TS転生したら変身ヒーローだったけど、魔法少女がやりたい!   作:魔法少女マジデ☆ドコダ

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7.みんなと仲良くしたい!

 ゆっくりと、体を起こす。なんか、体が重い気がするな。なんでだろ。

 

「これ、どういう状況?」

 

 どうやら、基地で寝かされてるらしい。

 

『昨日、倒れたのを覚えてないのか?』

「倒れた?何それ……」

 

 そんなことあったっけ。昨日のことを考えようとして――ずきり、とお腹が痛んだ。

 

「痛い……なにこれ」

『最近、戦いすぎたせいだろう。休んだ方がいい』

「ぐえー、そんな。沙彩ちゃんと遊びに行きたかったのに」

 

 それにしても、そんな過労みたいな感じだっけ。軽く怪人をボコってついでに災厄獣倒してるだけなんだけどな。

 いやまあ、百日以上連続だったけど。

 

 やだ、俺って病弱キャラ?

 

 っていうか、本当にお腹痛いんだけど。じくじくする。

 

 お腹って言えばさ、なんかお腹のところに変な痕があるんだよね。何かで刺したとか、そんな感じなのかな。

 いや、刃物で刺したにしては小さいから、注射とか?

 

 でも、注射の痕ってそんな残る?

 

 二年前にはたぶん、すでにあった気がするし。

 二年前はギリギリ記憶があるぐらいで、本当はもっと前にあったのかもしれないけどね。

 

 記憶があやふやだから、ミステリアス路線も実はいけたのでは?

 

『沙彩という娘には、凛の振りをして連絡しておいたぞ』

「おい、勝手に人のスマホをいじらないで」

『アビスハンターズから支給されたものだろう』

「いや、そうだけど!」

 

 えっ、何勝手に会話されてんの?

 俺だって魔法少女の子と会話したいですけど?

 

 急いでスマホを拾って、指を滑らせた。

 

 沙彩から、遊びを了承する返事が来てるけど。それに対して、体調悪くなったからすぐには無理って返してる。

 誘っておいて、いきなり断る失礼なやつじゃん!

 

 ぐぬぬ、残念だって感じの内容を送っとかないと。嫌われたら立ち直れない。

 ……思ったけど、あんまりまともに会ってないのにこんなに関係で悩むことある?

 

 うん、今度あったらいい感じに話そう。

 魔法少女同士としても会ったからね!

 

 お前は魔法少女じゃなくね?ってのは禁句。ごっこしてるっつってんだろ!

 

「起きたか、凛」

 

 ゆっくりと、ベッドから降りるとたまたまアキラが部屋に入ってきた。

 俺の様子を見て、少しだけ表情が緩んだように見える。心配されてた?

 

 ちなみに、基地には俺専用のお部屋があります。まあ一応、性別は違うから考慮してくれたんだろうね。

 

「なんか倒れたっぽい?」

「覚えてないか。あまり無理するな」

「してないけどなー」

「とか言いながら、今は無事ではないだろ」

「あはは……」

 

 げっ、見抜かれてる。お腹が痛いし、なんか全身がだるいかも。

 

「お前は当分、休め」

「私が休んでも大丈夫なの?最近結構、怪人の動きとか激しくない?」

「晴もいるし、最悪は俺が出る」

「えっ、マジ?」

 

 アキラって戦ってもいいの?

 なんか、出撃できないって言ってなかったっけ。

 

「お前に無茶をさせるわけにもいかないからな」

「過保護な親じゃないんだから」

「カントホルツも同じことを言ってたな」

 

 えっ、カントホルツと共鳴しちゃったな。さすが、俺のデバイス。

 

 ことり、とコップを置かれた。ホットミルクだ。

 

 普段はわりとコーヒーなのに。

 

「優しいじゃん」

「お前は病人みたいなものだからな」

「ふーん」

 

 それに口をつけると、体が少し温まった気がした。

 不思議と、心も温まったかも。なんてね。

 

 ずずず、とホットミルクを飲んでいると、アキラがこっちをじっと見つめている。

 

「ん、何?飲んでる様子が変とか?」

「そういうわけではない。とりあえずお前は、詩織のところに行ってもらおうと思っている」

「マジですか」

「ああ、マジだ」

 

 詩織さんは、まあなんというかアキラの知り合いなんだよね。

 確か、喫茶店を経営してて。実はアビスハンターズの一員、みたいな感じ。

 

