ハリー・ポッターと上位者の娘   作:アーマウニー

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ハリーポッターと上位者の娘 9 終わらない下振れ

その授業は出席取りから始まった。

 

「……ああ、左様。ハリーポッター……我らが新しい、スターだ。」

 

はあ……一体なんだと言うんだろう。……組み分け後の歓迎会からそうだ。このスネイプという先生はどうしてそう僕を憎んでいるんだ?

あの目。ハグリッドと同じ黒い目なのに、その温かさは一欠片もない。冷たく真っ暗な……

 

「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ。」

 

みんな気づいたらしい。この先生の授業は絶対に邪魔してはいけないと。……全然違うがマクゴナガル先生の授業と同じ、話を黙って聞かせる能力がある人だ。

 

「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。

フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中を這い巡る液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえふたをする方法である。……ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが……」

 

ロンは明らかに聞いてるふりをしている。

ハーマイオニーだけはほかのみんなとは違って、ウスノロではないと一刻でも早く証明したいみたいだ。

……クリスは……何を考えているんだろう。

彼女と授業を受けるのはこれが初めてだ。スリザリンとの合同授業と聞いて少し顔を顰めてしまったが、その原因のマルフォイは……どこに行ったのか?何故か出席していない。そもそもスネイプ先生が出席を取る時、名前が呼ばれなかった。

 

「ポッター!」

 

取り留めのない思考が大声で中断される。

 

「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」

 

なんの球根の粉末をなにを煎じたものに加えるって???

 

……ロン?ああダメだ。お手上げって顔してる……ハーマイオニーの手だけが教室の中でそびえ立った。

 

「……分かりません。」

 

スネイプ先生の口の端がいやらしく歪む。

 

「ふむ……有名なだけではどうにもならんらしい。」

 

……なんだって言うんだホントに。

 

「ブラウン、答えられるかね?」

 

当たり前のようにハーマイオニーの手は無視され……クリスを当てる。……クリスのことだよね?ラベンダー・ブラウンが絶望しきった顔で周りを見回していた。苗字同じだもんな……

 

「……あー、はい。強力な睡眠薬になります。その効能の強さから''生ける屍の水薬''と呼ばれていると。」

 

「よろしい、正解だ。スリザリンに10点。……スリザリンの有名人は答えられたのだが、何が違うのだろうな?ポッター。」

 

……くそ。それはクリスが頑張っただけだろう。僕とは関係ない話じゃないか。

 

答えられたのにバツの悪そうな顔をするクリス。

 

「あーただ、すいません先生。私、教科書を覚えただけで、実際に作ったことも実物を見たこともない……実践的な知識として身についていないんですが……」

 

「よい。さてポッター。ベゾアール石を見つけてこいと言われたらどこを探すかね?」

 

ぶっきらぼうに終わらされたクリスがなにか言いたげにしてるが、お構い無しだ。

で?ベゾ……なんだって?

 

今度こそとハーマイオニーの手が伸びる。……あんなに綺麗な姿勢の挙手初めて見た……

 

「分かりません。」

 

「授業が始まる前に教科書を開いてみようとは思わなかった、という訳だ。そうだな?ポッター。」

 

……くそっ……意地でも目だけは逸らしてやるもんか。逸らしてしまったら……どうしようもなく負けてしまう気がする。

 

「ブラウン。どうだね?」

 

またクリス。……なんなんだよほんと……

 

「あの……私ではなく、先程から手を挙げているあの子……そう、ハーマイオニー・グレンジャーを当ててはどうでしょうか?」

 

クラス中がより一層冷えた。スネイプ相手に口答えするなんて。

ハーマイオニーも全く想定してなかったらしい。とても驚いている。

 

「……ふむ、それは分からないという事だな?」

 

「いえ、ただ挙手をしている以上、手を挙げていない私よりは彼女を優先して当てるのが普通ではないかと思いました。」

 

「それは君の考えることではない。分かるのであれば答えよ。」

 

