり読めているのか…理解した、だが貴様の文字ではエクターなどはまともに読めんだろう。手間だが、私が読み解き書き直したものを送るとしよう」

 

そ、そこまで…?(涙)

 

いやっ、ちゅうかお師匠様の代筆ぅ!?

ちょちょちょっ、そんな流石にそれはぁ…。

 

「読めんものは読めん。そんなものを送ってどうする。まず、手紙を送る手間を掛けてやると言っている、そしてその手間を無駄にするなという話でしかないものだ。貴様が書いたこれは私が預かり、送り終えたら伝えよう。それでいいな?」

 

いや、それはそうなんやけど…あー、うー…。

 

じゃあ、あの、ほんまスンマセン…!

重ね重ねご迷惑おかけしますぅ、よろしくオナシャス!

 

「送ってやると言った、何度も言わせるな、もう一度同じことを言えば殺す」

 

あっ、ハイ。

了解です、お師匠様。オーケー、お口にチャックやね。チィーッ!

 

 

…じゃあ、手紙は書き終わったっちゅうことで、食事の準備に入らせてもらうわ。

一応確認なんやけど、なんかリクエストはありますん?

 

「貴様の好きにしろ。プリンだけは必ず用意しろ」

 

んもー!何でもいいっていうのが一番困るんだからねぇ!ぷりぷり!

あーもう、調味料のバリエーションが思ったより少なくてなぁ…今あるもんで好物が作れたらそれが良いんやけど、一々ちゃんと褒めてくれる?良さげなレビュー?の割に、プリンほどの食いつき方しないし…。

 

やっぱまろみが足りんのやろか?

出来るかしらんけど、醤油でも作ってみようかしら…。

 

そんじゃあ、ちょっと厨房に入っとりますんで、できたらお呼びしますねぇ。

 

「ああ。…待て」

 

おっとっと!

探そう、珍しい海洋生物!

 

…あ、ハイ。なんでせう?

 

「文字を丁寧に書いた、と言ったな。私の文字を手本に書いたと言うなら、貴様のこの文字は、これに似せて書いたということか?」

 

え?…まあ、そりゃあ、こんな綺麗な文字なんやから、お手本にさせてもらいましたけど。

 

うーん、頑張ったけど、やっぱお師匠様みたいな滑らかさはないなぁ。

結構、文字の形とかは頑張ってみたんやけど、変な歪みがあるっちゅうか…。

 

ペン字検定って時間をかけてまで取って、結局キーボードで文字打つ時代でなんかの役に立つんか?って思っとったけど、こう見ると欲しくなるよなぁ。

 

「そうか。もういい、行け」

 

…ありゃ、それだけ?

ま、まあ。行きますけども…。

 

…まあ、お師匠様が何も説明せんっちゅうなら、まあ…。

うーん?今回は何の意味があるんやろ…躾ってわけでもなさそうやしなぁ…。

 

 

「……」

 

 

 

 

そんで、食事ができて、モルガンちゃんを呼んで、一緒に飯を食ってる最中。

 

 

「手紙は届けた。何もなければエクターは今頃、貴様の手紙を読んでいるだろう」

 

はやっ。

 

今日の今日やで?

相変わらずブッ飛んでんなぁ、お師匠様…。

 

でも、すぐに届いたほうがエクトル卿の心配も減るだろうし、ホンマありがとうございますやで!

 

「返事はどうするか聞いてやったが、直接話をつけに来るそうだ。…この地、コーンウォールにではないがな、到着したら話を聞いてやる」

 

話をつけに来るって…もしかして、迎えに来てくれるってことなんか…?

エ…お、お義父ちゃん…!

 

こうしちゃおれん!

ほんなら、お義父ちゃんが来る前に、モルガンちゃんの怪我を治せるようにならんと!

 

せっかく迎えに来てくれたのに、まだ帰れませんなんて言うたら、またあのバケモンみたいなゲンコツ食らってまうで!わはは!…はわわぁ…。

 

「?…何を言っている、どこへ帰るという話だ」

 

んえっ…?

あの、お義父ちゃん…エクトル卿が迎えに来てくれるって話なんやろ?

 

「そうだな、直接出向くと聞いた。それで、貴様は()()()()()という話をしているつもりだ」

 

そのまま、モルガンちゃんは「それは当然のことだ」という様子で、ただ平坦に言葉を続ける。

 

「私の弟子ならば、ここが貴様の在る(かえる)べき場所だろう。それが、エクターと何の関係があると聞いている」

 

…あ、……あの………。

 

 

モルガンちゃん、お願いや。

お義父ちゃんが迎えに来たなら、ワイは一緒に…エクトル卿の家に帰りたい。

 

「…なに?」

 

でも!

