TS転生したら変身ヒーローだったけど、魔法少女がやりたい! 作:あまぐりムリーパー
静かな基地の中で、かつかつと歩く音がする。
ふと、そっちの方を見ると銀髪が揺れるのが見えた。
「沙夜」
「何、真白?」
銀城真白、魔法少女ダイアモンドカメリア。
私と、友人になってこようとする変なやつ。
「様子を見に来ただけだ」
「アビスハンターズの基地ってそんな出入り自由だっけ」
「沙夜の件ならいいらしい」
「あっそ」
私の生活も、失っていた二年間を取り戻すみたいにして、再び黒金沙夜としての生活を始めた。
とは言っても、学校とかは長いこと行ってないどころか、受験もしてないし。魔法少女だとか変身ヒーローとかでごたごたしてたりはするけど。
一応、魔法少女協会の手配で専用の学校みたいなのには行けるらしいけど。災厄獣の被害者とかで構成されてるんだってさ。
まあ、まだ体もまだ本調子じゃないというか。色々と治療しないといけないところもあるので、ここら辺にはまだ来てるんだけど。
そんな私の様子を見にたまにこうして真白とかも来る。
いつか、こいつと最初に会った時は本当に少しだけの出来事だった。
災厄獣を一瞬で倒した銀色の閃光。銀閃って通称のままのような存在。
出会って少しだけ気になって、友達になろうと手を差し伸べてくれたやつ。……別に嫌いじゃないけど、そんなすぐに友達になるのも変だし。
というか、そもそも。友達とかどう作ったらいいかわかんないしさ。
「どうかしたか?沙夜」
「別に」
気になって顔を覗き込んでくるけど、面倒なので視線を逸らした。
「そういえば、いつもの面子はどうしたんだ?」
「いつもの面子?」
「ほら、あの新人魔法少女と変身ヒーローがいたじゃないか」
沙彩と晴のことか。あいつらも、やけにこっちにぐいぐい来るんだけどな、今日はたまたまいない。
「用事でもあるんじゃない?」
「そうか」
と言い終わった後、真白は小さく息を吐く。
「……改めてなんだが、沙夜」
「なんだよ」
いつにも増して真剣な表情で話しかけてくるものだから、普段よりもぶっきらぼうに返してしまった。
ああもう、うまくいかない。
百日紅凛としてやっていたあの時の方が、ちゃんとやれていた。記憶を取り戻したからこそ、私はちゃんとやれない人間になってしまっている。
薄暗いこの黒金沙夜という記憶は、未だに私の足を引っ張ってる。
「――友達になってくれないか」
そんな考えを打ち消すみたいに、真白が呟くように言葉を続けた。
「またそれかよ」
「言っただろう、次は友達になろうと」
「……言ったけど。そんなになりたいか?正体不明魔法少女の友達に」
「私は、"漆黒"じゃなくて"黒金沙夜"と友達になりたいと言ってるんだけどな」
そのまっすぐな言葉が眩しくて、うまく答えられない。
ああ、やっぱりこいつは魔法少女だ。夢と希望を背負って戦う女の子。それにふさわしい存在。
そんなものに手を差し出されたら、取るしかなくなってしまう。ずるいけど、私はそれに乗っかってやることにした。
だって、ずっと逃げ続けるのもなんか癪だから。
「いいよ」
「本当か!?」
思ったよりも大声で反応されてすごいびっくりした。
「声うるさ」
「……しょうがないだろう、そっちがなかなか友達になってくれないんだから」
「お前、友達いないの?」
「そうだな、あまりいないかもしれない」
でも、前喫茶店に雪那とひまりと来てなかったか?
ああでも、魔法少女協会とかで関係があるだけかもしれないし、そんなものなのかもしれない。
こいつも、私も。やけに強いだとか言われて、他の魔法少女と関わりにくいってのもあるし。
と考えていると、思い出したように真白が話し出した。
「そういえば、あのアキラという青年のことなんだが」
「え、何?アキラとなんかあったの?」
一応、アキラはアビスハンターズの重要人物で、真白も魔法少女協会としてはまあまあ重要な魔法少女だし。なんかあったのかもしれない。
なんか、私を倒しに来てたときも息が合ってたような気がしなくもないし。
「君は、アキラに拾われてここに住むようになったって言ってたな」
「まあそうだけど」
「それは、アキラと共に暮らしてた……ということか?」
「それがどうしたの?」
「……それはなんというか、不健全じゃないか?」
何を言ってんだ、真白は。不健全だとかって。
アキラが私のことをそんな風に見ているわけないのに。まあ、確かに撫でてくるときもあるけど、あれは小さい子供に対する態度みたいな感じだし。
そもそも。
「アキラと初めて会ったときに、体を好きにしてもいいって言ったけど何もしてこなかったから大丈夫だよ」
「……待て、なんかすごいことを言った気がしたんだが」
「だから、体を好きにしてもいいから泊めてって話をしたんだけど」
「君はもう少し自分の体を大事にしないか!?」
「ディープバーストして改造された後の体とか大事にしようとかある?」
「……」
真白が、何も言えないみたいに俯いた。
軽口で返したのに、なんか深刻なことみたいになってしまったか。ブラックジョークみたいなものだと思って、流してほしかったけど。
……こういうとき、どういう風に言葉を掛けて解決すればいいかわからない。
どうすれば――なんて考えているとき。
背筋にぞわり、と嫌な感覚がした。
この感覚は、災厄獣。
あの日、私が記憶を取り戻して暴走した日を皮切りにして、災厄獣の出現は激減した。私が、バカみたいに出したから、出てくる先も減ったって話もあるだろうけど。
元々は、怪人組織の連中が呼び寄せてるっぽかった。なんか、私を狙ってるときにやけに災厄獣出てきてたし。
でも、それを落ち着いたんだけどこうしてたまに出てくる。
がたり、と真白が立ち上がる。
「いくの?」
「ああ、どうせだから」
「じゃあ、私も付いていってやるよ」
「……大丈夫なのか?」
「治療も結構進んだから、多少は変身してもいい」
そう、私もぐちゃぐちゃになってた体の中も結構整理されて。ある程度力を取り戻している。
ちょっとぐらいなら、変身しても大丈夫らしい。あんまりしないようにって言われたけど。
『無茶はするな』
カントホルツの声も、久々に聞いた気がする。
「問題ないって。行くよ、真白」
「君が仕切るのか?」
苦笑しながら、真白が後ろから付いてくる。
「「マジカルジュエリーアップ」」
光が基地を包み込んだ。
なんか他のキャラの絡みとかも追加するかもしれません
あとやっぱり色々これまでの話で直したいところがあるので勝手に修正しても許して
主人公との絡みが見たい人
-
沙彩
-
晴(少年)
-
アキラ
-
真白(ダイアモンドカメリア)
-
雪那(サファイアネモフィラ)
-
その他