その日、街中で2人の少女が走っていた。正確には一方的に手を引っ張られている状態で、だ。
「ねぇ!ねぇってば!どこに行ってるの?」
「名探偵なれたら行ってみたかった所があるのですよ!」
手を引っ張られている少女の名前は『明智あんな』。2027年から1999年の今へとタイムスリップしてきた少女だ。
そして、そんなあんなの手を引く少女の名前は『小林みくる』。名探偵に憧れている少女だ。
「ポチ?」
そして、あんなのポシェットに扮している妖精『ポチタン』。あんなをタイムスリップした元凶であるが…現在は赤ちゃんになっている。
走っていた2人だったが、洋館らしき建物の前でみくるの足が止まった。
「はぁ…はぁ…着きました!ここです!」
「ここって…何?」
「分かりません!」
「えぇ!?みくるちゃんも分からないの!?」
「で・す・が…ここを見てください!」ばーん
「ん?」
あんなはみくるの指先を見ると…その建物の表札があった。
「何か歪んでるけどカタカナ…でいいんだよね?『サシジーノ』かな?」
「いいえ!これは『サツジン』と書いてあるのです!殺人…ずばり、事件の臭いしかしません!」
「そうなの!?」
「ポ、ポチ…」
驚く表情を見せるあんなに対し、ポチタンはややジト目を向けている。次の瞬間、みくるの表情が崩れた。
「ま、まぁ…本当に殺人事件があったならここには入れないから違うと思いますけど。でも入ろうにもワタシ1人だと勇気が出なくて…」
「今はわたしがいるよ!一歩の勇気が…」
「答えになる!あんなさん、この『サツジン』の謎…気になりません?」
「なるなる!」
「じゃあ、早速入ってみましょー!」
「おー!」
「ポチ!」
そのまま建物の中へと入る2人。そして、受付と書かれた席に1人の男が座っていた。
「いらっしゃい…おや?子供が来るとは珍しい。入場料金は1人300円ね。」
「あ、はい…2人分まとめてで。」
「毎度あり。ゆっくり見ていくといいよ。」
そのまま男に見送られ…展示部屋と書かれた部屋へと入っていく2人。そこには大量の恐竜の骨が飾られていたのだ。
「…ただの博物館だったね。」
「何か拍子抜けしました…」
「ポチ♪ポチ♪」
何はともあれ…順番に見て回ることにした。
「わぁ、アンモナイトだ!グルグルしてて可愛いよね!」
「さてあんなさん、突然ですが問題です!アンモナイトは今いる生き物で何の仲間だと言われているでしょうか?」
「ええ!?えーと、確か遊んでたゲームだと…か、貝!オムナ○トが復元できたし!」
「残念。答えは頭足類…つまり、イカやタコの仲間なのです!」
「あちゃ~、そうだったんだ…」
「ちなみにワタシはプ○ラが好きでしたね!」
「…1999年の時点でポケ○ンってあったんだ。」
ちなみに4月時点だとピカ○ュウまでであり、金と銀はまだ出ていない。
「あ!ウミユリだ!化石ポケ○ンのリリ○ラだね!」
「…リリ○ラ?」
「くさ・いわタイプのポケ○ンだよ?」
「そんなポケ○ン、タ○シもエ○カも使ってきませんでしたよ!?」
*ルビ○&サフ○イア…2002年発売
「ちなみにウミユリは植物に見えますがヒトデやウニの仲間だとされています。」
「そうなんだ…みくるちゃんって詳しいんだね。」
「ふふん!推理小説において博物館での事件は王道ですからね!」
「そうなんだ…あ!わたしも1つ知ってることあるよ!えーと…あったあった!こっちだよ!」
「わざわざ手を引かなくても…」
今度はあんながみくるの手を引っ張り、目的の化石のところへと移動した。
「これは…始祖鳥ですね!」
「アー○ンのモチーフだよ!」
「いや、未来のポケ○ンを言われましても!?」
*ブラ○ク&ホ○イト…2010年発売