「詩織さんのとこ行くの久しぶりだなー」

「それはそうだろう。最近はずっと戦っていたんだから」

「確かに、そりゃそうか。ってことは、検査とかするの?」

「そうだ。調子が悪いんだからついでに見てもらえ」

「はーい」

 

 詩織さんはアビスハンターズの変身ヒーローたちの検査とか、そういうのを一部担当してる。

 治療というよりはメンテナンスみたいな感じだけどね。異能とかデバイスの調子とか含めて、確認してくれる。

 

 ……ただちょっと、こう苦手なところがあるから、気が向かないんだけども。

 ううん、仕方ないか。

 

「一人で行かせると心配だから、晴と一緒に行ってもらうか」

「過保護すぎない?」

「今のお前は、少し弱ってそうに見える」

「そうかな?」

 

 普段と同じつもりだけど。

 

『それには賛成だな。この状態で、怪人たちと戦えるようには思えない』

「カントホルツも?もー、わかったってば。しょうがないので少年とデートしてくるか」

 

 と、呟くとカントホルツが、ざざっとノイズのような音を出した。

 この音って、ため息みたいな感じで出るらしいんだよね。あれ、なんか呆れられてる?

 

「……いつまで、晴に男だと偽るつもりなんだ?」

 

 おかしい、アキラも呆れたように目を伏せている。

 

「面白いから、当分はばらさないかも」

「…………そうか」

「何、その間は」

「いや、不憫だなと思っただけだ」

 

 不憫?少年が?

 ちょっと、騙してるだけなのに。

 

 いやその、最初はそんなつもりなかったし。普通に、少年呼びのお姉さんをしたかったけど!?

 

 シチュエーションのオタクなんだもん。魔法少女ごっこ以外の好きなシチュだってやりたいんだけどな。

 

 なのになんか、男って勘違いされたら変えるしかないじゃんね。

 いやまあ、精神は男なんで許してくれ。

 

 俺は男だぞ!のシチュエーションで、行ってもよかったかなー、なんて。

 

「じゃあ、しょうがないから少年連れて詩織さんのところ行ってくる」

「気を付けて」

「うん、パパ」

「誰がパパだ」

 

 だって、過保護だし。

 

 っていうか、げんなりとした顔で言われちゃった。アキラって表情わかりにくいから、わりと本気で嫌がられてない?

 

「凛、いんの?」

 

 恐る恐る、アキラの後ろから少年が顔を覗かせる。

 

「何、心配してくれたの?」

 

 と、返すと深くため息をつかれた。

 

「倒れたって聞いたから、見に来たのに」

「覚えてないんだよね、それ」

「……無理とかしてない?」

「してないけど」

「あっそ」

 

 ぷいっと、そっぽ向かれた。いじりがいがあるなあ、少年は。

 いやこれだからね、お姉さんポジからいじりたかったってわけ。

 

「晴、凛の付き添いをしてくれ」

「……わかった」

 

 アキラの言葉に、こくりと少年が頷いた。

 

「よろしく、少年」

 

 せっかくなので、ぱちんとウインクしてみる。

 

「あんた、無駄に元気そうにしてるけどさ」

 

 けれど、それもスルーされてしまい。

 

 少しずつ、少年が近づいてきてこちらの顔を覗き込んできた。

 

「顔色悪いからな」

 

 と、言われて始めて、体が気だるいのに気づいた。

 

 確かに、今まで感じたことがないぐらいにはだるいかも。

 

 いや、感じたことがあったっけ。前に、夜道を彷徨ってる時に、こんな気持ち悪さの時があったような――そんなときってあったっけ。まあいいや。

 

「じゃあ、無理せずに少年に甘えようかな」

「……」

 

 無言で返されてしまった。しょうがないので、もう一回変なこと言っとこ。

 

「よろしく、ナイト様」

「そんなことばっか言ってて恥ずかしくないの?」

 

 ひどい。せっかくのデートなのにね、なんて。

 

 

 

 起きてから、ご飯も食べてなかったし、色々と支度を済ませてから少年と一緒に外に出る。

 

「凛はそっち側」

「うわ、彼氏みたい」

 

 俺が車道側に行かないように、少年が車道側を歩く形になる。なんというか、こういうのもむず痒いな。

 