「……べゾアール石は山羊の胃から見つけられる石です。この石は大概の薬に対する解毒剤として機能します。……これも教科書の受け売りです。」

 

「よろしい。スリザリンに5点。……無駄な質問で授業の進行の邪魔をすることは許さん。」

 

「……はい。」

 

……納得していません。を声に出さず顔だけで作り出すクリスに少し笑いそうになる。

 

「ポッター!気が抜けたな?まだ終わってはいない。モンクスフードとウルフスベーンとの違いはなにか?」

 

ああもう。

 

「分かりません。」

 

ハーマイオニーの三度目の正直だ。もう立って挙手してる。

 

「……いい加減手をおろせ、グレンジャー。そもそも吾輩は、わかる人間は挙手しろなどとは一言も言っておらん。」

 

あぁ……ハーマイオニーが真っ赤になって急いで座る。流石に可哀想だ……

 

「ブラウン」

 

「……はい。モンクスフードとウルフスベーンはそもそも同じ植物を表す言葉で、トリカブトのことを指します。」

 

「よろしい。スリザリンに10点。ところで諸君らはなぜ今までの内容を書きとらんのだ?」

 

急に騒がしくなって羽根ペンの走る音が始まる。

 

「……ふむ、羽根ペンの音が止むまで時間もある。ブラウン、君の先程の質問に答えよう。なぜ他ではなく君を当てたかだったな。」

 

「……はい。」

 

「簡単な話だ。成績優秀ながら入学早々校則違反を犯し、ドラコ・マルフォイを傷つけた君を、私は見張っているということだ。深夜徘徊は程々にすることだな。」

 

……!マルフォイを傷つけた!?クリスが?

聞き耳を立てていたこの教室のほぼ全員のペンが止まる。

 

「ほう?もう全員書きとったようだな。よろしい。では授業を再開する。ああ、言い忘れていたが今回の課題として、先にあげた3つの薬の制作方法とその効能を羊皮紙2枚。次の授業までに持ってくるように。」

 

大半の生徒の顔が絶望に暗くなる。週末にやることが決まってしまった。

 

「では今日の授業では……」

 

「ミス・ブラウン!!」

 

突然の事に皆がびっくりしながら後ろを振り向く。ただ一人を除いて……

 

「うわぁ!はい!すいません!」

 

今まで見たことがないほどのスピードで背筋を伸ばして起立したのはラベンダー・ブラウンだ。可哀想に……

 

声を荒らげ教室の扉を勢いよく開けて入ってきた人物とラベンダーに目線が集中する。

 

「あ、あぁそうでした。合同授業でしたね、すいません、ミス・ラベンダー。あなたではありません。クリスティーナ・ブラウン。そう貴方です。」

 

「……なんですか?マクゴナガル先生。」

 

「あなたに至急お話があります。着いてくるように。スネイプ先生、ミス・ブラウンを連れていきます。良いですね?」

 

スネイプは多少驚いたような顔をして了承した。

 

クリスとマリアさんはなにやら話してるみたいだが……

 

「さあ早く。事は一刻を争います。」

 

……連れてかれてしまった。一体何が?明らかに尋常じゃなかった。

 

「……はぁ、さて、もう私の授業の邪魔をする者は居ないな?では始めよう。」

 

「……もうやだぁ……」

 

ラベンダーがぽつりと泣きそうな声で言っていた。

 

 

〜〜~

 

 

「……あの、マクゴナガル先生?一体何があったんです?これから何処へ?」

 

「これから校長室へ向います。ああ、ドラコ・マルフォイの事ではありません。……もっと大事です。」

 

……なんだって言うんだろうか。今日は……昨日からか。全く物事が順調に進まない。……いや、大概私のせいでは有るんだけど。こうも色々あると私が悪いとはいえ、少し、イライラしてしまう。

 

「紫色の靴下。」

 

「はい?」

 

いつの間にやら着いていたガーゴイル像の前でマクゴナガル先生がわけの分からない単語を口にする。……呪文?

