……ドラコ連れてかれちゃったよ。それにしても掃除魔法は凄いね。マクゴナガル先生に見せてもらってからアレだけは絶対に身につけておこうと思ったけど……正解だった。
スコージファイの一言でローブや杖や体に着いた血の汚れを綺麗さっぱり落とせるんだから。これを覚えてなかったらと思うとヒヤヒヤするね……杖はまだしも、ローブ……もとい、制服なんかは血でダメになるからね……
お金はあるとはいえ、やっぱり有意義なことに使いたいし、狩りの後毎度買い直すなんて真似はしたくない。……いや、多分この制服丈夫なんだろうけどさ。まだ受けてないけど魔法薬学とかもこれで受けるんだろうし。
閑話休題。んで、その件のドラコだけど……そんなに怖かったかな?……というか、何に怖がってたんだ?
まあ、なんであれ流石にただの校内探検であれだけ憔悴するとは思わなかった……
……もしかして、久々の狩りに滾っちゃってたけど……ヤバいやつって思われちゃったのかな?
……あー杖の変形も見せちゃったしなぁ……いっつも殺傷力のある武器を携帯しているアブナイ奴って評価に……いや、なる訳ないか。みんなも変形しないってとこしか変わらない杖持ってるもんね。
''死の呪文''なんてのを唱えられる杖を持っておいて、今更''殺傷力のある武器''を持ち歩くなんて!なんて事は言い出さないだろう。
だとすると……ほんとに分からんね。あんな死を目前にしたような顔をする原因なんてあったかな……?私のヘイト管理が信用出来なかったとか?……ありそ〜。1度も一緒に戦ったことがない奴に前衛任せるのはそりゃ不安か……
んまあいいや、答えの出ない想像は置いておいて……はぁ……マクゴナガル先生。だいぶご立腹な様子だった……もう!バレたら厄介なことになるって分かりきってるんだから、怖かったんだとしても、ドラコにはもう少し冷静な行動を心がけて欲しかったんだけどねぇ……もう三頭犬の前じゃなかったんだしさ!
「……さて、改めてこんばんは。クリスティーナ。それとも初めましての方が良いかの?」
おっとそうだった。我らが学長先生じゃないか!……うーん……学長先生……言ってみたかった言葉だ……ウィレーム先生はもう既にまともに意識無かったから出来なかったんだよね……学長先生って呼んでみてもいいかな?校長と学長って何か違うんだろうか。
それに、だ。これを聞いてくるのは確信犯だろう。
「うーん……もう既に私たちは顔合わせをしたことがあるんですから、こんばんは、の方がいいですね。ダンブルドア学長先生。」
「……!学長先生と言われたことは今までなかったのう。わしは校長なんじゃが……まあ、好きな方でいいか……新鮮じゃしのう。」
校長と学長ってやっぱ違いあったのか。……まあ!ここが学び舎で、あなたがその長なんだから、あなたはもう学長だ!以後よろしく。
「それで?顔合わせとは……入学式のことじゃの?ふむ。たしかにその通りじゃ。」
はは、ここでとぼけるとは。
……思ってたよりしゃらくさいな。
「いえいえ、もっと前から会ってるじゃないですか。私たちは。……私の魔法界はじめての日から。」
空気が変わった。いや、さっきから少しピリピリしてはいたんだけど。
「……なんと。見えておったのか……?ワシの目くらまし術は……それなりのものと思っておったのじゃが。」
「はは、いえいえ見えませんでしたよ。でも誰かいるのは分かりました。そして、入学式の日に誰が来ていたのか分かったんです。」
便利だよねぇ……心の底から思うよ。内なる瞳。上位者の超越的思索と視野が合わされば啓蒙を得る度に見えるものが増えるんだから。
というか確信犯じゃなかったのかな?私の深読みのし過ぎ?
