転生したら、必殺技が存在しない世界だった件! 作:スライみゅ
葦考side
グラウンドの中央、白く引かれたセンターマーク付近に僕と染岡はホイッスルが鳴るのを待っていた。
雷門のフォーメーションはオーソドックスな4-4-2。
僕はツートップの一角、染岡の少し後ろ──1.5列目の位置に身を置く。
ふと視線をベンチへやると、目金くんが、恨めしそうにこちらを睨んでいた。
(サッカー部存続の為とはいえ、なんか目金くんには申し訳ないな......)
この試合だけはどうしても負けられないからとはいえ、やはり胸の奥には申し訳なさが渦巻く。
「司場、やってやるぜ俺は!」
不意に、隣からエネルギッシュでやる気に満ちた染岡の声が届いた。
「この試合で、誰よりも点を取る。お前にも負けねぇぜ!」
その瞳はギラギラとした野性味溢れる輝きを放ち、握りしめた拳が微かに震えていた。
それは恐怖ではなく、強者を前にした、剥き出しの高揚だった。
「う、うん。頑張ってね、染岡」
「司場……お前もFWなんだからよぉ、もっと点取ることに拘れよなぁ。
俺のライバルがそんなんじゃ、張合いがないぜ?」
──ライバル。
その言葉が、僕の胸を強く打った。
【僕なんかには、無理だよ】
いつものように、喉元まで出かかった弱音。
それを、僕は寸前で噛み殺した。
逃げ腰になってどうする。
壁山くんの前に震える手を差し出して、「一緒に頑張ろう」なんて格好いいことを言ったのは、僕じゃないか。
彼をロッカーから引き摺り出した責任を、僕が放り出すわけにはいかない。
「……そうだね、僕も点を狙ってみるよ。多分このグラウンドの中で一番下手な僕だけど、勝つために、必死にやってみるよ」
声は震えていた。けれど、視線だけは逸らさずに真っ直ぐ前を見据える。
「へへっ、その意気だぜ司場!」
染岡の分厚い手が僕の肩を抱き寄せた。
その強引なまでの力強い温もりが、逃げ出したくなる僕の足を、確かにこの戦場へと繋ぎ止めてくれた。
✤✤✤
『挑戦です! これは、雷門に対する帝国の、挑戦です!』
マイクから、将棋部部長・角間の甲高い実況が校内中に響き渡る。
その独特な緊張感の中、審判のホイッスルが鋭利な刃物となって張り詰めた静寂の糸を断ち切った。
ピィィィィッ!
ホイッスルが鳴ると同時に染岡からボールを受け取る。
そして、僕はボールの感触に違和感を感じていた。
今までの練習で何千回と触れてきたはずのものとは、まるで別物だったからだ。
(なんだ……これ……?)
重い。いや、逆に軽すぎるのか。
まるで自分の足が自分のものではないような、地に足が着かない浮遊感。血管を流れる血液が、一瞬にして冷たい氷水に変わってしまったかのような錯覚。
僕は前世を含めた人生で初めて、試合の緊張感から生まれる"競技不安"というものを体感した。
僕は、生まれたての小鹿のように震える足で、どうにかボールを背後のマックスくんへ預ける。
その後、僕は染岡と共に、帝国陣内へと、土を蹴って走り出した。
『まずは司場、ボールを松野に預け、染岡と共に帝国陣内へと駆け上がる!』
雷門の滑り出しは、意外にも予想に反して軽快だった。マックスくんから再びパスを受けた染岡が、猛然とプレスに来た帝国の巨漢FW、
(……凄い。あの帝国の守備を、あっさり!)
