未来視のスタンド使いは幸せな夢を見るか? 作:モリーの評価者様
1890年9月、アメリカのサンディエゴビーチにて。
美しく長い白銀の髪を後ろで乱雑に三つ編みしながら、その男_フォルクヴァンは眠そうにあくびをした。
そばを歩く愛馬の『ウルトラ』は呼応するように鼻をならし、フォルクヴァンのマントに鼻先を擦り付ける。
「あぁもう……ウルトラ、髪を巻き込むなよ」
時は5年前。フォルクヴァンはどこかも分からない砂漠にて、誰のものかも分からない左眼球を拾った。
あまりの気味の悪さに拾った眼球を投げ捨て、その場を逃げるように走り去るフォルクヴァン。その日から他人に触れ目を合わせると、その人物の未来を視る力を手に入れた。
視える未来は一人称視点で、あまりにも不確定で。
ひとつ行動を変えるだけでその先全てが変わってしまうような、一見なんの情報も得られなさそうなものであった。それでもフォルクヴァンは未来視の能力_スタンドを使い、常に安全で最適な生き方をするようになったのだ。
そして、人生を大きく変えることとなるこのレースにて。フォルクヴァンは優勝者とあらかじめ接触し、共にゴールを目指すことで楽に優勝しようと考えたのだった。
フォルクヴァンにとっての勝負は1stSTAGEの終了後から始まる。
優勝候補が絞られたあと、優勝者を見つけたら声をかけ、親密な関係になるまで関わり続ける。
おこぼれにあずかることで上位をキープしつつ、最後は1位を奪う……そんな作戦を立てながら、フォルクヴァンは笑みを浮かべた。
レース開始は明日だというのに、ビーチには既に3000人はゆうに超える参加者たちが集まっている。
この中の誰が1位を獲るのか、誰が人類の栄光を手に入れるのか……ハンサムな男も醜い男も沢山いる。見物に来た人混みに一際美しい女性もいる。
内心で他人の外見を値踏みをしていたフォルクヴァンの思考は一瞬、レースでの結果のことよりも、人混みに紛れる美しい存在に惹かれてしまった。
横を通り過ぎた男のブロンドの髪が風に靡く。一瞬女性かと間違えるほど肩まで伸ばされた美しい髪はふわりと揺れ、光を反射し輝いていた。
フォルクヴァンは三つ編みを結びかけの指を止め思わず振り返る。
「……っ」
一瞬で人混みに消え、その姿は見えなくなってしまった。
「うーん? まぁ、レース参加者ならまた会えるからいっか……でも、今のコ、すっごくいい匂いがしたなァ……」
鼻腔に残った僅かな匂いを思い出し、フォルクヴァンは満足そうな、そしてどこか物足りないというような表情をした。
あわよくば、彼と仲良くなるきっかけがあればいいのにとさえ思う。
それほどまでに、傍を横切った青年はフォルクヴァンの目に美しく映ったのだった。
フォルクヴァン(Folkvang)_北欧神話の女神『フレイヤ』が治める館 フォールクヴァング
美しいものが好きで、誰よりも美を理解した気になっている。
美しい人間がいれば男女問わず声をかけ、その美貌を間近で見つめる鑑賞者になりたいと願っている。
乗馬はしたことがあるが、腕前は人並み。
所有武器:レバーアクションライフル 2丁
M1892_世に出回る前の試作品を特別なコネクションにより扱っている。付けた名はカノン。
M1886_破壊力を持つ弾丸を放つ現役最強のライフル。付けた名はハーモニー。
フォルクヴァンはライフルを2丁所持し、護身用としている。
射撃の腕はかなり良いが、弾を無駄にしたくないという理由から滅多に使わない。そもそも使わなければいけない場面に遭遇したくないと考えている。
スタンド:Eye of Horus
1.人の体に触れる 2.左目で相手と目を合わせる
この2つの条件を満たして初めて発動できるスタンド。
視える未来は相手の一人称視点であり、尚且つ行動を一つ変えるだけでも未来が大きく変わることもあるほど不安定。
頭に流れ込んでくる未来の情報が多ければ多いほど脳に負荷がかかり、乱用すると鼻血が出る。