ハリー・ポッターと上位者の娘   作:アーマウニー

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ハリーポッターと上位者の娘 1 入学許可証

ここは狩人の夢。ここにはもう私と人形ちゃんしかいない……いや、訂正。あと使者の皆。

あぁ……地下に潜り、狩りに明け暮れていた日々が懐かしい。

やっとだ。やっとあの日々に戻れる。

 

……そう、やっとの事でナメクジから前の姿、人型に戻れたのが今朝のこと。

 

上位者として再誕した私を待っていたのは、ナメクジとなった体での生活だった。ヤーナム仕草にも慣れていた私も流石にわけがわからなかった。

……いや、まあ今考えれば予想できたことといえば出来たんだ。白痴のロマがそうであったように、人を辞めたものが異形になることなんて……

 

流石にあの時は過去の自分の好奇心を呪った。

好奇心の衝動で身を滅ぼすなんて……ヤーナムを見てきた私は''良くない教師''を何度も見てきたというのに。

 

……とはいえ、その後人形ちゃんに付きっきりでお世話されるという恥ずかしいながらも特大のご褒美が転がってきたのは最高だったんだけど。

 

そして今日だ。今まで何とか神秘をこねくり回して人の形になろうとしてきた努力が実を結んだ。ほんと、やっっっとの事だった。大はしゃぎで聖杯に潜ろうとしたら人形ちゃんに止められた。

 

……今まで聞いたことがないほど不機嫌な声で絶対安静を言い渡されたのには驚いた。

小さく''あのままで良かったのに''と呟いた人形ちゃんのその一言は流石に聞き流せなかったので問い詰めたら、「私なしでは何も出来ない狩人様は非常に愛らしく、お世話をする時間はとても満ち足りていました。」とのこと。

 

……私愛されすぎでしょ。人形ちゃん可愛すぎ。

すぐに人形ちゃんにこれからもお世話してもらうから、とフォローを入れた。実際お世話されてた期間が長すぎてもう依存しきってる。もうひとりじゃ生きてけないね……

 

ってな訳でテキパキと車椅子を用意した人形ちゃんにお世話になって、眠気に身を任せてお昼寝したり、押してもらってお散歩したりしてた。

 

そして今。時間的に夕方、抗いがたい眠気に襲われてウトウトしていたのだが。……使者たちが騒々しい。一体どうしたんだろう。人形ちゃんが使者たちと話してきます、と離れると、何かを持って帰ってきた。

 

「……狩人様。使者の皆さんがこれを狩人様にと。」

 

少し引いた眠気を押して起きる。

 

「……なに?……あー……てがみ?」

 

「……どうも狩人様の……ご実家と呼べばよろしいでしょうか。……夢の外の、現実の狩人様のお宅に……届いたそうなのですが……」

 

どうも人形ちゃんの言葉が歯切れが悪い。

というか私の実家に?向こうって今どうなってるの?

 

「……うん。……で?……なにがそんなにおかしいの?」

 

手紙の封を開けながら人形ちゃんに聞く。

 

「……その手紙は……ふくろうが届けたと……」

 

……なんて?

聞き直そうとしたが……ちょっと待って。何この内容。

 

 

 

眠気が吹っ飛んだ。目が完璧に覚めた。……いや夢見てんのかも知んない。……いや、うん。起きてる。

 

一通り読んだあと、手紙から目を離し、人形ちゃんに目を向ける。

 

もう一度目を通して……うん。

 

「人形ちゃん……これは?」

 

言いつつ人形ちゃんに手紙を渡す。

 

人形ちゃんが読み始める。

 

人形ちゃんが手紙を私に返す。

 

「……狩人様への招待状です。」

 

〜〜〜

ホグワーツ魔法魔術学校

校長 アルバス・ダンブルドア

マーリン勲章、勲一等、大魔法使い、魔法戦士隊長、 最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟会員

 