「実はこの始祖鳥…身体の色は分かっているんだ!何色だと思う?」
「え?古生物の色が分かったというのですか!?どうやって!?」
「く、詳しいやり方までは覚えてないけどね…」
「うーん、そうですね…カラフルなイメージですが…空に溶け込める青色とかでしょうか?」
「残念!答えは黒いなんだって!」
「えぇ!?何かイメージが180度くらい変わりましたよ!?」
*2012年に羽の表面から黒色メラニンの色素胞が見つかったことでそうなった。
………
「色々と見て回ったね。」
「次がいよいよメインの…」
「「ティラノサウルス!!」」
「ポチ!」
2人は大きなティラノサウルスのオブジェの前へときていた。
「…ちなみにこれがモチーフのポケ○ンもいたりしますか?」
「うん!チゴ○スっていうポケモンだよ!」
*X&Y…2013年発売(あんなが生まれた年)
「大きいよねティラノサウルス!」
「ふふふ…実は最近、ティラノサウルスのイメージが変更されたのを知っていますか?」
「そうだね…ビックリだったよね。」
「「
「尻尾を引きずるって何!?」
「ウロコ以外何で覆われていたというのですか!?」
「ポチポチポチ!」
「あ、すみません。話を整理しましょう!」かきかき
衝撃の内容に目を丸くする2人…しかし、ポチタンの声で冷静さを取り戻す。みくるはメモを取り出し…直立したティラノサウルスの絵を描いた。
「先ずはあんなさんの質問ついてですが…ティラノサウルスはこのように直立して歩いていたイメージが強かったのですよ。なので映画で登場した時は直立して追いかけてきていたのです。」
「そうなんだ…」
みくるは続いて前へと向いた姿勢のティラノサウルスの絵を描いた。
「しかし!その体勢のまま自由に歩くことは無理だと言われ…最近はバランスをとるためにカンガルーのように尻尾が地面と平行であったという説が強くなってきたのです!」
「これはわたしも知ってるティラノサウルスのイメージだ。みくるちゃん、ちょっとメモ貸して。」
「どうぞどうぞ。」
「えーと。たぶん、ここから派生したことなのだけど…」かきかき
あんなはみくるの描いた平行な姿勢のティラノサウルスの絵の上から描き足していく。そして、背中が羽毛でフサフサしたティラノサウルスへと変わる。
「こんな感じで身体の一部から羽毛が生えてた、というのが新しい考えなんだって。ほら、恐竜は鳥に進化したっていうし。」
「なるほど…色々と謎が解けていって楽しいですね。」
「さて、これで全部見れたね。そろそろ帰ろうか。」
「はい!」
全ての展示物を見て満足した2人は出口に向かおうとしたその時だった。
「きゃー!?」
「悲鳴!?」
「みくるちゃん、行くよ!」
2人は叫び声の聞こえた方へと走っていった。
───
あんなとみくるが現場に着くと…カメラを持ったスタッフであろう女がその場で震えいた。
「どうしました!」
「ここに展示されてあった化石のレプリカが無くて…誰にも触れてないようにケースの中に入っていたのに…」
「レプリカ?みくるちゃん、ここにあったのって覚えてる?」
「始祖鳥の羽のレプリカです。カラフルな装飾がされていたので覚えてます。」
始祖鳥の色は実は黒と言われたのがショックだったのもある。
「どうされましたか?」
「館長!?実は始祖鳥の羽のレプリカがどこかへ行ってしまったようで…」
「何だと!?」ピクッ
館長と呼ばれた受付にいた男も入ってくる。
「このケースの鍵はワシしか持ってない!誰がどうやって…?」
「その謎!」
「わたしたちが解決します!」
あんなとみくるによる推理が始ま…
「いや、アナタたちが犯人じゃないの?」
「「違います違います!」」