 

「あー、先生……今のは?」

 

「……校長室へ向かうための合言葉です。」

 

……やっっっぱり魔法族とはセンスが合わないね!!

''兼ねて血を恐れよ''

なんて良いセンスだ。ヤーナムの民に魔法族はセンスの何たるかを教えてもらうべきだ。

 

ゴウンゴウンとガーゴイル像が回って上昇していく。同時に螺旋階段が現れる。……まあこういうギミックに関してはカッコイイんだけどなぁ……

 

「アルバス。ミス・ブラウンを連れてきました。」

 

「ご苦労、ミネルバ。」

 

今朝ぶりの対面だね、学長先生。

 

「さて、クリスティーナ。授業中に呼び出してすまなかったの。」

 

「前置きはいいですよ、学長先生。時間が無いんですよね?一体何があったんですか?」

 

口の利き方に不満があるらしいマクゴナガル先生がなにか言おうとするが、学長がそれを手で制す。

 

「……君に届いた手紙じゃ。読んでくれ。……早急な確認が必要な書類だったため覗いてしまった。許して欲しい。」

 

えぇ……人の手紙……もう、ちょっと言いたいことがあるけど……まあいい。必要があったのならしょうがない。

 

 

ーーー

 

親愛なるブラウン殿

 

我々の把握した情報によれば、貴女は7月の31日、グリンゴッツ魔法銀行にてアンナリーゼの所有する口座、及び財産を不当に引き継いだ。

 

ご存知の通り、口座、及び財産の引き継ぎには、血縁関係、又は第三者への移転を許可する旨の、現所有者の書いた書状、そして、現所有者の杖が必要です。

 

貴女はこのうち、杖の提出しか行っておりせん。

 

''魔法銀行の口座に関する法令''の重大な規則違反、および窃盗などの重大な犯罪行為により、貴女はホグワーツ魔法魔術学校を退校処分となり、場合によっては、アズカバン刑務所へと収監することとなる。

 

今回の違反行為、及び犯罪行為はその重大さから、遺憾ながら、貴女は魔法省の懲戒尋問への出席が要求されることをお知らせする。

 

尋問は9月4日、正午から魔法省にて行われる。

 

貴女のご健勝をお祈りいたします。

 

敬具

 

魔法省

魔法銀行犯罪取締局

オリビア・ジョンソン

 

ーーー

 

……は???

 

なに……ん?は???

 

「……あっと……え?……私……なにか……」

 

いかん。マジで頭が……あ?

 

「よい。大丈夫じゃ。」

 

「……いやぁ……大丈夫じゃなくないですか?……色々聞きたいことが山ほど……え?」

 

「……そうですね。大丈夫とは言い難い状況です。しかし、私もこの目で見ました。たしかにあの場では、全くもって正常な手順で引き継ぎは行われました。」

 

……尚更意味が分からない。つまりどういうこと?

 

「あの、アズカバンって……あぁいやまず、マクゴナガル先生。ホントに間違ってなかったんですか?」

 

「ええ。たしかに通常通りの手順でした。」

 

「クリスティーナよ。そもそも、魔法省とグリンゴッツ魔法銀行は独立した別々の組織じゃ。グリンゴッツの小鬼達が了承した引き継ぎを、魔法省がとやかく言うことは……普通はできんのじゃ。」

 

普通じゃないってこと?……ん?つまり……

 

「あー……嵌められた?って事ですか……?口座の財産目当てで?」

 

「目的はわからんが、その通り。……最近雑に通された法律があっての。君を引っ掛け、財産を奪おうとする為だけに作られたものじゃろう。……大掛かりで実に品性の無いやり方じゃ。」

 

……へぇ、つまり私と……いや、アンナリーゼ様の顔に唾を吐きかけてきた野郎がいるって訳だ。

 

「しかし、悪法も法です……ウィゼンガモットに出廷しなければ問答無用で退学処分、後に……あぁ……なんということ……アズカバンへ……」

 

「……いいじゃないですか。その私とアンナリーゼ様を嵌めようとしたヤツの顔を見に行きましょう。」

 

「いかん!クリスティーナ!そんなに急いでいい加減な対応をしてしまえば勝ち目は無い!」

 

はっはっは……勝ち目?