僕は走りながら、自分の目を疑った。
自分たちが積み上げてきた物が、帝国学園に通用している。
その事実が、僕の胸を熱く焦がした。
『おおっと! うまいうまい! 染岡、帝国を軽やかに躱して一気に敵陣深くまで上がっていく!!』
「へへっ、結構やれるもんだな!」
染岡が自信に満ちた笑みを浮かべ、拳を握りしめる。だが、そこへすかさず
「染岡、こっちにパスだ!」
左サイドから、風を切るような勢いで風丸が駆け上がり、パスを要求する。
風丸は染岡からボールを受け取り、そのまま凄いスピードで帝国のペナルティエリアへの侵入を試みた。
(速い……!)
陸上部仕込みの圧倒的なスピード。
サッカー初心者とは思えないそのプレーに、僕は驚嘆すると同時に、一抹の焦りを感じる。
(すごいよ、みんな......僕なんかより、ずっと、ずっと!)
『風丸が止まらない! ぐんぐんと加速していく! まさにスピードスターだー!!』
だが、帝国の右SB
風丸は一度
『雷門イレブン、細かくパスを繋ぎ、帝国を翻弄していく!』
宍戸が右サイドを駆け上がる。
だが、その行く手を阻むように、帝国左SB
宍戸くんは
誰もが「詰んだ」と思ったその刹那──彼は、ボールを半歩分ずらした。
「先輩っ!」
その声に呼応するように放たれたセンタリングは、鮮やかな白い放物線を描いて、突き抜けるような青空に吸い込まれていった。
(……高い!)
見上げた視線の先、逆光の中に半田の影が跳ねる。
ニアサイド*1へ飛び込み、完璧なタイミングでヘディングの体勢に入る半田。
帝国のディフェンス陣の意識が、一気に彼へと集中した。
だが、それは「罠」だった。
半田はボールに触れる寸前、空中でその身を捻り、鮮やかなスルー。
ボールが彼の頭上を通り抜けたその先、帝国のセンターバックの間に、一筋の「道」が生まれていた。
そこにいたのは、獲物を定めた猛獣の瞳を持つ男。
「くらえぇぇぇええええっっ!!」
ドゴォン!!
魂を乗せた強烈なジャンピングボレー。
空気を爆発させるような衝撃音がグラウンド中に響き渡った。けれど──
──帝国のGK
「チッ……正面だったか……」
悔しげに地面を叩く染岡。
対して僕は、
(ぜ、全然絡めなかった......)
一瞬、暗い感情が胸をかすめる。けれど、次の瞬間には別の期待がそれを塗り替えていた。
(でも、凄い! 通用してる。僕たちのサッカーが、帝国学園に通用してるんだ。これなら、勝てるかもしれない!)
それからも雷門は、細かなパス連携で攻撃の手を緩めなかった。
帝国学園の選手たちは簡単なミスを連発し、必死に守備に奔走しているように見える。
客観的に見れば、まさに帝国学園は防戦一方な展開だった。
胸の昂ぶりを抑えきれないまま、ボールがラインを割り、プレーが途切れたその瞬間だった。すぐ近くから、低く緊迫した声が僕の耳に飛び込んできた。
「おかしい……」
声の主は半田だった。
額の汗を乱暴に拭う彼の表情は、攻め込んでいる側とは到底思えないほど酷く強張っていた。
「おかしいって、何がですか、半田先輩?」
隣にいた宍戸くんが眉を寄せ、半田に声をかける。
「……守備に、違和感がある」
半田はピッチのあちこちに散る帝国の選手たちを凝視しながら、訝しげに言った。
「チーム全体の守備が上手くない訳じゃないんだ。ただ、上手く言えないけど、なんというか......怖くないんだよ。
急に大きなスペースができたり、プレスが甘かったり……。とても40年間無敗の全国王者とは思えないプレーばかりだ」
──その言葉が、僕の脳天を冷たく殴った。
確かに、言われてみればそうだ。
帝国学園は日本最強のチームだ。そんな絶対王者が、つい最近まで部員集めに奔走していた僕たち弱小チーム相手に、これほど防戦一方になるわけがない。
「た、確かに。僕のマッチアップする
「いや、それは違うと思う」
半田は宍戸くんの言葉を即座に遮り、視線をさらに鋭くした。
「プレーが止まるたびに、あいつら最寄りの選手と集まってボソボソなにか話してる。
手を抜いている奴が、態々そんなことするか?」
半田の言葉に導かれるように、僕ももう一度、帝国の選手たちへと視線を走らせた。
(何を……話してるんだ……?)