「なんと……クリスティーナ。君は何者なのじゃ。わしは、はっきり言って見当すらつかん。こんな事は初めてなのじゃ。あの日より以前から、本当に魔法を知らなかったのか?どうしても信じられん。」
「そうですね。確かに私は、魔法というものが存在することすら知りませんでした。」
「……本当に?なんということじゃ……では、君は……魔法以外の力を持っておると?」
……やっぱり。
「学長、それはドラコにしか話していません。ドラコに何らかの魔法を使用しましたね?目と目を合わせると記憶が見える……というようなものですか。」
お、今度は本気で驚いてる。
瞳で魔法を見ることができるようになったのはやはり大きかったね。ドラコと目を合わせた時、何かやってたでしょ。
……あれこそが目と目で通じ合うってやつか。いや、一方通行だったのかな?何やってんのかと思ったけど、まさか記憶を読み解けるとは。
「……本当に、君はクリスティーナ・ブラウンなのかね?この術は、まだ知らないと思うのじゃが。」
「正真正銘私ですよ。あなたの侵入を見破り、その術を見破った、わたしの瞳は……そう、特別なんです。」
「……確かに、開心術を知っていれば''記憶を読む''などという言い方はしないじゃろう。''記憶を読む''となると他の方法がまず第一に出てくるからの。……言い方が正しくないが、君に分かりやすく言うと、''心を読む''と言ったところじゃ。」
ふむ……
「それを使える魔法使い相手には内心の自由は存在しないわけですか……とても興味を惹かれる魔法ですね。……それで?私の心は読めますか。」
まあ答えはわかっている。
「……はぁ……読めぬ。この魔法で心が読めぬ者は少ない。重度の混乱を受けているもの、閉心術の使い手、そして、狂気に落ちたものじゃ。」
やっぱりね。というか、もし読めていたら秒で発狂しているだろう。それで?
「……君が閉心術師では有り得ないので、この線はないじゃろう。ドラコの心は非常に混乱していたが、それでも少しは読み解けた。君がドラコより混乱しているということはあるまい。残った線は……」
「私が狂気に落ちているという可能性ですか。……まあ、狂っているか狂っていないかで言えば、私は間違いなく狂っていません。そういうことなら……学長先生。あなたはもうひとつの選択肢を増やすべきだ。
ただ、自らが理解できないだけであるという選択肢、自らが無知であるという可能性を。」
ダンブルドア学長の顔は一瞬悲痛に歪んだように見えた。
「……これは手痛いの……たしかに、選択肢に入れておくべきじゃった。ワシが無知である可能性……理解できぬものは読み解けぬ。道理じゃな。」
……なんか悪いことしてる感じになっちゃったな。多分、学長の古傷か何かを抉ったんだろう。
「……先生に対して言い過ぎたかもしれません。申し訳ありませんでした。」
「ふふ、気にすることでは無いよ。クリスティーナ……さて、本題に入ろうか。このままでは夜が明けてしまう。」
たしかに。言われて眠気が襲ってきた。……意識するとすぐに来る眠気君はなんなのかな?呼んでないよ。
「はい。夜間徘徊の件ですよね。校則違反をしてでもホグワーツという神秘を探検せずには居られなくて……」
「よいよい。というより、本題はそちらではない。4階の中身、そして君がドラコにしてしまったことじゃ。」
んーそれだよ。
「あの、私はドラコに対しては何もしていないと思うんですけど……」
「……本当にそう考えておるのか?ドラコは明らかに、君に対して尋常ではない恐怖を感じておった。」
「と言われましても……」
「……そうじゃな。ドラコから読み取れた情報は少ない。わしも視野狭窄に陥っておったやもしれん。クリスティーナ、君の口から禁じられた部屋の中で起きたことを話して欲しい。」
「分かりました。ミセス・ノリスをやり過ごして4階の扉を開けると、そこに三頭犬が居座っていました。あーなんでしたっけ?……幻の動物とその生息地に……そう、ケルベロスという名前の。」
学長が頷きながら口を挟む。
「その通り、あの部屋には、今現在門番としてケルベロスを配置しておる。」
門番か……
「はい。それであの子を見た瞬間に、血が……滾っちゃいまして。彼を狩っちゃいました。」
少し顔が強ばった学長が続きを促す。
……いや……
「あのー……これで終わりです。」
「……終わり?本当に?これで言うことはないと?」
呆気にとられた顔で学長が聞き返してくる。
いやそんなふうに言われてもねぇ……
「あの、そうですね……あー、あの子、傷つけてしまってすいませんでした……?」