 

「……学長。私は正規の手順を踏んで、ルールに則って、何よりアンナリーゼ様の許可を得て、アンナリーゼ様の財産を頂いたんです。その手続きにミスは無かったのでしょう?……実際、グリンゴッツの子鬼たちはかなりの時間をかけて精査してから、引き継ぎを認めました。

なら、ただ無罪を訴え、逆に仕掛けてきた強欲な豚どもを……失礼。身の程知らず共を叩きのめしてやるのはいけないことですか?悪いのはあちらでしょう。」

 

「……ミス・ブラウン……」

 

……ああもう、そうですか。今のもあなた方の思うような正しい行動ではなかったわけですか。

 

「……クリスティーナ。怒りは分かる。言っとることもの。全くもってその通りじゃ。しかし、思うがままに、心の赴くままに行動してしまえば、それは理性の冒涜じゃ。先人の築いてきた智慧への冒涜なのじゃ。」

 

……はぁ、おーけい。それを言われてしまったら学徒としては冷静になるしかないね。わかったよ。

 

「ありがとう。ワシも最大の助力をする。何としても冷静に、頼むぞ?」

 

「ええ、分かりました。」

 

とはいえ……何もしないとは言ってませんよ。

 

「今回の争点は……」

 

残された限りない時間の中で作戦会議が始まる。

……全くいい度胸してるよ。私だけにならまだしも、アンナリーゼ様に唾を吐くような真似をするとはね。

 

その盲いた瞳と脳を開いてやろう。

啓蒙の時間だ。

 

 

〜〜~

 

 

この時間は魔法薬学の授業が終わる頃だ。なら、アイツは地下牢に居る。

 

マルフォイ家の次期当主として威厳のある歩きを意識する。決して舐められることない貴族として。

 

視界の奥で地下牢の扉が開く。騒がしく生徒が出てくる。

ちょうどいい。ブラウンめ、見ていろ。

 

こちらを見てすぐに走ってくる生徒が1人。

 

「あっ!ドラコ!大丈夫だったの?クリスに傷つけられたって……」

 

思ったより噂が回っているな……いや当然か。

 

「あぁ、そんな話になってたのか。大丈夫だ、パンジー。ただ少し、夜更かしが体にこたえただけだ。ところでそのブラウンは?」

 

「あいつ……なんかすごい剣幕でマクゴナガルに……」

 

?どういうことだ?

 

「今はいないんだな?マリアは?」

 

「こっち。」

 

なにやら人だかりができている。高身長なのでパンジーに聞くまでもなかった。

人だかりを掻き分けて進む。……ええぃ!散れ!

 

「ふぅ、マリア。ブラウンは今どこに?」

 

「ああ、ドラコ・マルフォイ様。昨晩はクリス様がご迷惑を」

 

「気にするな。それよりブラウンは……」

 

「マリアさん!クリスは!?」

 

クソ!なんだってこう邪魔が……ポッター?

 

「おふたりとも落ち着いてください。ドラコ・マルフォイ様、クリス様はマクゴナガル教授に連れていかれました。なんでも急を要する案件があると。」

 

ずっとフルネームを呼ばれるのは鬱陶しいな。

ドラコでいいと言いながら先を促す。

 

「なんだそれは?内容は?」

 

「少々お待ちください。」

 

そういうとマリアは視線を下に落とした。いや、今までも見下ろしていた訳だが……何を見ているんだ?地面?