それは決して、手を抜いてサボっている者の顔ではなかった。
ただ、その異様なまでに張り詰めた表情に、僕は強烈な既視感を覚えていた。
──っ!
そうだ。あれは、前世で『科学狂い』と言われていた友人が、実験室で怪しい研究に熱中している時と、全く同じ目だ。
ただ淡々と、実験の反応を確認し合っているかのような、底冷えするほどの真面目さと真剣さ。
「何かを、確認しあってる......?」
心臓がドクンと嫌な跳ね方をして、強烈な寒気が僕の背すじを襲った。底知れない嫌な予感が、氷の刃となって僕の背骨を冷たく這い上がっていく。ガチガチと震えそうになる奥歯を、僕は必死で噛み締めた。
葦考side out
✤✤✤
鬼道side
帝国の陣地――
「洞面、ボールを寄越せ」
帝国の司令塔、鬼道有人が自陣深くでボールを要求した。
ボールが吸い付くように足元に収まる。
「――お前達、いけるか?」
鬼道がDF陣に視線を投げる。その声は氷のように冷たく、有無を言わせぬ支配者の響きを帯びていた。
DF陣は無言で片手を上げる。
続いて中盤、前線の選手たちも、一糸乱れぬ動きで同じサインを送った。
「フッ、思ったよりも早かったな」
鬼道はニヤリと、不敵に口角を上げ、すべてを掌握した者の笑みを浮かべる。
「それでは始めるとしよう。──帝国のサッカーを......」
その瞬間、空気が物理的な重さを伴って変質した。帝国の選手たちの瞳から「観察」の色が消え、飢えた猛獣のような鋭敏さが宿る。
鬼道side out
✤✤✤
葦考side
帝国の面々が一同に片手を上げて、何かの準備が整った──そんな雰囲気を醸し出していた。
(なんか……とても、嫌な感じがする......)
それを見た瞬間、僕の肌を撫でたのは、刺すような「寒気」だった。
背筋を冷たい刃がなぞり、全身の毛穴が総毛立つ。
「司場! 何グズグズしてんだ! プレス掛けろ!!」
染岡の焦燥に満ちた叫びが、僕の鼓膜を叩く。
だが、その声が空気を震わせた時には、すでに帝国の「歯車」は動き出していた。
──パン、パン、パン!
リズムよく、小気味よい音がグラウンドに響く。
それは僕たちが知っている「パスを回す音」じゃなかった。
その音はまるで精密な機械の駆動音のように正確で、速く、そして容赦がない。
ワンタッチ、ツータッチ。
ボールが思考を置き去りにする速度で動き、それに合わせて帝国の選手たちが一つの巨大な生命体のように連動する。
雷門の選手たちは、通り過ぎていくボールの軌跡を見送ることしかできない。
「くっ……!」
少林寺くんが肉薄しようとするが、触れることすら許されなかった。
それどころか、すれ違いざまに放たれた帝国の圧倒的な威圧感と、鋼のようなフィジカルの強さに、彼は木の葉のように無残に弾き飛ばされた。
1分――。
たったそれだけの時間で、帝国は自陣から雷門ゴール前まで深く切り込んで来た。
(速い……速すぎる……!)
思考が追いつかない。
円堂の必死な指示に反応しようとするDF陣。けれど、帝国のパスはその遥か先を走っている。
「ああっ……しまったっス!!?」
「......っ!?」
壁山くんの悲鳴。影野くんとの間に生まれたわずかな隙間──そこに針の穴を通すような
フリーで抜け出した万丈が、そのボールをダイレクトで叩き込んだ。
ドゴォォォォン!!