親愛なるクリスティーナ・ブラウン殿

このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。

教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。 新学期は九月一日に始まります。七月三十一日必着でふくろう便にてのお返事をお待ちしております。

 

敬具 副校長 ミネルバ・マクゴナガル

〜〜~

 

……うん。何度見ても意味がわからない。……いや、意味はわかる。……なんというか……目が滑る。

 

「……招待状っていうか……入学許可証?だよね……これ……」

 

つまり?この''入学許可証''は(体感)何年も……下手したら何十年も帰っていない現実の私の家に、今日、急に届いたらしい。それを使者たちが持ってきてくれたようだ。

 

「それで?これを届けに来たのがフクロウで、またフクロウで送り返せと」

 

「そのようです、狩人様」

 

「……はっはっは……魔法使いの学び舎への招待状をフクロウが持ってきてくれるなんて……なんて言うかその、メルヘンチックだね……やっぱり私寝てるのかな?夢見てる真っ最中とか?」

 

「……狩人様。ここは狩人の夢です。ですので……夢を見ているといえば見ていますね。」

 

信じられない。

 

「っていうか!私そもそも魔法使いなの!?」

 

「……狩人様は狩人様で、上位者です。……魔法使いかどうかについては存じ上げません。」

 

……分からない。一体どうしてこんなものが届いたというのか。しかも今日。人の形に戻った日。狙い済ましたかのように今日。

……そもそも、魔法使いなんてのがほんとにいるのか?……いやまあ、上位者やら眷属やら何やらの神秘が存在するんだ。いてもおかしくは無い……のか?まあいたとしても、私が魔法使いってのは何かの間違いだろう。それに……

 

「……人形ちゃん。このリストって揃えるにはどこ行けばいいんだろうね?」

 

これだ。この''必要なものリスト''。

 

〜〜~

 

 

制服

一年生は次の物が必要です。

一、普段着のローブ 三着(黒)

二、普段着の三角帽(黒) 一個 昼用

三、安全手袋(ドラゴンの革またはそれに類するもの) 一組

四、冬用マント 一着(黒。銀ボタン)

衣類にはすべて名前をつけておくこと。

 

教科書

全生徒は次の本を各一冊準備すること。

「基本呪文集(一学年用)」 ミランダ・ゴズホーク著

「魔法史」 バチルダ・バグショット著

「魔法論」 アドルバート・ワフリング著

「変身術入門」 エメリック・スィッチ著

「薬草ときのこ千種」 フィリダ・スポア著

「魔法薬調合法」 アージニウス・ジガー著

「幻の動物とその生息地」 ニュート・スキャマンダー著

「闇の力――護身術入門」 クエンティン・トリンブル著

 

その他学用品

杖(一)

大鍋(錫製、標準2型)(一)

ガラス製またはクリスタル製の薬瓶(一組)

望遠鏡(一)

真鍮製秤(一組)

 

ふくろう、または猫、またはヒキガエルを持ってきてもよい。

一年生は個人用箒の持参は許されていないことを、保護者はご確認ください。

 

 

〜〜~

 

ドラゴンの革?本気で言ってるの?教科書なんて正気とは思えない。ってか学校に自分のペットって連れてきていいんだ……

 

……ふくろう……たぶん……この感じ、手紙を出すのに便利だから……かな?だからペット候補なんだろう。……猫。うん。まあペットとしては妥当なとこだよね。普通は犬と猫でワンセットにすると思うけど。猫はOKで犬はダメな理由ってあるのかな?そして、よ……ヒキガエル……お前はなんなの?犬のポジションを消してまでヒキガエルがペット候補になる事ってあるの!?フクロウか猫の2択じゃん!ヒキガエルて……ヒキガエル……

 

……うん。多分これ書いたやつはメンシスの高楼で脳みそに照らされながらリストアップしたに違いない。

 

というか、この学用品達。これらがホントにあるとしてだ。どこで揃えればいいの?「どこそこで買ってくださいね」なんてことが書かれててもいいと思うけど?