「違う!君は……あぁ、そうか、君にとっては本当に''それだけの事''なのじゃな……」
……え何その可哀想な子を見る目は。
「……ドラコは君の戦いぶりを……恐ろしく思っておった。魔法を使わず、物理的な武器でもって子供が敵うとは到底思えない怪物を蹂躙する君を。」
「?……ホントですか?杖を……魔法を使ったってああいう事にはなるでしょう?……本で見ただけの知識ですけど、敵の肉体を切り裂く魔法や爆発魔法なんてのもありました。」
「その通り。しかし、返り血に塗れた君に声をかけられた時、彼が……ドラコが思ったのは……君に殺されるという恐怖じゃ。」
そんな……
「私は……杖で、いや、魔法で戦わなかっただけじゃないですか?それとも……それとも死の呪いの1発で殺してしまえば……血に塗れず、綺麗なままでいられたら、彼は恐怖を感じなかったわけですか?」
「そんなわけが無いじゃろう!」
いやそんな……いやほんとに理屈が分からない。
「……すいません学長先生。私には彼が私を恐れた理由が理解できません。手段が違って、過程が少し……''魔法使い的''じゃなかった……?だけじゃないですか。」
学長は顔を悲痛そうに歪め、優しげな声を出す。
「……誰もがそうは考えられぬ。……私も、君の立場であれば、もっと穏便に制圧することじゃろう。」
学長も、その場にいたら私を止めたと?魔法と狩り道具で狩るのと……そこにどんな違いがあるわけ?
「穏便にって……そんな方法は私は知らない……私が知っているのは狩るか狩られるか、その2択です。狩る方法なんてのは……」
……
「……クリスティーナ。君は一体その歳で……何を経験したんじゃ……?」
……もう思い出せない、私の……最初の私は……今日のドラコほど、弱かったのだったか?
「……やはり、理解できません。しかし、分かりました。」
「クリスティーナ……」
「人の前では、優しくありましょう。恐ろしい獣狩りでは無い、正義を標榜する、英雄のような狩りを。」
別に感傷に浸った訳ではない。
少し思い知らされただけだ。自分は狩人で、上位者で……人を辞めた存在だと。
人の精神とは離れてしまったのだと。
……まあ、ドラコが弱すぎるんじゃないかとは思うけれど。
「……クリスティーナ……君は……」
……どうも、欲しい答えとは違ったらしいね。こういうことでもないとは……わからんね。
しかし、諦めて貰えたようだ。
「それに、勘違いされてますよ。学長先生。私は獣でもない人の、飼っている生き物を殺しはしません。そんなに見境なくなるほど、瞳は蕩けていません。」
「……それはどういうことじゃ?」
「あのケルベロス。今は無傷で元気になってますよ。……少し生意気さは消えたでしょうけど。」
「なん……しかし、君は……そう、狩ったと。」
驚きながら学長はそう呟く。
「瀕死に留めました。その後、私が治癒を。見に行きますか?」
〜〜~
やはり聖歌の鐘はうまく効いたようだ。……まっったく使ってない神秘の業だったから効いているか、すこし怖かったのだが。
……うん。私のことはしっかりと理解してるね。躾られた犬は好きだ。
手を出すと震えながら頭を出してくる。はは、そんなに震えなくてもいいのに。
「……ドラコの見ておった光景が本物だったのか、偽記憶の魔法であそこまで混乱していたのではないかと……そう疑いたくなってしまうの……」
傷1つない三頭犬の姿を見て学長は呟く。
「どうです?一応狩りを始める前まで治したつもりですが。」
顎をわしゃわしゃしてやってもゴロゴロ言わない。……?ゴロゴロ言うのは猫だっけ?犬しか見てなかったからなぁ……
仕方なしに頭を撫でてやる。3つも首があると平等に撫でてやるだけでもだいぶんな大仕事だな。
「……君のその力。それは他の人間には極力見せぬほうが良いじゃろう。闇の魔法使いに悪用されれば……酷いことになる。」
「……流石に学長といえど私の行動の全てに干渉できる権利はありませんよね?それに、私は……凡百の闇の魔法使い程度、多分なんとでもできると思いますが……」
まあ、権利がないからこその提案の形なんだろうけど。
……いくら撫でても震えが止まってくれない。全く……
分かったよいいよ離れて。
「確かにそうじゃ。しかし、魔法界に及ぼす影響を考えて欲しい。マグルの皆に魔法が伝わるのと同じなのじゃ。新しい力とは争いを産む。」
……まぁ、ガバガバではあるけど秘匿はするつもりだよ。根幹に関わる部分なんかはね。
「ところで、フラウィー、この三頭犬を治した……君の力は……亡くなった人間を生き返らせることは出来るのかの?」
めちゃくちゃ鋭い目で聞いてくるね。生き返らせたい人間がいるとか?