空気が爆裂したかのような衝撃音。
ゴールネットが千切れんばかりに跳ね上がり、審判のホイッスルがグラウンドの沈黙を切り裂いた。
『ななっ、なんという事でしょう!
開始から10分間、防戦一方だった帝国が、攻撃に転じた瞬間、わずか1分でゴールを奪ったぁぁ!!
なんというスピードと連携、これが全国一の帝国学園なのかぁぁあああ!?
実況の角間、思わず息をすることさえ忘れてしまいましたぁぁああ!!』
角間くんの絶叫が、遠くの空に消えていく。
雷門イレブンは、ただそこに立ち尽くすしかなかった。
「ドンマイドンマイ!」
沈黙を、円堂の声が突き破った。
「何情けない顔してんだ! 相手が強いのは分かってたはずだ。試合はまだ始まったばかりだぞ!!」
円堂の目には、まだ折れていない、眩しいほどの希望の光が宿っていた。
けれど、それを見つめる僕の心には、底の見えない暗い予感が渦巻いていた。
✤✤✤
「行けーーっ! 同点だぁぁあああ!!」
「おうよ!」
円堂の鼓舞に呼応するように、染岡が死に物狂いで帝国ゴールへと突っ込む。
それは執念。泥を啜ってでも一点を奪い返そうとする、剥き出しの闘争心だった。
だが、その熱い叫びさえ、帝国の前では無機質なノイズに過ぎなかった。
染岡がドリブルを仕掛けた瞬間、まるで子供をあしらうような軽やかさでボールを奪われ、反撃の芽は一瞬で摘み取られた。
気を取り直す間も与えられない。
雷門ボールから始まったキックオフでさえ、帝国の「網」に絡め取られ、一歩も進ませてもらえない。
「止めろぉぉおおお!!」
風丸くんがDFラインで声を張り上げる。
だが、奪いどころさえ掴めない。
ボールに近づくことはできても、「取れる」と確信した瞬間に、球体は魔法のように僕たちの認識の外へと逃げていく。
防戦一方――
開始10分までの攻撃的な雷門の見る影は無かった。
(なんで……? なんで急に、こんな……!!)
僕は、帝国の変貌に呼吸の仕方を忘れていた。
テンポが、先ほどまでとは別次元なんだ。
帝国は、受け取ったボールをすべてワンタッチで、淀みなく次の誰かへと繋いでいく。
パン、パン、パン――!!
グラウンドを走るその音は、まるで足で行う超高速のバレーボールか、あるいは心臓の鼓動を急かすメトロノーム。
ボールが来てから「どこへ出そうか」と考えていては、絶対に間に合わない。
十一人の意識が、ゴールまでの最短経路を、そのイメージを完璧に共有していなければ成立しない芸当だった。
一人として判断を誤らず、一人としてコントロールを乱さない。
その「完璧すぎる」光景に、僕はただ戦慄するしかなかった。
極めつけは、帝国FWのシュートの威力だった。
高速パス回しで雷門の陣形を崩し、無防備になったゴール前。
そこから放たれるのは
ドゴォン!!
「ぐあぁっ……!」
円堂は必死に食らいつき、その驚異的な反射神経で弾道の先へ指を伸ばす。
指先に感触はある。
なのに──触れてなおその威力に押し切られてゴールネットが揺れる。
また一点。
そして、また一点。
「くそっ……なんて威力だ……!」
円堂のグローブからは、凄まじい摩擦で焦げたゴムの臭いが漂い始めていた。
その手は、重すぎる衝撃に痺れで感覚を失い、小刻みに震えている。
円堂がその威力の正体に驚愕している間にも、無慈悲に時間は進んでいった。
✤✤✤
5分、10分、15分。
時計の針が時を刻むたびに、僕たちの身体は鉛でも流し込まれたかのように重くなっていく。抗おうとする意志に反して、膝は震え、視界は白く霞んでいった。
2 - 0
5 - 0
8 - 0
無慈悲に積み上げられていく数字。
「はぁ……はぁ……っ」
隣で宍戸くんが膝を折り、ポタポタと地面に汗の雫を落としていた。
その呼吸はもはや、肺の奥に溜まった熱を無理やり吐き出しているような、悲鳴に近いものだった。
対照的に、帝国の選手たちはどこまでも涼しい顔を崩さない。
息も乱れず、汗一滴すら流さない彼らは、まるで精密にプログラミングされた機械のようだ。ただ淡々と、作業的に、僕たちの心をへし折る得点を重ねていく。
ピ、ピ、ピーーーッ!!