「凛ってさ、本当にずっと戦ってたの?」

「うん?そうだけど。そろそろ連日戦闘記録が途切れるね」

「やっぱり、疲れが溜まったんじゃない?」

「そんなつもりないんだけどね」

 

 気付いてないうちに、そういうことになっていたのかな。わかんないけども。

 

「これからは、俺もいるから」

「ふーん?」

 

 俺が普段よりも弱ってるから、こういうことを言ってくるんだろうけどさ。なんかこそばゆいじゃん。

 

 というか、この雰囲気はさ。なんか主導権を握られてるみたいで、なんとなく気に入らない。

 

 だから、少年の手を握った。

 

「えっ、何?」

 

 驚いて、バッと振り向く少年を見て、少しだけ頬が緩む。

 

「じゃあ、私が無茶しないように出番を奪ってみなよ」

「いいよ。全部、俺がやるから」

 

 ぎゅっ、と強く握り返された。

 

「なんか、少年もアキラみたいに過保護じみてきたね」

「凛は危なっかしいから」

「ははは、なにそれ。出会って数日なのに」

 

 ……なんか、手を離しそびれたのでこのまま行ってしまうか。

 

「凛って、なんか手が小さいね」

「え、セクハラみたいなこと言ってる。まあ、確かにそうなのかな?」

 

 そういう少年は、男の子の手って感じだけど。

 

「っていうか、そもそも体が細すぎない?」

「まあ、華奢ではあるかも」

「ちゃんと食べてんの?」

「本当に親みたいなこと言い出した」

 

 と、他愛もない会話を続けていく。

 

 っていうか、詩織さんのところに行ってるんだよな。

 

 まあ、行くのはいい。検査とかそういうことされるのが苦手とかじゃない。

 

 なんていうかその、詩織さんってかわいいもの好きだから、それでこう色々と言われるというか。

 

 かわいい服!みたいなのをすっごい着せてくる。

 別にね、女であることにそこまでは抵抗はないと思ってたんだけど。すっごいフリフリなやつとかを着せられると、さすがに恥ずかしい。

 

 俺って、見た目は結構なものだから、似合うのはわかるんだけど。別の人にやってほしいかなーって。

 

 例えばそう、沙彩ちゃんとか。

 

「あっ」

 

 なんて考えていたからだろうか。

 

 目の前に、ちょうどその魔法少女の子が出てくるなんて。

 

「……凛、さん?」

「沙彩ちゃん。奇遇だね」

 

◇◇◇

 

 びっくりした。なんとなく、歩いていると、凛さんがいたから。 

 

 この前にいた、男の子も一緒にいるし。友達なのかな。

 

 遊びに誘ってくれた凛さんが、逆に無理って言ってたから何かあったのかなって思ってたんだけど。大丈夫そうならいいかな。

 

 ……というか、少し顔色が悪いような。やっぱり、体調よくないんだ。

 

 知らないうちに嫌がられてたりしたら、どうしようかなと思ったけど。

 

「……誰?」

「この前の魔法少女の子」

「この前?……あー、あの赤い」

「そうそう」

 

 何やらこそこそと話してる。ちょっと、気になるんだけど。

 陰口とかじゃないよね。

 

 と、悶々としたまま見ていると、凛さんがゆっくりとこちらに近づいてくる。

 

 そして、そのまま目の前に来た。いつもの……っていうほど知らないけど、今まで見た凛さんは、少し肌が白かったけど。今日は青白いように見える。

 

「沙彩ちゃん、ごめんね」

「えっ、はい。何がですか?」

「遊びに行くって約束したのに、急に無理になっちゃったから」

「いいえその……調子悪そうですし」

「えっ、やっぱりそんな悪いかな。自分ではあんまりわからないんだけど」

「いや、顔色すごいですよ」

「えっ、本当?」

 

 と、言いながらも少しふらついてる。……危なっかしい。

 顔が青白い自覚もなさそうだし。

 

 こうしてみると、不思議と凛さんの印象が変わる。

 

 最初に見たときは、ただかっこいいなと思って。次は、結構強引に距離詰めてくる人だなと感じた。

 

 たぶん、そういうところに少しドキドキしたんだけど。

 

 でも、今日の弱っている凛さんを見て、初めて等身大の人間に見えた。

 

 なんていうか、理想の凛さんばかりを見ていた気がする。……理想を見るほど、関わってもないのに。

 

