ハリー・ポッターと上位者の娘   作:アーマウニー

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めちゃくちゃ遅くなってすいませんでした。



ハリーポッターと上位者の娘 12 芽生え

「まずルシウス・マルフォイさん。今日は助けていただいてありがとうございます。ドラコの……ドラコ君の父君ですよね?……やっぱり。いつもドラコ君には良くしてもらっているんです。今日助けていただいたことも合わせて、わたしはマルフォイ家に大きな借りを作りました。この借りは必ず返します。どんな時でもどんな事でも、必要な時に呼んでください。」

 

「……あぁ。」

 

「そして、アンナリーゼ様。ここまで御足労いただきありがとうございます。」

 

「良い。気にするな、クリスティーナ。」

 

「……ありがとうございます。人形ちゃんもありがとうね……ちょっと限界なんだけど良い?」

 

「……ええ。お疲れ様です、狩人様。お休みになってください。」

 

「ごめんね……背中借りる……」

 

「お疲れ様でした、狩人様。良い夢を。」

 

 

〜〜~

 

 

この女達は一体なんなんだ?

人形?狩人?いやそんなことよりも……

ブラウンという女……先程の法廷の中での……化け物の召喚……何故マグル生まれがその歳でそれほどの力を持っているんだ?

そもそもあんな魔法は見たことも、聞いた事すらもない。……闇の帝王の元にいた時すら、あれほどの物は見なかった。

 

……今回の騒動、その計画は耳に入っていた。……初めて耳にした時は無茶苦茶な計画を立てたものだと頭を抱えた。……一体どこのどいつだ?こんな馬鹿げた事を考え始めたのは!

 

……そもそもグリンゴッツは魔法省の下部組織などでは無いのだ。小鬼共と我ら魔法族は価値観も考え方もまるで違う。……この計画……下手をすれば小鬼共との戦争にまで発展するかもしれない火種だ。そうだ、グリンゴッツの銀行員に喧嘩を売るかのごときこんな計画、実行に移せば小鬼との関係は確実に悪化するだろう。……発案者も、その計画に乗っている馬鹿共も……グリンゴッツを閉鎖され、一切の口座を凍結される可能性をチラとでも考えなかったのだろうか?

 

それにこの計画、どれだけ探っても発案者が分からないというのもおかしい点だ。強烈な純血主義者か、純血しか取り柄のない無能が起こした話なのだろうと考えていたが、どうも違和感が拭えない。私が探ってもしっぽを掴ませないうえ、上手く人を操っている……旗頭に立たず保身を優先させるというのは、当初私が浮かべていた発案者の像とは違う……狡猾さが見える。計画の内容に比べて動き方がスマートで……チグハグだ。

仮に賢い人間が発案したと考えれば、この計画は別の見方ができる。つまり全て囮という可能性。ウィゼンガモットを使い、無茶苦茶な方法で始めたこの計画は良くも悪くも人の目を引く。この騒ぎを囮に使う事は確かに可能だろう。

……やはり、何者かが策謀を巡らせている気がする。理性でも直感でも、この計画は関わらない方がいいと身を引いていた。

引いていたのだが……どうもこの問題から離れて静かには暮らせないらしい。私が迎合したというブランドが欲しいのだろう。

 

確かに、マルフォイ家よりも財力を持つ個人が誕生するというのは面白くは無い。それもマグル生まれならば尚更だ。しかし、マルフォイ家は''今''1番でなくても良いのだ。闇の帝王の時代と同じく、血を繋ぎ、ゆっくりと家を大きくしていけば……

まぁ、そもそも今回のケースはただの成金の少女が生まれただけという話。機会を待てば如何様にもできる……

 

……と、そう考えていたのだが……法廷が開かれる直前になってこの女達は現れた。自らをアンナリーゼと名乗るこの女は、我が最愛の息子、ドラコの直筆の手紙を手に持って。

……その果てがアレだ。

 

「最低限、礼だけ言って寝るとは、余程眠かったか、クリスティーナ。」

 

「はい、アンナリーゼ様。クリス様は……昨日は寝れておりませんから。」

 

ブラウンをおぶったマリアが今までの張り付いたような冷たい表情から一変して……柔らかい表情をしている。

 

「寝ていない?珍しいな。最近は寝てばかりいた印象だが。」

 

「えぇ、ホグワーツがとても楽しい様です。御学友の方々も出来ましたし……」

 

