TS転生したら変身ヒーローだったけど、魔法少女がやりたい! 作:魔法少女マジデ☆ドコダ
さて、勢いで飛び出してしまったけどどうしよかな。
いやその、二人の魔法少女が協力して戦ってるんだよ?
尊いでしょうよ!そんなん!
だからつい、変身して突っ込んじゃった。なんか、気になる話もしてたからね!
『何してるんだ。詩織の治療はおおよそ終わったとはいえ』
カントホルツが俺にしか聞こえない程度の音声で話す。って、治療ほぼ終わってんの?
やったね、そろそろ戦えるじゃん。意外と早かったなー。
「で、あなたはどちら様?」
ぴりぴり、と肌に何かが伝わる。おっといけない。目の前に魔法少女がいるのに余所見してた。
サファイアネモフィラが、こちらを真っ直ぐ見た。
魔法少女に、めっちゃ認識されてる!
ここは、バシッと決めないとね。
「魔法少女マギア☆リンリンですっ!」
きらり、とまるでお星さまが出るぐらいに、目映い笑顔を見せつけてやります。ついでにウインク!
サファイアネモフィラは呆気に取られてて、ポカンとしてる。あれ、おかしいな。もっと反応あってもよくない?
「えーっと、マギア☆リンリンさん。久しぶりです」
「おっ、ルビーブロッサムさん。この前はどうも!今回も、活躍しててすごいですねー」
「あはは、そうですか?」
よかった、ルビーブロッサムちゃんの反応はいい感じ。この前一緒に戦ったもんね。ふふっと軽く笑ってくれる。
……いや、これ苦笑いだな。やだ、困られてる?
何か話を続けようとしたルビーブロッサムちゃんを手で制して、サファイアネモフィラさんが前に出てきた。
「あなたが、マギア☆リンリンね。後輩がお世話になったみたいだけれど……あなた何者なの?」
サファイアネモフィラさんの視線は、すごいこっちを疑ってる。そりゃ、怪しいやつだもんね。
でもさ、こっちの魔法少女ごっこはそれぐらいが揺るがないから。
「魔法少女ですってば」
「おかしいでしょ?魔法少女の名前は、そんな変なものではないわ」
「名前、ですか?」
「ええ。みんな、宝石と花を合わせたような名前になるもの」
えっ、そうなの?
ルビーブロッサム、サファイアネモフィラ、トパーズガーベラ、ダイアモンドカメリア。あっ、ほんとだ!
やっべ、どうしよかな。
「あれ、じゃあマギア☆リンリンさんは魔法少女じゃないんですか……?」
「いえ、名前を変えてるだけでしょう?僅かだけど、魔力を感じるものね」
え、そうなの?
どっかに魔力あるのかな。カントホルツに秘められてるとか?
一応、変身ヒーローも謎のエネルギーを持ってはいるけど、それはあくまで異能由来のものでしかない。だから、本質的には魔力じゃないんだけどね。
あれかな、一般人でもちょっとだけ魔力を持ってて、それがなんか人より微妙に多いとか?
うーむ、わからん。ま、でも魔法少女と勘違いされてるならいっか。
ここは、いい感じに間違えられるように、口角を少しあげて不敵に笑う。
「さあて、どうでしょうね?」
「……まともに話すつもりはないってことね?」
「いやなんか、そういうのよりも漆黒の話聞きたいなって」
「……漆黒の話?」
ぴくり、とサファイアネモフィラが固まる。
あれ、なんか地雷踏んでそう?
「あなた、漆黒のことを何か知ってるの?」
「いや、そういう感じじゃなくって。そっちがなんか知ってそうだから――」
と、いい感じの設定を話そうとしたとき。
「ガァァァァ!」
けたたましい声が響き渡る。
「災厄獣、じゃない……?」
「違うわね。感覚がしないもの」
目の前に出てくるのは、四足の獣。四肢も、その胴体も異様に大きい。
こちらを丸ごと飲み込んでしまいそうなほどの口を開けて、睨み付けてくる。
うわあ、でかい怪人だなあ。
「カントホルツ」
『緊急時だ、戦闘を許可する』
「わかった」
『無茶するなよ』
「心配性だなあ」
さて、魔法少女たちにいい格好しますか。いつもと違う戦い方もするからね!
「二人とも見といて、あれなんとかするからさ」
ニッ、と笑って怪人に向き直る。
「いやでも、リンリンさん」
「いいからいいから」
「あなた、本気?魔法少女なら、怪人は本来討伐対象じゃないでしょ」
お、さすがベテラン魔法少女。よくわかってんじゃんね!
「それでも、あれ暴れたらやばいでしょ」
「……それもそうだけど。一人でやる必要もないでしょ?」
「怪しいやつでも、協力してくれるの?」
「それ、自分で言うのね」
「怪しいー!って視線をバカみたいに飛ばしてたじゃん」
けらけら、と笑ってから怪人に向き直る。どうせなら、ここで信頼を得ておきたいしね。魔法少女同士、仲良くしたいもん。
えっ、魔法少女じゃないって?魔法少女ですけど???