 そう思うと、ちょっと私ってバカかも。

 

 どうせだから、ちゃんとした凛さんを知ろう。

 

「どこか行こうとしてるんですよね?一緒に行ってもいいですか?」

「えっ、うーん。まあいいけど……」

 

 少しばかり逡巡したのち、そう答えてくれたので、凛さんについていくことにする。

 

「えっと、そっちの人もいいですか?」

「……凛がいいなら、いいんじゃない?」

 

 と、もう一人の方もぶっきらぼうにだけど、そう返してくれた。

 

「凛さん、調子悪そうですしね」

「そんなに言われるほどかな」

「あと、遊びを反故にされたので」

「えっ、根に持たれてる?」

 

 憧れみたいな気持ちが強すぎたし、これぐらい軽い気持ちで接していこうかな。

 

 ……まあ、凛さんのことは今でもちょっぴり顔がいいなーって思ってるけども。

 

「改めて、ちゃんと友達になってください。凛さん」

 

 ともかく、私は。幻想を重ねてない状態で、凛さんとちゃんと友達になりたいなと思ったから。

 

「えっ、今まで友達じゃなかった!?」

「だから、改めですってば」

「うーん、まあいっか。よろしくね」

 

◇◇◇

 

 ということで、再度沙彩ちゃんと友達になりました。なんで?

 

 まあいいや。

 

 ……にしても、沙彩ちゃんも付いてくるみたいなんだけどね。心配されるみたいなんだけども、そんなにやばいかな。

 

 あっ、沙彩ちゃんの近くになんかふわふわしたやつがいるのが見える。あれが、契約精霊かな。

 

 昔、あんな感じのを見たことある気がする。そう、なんか黒くてもふもふ、みたいな雰囲気の。

 

 ――ずきり、と頭が不意に痛んだ。

 

 そのせいか、少しよろけてしまう。

 

「凛!」

「凛さん!?」

 

 両側から、体を支えられる。沙彩ちゃんも、少年も、そんなにぎゅっと掴まなくてもいいのに。

 

「大丈夫だってば」

 

 もう、心配性だなー。これだと、ややこしいから、早く元気にならないとな。

 

 にしても、なんだったんだろうあの頭痛。やっぱり、体調悪いのかも。

 

 詩織さんのところに、早く行った方がいいや。

 

「ねえ、あんた」

「えっ?私ですか?」

「うん。あんたって凛とどれぐらい知り合い?」

「うーん、今まであんまり関わってなくて。ちょっとぶつかったりしたぐらいで」

「ふーん……大変そうだね」

「えっ、何がですか!?」

 

 俺が普通に一人で立てるようになったからか、なんか少年と沙彩ちゃんが話してる。

 

 実はこの二人って相性がよかったりする?

 

 ほら、二人とも私が振り回せそうだし?

 

 いやその、そんな迷惑かけるつもりはないんですけどね。印象の話だから。

 

「まあ、よろしく。俺は篠森晴だから」

「こちらこそ、私は」

「知ってるから、紹介しなくていいよ」

「そ、そうですか……」

 

 どうやら、挨拶も終わったみたい。

 

 よし、じゃあ元気に詩織さんのとこ行こうか。

 

「じゃあ、二人とも!さっさと行くよ!」

「うわっ、急に引っ張るな!?」

「凛さんすごい急に元気になりますね!?」

 

 二人を連れて出発!いやもう、出発はしてるけどね!

 

 

 

 

 

「それで、バカみたいな勢いで来て、今倒れてるってわけね」

「……はい」

 

 体がろくに動かない。寝かされていて、それを見下ろす影が一つ。

 

 暗い影を顔に滲ませた女性がこちらを見ていた。美人だけど、ちょっと威圧感があるみたいなタイプ。

 

「ブレーキとか知らないの?」

 

 はあ、とため息をついて、俺の額をぺちっと弾いた。全身が少し軽くなる。

 

 この人が――詩織さん。アビスハンターズで、みんなのメンテナンスとかをしてる人。

 

 ここは、その詩織さんがアジトにしてる喫茶店……の地下。まあほら、表でメンテとかできるわけないので、地下にそういう基地がこっそりと備え付けてあるってこと。

 俺は本来、他の基地には行けないんだけど、ここに来るのは許されてる。やったね!