「残念ですが、生き返らせるというものではないですね。怪我を癒す業です。生命を与えるとかの類ではないですよ。……どうしてそれを?」
「いや、出来ないのであれば良い……出来たのであれば……そしてそれを知られれば、厄介な者に狙われることになっていたじゃろうからの。」
……生き返る方法を狙ってる……生き返らせたい人物がいる者ね……ふーん?
「ヴォルデモートとか?」
「……どうしてそう思ったのじゃ?」
「だってそうでしょう?あなたが厄介と口にする人間で、生き返る方法を探してる奴なんて、1人しかないじゃないですか。」
「……」
……?なんか間違ったこと言っ
「なぜ奴がそれを探しておることを知っておる!?」
え?……ん?……あー……
「……すいません。もしかして言葉を間違えたかもしれません。私はただ、生き返る方法を必要としてそうな、と。……そう、学長先生が厄介と言えるほどの魔法使いで、尚且つ死人である魔法使い。そう考えるとヴォルデモートしかいないんじゃないかって意味で……ほら、ゲラート・グリンデルバルドとかは学長先生の宿敵みたいな感じですけど存命ですし。」
学長の顔が固まる。……そうだよね?早とちりしてミスったよね?
「あの、もしかしてヴォルデモートって生きてる?……ってことですよね?……?いや、生き返る方法をヴォルデモート自身が探してる?……??死んでる本人が?探してる?」
「……よい。怒鳴って悪かったの……」
やっちゃったって顔してる……
「……ヴォルデモートは死んでるはずなのに、そう、死人が生き返る方法を探している。もしかして本当にそういう事なんですか?」
学長先生は溜息を着く。
「……その通りじゃ。……わしも耄碌して来たかの……秘密を漏らしてしまうとは……その話はまた今度じゃ。良いな?これに関しては絶対に漏らすでないぞ?」
「分かりました。」
「よろしい。……もう時間もない。今夜君のしたことは理解した。君も……君なりに反省したことじゃろう、クリスティーナ。夜間の徘徊をして、校則を破った罰として、スリザリンから10点減点じゃ。君とドラコの分としての。」
……減点は免れない……そりゃそうか。
「君が三頭犬にした事は不問としよう。君の言を信じ、自分とドラコを守る為の防衛として行ったと。……あまりこういうことは言いたくないが、フラウィーの怪我も治っとるようじゃしの。」
「分かりました。」
「これからは……そうじゃの……もう少し他の人が君を見て、何を思うかを考えて行動して欲しい。」
……基本的な倫理観に沿って行動しろ、なんて言われなくてよかったよ。分かんないしね。とりあえず普通っぽくいればいいわけでしょ?
「そして、君は故意ではなくとも、ドラコ・マルフォイを傷つけた。ドラコとは仲直り出来んかもしれんが、謝っておくように。」
……言われなくてもするつもりだったよ。
「はい。」
「最後じゃ。もしかしたら、ドラコ・マルフォイの父君が動く可能性がある。その場合は君にとってとても大事になるだろう。……可能な限り助けたいと思うが……生徒対生徒の問題ゆえ、できることは少ないかもしれん。」
……?つまり何が言いたいんだ?覚悟しとけって事?