 

「……そうですか。分かりました。クリス様は……これよりウィゼンガモットに出廷なされるそうです。」

 

……

 

……

 

「はぁ!!!????」

 

 

〜〜~

 

 

どうやって知ったのか、マリアは今ブラウンが置かれている状況と、ブラウンに届いた手紙の内容を滔々と話し始める。

 

……これは明らかに仕組まれている。

そもそも、グリンゴッツの仕事に魔法省が口を出すなんて、今まではなかったことだ。当然そんな法律なんてのも無かったはず。

 

……父上が動いたのか?それにしてはあまりにも仕事が雑だ。こんないい加減な策略で動く方ではない。

第1これを計画していたのなら、僕にブラウンとの関係を良くしろなんて言わないはずだ。この法律のできたタイミングを考えれば、もし父上がこの計画の主犯なら、僕にそう指示した時にはもう動き出しているはず。

……やはり矛盾しかない。誰だ?こんな大それたそこをする人間は。ファッジ?あいつにそんな度胸はないだろう……

 

だが、厄介なことにこの方法は実に有効だ。出廷したとしてもほとんど出来レースで有罪が決まるだろう……

 

「……マリアさん。僕になにかできることは……」

 

思考の外側から声が聞こえてきた。

 

「……そうだ。僕にも、なにか出来ないかな?僕の父さんは魔法省で働いてる!クリスは……嫌な奴だと思ってたけどマルフォイに一撃食らわせたり、スネイプに声を出した……良いヤツだ!僕もなにか力になりたい!」

 

ウィーズリーめ……少し黙ってろ……

 

「うわ、ウィーズリー。アンタいたの?ポッター。あなた、つるむならもっと他のやつにしなさいよ。」

 

「うるさいぞ!パーキンソン!」

 

「だいたい、あんたの父親なんかがウィゼンガモットで発言出来るわけないじゃない!何が出来るのよ?なんだっけ?マグル製品なんちゃらかんちゃら?」

 

「マグル製品不正使用取締局局長!」

 

「はっ閑職じゃない。」

 

「なんだと!?」

 

「ちょっとパンジー!今は言い争ってる場合じゃ……」

 

クソ!外野がうるさい!思考が回らない!

 

「皆さん、お気持ちはありがたいですが……」

 

「……あの!……マリア……さん?私、いい考えが有るんだけど……」

 

?なんだこの女。

 

「ハーマイオニー・グレンジャー様。どうされましたか?」

 

グレンジャー?あぁ穢れた血か。

 

「今回の争点って、本当に……クリスティーナさんがアンナリーゼさんから、財産の引き継ぎを許可されたかってところでしょ?」

 

……!

 

「なら、アンナリーゼさんに直接証言してもらえれば……いいんじゃないかしら……?」

 

……いや、残念だが……

 

「グレンジャー。それは無理だと思うわ。あなたマグル生まれだから知らないでしょうけど、アンナリーゼは今までたったの1度も魔法界に姿を見せたことがないのよ。」

 

ダフネがそう冷たく言う。

その通りだ。それが出来るならそもそも引き継ぎの時にブラウンと来ていればよかったんだ。

 

「……でも!ハーマイオニーの言ったことが出来れば解決だ!そうでしょ?」

 

「……ポッター。確かにその通りだ。……グレンジャーの言った通り、要はブラウンとアンナリーゼがお互いに了承した取引だと証明できればいい。

……しかし、これは明らかに誰かに仕組まれている。アンナリーゼの口座をどさくさに紛れてブラウンから手に入れようという意思が見え透いている。」

 

「……お前んとこの仕業だろ、マルフォイ。」

 

「黙れウィーズリー!真剣な話をしているんだ!……つまりだポッター。このブラウンを嵌めようとしている敵ですら、アンナリーゼが出張ってくることはないと思ってるんだ。出てこられたら計画がご破算だって言うのにだぞ。」

 

「……つまり……それだけ有り得ないってこと?」

 

……

 

「……あの、議論の最中申し訳ありませんが、アンナリーゼ様は……来られます。」

 

……

 

……

 

「はぁ!!!????」

 

 

〜〜~

 

 

……なんなん……なんなんだ……この脱力感は……

 

弄ばれてる感覚だ……ブラウンめ……

 

続けてマリアはアンナリーゼという人物がどんな人間なのかを説明し始めた。

 

つまり……アンナリーゼはマグルで?魔法界に莫大な富を持っているのを知っていながら?それに全く興味を持っていない?