取り留めのない会話を続ける二人を見ながら先程の化け物のショック含めて、動いているんだか動いていないんだか分からない脳を立て直す。いや、もうショックからは立ち直っているのだ。

……今1番の問題は、この女たちが……クリスティーナ・ブラウンがドラコと同じ空間に、ホグワーツに、これからもずっといるということだ。

 

我が息子の安全だけは確保しなければ……

 

「ああ、ルシウス・マルフォイ様。クリス様からもありましたが、私からもお礼を言わせてください。」

 

「……あぁ、別に感謝などしなくて結構。我が息子、ドラコの頼みだ。私としても息子の友人に酷い目にはあって欲しくはない。」

 

……もはや心にも無い言葉だが、善意を見せておく。……脅迫が効くのならそれで良いが、彼女らにそれをするのはどう考えても悪手だ……

いや、そもそもこれ程のものらに脅迫ができるのであれば闇の帝王の元になどいなかったな……

そう心の中で自嘲する。

脅迫が出来ないのであれば、どれだけでも心象を良くしておくに限る。

 

「……ふふ、クリスティーナは良い友人を持ったな。あの貴公の息子、ドラコという少年。あの子にクリスティーナを助ける為、魔法界に姿を表せと言われた時は驚いた。」

 

''初対面で私にあんな口を聞く者などそうはおらん。''そう楽しそうに話すアンナリーゼ。

 

「しかし、ドラコ様が一緒に来てくださったおかげでアンナリーゼ様に詳しい説明が出来ました。それに、ルシウス・マルフォイ様に口利きをして頂いたお陰で……」

 

「そうだな。想定していたよりも穏便に片がついた。私に対して偽物だのなんだのとあの者らが口を出していたら……クリスティーナが何をしていたか分からん。」

 

……なんてことを言い出すんだこの女は……場合によってはウィゼンガモットに手を出すつもりだったのか?そんなことをすればアズカバン行きは確定だろう……いや、もう既にアンブリッジは手を出されていたな……それに、アズカバンもこの女達……とりわけブラウンには抑止力として働くかわからん。……危険だ。

 

「そうですね。やはりこれから魔法界で社会的な生活を送るにあたって、私やクリス様は、マルフォイ家にとても大きな借りを作りました。」

 

「……そこまで言うのであれば、そういう事にしよう。ならばそうだな、またいつか借りを返してもらおう。」

 

マリアは首を縦に振る。

 

「……貴公。ひとつ、言っておこう。」

 

「……何かな?アンナリーゼ。」

 

「クリスティーナは貴公の想像の遥か上をいく、とてつもない力を持った子だ。」

 

……それはもう既に嫌という程わかった。

 

「クリスティーナに出来ぬことなど無い。故に、貸しを作れたのは……貴公の人生で最高の幸運やもしれん。」

 

……誇張や嘘では無いのだろう。しかし、その言い様といい、あの謎の夜を呼ぶ力、化け物を召喚する力といい……あの女は本当に人間か?それ以外のナニカだと言われても信じられる。

 

 

「だから貴公、よく、考えたまえよ。」

 

 

アンナリーゼ達はそう言ったあと、さらばの一言で何処へともなく消えていった。

 

……最後の言葉の指す意味は純粋にアドバイスなのだろうか?適当な頼み事より、最大限上手に貸しを使えと?それとも、つまらん些事に自分の従者を使うなということか……?

……どちらにしても変わらない。上手く使うのは言われるまでもない。この貸しはあまりに大きい。それに、魔法省上層部にあの力の存在が知られているのも好都合だ。……流石に大々的にあの力をチラつかせて強権を振るう訳にはいかないが、それでもここぞと言う時の良いカードになるだろう。

 

しかしカード、そう、ジョーカーが手元に来たとて、1番の懸念事項は消えない……

 

これから先、あの女達……ブラウンとマリアは確実に我が息子とずっと同じ学校に居続けるのだ……私は……貸しがあり、利益や感情で縛ろうとも、力……暴力を持つ者には気まぐれで全てが破壊されることを知っている。……闇の帝王へ献身し続けてきた死喰い人の末路が、''闇の帝王より死を賜る''というのは珍しい光景ではなかった……

あのブラウンも……やろうと思えばそういう事ができる存在だ。実力的にも、精神的にも。あれはそういうモノだと脳が叫んでいる。

 

何が起きてもドラコだけは無事であるように、その為に行動しなければ……

 