弟子としてっちゅう話も、わかりますやで!

 

だから、お師匠様にワイから教わりに行かせてもらいます…いや、そうさせていただけますと幸いですってな話なんやけど。

…だから、帰る場所は…お義父ちゃんのところがええんや。

 

お義父ちゃんは、こんなワイのことを実の息子やって言うてくれて、大事に育ててくれとる。

モルガンちゃんとの生活は、正直めっちゃ居心地がええけど…でも、お義父ちゃんが迎えに来るって言うなら、ワイは、

 

 

「黙れ」

 

 

ワイが、そうやって自分の思いを伝えている最中。

少しずつ、モルガンちゃんからピリピリとした圧が放たれ、徐々に増していた。

 

終いには、たった一言はなっただけで、金縛りに遭うたみたいに、ワイの口は動かんくなってしもた。

 

怖い。

これまでの比ではなく、不意に現れる狂気の様相とは異なる、明確な…指向性を持った殺意。

 

 

「それらは全て不要なものだ。父も子も無い、それを持つことの意味など無い。不愉快だ」

 

 

己の心臓が軋んでいることに、やっと気がついた。

 

息が詰まり、口が止まり、動けない。それはそうだ。

その体は、心臓を中心にして、今まさに握りつぶされようとしているのだから。

 

無意識に、身体はそれに抗おうと全身全霊の力が込められ、固まってしまっている。

 

 

「訂正しろ。貴様が在るべきは、魔術の師である私の弟子としてだけだと」

 

 

少しだけ、心臓を握る力が緩んだ。

 

ほんの少しだけ、口が動く気がする。

 

 

…なんて言うべきだろう。

 

すぐにでも、「はい!そうです!」と言うべきだろう。

 

だって、死にたくないから。

 

死ぬのは、怖いことだ。

 

 

 

 

「す、ま…せ、…ワ……」

 

 

ワイは苦しげに、必死に口から、言葉の形にもなっていない音を吐き零す。

 

仕方がないので、もう少しだけ、猶予をやろう。

今でそれなら。…これならば、貴様でも言葉を紡げるだろう。

 

言え。

 

 

「言葉を許そう。言え」

 

 

「…カ、ハ……。…ワ、ワイ…は、…」

 

 

 

 

煩い。

 

こんな時に、あの嵐がまたやってきた。

 

どれほどの静寂を作ろうとも、この騒音だけはどこからともなく現れ、私から偽りの平穏すら奪っていく。

 

 

黙れ。/やめろ。

 

黙れ。/言うな。

 

黙れ。/奪うな。

 

黙れ。/何も奪うんじゃない。

 

 

黙れ。/何も奪うんじゃない。

 

 

声が、聞こえない。/だから、要らない。

 

 

 

 

「…ワイは、お師匠様の弟子で、エクトル卿の息子なんや」

 

 

 

 

未明。

 

 

知ってる天井や…。

ミサトさんは近くに居らんのか?そう思い、あたりを見渡す。

 

まあ、ワイが寝泊まりさせてもらってる部屋やね。

ちゅうか、ミサトさんって誰やねん。

 

 

食事、どうなったんやろか。

 

プリン、まだ出してへんかったけど、どうしたんやろ。

モルガンちゃんは、ちゃんと食べてくれたんやろか…。

 

…アカン、なんか、変に疲れたせいで、メッチャ眠いわ。

ベッドに寝かせられとるっちゅうことは、まあ、今度もなんとかなったってことなんかな。

 

んじゃ、ぽやしみぃ~…。

 

 

「目覚めたのなら、すぐに起き上がれ」

 

 

アバッババババアッ!!?!

 

なんっ、なんで急に出てくるねんっ!?

いっつもビビらせよって、おしっこ漏らしたらどないするんや!…って、心の中だけで突っ込んでおくとして。

 

モルガンちゃん、おはようさん。

なんか、ワイが悪いこと言ったんやろ?…モルガンちゃんの気持ちも考えずに、すまんかったわ。

 

「……」

 

とりあえず、プリン食べようや。

 

そんで、ワイは早くモルガンちゃんの怪我が治せるように、もっともっと頑張るわい!