「……ドラコは父君に愛されているのですね。」
「……あぁ、そうじゃろうとも。」
〜〜~
……眠い。
やっと開放された。ドラコのとこに寄ろうかとも思ったけど、流石にもう寝る時間が無さそうで断念した。……それに、本当に怖がらせてたみたいだしね。明日にでも謝りに行こう。……いや?日回ってるしもう今日か……
こんな時間まで長引かせるつもりじゃなかったんだけど……やっぱり計画通りには行かないね。
今回の冒険の裏テーマ。誰にも言ってないそれは、人形ちゃんからの自立のための1歩というものだ。……まあ、今回ので本当に私は自立できるのか疑わしくなったんだけど。人形ちゃんを連れてきていたら、こんなことにはならなかっただろうか……いや、たらればの話はやめよう。ドラコのことを考えず、狩りを見せつけ、怖がらせてこんなことになってしまった。それだけ覚えておこう。次回はもっと上手くやる。
スリザリンの談話室を抜け、寝室に入る。
……当然みんな寝ている。……人形ちゃん以外。
「お早いお帰りですね?狩人様。」
狩人様呼びか……これはほんとに怒ってるな……
「……ただいま、人形ちゃん。」
「……お帰りなさい。狩人様。」
……んあ!……やっちまった……約束……忘れてた……
「……あの……人形ちゃん?……ごめんね?約束……」
「そうですね、狩人様。お忘れだと思っておりました。」
あぁ〜……
「……その……」
「……はぁ、お疲れのご様子ですし、そうは多く語りません。」
「……その、ありがとう。」
「……偶には、私の心配も理解してください。狩人様に何かあったら……私は辛いです。」
……大袈裟だと心の片隅に浮かぶが、申し訳なさでいっぱいになった心から、すぐにその気持ちは消える。
「……ごめんね、人形ちゃん。」
「理解はしています。狩人様にはそうそうお身体に障る何事かなど起きないと。……でも、やはり私にとって、そして実際に、再誕したばかりの貴方は……赤子のように思えるのです。」
「……うん。」
「……そうですね。ここまでにしましょう。……明日には、何があったのか。教えてくださいね?狩人様。……もう少ししか眠れませんが……お休みになってください。」
「……うん。ありがとう、人形ちゃん。……おやすみ。」
「……ええ、狩人様。良い夢を。」
〜〜~
いや〜……
眠い。そりゃほとんど寝れてないからね。マジで眠い。
自業自得とはいえ、今日はほんとに辛い1日になりそう。
久々に人形ちゃんに車椅子を出してもらって移動する。やっぱこれ、楽だね。
移動しながら昨日何があったのかを人形ちゃんに説明する。……良かった。人形ちゃんにとっても何がそこまでドラコを怖がらせたのか、わからなかったらしい。
「約束通り危険を退け、少なくともクリス様の庇護下では誰にも見つからなかったのですから。クリス様に非は無いように思えますが……」
「……どうもそういう問題じゃなかったみたい。獣を狩ったあとの私に……殺されるとまで思われてたみたいだから……」
「……何がいけなかったのでしょうか……?クリス様。もし答えが分かりましたら、私にも教えてください。」
「そうだね。同じ失敗はしないように共有しなきゃね。」
と、いう事で昨日起きたことに関しては怒られなかった。……約束を破ってしまったことに関しては怒られるよりあの顔されるのは辛かったなぁ……
〜〜~
さて、朝食だ。しっかり食べてどれだけでも目を覚まさないと今日が厳しいぞ。
「おはようございます。パンジー様、ダフネ様。」
「おはよう、マリア。ねぇ、クリス。ドラコ、どこにいるか知らない?」
朝食の為のテーブルに着くと、パンジーが聞いてくる。隣にはダフネも居る。
「あー……おはようパンジーにダフネ。えっと、ドラコはね……今医務室に居る……はず……」
「医務室!?どういう事よ!昨日……その、''冒険''で何があったのよ?」
パンジーがここまで声をあげるのは見たことないな……いや、いつも声量の多い子ではあるんだけど。ヒステリックというか……叫びのテイストが混じった声なんて。
「まあまあ。パンジー、落ち着いて。で?何があったの?眠り姫様。」
ダフネになだめられて少し息を落ち着かせるパンジーとダフネに見つめられながら答える。