ってか、でかすぎ。ここまでくると怪獣じゃない?
ずしん、と一歩進むだけで地面から振動が伝わってくる。
「でかけりゃいいってもんでもないのになー」
「ガァァァァ!」
「うるさっ」
ぐんっ、と怪人の視界がぶれる。大きく開けた口が迫ってきて、それを寸前で避けた。
思ったよりも速いね。油断してると死んじゃいそうだ。気合いいれてこー!
そういえば、少年もでかいのと戦ってたよね。わりと余裕そうだったけど。
あの時、少年はなんかこう、電流のようなものを飛ばしてたし。それでやるのもありかなー。
「リンリンさん!」
「ガァッ!」
「うわ、あぶなっ」
考え込んでいるうちに、繰り出された前足が迫ってきて、横に転がって避ける。
ルビーブロッサムちゃんも、なんかずっと心配してくれちゃってさ。こっちはまだまだ余裕だぞっ。
「ガァァァァッ!」
そこから、怪人の猛攻が始まる。跳び跳ねて、何度も鋭い爪が振り下ろされて、それを避けると今度は牙が迫る。
地面を爪がえぐい、牙が突き刺さる。こっちの方が身軽だから、なんとかなるけど。攻撃の際の風圧が肌を撫でていく。
『凛、このまま戦いが長引くと』
「きついってんでしょ。じゃあ、ちょっと反撃しちゃおっか。アーツ解放、スパーク」
『承認、
バチバチ、と手のひらに火花が散った。
そして、それがそのまま放たれる。
「ガッ!?」
直撃した怪人が硬直する。どう、痺れるでしょ。……普段拘束してるのとあんま変わんないかも。
それはいいとして、ガンガンいくよ!
「それそれ!」
手のひらにたまった火花が弾けて、そのまま解放!
空中をうねって動いていく電気が、動けないままの怪人に降り注ぎ、その体を焼いていく。
とはいっても、でかすぎるしさ。頑丈っぽいから、そんなにダメージにはなってなさそう。
「ガァッ!」
ほら、すぐ起き上がって噛みついてきた。危ないってば。避けて、顎の下を蹴り上げるけど……うーん、微妙。
こいつ、でかい獣ってだけじゃないな。全体的に頑丈すぎる。
まっ、どっちにしても。今回は武器使うって決めてるしね。
「カントホルツ、いくよ」
『何をだ』
「武器だよ、武器」
『あんな使いにくいものを』
「いいから」
『……解放、ロックチェーン』
体に巻き付いていた鎖が、するりと外れてそれを手に持った。なぜか、武器を常に装着していたって訳。
それを持ってぐるぐると回す。
「来なよ」
「ガァッ!」
動き出した怪人の爪を避けつつ、持った鎖を振るう。
「ガッ!?」
鞭のようにしなったそれが、怪人の横顔を叩いた。鈍い音が響く。
ぐらり、と怪人が揺れた。
「チャンス!」
そこにすかさず、電撃を浴びせる。再び怪人が硬直した。
『この怪人は頑丈すぎるが、どうするんだ』
「そりゃあもちろん、必殺技でしょ」
痙攣して動かない怪人めがけて、再び鎖を振るう。
今度は、蛇のようにぐねぐねと自在に動かすけどね!
右の前足に絡まり、ぐるぐると巻き付いていく。
「
かちゃり、と音がして。ぐるぐると巻き付いた鎖が右足とくっついた。
そして、そのまま四肢を全部巻き付ける。
「グゥッ!」
「うわっ、急に動かないで……よね!」
ぐいっ、と引っ張られそうになってなんとか押しとどまった。いや、力強いけど。鎖が絡まってるからちゃんと力出せてないみたい。
まあこっちの馬力もなかなかのもんだけどね!あんまり舐めないでよ。
そのまま、さらに鎖を動かして胴体に巻き付かせる。引っ張り合いの状態だろうと、こっちは全力だかんね。そのまま、地面に鎖の先が突き刺さった。
「
かちゃり、と一斉に鎖同士がくっついて、最後に地面に刺さったそれも固定化される。
「グゥッ!?ガァッ!」
「吠えてもさあ、もう動けないでしょ。行くよ、カントホルツ。直接じゃなきゃ、解放してもいいんだよね!フィニッシュアーツ解放」
『封印解放、レベル1』
右手についた錠前が勝手に回って、ぽとりと落ちる。
ぐぐぐ、っと握った手のひらからバチバチ、と火花が散った。
「これが私の電流魔法ですっ、と」
『サンダースネークバイト』
鎖を伝って、電気が流れていく。
「グゥゥゥッ!?」
怪人の全身に、鎖を通して電気が流れていき、しゅーしゅー、と黒い煙が立ち上っていく。
ぎぎぎ……と、体が少しずつ崩れていく。そのまま、ぱたりと倒れて動かなくなった。
もう、パワー系は勘弁してね。獣だったら、鞭でしつけるのは当たり前だよね!
よーし、完全勝利!