 

「……申し訳ありません、狩人様。見当もつきません。」

 

だよねー。まあやろうと思えば?一部揃えられるのはあるけど……うん。教科書なんてのは絶対無理。こんなの売ってるとこ知らない。そして学校に行くのに、「ほかのは揃えられましたが教科書は何も買ってません!」で通るわけがない。

 

「……あの、狩人様。まさか行こうと思われてますか?」

 

「えっ……だめ?」

 

この手紙を送ってきた人は十中八九狂ってるけど、それでも学び舎に憧れはある。もし、本当にこの''ホグワーツ魔法魔術学校''なるものが存在するのなら行ってみたい。

 

「駄目です。お忘れかもしれませんが、狩人様はまだ赤ちゃんです。絶対安静です。」

 

……おぉ……スパッと切られちゃった……

……というか幼年期って言って欲しいなぁ……そりゃあ今朝やっと人の形になれたばっかとはいえ、だいぶ勝手はわかってきたんだよ?

 

「でもでも!ほら!魔法だよ!?もしかしたら使えるかもじゃん!魔法が使える上位者!凄くない?」

 

「狩人様はもう既に神秘の業も狩人の業も、自由に使えます。これから更に魔法も使えるようになる必要性を感じません。''それに''、狩人様はまだ赤ちゃんです。私の介護無しではまともに生きていけないでは無いですか。''絶対安静''です。」

 

"それに''って言葉がすごく強い。

 

「繰り返さなくたっていいじゃん……」

 

「……狩人様……」

 

うっ……そんな手のかかる子供を見る目で見ないで……

 

「ね!?ほら!私も''こうなれた''んだし!もうそろそろ人形ちゃん無しでも生きていけるようにならなきゃ!自立したいの!お願い……?」

 

こういう時は上目遣いが大切だ。(人形ちゃん高身長だからいつも上目遣いになっちゃうけど)

 

「……だいたい、この手紙に書いてあることが本当かどうか、分からないでは無いですか。……万が一本当のことで、この学校が存在するとしても、どうやってリストを揃えて入学するのですか?フクロウを飛ばせばいいという話でも無いでしょう?」

 

……それはそうなんだけどね。でも夢みたいじゃん。

 

「勲章を長ったらしくつけるほどすんごい魔法使いさんが送ってきてるんでしょ?家の前で呼びかけたら来てくれるんじゃないかな?「フクロウないんだけど〜!!」って。そうでなくても返信しなければ期日の日には確認に来てくれたりとか……」

 

我ながらなんてヤケクソ。でもやれることなんてこのくらいだし……これでもダメなら交信だね。それでもダメで、万策尽きたらイタズラだったと諦めよう。

 

「……はぁ、分かりました。狩人様のご自宅から呼びかけてみてください。向こうから返事がなければ、その時はそれで終わりです。いいですね?」

 

「やった!ありがとう人形ちゃん!」

 

ふっふ……なんだかんだ言って人形ちゃんは私に甘い。というか今まで過保護気味だったのだ。……一人で生きていけない奴をお世話するのを''過保護''というのかは微妙だけど……まあ、超美人で可愛くて優しい人形ちゃんに甘やかしてもらえるのはとても良いものだけど、わたしもシモンさん曰くビルゲンワースの立派な末裔だ。(幼さに驚かれたけど余計なお世話)学び舎に行けるのであればぜひ行きたい。

 

「ですが、狩人様。もし本当に入学するのであれば私も着いていきます。」

 

えっ

 

「……でも人形ちゃん夢の中でしか動けないよね……?」

 

「狩人様の上位者パワーでなんとでも出来るでしょう?」

 

いや……あー……出来ると思うけど……

 

「この条件がのめなければ入学は許しません。狩人様はまだ''赤ちゃん''です。」

 

……まだまだ親離れはできないらしい。

 

 

 