 でも、ここら辺って他に基地ない気がするんだけど、俺専用の調整場所みたいになってたりする?

 

 まあその、沙彩ちゃんと少年を連れてさ、強引にここまで来たんだけどね。

 

 なんか、俺の体調って結構悪かったみたいで。ここに来ると同時にぶっ倒れちゃったみたい。

 

 ……そのせいで、ここで寝かされてるってこと。

 

 しかもさ、アビスハンターズと関係のない沙彩ちゃんがいるので、あの二人は上の喫茶店のところで待ってもらってる。

 迷惑かけちゃったなあ。

 

 寝かされている状態で、ペタペタと電極かなにかをつけてる。冷たい。

 

 その様子を見て、詩織さんが顔をしかめる。

 

「うわ、にしても体の状態が無茶苦茶。異能の解放が、結構ギリギリのところで、このままやるとやばいね」

「えっ、そんなギリギリなの?」

「そうね、カントホルツがいなかったら体が弾けてるんじゃない?」

「こわっ」

 

 待って、そんな危険状態だったの?聞いてないんだけど。

 一通り調べ終わってから、俺を見ながら座り込んだ。淡々と俺の状態を告げる。

 

「戦いすぎて、一部にちょっとダメージがいってるみたいな感じ。封印解放でインパクトするのはやめた方がいいね」

「げっ、マジか」

「マジマジ。直接じゃないなら、たぶん大丈夫」

「ふーん」

 

 怪人を倒すときには、大技がだいたい必要になるんだけどね、そのために必殺技みたいなのを毎回使ってる。少年のウィークポイントブレイクもそうだね。

 

 んで、俺の場合はライトニングインパクトとかがそれに該当するんだけど、これを使うために封印解放ってのをしてるんだよね。

 解放した異能のパワーの底上げだとかそんなことをしてるんだってさ。

 

 で、これを腕に溜め込んで殴りながら爆発させてるって感じなんだけど、それが思ったよりも負荷がかかってるってこと。

 

 なので、直接ぶん殴る必殺技はやめようって話ね。

 

 どういうことかというと、武器がいるってこと。魔法少女だって、素手以外で戦うことも多いし、ちょうどいいかもね。

 

 武器使っちゃうか。ふっふっふっ、ヒーローの逆転方法はだいたい武器を使うことなんでね。

 

「まあそれよりも、そもそも体にある程度ガタがきてるから、休んでね」

「……はい」

「っていうか、あの子たちは誰?」

 

 あの子達、沙彩ちゃんと少年のことか。

 

 まー、説明とかめんどいしね!

 

「友達」

 

 そう答えると、ずっと感情があまり見えなかった詩織さんの頬が緩んだ。

 

「そっか、それはよかったね」

「うん」

「でも、なんでそんな格好してんの?」

「あっ」

 

 やばい、この人かわいい服着せてくるタイプだったわ。

 

「確かに、ボーイッシュな感じも似合うけど可愛いの着てほしかったなって」

「……また今度でいい?」

「友達待たせてるもんね?ちょっとだけ、治療しとくよ、応急処置」

「ありがと」

 

 いやその、別に可愛い服が嫌とかではないけど。これでも元男な訳で、微妙に抵抗感があるってこと。

 

 まあいいや、治療が終わったら二人のところに戻るぞ!

 

「凛、急に動かないで」

「……はい」

 

 まだダメだった。大人しく治療されとこ。

 

◇◇◇

 

 ――ぴぴぴ、と機械の音がする。

 

 目を瞑って、横たわった凛の様子を詩織は見下ろして計器の様子を眺めた。

 

「危ういね、封印がここまでグズグズになるなんて。アキラは自由にさせるのか、この子を守るのかどちらかにしたらいいのに」

 

 ぽつり、と詩織は呟く。

 

 凛は、すでに眠りに落ちていてそれに反応しない。

 

「常に暴走している状態を無理やりカントホルツを装着して、なんとか保ってるみたいだけど。限界があるよ」

 

 凛の頭をさっと撫でる。

 

「魔力の反応は微弱、潜在異能はすべて不活性化。当分は問題ないけど、いつダメになるかわからない」

 

 あまり表情の変わらない詩織の顔に、陰が落ちる。

 

「にしても、魔法少女に憧れてる、かー。やっぱり、そうなっちゃうもんだね」

 

 詩織の言葉が、静寂に包まれた基地に響いた。

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