 

わけがわからない。

 

「私はこれから、急ぎアンナリーゼ様の元へ向かいます。事情を説明すれば、クリス様の助けになってもらえるはずです。」

 

いや、ここで流されるままではダメだ。何としてもブラウンに……!

 

「まて、マリア。僕も行く。」

 

「……ドラコ様。残念ですが……」

 

「いや、ちゃんと理由がある。まず、魔法界に来て少ししか経っていない君が、事態を正確にアンナリーゼに説明できるのか?」

 

……マリアはゆっくりと考え込んでいる。

 

「あと、とても重大な問題がある。…………」

 

 

〜〜~

 

 

「……分かりました。ドラコ様、一緒にアンナリーゼ様の元へついてきてください。」

 

……そう言って、ドラコとマリアは消えてしまった。

 

……僕は……何も出来なかった。騒ぎ立てることしか出来なかった。

 

「……ハリー。元気出せよ。僕たちじゃ何も出来なかったさ。……あんまりこう言い方はしたくないけど、実際スリザリンの連中が言った通りだよ。僕の父さんもそんなお偉いさんの前でクリスを守ったりなんてできないし。」

 

「……ゴメン、ロン。」

 

「おいおい、君が謝ることなんかないだろ。なぁ、そりゃアズカバン行きになったら一大事だけど……マルフォイの野郎は置いておいても、ダンブルドアが居るんだ。守ってくれるさ。」

 

……

 

「な!ちょっと切り替えようよ。そうだ、ハグリッドのとこ行く予定だったろ?僕も一緒に行っていい?」

 

「……そうだね。このままここにいてもなにか手伝うなんてことはできないし……約束もあるしね。」

 

「決まりだ。」

 

〜〜~

 

「ハグリッド?」

 

禁じられた森の端。木の小屋をノックする。

すると中からドアをガリガリと引っ掻く音と唸るような吠え声が聞こえてくる。

 

「ファング!さがれ!ファング!……おお!ハリー!よう来た、ほれ、入れ!」

 

ファングと呼ばれたボアハウンド犬はロンに一直線に飛びかかり、ロンの耳を舐め始めた。

 

部屋……凄いな……ハム?とかそもそも鳥が吊り下げられてる。

 

「……ああ、ハグリッド。紹介するよ、ロンです。」

 

大きな黒い目がロンを捉える。

 

「ウィーズリー家の子だろ。え?ハッハッ、お前さんの双子の兄貴たちを禁じられた森から追っ払う為に、俺は人生の半分を使ってるようなもんだ。」

 

そう言いながら、ハグリッドは僕達にあの固いロックケーキを差し出してくれた。

 

「ありがとう。……」

 

「どうしたハリー?なんだそんな顔をして。なんか、授業であったのか?」

 

「……ハリー、やっぱどうしても気になるんだな。」

 

「うん。ハグリッド、今日なんだけど……ん?」

 

ティーポットカバーの下に……ええとなんだっけ?アレだ……そう!''日刊予言者新聞''

 

「ごめんハグリッド、それ見せて?」

 

「おっ、ハリーそれは」

 

 

ーーー

 

グリンゴッツ侵入さる

 

7月31日に起きた''アンナリーゼの口座''事件はまだ読者の皆様の記憶に新しいだろう。しかし、同日、同じ場所、グリンゴッツ魔法銀行にてもうひとつの事件が起きていた。

 

グリンゴッツ魔法銀行に侵入者がいたのだ。

 

この侵入事件については、知られざる闇の魔法使い、または魔女の仕業とされているが、捜査は依然として続いている。

 

グリンゴッツの小鬼たちは今日になって、何も盗られたものはなかったと主張した。

 