……いや、まずはドラコに話を聞かなければ。

アンナリーゼから受け取ったドラコの手紙をもう一度開く。

 

ーーー

 

父上。私が推察する限り、ブラウンに対しての攻撃に父上は関与していないと思います。

 

もし、推察の通りであれば、どうか、ブラウンを助けてやってもらえませんか。

私からブラウンを取り上げさせないでください。

 

あいつは僕のものです。

 

ーーー

 

これを読んだ時、そう、最初は驚きと、少しの喜びがあった。

この文章から察するにドラコは恋をしたのかと。

なかなか厄介な状況の娘なうえ、純血が途切れると考えたが……すぐに気が早すぎると切り替えた。

 

ドラコがこんなにも直球で頼み事をしてくるなど初めてだった。

いつもは取引をするような調子でものをねだって来ていた。そう教育して来た。

だからこそ、この手紙を見た時即決で動こうと思ったのだ。

 

……しかし、ブラウンの力を見た後では受け取り方も変わる。一瞬、もしや脅迫されたのかとも考えたが、あの女たちの態度や、文面から考えて多分……違う。ドラコは自分の意思でブラウンを手元に起きたがっている。

 

……何故?力に魅せられてしまったのか?もしくはまた別の思惑があって?

 

……私はどうすればいいのか。

 

いや、決まっている。

 

最大限ドラコの願いを叶えつつ、情報を収集し、我が息子を守る準備をするのだ。

 

 

〜〜~

 

 

「んん……」

 

……?ここは?

 

「お目覚めですか?狩人様。」

 

「……おはよう。人形ちゃん。」

 

「おはようございます、狩人様。」

 

「おはよう。クリスティーナ。」

 

うぇ!?

 

「おっおはようございます!アンナリーゼ様!」

 

そうだそういえばそうだった!アンナリーゼ様といっしょだった!

 

「よい、休め。ここは我々しかおらん。」

 

「……ありがとうございます……」

 

……カインハーストか……あの後ぐっすり寝ちゃった訳か……

 

「随分と寝不足だったと聞いたぞ?貴公は私の婚約者、体調管理をずさんにされては困るな。」

 

「ぅ……すいません……」

 

「ふふ、良い。慣れない環境、新たな智慧、貴公に我慢しろというのは酷な話だったな。」

 

……理解のある彼女過ぎる……

 

「……私としては、おぶるのは望むところですが、体調が崩れるまで遊ばれるのは宜しくありません。アンナリーゼ様にはもう少し強く言ってもらえるとありがたいです。」

 

ママかな?……ママか。

 

「はは、言われてしまったな?」

 

「……善処します……」

 

ふたりが集まるとどうしても頭が上がらなくなっちゃうんだよね……

 

「さて、今回の騒動だが……何事もなく収まって良かった。前は興味を惹かれなかった魔法とやらも、貴公が持てばなにか変わるやもしれん。」

 

それはほんとにそう。瞳の有る無しで多分だいぶ変わってるはず。まだ魔法を知って少ししか経ってないから研究は進んでないけど、それでも可能性が見える。

 

「はい。7年しかない期間の中でそれなりの時間を奪われそうだったので……アンナリーゼ様には感謝しかありません。」

 

……ちょっと惜しいとも思ったけどね……アズカバン……でも好きな人に助けて貰えるってのはこんなに嬉しいものかと思っちゃうね。

 

「言ったろう?それに関しては気にするな。貴公が成長する、新たな智慧を手に入れるのは私の悲願にも繋がる可能性がある。可能な限り貴公をサポートするとも。」

 

「……ありがとうございます。」

 

「それで?今回の騒動の主犯格、そして目的は……目星は着いているかな?」

 

……そうだなぁ……

 

「私としてはアンナリーゼ様の財産を狙った者の仕業じゃないのかなと……」

 

「……やはりまだ分からんか。いや、当然だな。我々はまだ魔法界をよく知らん。考えても仕方のないことか。」

 

まあそうだよね……とはいえ主犯探しは続けるけどね。

 

「所で……ルシウス・マルフォイはどうして助けてくれたんですか?」

 

「狩人様、その件はドラコ様がルシウス・マルフォイ様を動かしてくださいました。」

 

え?ドラコが?