なんで、もしよければ、これからもよろしくオナシャス!センセンシャル!

 

「貴様は、怒らないのか」

 

えっ。

いや、じゃあ言わせてもらうけども、他人の心臓を勝手に握るのはやめたほうがええで。

医療行為でも最終手段やぞそれ。せめて電気ショックにしてや…あ、嘘嘘、冗談です。本気にしないでください。

 

あと、いっつも好きに作れって言うけど、プリン以外に好きなもんないんか?

そろそろワイのレパートリーも、ポケットなモンスターの色違いくらいの誤差になってきとるで。

10品もまともに作ってないだろって?まあ、別に料理人でもないし…調味料も少ないし…。

 

それと、…うーん?

まあ、それ以外は、特に…?

 

あっ!そや!

さっきは言いそびれたけども、一々ビビらせてくるの、いい加減やめてくれません?

以前に言うなって言われたからずっと黙っとったけど、ホンマに普通におしっこチビりそうやねん。

ここに来てからのワイの膀胱のトレーニング量エグいでマジ。お義父ちゃんに毎日膀胱パンチされてるみたいなもんやぞ。…いや、おかげでオネショは完全に無くなったけども。そこは感謝やね♡

 

「…くだらないことばかりだな」

 

ホンマに何言うとんねん!?

心臓握られとることは全然くだらんことちゃうやろ!いい加減にしろ!

 

いやもう、これだけはホンマにアカンて、ワイのキュートなお心臓に悪いわ。比喩ではなく。

握るならせめておチ…なんでもないです。ともかく潰されたくないッス。

 

「……はあ。貴様の心臓は、私との師弟の契約の証だ。それに対して…よもや貴様、自分で言ったことを反故にするつもりではあるまいな?」

 

いや、そやから解けっちゅうことではないんやけどもね。

ワイかて、マーリンなんかよりお師匠様の弟子が良いと思っとるんや。ただ、せめて心臓以外になりません?

 

「そうか。ならばどうする?舌か、眼球か、陰嚢か、心臓の代わりになるものを、貴様の好きに選べ」

 

なんでそないなデンジャラスなとこから選び直さなアカンねん。

しかも陰嚢て、いつでもワイが女の子になってしまう…ってことぉ!?勘弁してください。

 

あのぉ~、できれば普通のモノとかに出来ません?

ハリーなポッターな感じの、箒でも杖でもバッジでも…何や、そういうカタチで契約の証みたいに出来へんもんなんやろか。

 

「…不可能ではない。だが、貴様の身から離れるものであってはならない。衣類なら生涯脱ぐことなく身につけることになるだろう、それが出来ると言うならそちらでも良い」

 

ほーん?

例えばそれをパンツにしたら、一生クッサいパンツを履くことになるってことやね。無理や。そんなの自分の臭いでいつか死ぬ自信あるで。

 

でも、デンジャラスなもんから選ぶよりはまだ現実的よなぁ…。

…ちなみに、どのくらい離れたらアウトなんや?

 

仮に衣類だとして、ワイと衣類の隙間に一瞬でも完全に隙間が空いちゃったらダメってことなんか?

いやほら、外套とかだと、風でなびいたら浮きそうやし。

 

「理解が異なっている、訂正してやろう。契約が成れば、貴様の体の一部になるようなものだ、貴様の意志など関係なく貴様から離れなくなるということになる。多少なら引き離せるだろうが、すぐに貴様の元に戻る」

 

じゃあホンマに一生強制激臭(ゲキクサ)パンツマンになってまうやん!?ガチでパンツだけは論外やな…。

 

ほんなら、そうなっても困らんもんか…。

それこそ、外套は飛んでかなくて便利そうやなぁ~。っても思ったけど、水浴びの時邪魔やろうしなぁ。他の服もそう…うーん…。

 

 

…あっ、それこそ、この杖はどうなんや?

 

なんか魔術師っぽい…魔術師っぽくない?

見た目はただの登山用杖みたいなもんやけども。

 

服を脱ぎ着するときにちょっと離れてくれれば、あんま支障もないやろし。

ほんで、水浴びの時はついでに杖のお手入れでもすればええし。…まずは腐らんように加工せんとって話やけどな。

 

「悪くはない。防腐も容易だろう。魔術触媒としては、話にならんがな」

 

そうなんか…魔術師と言えば杖でフォフォーイフォイってイメージなんやけど…やっぱ、ちょい残念やね…。

 

そうなると、これにしたらヤマオトコマンになるやろって?