さて、手に入れた立派に歩ける脚で地面を踏みしめいざ実家へ。

人形ちゃんを説得(?)したものの、呼びかけに答えてくれなきゃ意味が無い。そもそもこの手紙不親切過ぎないかなあ?''ふくろう便''なんてので返信してくれなんて言われても分からない。私にも届いたんだから多分他の人間にも届いたんだろう。(もしかしたら私が特例なのかもしれないが)

普通の人間がこの手紙を呼んで「あーはいはいふくろう便ね」なんてなる訳ない。ましてや一家に一羽フクロウがいるなんて常識は聞いた事もない。

 

「初めて夢から出てきました……狩人様の家はこのような場所だったのですね。」

 

上位者パワーで夢から出てきた人形ちゃんが、車椅子を押しながら珍しそうに私の家の中を見る。一応誰かに見られることも考慮して関節部には神秘による偽装を施してある。

そういえば私も久しぶりの帰宅だ。当然誰もいない。父も母も私が不治の病にかかってから亡くなった。一体どれくらい前の話だったか。

 

「それで、狩人様。これからホグワーツなる学校へ呼びかけるのでしょうが、本当に外に出て大声をあげる気ですか?実際それで届くのでしょうか。」

 

なんだかスパスパ進めるなぁ。

 

「まあやるだけやってみようよ。ヤケクソみたいな方法でもやれば答えてくれるもんだよ。ビルゲンワースもメンシス学派もそうやってきたんだし。」

 

「その2つの例も、今やろうとしてらっしゃる方法も、あまりまともでは無さそうですが。」

 

はっきり言うなぁ……

苦笑して大きく息を吸う。

 

「ホグワーツへ手紙を送りたいんだけど!!!」

 

……周りは静かだ

 

「ふくろう便って何!?」

 

…………とても静かだ

 

「……誘うなら最初から最後までしっかりやって欲しいんだけど!!!」

 

………………だいぶ顔が赤くなってきた

 

「……狩人様。」

 

可愛いものを見るような、可哀想なものを見るような目をしないで!

 

「アルバス・ダンブルドア!!!」

 

……もうやめようかな。人形ちゃんがおいでおいでしてる。どうぞ座ってくださいって。優しくされるともっと恥ずかしくなる。

 

上手くいかなかったと思った瞬間にアホらしくなってきた。生まれたばかりとはいえ上位者がいたずらの手紙ごときに振り回されるなんて。

交信する気もなくなってきた。……あぁ、心が冷めると急に眠気も……

 

「……人形ちゃん。」

 

「はい。狩人様。」

 

「帰る。」

 

「はい。狩人様。」

 

恥ずかしいけど眠気には抗えなかった。

人形ちゃんに身体を任せようとした瞬間

 

!瞳が見つけた。今急に。何も無かったところから現れた。

 

[コンコン]

 

次にノックが鳴った。

なんだ?……視線を感じる。人形ちゃんからと……他は?この突然の客人か?

 

「……狩人様。どうやら……」

 

うん。……本当にこの世界には……

 

「……はーい!どなたでしょうか?」

 

 

 

 

 

「こんばんわ。ホグワーツ魔法魔術学校の副校長、教授のミネルヴァ・マクゴナガルです。」

 

 

魔法があるらしい。

 




クリスティーナ・ブラウン
年齢11歳
身長125cm
歴代狩人の中で最年少である。そして誰よりも獣狩りの夜を繰り返した少女。肉体も精神も未熟なまま夜を繰り返し続けた結果非常にアンバランスな精神構造をしている。智慧をもち、啓蒙を得ているが精神は子供が同居している。
半ば狂いながら好奇心に突き動かされ、狩人の業を用い、神秘の業を用い、そして上位者へと転生した。

(申し訳ありませんが主人公の設定は変わるかも分かりません。筆者の見通しの甘さが出たと大目に見てください。……キャラクター紹介を毎回続けるかも分かりません。ダメダメです。)
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