 

「ああ、貴公。あのドラコという者、中々面白い人間だったぞ?あれはなかなか……ふふ、学生生活を面白いものにしてくれそうじゃないか。」

 

「え、アンナリーゼ様に謁見したんですか?ドラコが?」

 

「はい。最初は私だけで使者の皆さんに送ってもらおうと思っていたのですが…」

 

「ドラコが……一体どうして?私の事怖くなったんじゃ……?」

 

「ドラコ様は魔法薬学の授業の後、ドラコ様が教室の前まで来られたのです。狩人様に会いたそうにしておりましたね。そして狩人様がウィゼンガモットにとお伝えしたところ、アンナリーゼ様への謁見を求め、その後、ルシウス・マルフォイ様を動かしてくれたという話です。」

 

一体なんのつもりなんだろう……あんなに私を怖がっていたのに……私に言いたいことでもあったんだろうか?それに助けてくれるなんて……

 

「あの者、ウィゼンガモットまで着いていくと譲らなくてな。……展開次第であの法廷の者共に手荒な真似をする可能性があった故、説き伏せてホグワーツへ帰らせたが……結果論でいえば別に連れてきても問題なかったな。」

 

「いやぁ……アンナリーゼ様、結局力を示すためにあめんぼ……アメンドーズを召喚しましたし……子供の精神には耐えられなかったかもですから……」

 

「ああそうか、そうだったな。しかしあの子、ついていけないのであればとその場でルシウスへの手紙を書いていたが……私を伝書鳩変わりに使うとは、いい根性をしている。」

 

マジか。ちょっと恐れを知らなすぎなんじゃないかな……?というかそんなに私を助けたかったのか……目的が分からないなぁ……

 

「そういえば、あのアメンドーズ……大きくなっていたな。」

 

「あめんぼくんですか?ええ、もう小アメンとは言えないですね。立派な成体です。」

 

あの子は聖杯に潜ってたら偶然見つけた小アメン。ボコボコにして躾てあげたら懐いちゃった特別個体だ。あの聖杯に時々面倒見に行ってあげてたんだけど……ナメクジだった期間に忘れられてたらどうしようかと思ったけど杞憂だったね。

え?召喚?どうやったかって?そりゃ失敗作達ですら宙を呼び出せたんだから、座標指定して何かを召喚するぐらい私には出来るよ。

 

「狩人様。今日はどうなさいますか?もう授業はありませんし、明日からは休日です。ここに留まりますか?」

 

「あー……いや、ドラコにお礼もしなきゃならないし、皆に事情説明もしたいからね。ホグワーツに行こうか。」

 

"分かりました''と人形ちゃんが頭を下げる。

 

「それでは、アンナリーゼ様。また今度はしっかりとお土産を持って帰ってきます。今日は本当にありがとうございました。」

 

「……もっといてくれてもいいんだが……仕方あるまい。学徒としての本分に励むといい。」

 

「はは、ありがとうございます!行ってきます!」

 

「ああ、行ってらっしゃい。」

 

アンナリーゼ様に見送ってもらいながらホグワーツへ……

 

 

〜〜~

 

 

さて、ホグワーツに帰ってきたはいいけど……

 

「ねえ、人形ちゃん。これからどうする?」

 

「狩人様の思う通りに。」

 

「うーん……」

 

なんか流れでダンブルドア学長ウィゼンガモットに置きっぱなしで私たちだけで帰っちゃったからなぁ……多分校長室行った方がいいんだろうけど……

 

「まあいっか!談話室行こうか、人形ちゃん。」

 

なんかあったら呼ばれるでしょ。

 

「分かりました。皆さん心配しておりましたので、早く何も起きなかったことをお知らせしてあげるべきですね。」

 

そっか……やっぱ大事だったんだな……そりゃそうか。入学して早々、怒られるどころか裁判所行きだもんね。

 

……

 

という訳で、

 

「ただいまー!!」

 

………………

 

……え、何この空気。

 

「……ブラウン?」

 

「うん、ただいまドラコ。なんか助けてくれたんだよね、ありが」

 

「クリスぅ!!!!!」

 

うわっと

 

「トレイシー?どうしたの?」

 

急に抱きつかれちゃっ……泣いてるの?