荒された金庫は、実は侵入されたその日にすでに空になっていた。

 

「そこに何が入っていたかについては申し上げられません。詮索しない方が皆さんの身のためです」と、今日午後、グリンゴッツの報道官は述べた。

 

"アンナリーゼの口座''事件と侵入事件、そして侵入された口座は''その日''に空になっていた。

 

果たしてこれは偶然なのだろうか?我々は更なる調査を続ける。

 

ーーー

 

 

「これだ!」

 

「「え?」」

 

ロンとハグリッドの声が重なる。

 

「分からない?ロン!前汽車で言ってたじゃないか!グリンゴッツに侵入者がって話!クリスはその事件に巻き込まれてるんじゃ……」

 

「ちょっと待てちょっと待て。お前さんたち、一体なんの話しをしておるんだ!」

 

「今日クリスが!あ……えっと、クリスティーナ・ブラウン、ハグリッドも知ってるでしょ?1年生の、アンナリーゼの口座っていうのを引き継いだ子!あの子がうぃぜんがもっと?っていう所に呼び出しを食らったんだよ!」

 

ハグリッドは寝耳に水と言った感じだ。

 

「あの時スリザリンの子達が言ってた!普通なら魔法省が首を突っ込むことじゃないって!もしかして、この侵入者はクリスがお目当てのものを取っていったって思ってるんじゃ……」

 

「待ってよハリー!幾らなんでも突拍子が無いって。偶然だろ?」

 

「ハグリッド、ハグリッドが持ち出したあの小包が侵入者が求めてたものなんでしょ?」

 

ロンが驚いてハグリッドの方を見る。

 

「なんでお前さんがそこまで」

 

「やっぱり!」

 

カマをかけたら当たった!

ハグリッドは唸るけど今はどうでもいい!

 

「今からでもバラせばクリスの事助け」

 

「ダメだ!……ハリー、一体どうしちまったんだ。そりゃお前さんの考えすぎだ。というか、クリスっちゅう子は……なんでウィゼンガモットなんかに呼び出されっちまってるんだ?」

 

ああもう!

 

ハグリッドに分かる範囲で教えてあげるが……気持ちが逸っていけない。

 

「ハリー、そのクリスっちゅう子は魔法界に住んでるなら誰もが夢を見た、莫大な財を手に入れったんだ。……ホントに誰もが欲しがるもんだ。悪い大人が欲を出しっちまって起こした事件だと俺は思うぞ?」

 

そんなのは分かってるんだ。でも、ドラコも言っていた。こんな反感を買うような雑な方法を取ってまで''今''欲しがるなんておかしい。……もし僕ならもっと計画を立てて上手くやろうとする。

 

「……多分今じゃないとダメなんだ……」

 

「……ハリー、君疲れてるよ。君の言う通りだったとしても、やっぱり僕たちにできることなんてないんだ。」

 

……

 

「ハグリッド……アズカバンってどんな所なの?」

 

ハグリッドはいつか、ヴォルデモートの話をしてくれた時のように身震いをした。

 

「……あぁ、ハリー。アズカバンっちゅうのは……それは最低な罪を犯した連中が幽閉される場所だ。吸魂鬼っちゅう……人の喜びとか何もかもを吸い取っちまって、最後には魂を食っちまう……そんなヤツらが看守をしちょる。」

 

そんな!

 

「……なにか、何かしないと……」

 

「……ハリー、お前は優しい子だ。だけど、ここはダンブルドア先生におまかせするところだ。ダンブルドア先生ならきっと助けてくれる。そうだろが。え?」

 

僕は……一体どうすれば……




色々起きてます。
ウィゼンガモットは書きたかったやつですけど上手くやれるかは分かりません。
ハリーが空気なのでもう少しなにかさせてあげたいんですけど、寮が違うとここまで会わせられないもんかと思ってます。

次回はウィゼンガモットです。
狩人くんには暴れてもらいます。
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