前半終了のホイッスル。
その笛音は、鐘の音のように、重く、長く響いた。
得点板に表示された数字は、残酷なまでに明確だった。
10-0
(こ……ここまで、差があるのか……)
立ち尽くす僕の足元から、力が抜け落ちていくのを感じた。
✤✤✤
「はぁ……はぁ……はぁ……っ!」
雷門ベンチを支配しているのは、肺に溜まった熱を吐き出そうとする、荒く重い呼吸音だけだった。
選手たちは首をもたげる気力さえ奪われ、土にまみれたスパイクの先をただ見つめている。
額から滴り落ちる汗が乾いた地面に染みを作るたび、自分たちの限界を突きつけられているようだった。
「みんな……」
木野さんの震える声に、誰一人として反応を返すことができなかった。
その瞳には、堪えきれない涙が溜まっていた。
それはマネージャーとして、選手達のボロボロな姿を見ることしかできない苦しみが、その一滴に凝縮されていた。
「喋る元気すら……ないみたいですね……」
春奈の声も、湿った影を落としている。
彼女たちが差し出すドリンクのボトルを受け取る手さえ、小刻みに震え、力が入らない。
ピッチの向こう、余裕の表情で談笑する帝国のベンチ。それを見つめる風丸の目が、戸惑いと疑問に揺れていた。
「どうなってるんだあいつら。……前半であれだけ動いて、息一つ乱れてないぞ」
「そりゃそうさ。……あいつらパスばっかりで、全然走ってないんだもん」
松野の声には、乾ききった諦念が混じっていた。
「僕たち……完全に遊ばれてますよ。追いかけて、振り回されて……。ただの『練習台』にすらなってない」
少林寺くんが、血が滲むほどに拳を握りしめ、地面を睨みつける。
ベンチ全体を、逃げ場のない嫌な沈黙が包み込んでいった。
(そりゃあ……そうだよな)
僕は地面に座り、どこまでも高く、残酷なまでに青い空を見上げた。
ゆっくりと流れる白い雲。
自分がこの一年、未経験から、ただ「サッカーが好きだ」というその一心だけで積み上げてきた日々の汗。
それが、帝国学園という「絶対王者」にとっては、ウォーミングアップ程度の価値しかなかった。
その事実が、冷たい鉛となって僕の心臓を締め付ける。
(悔しい……)
エリートとして育てられてきた彼らと、つい最近まで部員さえ揃わなかった
敵わないのは道理だ。負けるのは必然だ。
常識として、理性としては理解している。
でも――
初めて仲間と繋いだ、不格好なパス。
泥だらけになりながら笑い合った、あの鉄塔広場での練習。
やっと手にした「雷門サッカー部」という、僕たちの唯一無二の形。
それが、こうも無残に、一方的に踏みにじられたままでいいはずがない。
「――悔しいな......」
不意に、独り言が零れた。
その声は確かに震えていた。
けれど、不思議と僕の視界は歪んでいなかった。
僕は、ただ真っ直ぐに、ピッチを見つめる。
僕の瞳の奥には、絶望という底なしの沼に沈みながらも、決して消えることのない「小さな熱」が、紅く、鋭く灯っていた。
葦考side out
第11話fin