 

「だ、大丈夫?トレイシー。」

 

泣きながら抱きついてくるトレイシー。

 

「''どうしたの大丈夫?''……じゃないわよ!クリス!それはこっちのセリフ!あなた大丈夫だったの!?」

 

「パンジーまで……え?なに?また私何かしちゃった?」

 

周りを見てみれば皆とても心配そうな表情で私を見ている。

 

「なに……なにかしたって……!あなた今までどこ行ってたのよ!ウィゼンガモットが閉廷したのは数時間も前よ!でも、その結果は分からないしあなたは帰ってこないし……!!」

 

ミリィとダフネもパンジーに同調しながら聞いてくる。

 

「先生方に聞いても裁判の結果は答えてくれなかったのでな。」

 

「みんな心配してたのよ、眠り……いえ、クリス。裁判の結果は?今までどうしてたの?」

 

「あー……そうだね。取り敢えず結果は無罪。ホグワーツ退学もアズカバンもなかったよ。……えっと、心配させてごめんね?」

 

「無罪……」

 

誰ともなくそう呟くとみんなの背筋がゆっくりと弛緩する。

 

「くりすぅ……よかったぁああ……もう……もう会えないかとぉ……!」

 

「あはは……ごめんね?トレイシー。」

 

「ごめんじゃないわよ!無罪ならなんでさっさと帰ってこないのよ!!」

 

緊張と弛緩、また肩をいからせてパンジーが問い詰めてくる。

 

「あーそれは……」

 

「まあまあ、パンジー嬢。取り敢えず、無事で何よりじゃないか。」

 

「ミリセント!駄目よ。この……コイツにはもっと厳しく言ってやらないと!こんな大事の後姿を消すって言うのが、どんなに……待ってる人間がどんな思いをするか……!」

 

……そこまで?そこまで言われることだった?

 

「……私も、クリスにはしっかり言うべきだと思うわ。トレイシーは言わずもがな、パンジーだって若干泣きそうだったんだから……」

 

え?

 

「ダフネうるさい!そんな事ないわ!」

 

「何パンジー、私の為に泣きそうだったの?」

 

「あなた殺すわよ……!……知り合ったばかりとはいえ……友達がもしかしたらアズカバンなんて……おかしくならない方が変よ……」

 

何この子めっちゃ可愛いじゃん。アズカバン行ってたらどうなってたんだろ。

 

「だいたい!マリアも!あなたが付いていながらなんでこういう大切な報告をさせないの!?」

 

すぐに勢いを取り戻して再開するパンジー。

飛び火が来るとは思っていなかっただろう人形ちゃん。今まで見た事ない表情してる……まあこういう感じの感情受けたことないもんね。

 

「……すいませんでした、パンジー様。」

 

「ふふ、パンジー最初はドラコが着いて行ったんだからって、余裕綽々って態度だったのに……」

 

「ちょっとダフネ!」

 

「ドラコが1人で帰ってきてからどんどん忙しなくなっちゃって、トレイシーとほぼ同じ顔してたのよ?」

 

「あなただってそうだったでしょうが!」

 

なにそれ見たかったな……

未だに私の胸で泣いてるトレイシーの頭を撫でる。

 

「とにかく、ドラコが呼んでくれたルシウスさんのお陰で何事もなく無罪。ほんと助かったよ、ドラコ。ありがとうね。」

 

女の子の勢いが強すぎて声を出すに出せなかったらしいドラコに声をかける。

 

「……いや、いい。僕の為にしたことだ。感謝なんて必要ない。」

 

なんとも言えない顔でそう言ってくるドラコ。僕の為にって……

 

「うーん……割と申し訳ないと思ってたんだよ?昨日のこと。その上助けられちゃって、それで感謝の必要はないなんて言われてもさ……」

 

「……そう思うのであれば今までと同じようにしてくれ。」

 

「同じように?」

 

「ああ、僕もそうする。だから冒険にもついて行く。約束しただろう?僕の知らない力をもっと教えろ。」

 

!はは、面白いね。

何かしらの……決意?のような、気合いの入った顔をしているドラコ。……顔つき変わった?

 

「ドラコ……?もう夜間の出歩きはマズいんじゃ……」

 

「そう来なくちゃ!嬉しいよドラコ!」

 

「ちょっと!クリスも!あなたスネイプ先生に面と向かって監視してるぞって言われてたじゃない!」

 

「大丈夫パンジー。もう見つかることはないよ。ドラコも分かったでしょ?」

 

「……前見つかったのは僕のせいって言いたいんだな?まったく……お前と言うやつはどうしてこう……ああ、わかってるよ。」

 

凄く異議ありって顔してるけど飲み込んだドラコ。やっぱ彼は面白い。

 

「……ねぇ、クリス。私も着いてっていい?」

 

おずおずと小さな声が胸に埋めた頭から聞こえてくる。

 

「トレイシー!?あなたまで……」

 