…ま、まあまあ、杖って便利やし。余計なこと言いっこなしやで…。

 

まあええわ。

他に良いもんもあんま思い浮かばんし、苦楽を共にした相棒って感じでなんか愛着あるし、これがええ。

 

言うたら、それこそモルガンちゃんとの…あいや、お師匠様との、一番の思い出の品やしな。

お師匠様との師弟の証って言うなら、よう考えたらこれ以外に無いって話やったわ。

 

「フッ…良いだろう。指を差し出せ」

 

指?ほいフォイ。

 

 

チュ。

 

ブチッ。

 

ちう~…ペっ。

 

 

あイッダァッ!?!?

 

なんか口近づけてきて「おほほ…」とか思っとったら、指の腹を噛みちぎられとる…。

いちゃちゃぁ…魔術薬、魔術薬…。

 

「終わりだ。貴様への契約(しゅくふく)を吸い出し、この杖に移した。その契約と共に杖に染み込ませた貴様の血が、貴様自身の心臓と魔術的に結びつき、血液が巡るのと同じように杖との魔力が通り、そうして杖と本体である貴様との契約が通じている」

 

はえ~。メッチャ難しい話…。

 

でも、なんとなくやけど、どうやって結びついてるか?っちゅう理屈について教えてくれてるんやろなってのがわかるわ。

やっぱ良いお師匠様なんよなぁ。その比較対象がマーリンなのが申し訳なくなるくらいに。

 

「おかげで、先程よりもマシな触媒ともなったはずだ。少なくとも加護から魔術を使用するより、その杖を通して使用したほうが容易で強力なものとなるだろう。この後の指導で試させてやる、試運転だ」

 

え!?ホンマに!?

 

うっひょ~!じゃあコイツ、ほんまもんの魔術杖になったっちゅうことかいな!?アカン、やっぱメッチャ嬉しいわ…!

正直「一生登山杖を持つヤマオトコマンってことかぁ…」ってほんのちょっとだけ思ってたからなぁ…!でへへ…♡

 

 

 

 

な、なんや…これ…?

 

「…なるほどな。これが貴様の本来の魔術属性、それに影響を与えた【起源】なのだろう」

 

 

あの後、ワイは杖の試運転として、お師匠様にあらためて魔術の手ほどきを受けとった。

 

そこで、とりあえず危険が少ない水の魔術を使おうとしたんや。

でも、放たれ出てきたのは、水じゃあ無かった。

 

黒い泥。

おびただしく生え散らかす、正体不明のキノコとカビの群れ。

 

それらは時間の経過とともに萎び、溶けていき、あとには不気味な黒いシミと、張り巡らされた菌根の痕跡だけが残った。

先程まで、そこでサワサワとそよいでいたはずの草花は、黒いシミの中へと吸い込まれるように沈んで消え去ってしまったようだ。

 

「気味の悪い加護だと思っていたが、こんなものを覆い隠して(みっぺいして)いたとはな。趣味の悪さはあの人でなしと双璧を成すと言って良いだろう」

 

 

「だが、そういうことか。この起源にすぐには導かれないようにするための、迷宮(かご)というカタチか」

 

 

 

「ああ、不愉快極まることだ。貴様はここでの記憶を失っておけ。それは私が解体する。貴様には不要なものだ」

 

 

 

 

「解体を終えた後で、ここでの記憶を返してやる。それまで貴様は、起源(この)魔術を扱えることすら見失っておけ」

 

 

 

 

 

「それがどのような事情かなど、知ったことではない。私のもの(ブリテン)にこんなものを植え付けようなど」

 

 

 

 

 

 

「必ず、報いを受けよ。ただ滅ぼしてやるだけでは手ぬるい。これ(ワイ)の結末に何があろうと、こんなものに託した望みとは真逆の結果を与えてやる。必ずだ」

 

 

 

 

 

 

 

──なんや、このあたりのことは、あんまりよう、思い出せんなぁ。なんでやろ…?

 

 





▼【起源】(※wikiより一部抜粋)

起源。
魔術師に限らず、あらゆる存在が持つ、原初の始まりの際に与えられた方向付け。

または絶対命令。
あらかじめ定められた物事の本質。

無生・有生を問わず全ての物事は、抗えない宿命としてそれぞれ何らかの方向性を与えられて存在している。
個々の人間もまた、知ろうが知るまいがこの方向性に従って人格を形成し、存在意義を持つ。

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