「いえーい!」
くるり、と回って魔法少女二人にピースする。あっ、鎖は仕舞うか。ぐるぐる、と体に巻き付いて戻った。
「えっ、なんか鎖消えましたよ!?」
「……そういう魔法なんじゃないかしら」
「電撃と鎖の魔法ってことですか?」
「あれ、そもそも魔法少女?」
あれ、なんか混乱してるね二人。ってかあれだね、光の異能で光景を変えてるから、鎖が急に消えてるみたいに見えるんだ。
戦闘スーツがあったら、魔法少女っぽくないからそれを見えないようにしてるんだよね。そのせいで消えちゃった!
うーん、やばいかな?まっ、いっか!
「いえーい、勝利勝利!」
ってノリノリで近づいていくと、すごい微妙な表情をされる。
「あなた、本当に魔法少女?」
「そうだけど?」
「本当の名前は何て呼ぶのかしら」
「……?マギア☆リンリンですけど」
ぴしり、と固まる。おーい、サファイアネモフィラさん。どうしたの?
「……あなた」
スッと、サファイアネモフィラが近づいたと思えば俺の手を掴んで、ぐいっと引き寄せた。顔が間近に来る。うわっ、美人。
「もしかしてだけど、喫茶店の――」
「あー!用事思い出しちゃったなー!じゃあ、お疲れさまね!!」
「っ!?」
光の異能を使って、ぴかっと強く光らせてから離脱する。
あっぶな。鋭いね、あの人。……いや、少年と沙彩ちゃんが鈍すぎなんじゃない!?
ふー、危なかった。
『油断しすぎだぞ』
「ごめんってば」
にしても、武器使ったからちゃんと負荷は少ないね。セーフって感じ。
よし、帰ろ。
◇◇◇
「……なんだったんですか、あれ」
「なんか、全部持っていかれたけれど。とりあえず喫茶店に行きましょう」
「え、何でですか?」
「それはもう、面白いものが見れるから、だけれど」
雪那は愉快そうに、頬を緩めた。
◇◇◇
そういえばいつもの服装だけど。ちょっとだけ女の子っぽいやつにしてた。……その、詩織さんの趣味だけどね。ギリギリ、可愛い系すぎるやつを避けたんだよね。
とりあえず、喫茶店に戻ろっと。
「ただいまー!」
喫茶店の裏口から入ると、ちょうど詩織さんがそこにいた。
「凛、おかえり。早く着替えて」
「え、もう?」
「早く」
ぐいぐい、と押されるまま服を掴ませられた。……ええ、もう着替えるの?
もう、しょうがないな。客もいないだろうし着ながら向こうに行こうかな。
がちゃり、と扉を開けた。
あれ、誰かいる。やっば、ここだと着替えられないかな。横着しすぎか。
いやその、この喫茶店って人がいるときといないときがすごい別れてるからさ。たぶんいけるかなって思ったんだよね。
「……凛?」
不意に、声を掛けられた。あれ、知り合い?
「……少年?」
「えっ、凛?」
少年いたんだ。俺の様子でも見に来た?
あれ、手に持ってる喫茶店の制服と俺を交互に見てる。
そして、そのまま固まって動かなくなった。
「おーい、少年?」
「……り、ん?」
「はーい、百日紅凛でーす」
「…………凛ってさ、おん、な……?」
うん?なんか、気付かれてしまってる。
いや、隠してたわけじゃなくてさ。勝手に勘違いされたんだけど。なんでわかったんだろ。
……あー、店員の時は普通に女の人だとわかってて。
バレちゃ、仕方ないよね!いじったろ。
「えー、気付いてなかったの?うわー、凛ちゃんショックだなあ」
「紛らわしい格好するから……」
「うーんでも、店員してても気付かれてなかったしなー」
「教えてくれたらよかっただろ!」
「えー?」
「うわっ、引っ付くな!」
後ろからぎゅっと抱き締めてやろうとしたら猛反発された。えーん。
でも反応しすぎてすごい面白い。顔真っ赤じゃん。
せっかくなので、目の前で着替えちゃう。
「いや、なにしてんの!?」
「着替えてるんだけど、ほい」
「着替えんの早くない?」
一瞬にして、喫茶店の制服着用!
どう、すごいでしょ。
「……普通に、向こうで着替えてきなよ」
「いたずらしたくて」
「アホなの?」
「もう、少年は可愛いなあ」
「いたいって」
……さすがに呆れられちゃった。ちょっと勢いで行動しすぎか。
――からんからん、と扉が開く音がする。
「……凛、さん?」
ちょうど、少年の額を弾いてけらけら、と笑っていた瞬間だったからだろうか。
沙彩が、俺をまっすぐ見ていた。しかも、凛だと気付いてるし。
店員の時は、こういう表情見せてなかったからバレなかったってこと?
……あ、性別バレしちゃうじゃん。あの魔法少女は男の子~!?の展開ができないんだけど?
「やっぱりね」
と後ろから、雪那が姿を見せた。こいつ、わかってやがる!
「り、凛さん女の子だった!!!!」
ばかでかい沙彩の声が響いた。
……ごめんね。
文字数どれぐらいがいいですか?
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3000以下
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3000~5000
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5000~7000