「マリアちゃんにも言ってたけど……前から少し興味あったし……クリスどっか行っちゃいそうだし……」

 

「はは、どっかに行ったりなんてしないよ。しっかりホグワーツで7年学ぶからね!」

 

トレイシーの頭を撫でながら断言する。……かわいい。なんか頭撫でるのっていいなぁ……赤子が出来たらこんな感じ?いや、人間の形で産まれるかは知らないんだけど。

 

「クリス様。私も今度はついて行きます。目の届かないところで何されているのか……把握していないのは問題だと知りましたので。」

 

おおぅ……ママ……

 

「……いいよ。今度はマリアちゃんとトレイシーも一緒に行こうか!」

 

2人追加で4人!増えたねぇ。流石に注意して歩かなきゃバレちゃうかもだけど何とかはなる。

 

「パンジー、ダフネにミリセントは?」

 

「私は絶っ対行かないわよ。」

 

「……私は次のがみんなバレずに帰ってきたら考えようかな。」

 

「……嘘でしょダフネ……」

 

パンジーが面白い顔してる……

 

「そんな顔しないでパンジー。面白そうじゃない。眠り姫様の言う通りに見つからなかったら……4人も一斉に出歩いて見つからなかったら、それは大丈夫って考えて良さそうって、そう思えたのよ。」

 

いいねダフネ。これは何がなんでも見つかる訳にはいかなくなった。

 

「……私も、今回は遠慮しよう。……大丈夫だと信じはするが……もしこの人数が見つかったら……クリス嬢は自分の分を取り返せるとしても、寮杯が遠のくのに違いはないからな。」

 

「ミリセントの言う通りよ!私、あなた達のこと止めたってちゃんと先生に言うからね!」

 

大丈夫大丈夫、そんなことにはならないから。

 

その後は久々に……いや?そんなに久々でもないのか……?でも、体感としてとても久々に友達と談笑した。

 

今度はどこに行こうか……

 

 

〜〜~

 

 

全くもって想定外だった……

あの時、そう。魔法省に入る前、あの瞬間に見つけた、''未来の''自分からの手紙。あれを読んだ時はこうなるなどとは全く想定できなかった。

 

【時間を稼ぎつつ流れに任せよ。事が起きても手を出すな。】

 

何が起きるかは分からなかった。しかし良くないことが起きるというのは充分に理解できた。

ソレがいつ起きても良いよう、(何もするなと連絡されているとはいえ、)備えていた。

 

アンナリーゼが登場した時、これがその''事''かと思った。確かに驚くべきことだ。今まで魔法界に姿を見せなかった人間の登場。……しかし、これに対して手を出すなと?寧ろこれはクリスティーナの援軍。邪魔などするわけがない。なにかおかしい……

 

……そう、その違和感は正しかった。

 

「あれほどの力……力?魔法では無いものを力と呼ぶのじゃろうか……」

 

そう。あの巨大で恐ろしい化け物。あんな生物は見たことがない。あんなものを召喚し、使役する魔法……自分が知らないだけかもしれないが……いや、直感でアレは魔法ではないものだと理解した。……そう、アレは脅威だ。魔法ではない別のナニカ……

 

「クリスティーナがドラコに言っていた……あの言葉が真実であるとは信じておったが……魔法ではない新たな力……まさかこれほどのものとはの……」

 

この目で実際に見ていなかったのもある。あの時の会話とドラコから開心術で読めた情報からだけでは……魔法並に便利な力である、という程度にしか思っていなかった……しかしこれほど強大な力とは。

 

「彼女のみが持ち得る力なのか……それとも……知識があれば使える力なのか……」

 

そう、前者であればまだ良いのだ。クリスティーナは危うい。確かに危ういが、悪では無い。力を振るうべき時を教育し、無闇矢鱈にアレを広めなければ、1代限りの……この宇宙に残された神秘として終わる……

 

問題は後者であった場合……

あの力の強大さは魔法省に知れ渡った。魔法界、それもイギリスだけではない。全世界に広まるのは時間の問題だろう……

 

「もし……あやつが……ヴォルデモートがあの力を得てしまったら……いや、知ってしまったら……」

 

そう、実態がどうあれ''魔法ではない新たな力''は存在する。

ヴォルデモートは必ずソレをより深く知ろうとするだろう。

 

力を持っていると言うだけで厄介な事に巻き込まれ、人生が狂っていく。

 

「……なんとも……不条理で不憫なものよ……」

 