「……うーん……なんというかな……ちょっと怖い目にあった?怖いのを見せちゃった?のかな?……とりあえず体に異常はないと思うけど……」
「?……なによそれ?つまり……精神がまいっちゃったってこと?……暗闇から出てくる血みどろ男爵でも見たのかしら……」
「あぁ……それは……とんだ恐怖体験ね。」
ダフネが頷きながら身震いの振りをする。
血みどろ男爵って……ああ、スリザリン担当?のゴーストか。……!もしかしてドラコは……
「……クリス様?」
黙ってしまった私に人形ちゃんが声をかける。
「あぁ、ごめん。思考がどっか行っちゃってた。んで、血みどろ男爵のせいじゃないよ。……私のせいだね。」
貴方の?と訝しげな目を流して見つめてくる2人に頷く。
「私がドラコを……怖がらせちゃったみたいでね……私にそんな気は無かった……って言うのは言い訳がましいか。とにかく、ドラコはちょっとまいっててね。」
「……何やったのよ貴方……」
「あぁ、ブラウン嬢。昨日はどうだった?」
「おはよう!クリス!マリアちゃん!」
ミリィとトレイシーだ。
「あぁ、おはよう。2人とも。」
「ねぇ昨日いつ帰ってきたの?私それなりに夜更かしして待ってたんだよ?探検の話聞きたかったし……ね?マリアちゃん!」
「ええ、トレイシー様。昨日は遅くまでありがとうございます。……クリス様は結局ほとんど朝方に帰ってきましたよ。」
「朝が……!」
「朝帰りだと!?ブラウン嬢。ドラコ・マルフォイとは何も無かったんだろうな?非常に心配だぞ……」
''君のことだからどこかしこで寝てしまったら……''と続けるミリィに頷くダフネ。キャーキャー言い始めるトレイシー。
「何も無かったよ!何も……いや、何も無かったことはないか。」
「ちょっと!?ナニかあったわけ!?」
再びヒステリックな声を出すパンジー。
「いやぁ……先生に見つかっちゃってさ。」
……おっとぉ……黙んないでよ。
「……眠り姫様さぁ……あなた誰にも見つからないって言ってたじゃない。」
「いや見つかる計画じゃなかったっていうか……」
「見つかって大丈夫だったのか!?罰則は?」
「減点貰っちゃってさ……私とドラコ合わせてスリザリンから10点。」
「……10点か……デカイな……」
黙り込むミリィ。
「いやほら、私、自分で言うのもあれだけど成績優秀だしさ。10点なんていくらでも取り返せるからセーフだって。」
「クリスはできそうだから怖いよね。」
「トレイシー!そういうことじゃない!いや言いたいことは分かるけど……まず減点受けるような行動を控えるところからよ!減点貰わなければ純粋にプラスなんだから……」
「……そう言われてもさ、ダフネ。このままホグワーツなんて魔法の深淵の中に住みながら中を探検しないなんて、私気がおかしくなっちゃうと思うんだけど……」
「あなたホントに入る寮間違えてるわよね……」
パンジーがしみじみ言う。
「そうですね。クリス様はレイブンクローに入る気でホグワーツに来ましたから。」
「実際スリザリンより適正高いと思うわ。」
パンジーが頷きながら答える。
ほっといてよね。私が1番あの帽子に聞きたいんだから。
「ほら、早く食べちゃって授業行くわよ。今日頑張れば休みなんだから。」
「あごめんダフネ。私授業の前にドラコに謝りに行かないと。」
「……なるべく早くしないとダメよ?眠り姫様。次は魔法薬学。スネイプ先生の授業なんだから。」
「そうね。寮点取り返したいならうってつけよ。」
〜〜~
日が昇り、明るくなった今でも布団から出られない。
……怖い……
恐怖とは別に延々と思考が回り続ける。何故。何故。何故。
……あいつは何者なんだ……
なぜあんなに楽しそうに生き物を殺せる?……いや、違う。そこに恐怖を感じているんじゃない。人間離れした力に?……これも違う。
……人間じゃない気がした。
そう、どこに感じたかは……分からないが……狂気?を見た気がした。力にも、言動にも、動きにも、あの時のあいつの何もかもから……人間……以外の……気色の悪い雰囲気を……
もう、体の震えは止まった。だが、あいつに会うのが怖い。もうこれからはあいつを人間として見れない気がする。
?……足音……だれだ?保険医じゃない。
「朝早くからすいません。ドラコ・マルフォイ君。居ますか?」
……!何故……ブラウンが……あいつがここに来るんだ!?