クリスティーナも、ハリーと同じく生まれた時より人生に選択肢のない、英雄……ではなくとも、何者かに成る道を歩まねばならない者なのだろう。

 

……いや、一人で頭の中だけをこねくり回してセンチメンタルになっていても生産性がない。

 

「……わしも大概、アレにあてられておかしくなっておるの……思考がすぐに横道に逸れてしまう……」

 

そう、今は悩んでいるべき時ではない。クリスティーナ本人に話を聞けば良いのだ。少なくとも、学べる力なのか、クリスティーナだけの力なのか。それだけでも把握せねば。

 

「……もし、あの力が手に入るとしてわしは、あの力を前に……正気でおれるじゃろうか……」

 

未だ昨日のように思い出せる……''彼''との青春の日、グリンデルバルドとの……あまりにも幼い夢を抱いていた日々が想起される。

自分は変わっていない。あの日々から、立場が変わった……変えただけなのだ。根の部分は変わらない。力を手にした途端、野心という名の炎に焼かれはしないだろうか……

 

''より大きな善のために''

 

あの甘美な響きに焼かれてしまわないだろうか。

 

部屋の暖炉が強く燃える。

取り留めのない思考の時間は終わりだ。

 

「お疲れ様じゃのう。アメリア。」

 

暖炉から疲れた顔で出てきたアメリア・ボーンズは煤を払いながら話し出す。

 

「やっとの事で見つけたぞ。あのカエル女……アンブリッジを発見、保護した。」

 

「状態は?」

 

頷きながら先を促す。

 

「……身体的外傷は無いに等しい。……握りあげられた時の圧迫痕くらいだ。そんな事より精神衰弱が酷い。治すために直近の記憶を忘却呪文で消すことになったそうだ。」

 

……こちらは想像通りといったものだ。やはりクリスティーナは精神的に人を傷つけるということを未だ理解していない。

 

「……どうじゃ?魔法省はどう動くつもりじゃ。……クリスティーナに対して。」

 

不機嫌そうな顔をしてアメリアはため息を吐く。

 

「……私はあんたの部下でもなければフクロウでもないんだけどね。はぁ、まあいい。それで?魔法省がどうするかって?

……ハッ、どうも出来るわけないだろう。ルシウスへ喧嘩売ることもできない。訳の分からない1年生の娘に手を出すこともできない。全く、お手上げだよ!さっぱりどうしようもない!

……ウィゼンガモットのアホども、自分たちに忘却呪文をかけることを本気で検討していたぞ。」

 

……この分ならもう一度クリスティーナ達に喧嘩を売ることはないだろう。多分これで正解だ。

 

「さて、申し訳ないが……わしは少しだけ用事を済ませてくるとしよう。……直ぐに戻る。」

 

「私にはここで待てって言うのか?これでも暇じゃないんだ。合間を縫って来てやってるんだが。」

 

イライラが抑えられないといった様子でアメリアは靴をコッコッコッコッと鳴らす。

 

「ほんの少しじゃ。」

 

部屋を出て''逆転時計''を使う。ウィゼンガモットの開廷に間に合うように。

同じ紙に、同じ文言を書いて、同じ場所に落とす。

 

【時間を稼ぎつつ流れに任せよ。事が起きても手を出すな。】

 

これでループは完成する。

つつがなくクリスティーナ不利で法廷は進み、アンナリーゼが現れ、''アレ''が召喚される。

これから''アレ''に遭遇するウィゼンガモットの彼らが少し気の毒だが、私欲を優先させ美味い話に乗った罰が当たったと思ってもらおう。

 

さて、あともうひとつ。……重要な仕事がある。

 

4階の扉を、その奥の賢者の石を取りに来る者がいないか見張るのだ。

……正確にいえば、賢者の石は''みぞの鏡''に入っており、それは今、4階の件の扉の奥には無い。

賢者の石を(比較的)適当に放っているこの隠し方は盲点を着いた非常にうまいやり方だと自負している。

 

閑話休題。

この騒動が囮の可能性には気づいていた。いや、十中八九囮だろう。

故に、黒幕が現れる可能性が一番高いのは、ワシがホグワーツにいない間……つまり、クリスティーナの法廷が開かれている……今、この場所だ。

 

しかし……あてが外れた。何時間待っても誰も来ないし、何も起きない。

 

もしや本当にクリスティーナの財目当てで起こされた事件なのか?まさかそんなはずは……狙いは賢者の石ではなかった?……あまりに首謀者の狙いが不透明だ。

 

「もうそろそろ時間かの……アメリアも待っておる。」

 

校長室に数時間前の自分とほぼ入れ違いで戻る。

 

「待たせたのアメリア。」

 

「……一応聞いておくが、どうせ逆転時計を使ったんだろう?……分からないと思ったか?弁護も、あの化け物に手を出すこともせず、ほぼ静観するなんて明らかにおかしいと思っていたんだ。……で、その逆転時計、所有していると魔法省に届出てあるんだろうな?」

 

……アメリアはやはり鋭いの……

 

「……今回のウィゼンガモットを巻き込んだ騒動に対してわしが言えることは非常に少ない。」

 

「おい」

 

「今回、敵が狙ってきたものは……クリスティーナの財が目的なのか、それとも他のものが目的なのか……未だ判断がつかん。」

 

「……はぁ、まあいい、それで?今回の騒動が囮という可能性に言及したい訳か?''アンナリーゼの口座''以上に敵が狙うようなものなどあるのか?」

 

「……少なくとも、ワシが今守っておるものは、それに値する物じゃ。」

 

これ見よがしに大きくため息を吐き、机を大きく叩きながら怒声を放つアメリア。

 

「んまっっったくそんな話聞いていない!!!……はぁ……ダンブルドア、あんたが当代最強の魔法使いってのは嫌という程知ってる。そんなあんたには厄介な代物を守って欲しいだの押し付けられるだの色々あるだろうこともな。……だが、あんたのその……一人で何もかも情報を握って誰にも渡さない姿勢は!やめて欲しい!」

 

「……そうは言うがの……言うべき情報と墓場まで持ってくべき情報というのは熟考を重ねねば判別がつかんことが多いのじゃ……」

 

アメリアの小言が止まらなさそうなので無理やり話を続ける。

 

「ゴホン、あー……故に捜査は続けるが、こちらから敵に打って出ることは出来んの。得られた情報があれば教えて欲しい。」

 

「……あんたって人はよくもまあぬけぬけと……」

 

頭を抱えるアメリア。

 

「すまんの……さて、今回クリスティーナがした事については……あまり良くはないじゃろうが、自己防衛のための……正当なものとして処理した方がいいじゃろう。……まあ、言われずともコーネリウスはそうするじゃろうがの……

先程の閉廷直後も話したが、クリスティーナは……邪悪ではない。力の振るい方を知らぬだけじゃ。」

 

「……余計タチが悪いと思うがね。つまり、絶大な力を持った赤ん坊って訳だからな……酷くなれば、わけも分からず四方八方に磔の呪いや死の呪いを飛ばし始めるやもしれん赤子ということだろう。いや、あんな化け物を軽々と召喚出来るんだ。こんな例え話よりよっぽど酷くなる。」

 

「……そんなことを起こさせんための教育者じゃよ。ワシらが彼女を良い方向へ育てる。じゃから、もし、クリスティーナ達に対して強硬な姿勢を見せようとする者が現れたら……何とか説得してくれんか?」

 

渋い顔をしながら押し黙るアメリア。

 

「……あまりこういうことは言いたくないんだがね。教師が努力したところで、ヴォルデモートは生まれたし、これからも闇の魔法使いは生まれるんだ。……意味がないとは言わないが……まあいい、分かった。抑えるよう努力しよう。……まあ元々、割れるやもしれん風船をつつき回されないように動くつもりだったしな。」

 

''これで話は終わりか?''と聞くアメリアに頷くと、''では時間が無いから失礼する''と言ってまた暖炉へ入っていった。

 

……さて、次はクリスティーナから話を聞かねば。

 

「痛い所を突くものじゃ……確かに……トム・リドルを良き方向に導けなかったワシが言っていい言葉ではなかったの……」

 

自分以外誰もいなくなった校長室は独り言がよく響いた。

 




ほんと遅くなりました。
ダンブルドアのエミュ難しすぎますねほんと……
これからどうするか悩みまくってます。
意見貰えると凄く助かります。

残念ながら今回の話もですが、次の話でもあまり物語が進まない気がします。

取り上げる話の取捨選択が出来ないことが深刻な問題ですね……物語を進めたいのは本心からなんですが……

2年次以降でやりたいことだけ増えて賢者の石をどう進めるかがなかなか……
ただ、面白くする努力は続けますので、気長に待って貰えると嬉しいです。
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