まさか!本当に……僕を殺しに?……いや冷静になれ、ドラコ・マルフォイ。さすがにあいつも保険医がいる目の前で殺人は……
「……おはよう、ドラコ。」
……ダメだ。布団から顔が出せない……怖い……
「……昨日はごめんね……君がどう思うかを考えていなかった。」
……謝罪だと?……僕を、騙そうとしている……?
「ドラコ。多分、君は怖かったんだよね。動物に対しての仕打ちが。そしてその血液に塗れた姿が。」
……?
「私の……第二の故郷というかな?そこには獣を狩る方法としてはアレしかなかったんだ。あー、もちろん色んな武器で狩りをしていたけど、概ねあんな感じ。……何しろみんなマグルだからね。」
……何を言いたいんだ?
「だから、あそこと関わりのない人が獣……動物狩りに対してどんな感情を持つか、分からなかった。……忘れていたんだ。確かに犬や猫を鞭でしばくのを目にするのはいい気分じゃないよね。……私もようやく思い出した。」
……???
「そして結果血塗れになった訳だけど……怖がって当然だよね。これもようやく思い出したんだけど……普通の人にとっては血液って不潔だし、感染症の元になったりするからね。そんなものに塗れた私から逃げようとするのは当たり前だ。……そこら辺、考慮してなかったよ。」
……?????
「結果として君の……荒事に慣れてない未熟な精神を非常に動揺させてしまった訳だ。……本当にごめんね。……君の未完成で脆弱な精神と免疫力の弱さを考慮した上で行動するべきだった。」
……は?
「せめて魔法で……あー……眠らせるとか?気絶させる……もしくは血液とかを撒き散らさないような綺麗な制圧が出来るようになってから、冒険に誘うべきだったよ。」
……???
「……ただ、君を傷つける意思はなかった事だけは……知っておいて欲しい。初めて見る獣を前に楽しくなっちゃったのは事実だけど……ちゃんと君の周囲の安全を守るための鎮圧作業と考えてもいた。」
……
「……いや、君を傷つけた事実は変わらない。ごめん、今のは言い訳だ。
……私が言いたいのは、君とはいい友人でいたいってこと。もし君が回復して……まだその気があるのなら、また冒険しない……?」
……
「……言いたいのはこれだけ。……ごめん、もう授業が始まる。……また来るね。」
足音が去っていく……
……なんだ今のは?
あいつは……今のは何のつもりなんだ??
まさか、謝罪していたつもりなのか???
あまりに論点がズレている。いや、今考えれば血液に関してはその通りだが……え、僕がそれに……血液に怖がっていたと本気であいつは思っているのか??
動物殺しが怖……そりゃ怖かったが、そこも違う。もっと違う……あいつの行動と言うより、あいつ自身に……僕は恐怖を……
……本当にアイツは僕の恐怖の理由がそれだと思っているのか???……だとしたら……余りにも……
というか本当に今のが謝罪なのだとしたら……え?
アイツは……アイツはバカなのか??
いや、弱いだの脆弱だの、本当に思ってても謝罪中に言う言葉では絶対にないだろ?今のは煽りだと言われた方がスっと理解できるぞ??
……いや、……は?……なんだこの……え?
……僕は……あんなアホに……殺されると思って……本気で震えてたのか……
今もアイツが怖いのは変わらない。一生変わらないだろう。
だけど……そう、あんな下手クソな……''推定謝罪の言葉''でも殺意がなかったことだけは伝わった。
安堵と共に変な脱力感……そして、怒りが湧いてくる。
……
「……この僕を……ドラコ・マルフォイを……こんなにも……こんなにもコケにしたのは、お前が初めてだよ……クリスティーナ・ブラウン。」
……僕の思い込みだったとしても知るものか。
そう、昨日のことは水にながせても、僕を弱いだの脆弱だのと侮辱したことは事実だ。
「なんとしても……目にもの見せてやるぞ。クリスティーナ・ブラウン。」
ドラコは思ってたより強いみたいです。
そして狩人様は人の心が分かりません。
鈍感にし過ぎたかとも思いましたが、何にでも切りかかるし、ポッケの中身になんでも詰め込む異常者が普通の感性してたら怖いのでこうなりました。
頑張れドラコ、多分頼めば''ぎゃふん''とだけなら言ってくれる。