「わたし、嘘つかないですから!?」
「カバンの中身とかも全部みせますよ!?」
「…はぁ、戻ってくれれば何でもいい。寺野君、彼女たちに協力してあげよう。何でも聞いてくれ。」
寺野と呼ばれた女スタッフに疑われたものの…館長により捜査の許可をもらえ、2人の推理が始まった。
………
①館長の証言
「ワシは昔から恐竜が大好きでな…他の人にも興味を持って欲しくてこの博物館を開いたんだ。まだお客さんは全然来とらんがな。ここにあるのはほぼレプリカだが…アンモナイトとサメの歯の2つは本物の化石だよ。」
「えぇ!?ほとんどレプリカだったのですか!?全部本物だと思っていました!」
「ほほほ…そう言ってもらえるのは嬉しいね。とはいえ、本物であれレプリカであれ、ここの作品は全てワシの宝だ…今回の始祖鳥は特にな。」
「ちなみにわたしたち以外にお客さんは?」
「お嬢ちゃんたちだけだよ。」
「出入口とはどうなってますか?」
「お客さんが通る扉が入り口と出口で2つのとスタッフ用の扉が1つある…ほら、あそこのティラノサウルスのところだよ。」
「あ、本当だ!」
➁寺野の証言
「私は館長に言われて各化石の写真を撮ってわ。試しに…ほら!アナタたちの写真よ!」カシャ
「おぉ!?その場で写真が出せるんだ!凄い!?」
「これは館長さんのカメラですか?」
「いいえ。私の私物よ…これが今回撮った写真。」
「アンモナイト、ウミユリ、ティラノサウルス…始祖鳥は最後の順番になったのですか?」
「…ウミユリを撮り終わった時点でフィルムが切れたから取りに戻っていたからね。」
「そっか、スタッフさんの扉はティラノサウルスのすぐ隣だった!」
………
事情聴取が終わった2人は合流し…互いの意見を交換しあう。
「館長さんも寺野さんも話におかしな所は無いよね?」
「…んー、話に無いとなれば…実際に無くなった始祖鳥のケースを調べましょう!」
「おー!」
「と言っても…みた感じ何も入ってな…!?」
「みくるちゃん?」
早速、ケースを調べるために裏へと回るみくる。そこであんなもみくるもある違和感に気付く。
「「ガラス越しに
その時、心の中に1枚の羽が落ちると波紋が広がり…大量の羽へと増大した。
「「みえた!これが…答えだ!」」
「犯人は…」
「あの人だ!」
───
あんなとみくるは館長と寺野を始祖鳥のレプリカが入っていたケースの前へと呼び出した。
「始祖鳥のレプリカの場所が分かりました!」
「本当かい?どこだ?どこにある?」
館長がやや興奮気味にみくるへと迫る。
「それは…あんなさん!」
「答えは…ケースの中にあるままです!」
「…はい?」
あんなの解答に目が点になる館長。
「何を言ってる…どうみても空じゃないか!」
「みていてください…あんなさん、お願いします。」
「はーい!」
あんなはケースの裏へと回り…手を振り始めた。そこで館長も初めて違和感に気付く。
「ガラス越しに…お嬢ちゃんの姿が見えない?」
「これは表面に写真が貼ってあるからです。これを貼ったのは…カメラ持ってるアナタですね寺野さん!」ビリッ
「─っ!?」
あんながケースに貼られた写真を剥ぎ取り…寺野を指差した。ケースの中には確かに始祖鳥のレプリカがあったのだ。目を丸くする寺野。
「ようやく気づいたのね。」にやっ
しかし、瞬時にニヤリと笑い…ポケットからあるの物を取り出した。
「館長、コレは何でしょう?」
「なっ!?いつの間に鍵を…!?」
寺野は1本の鍵を館長にみせると始祖鳥のケースを開け…中のレプリカを取り出した。
「鍵を奪っていた!?」
「アナタ、何者ですか!?」
「…何者だって?もう忘れたのかい?」ばっ
女はそのまま自身の衣装を掴み…投げ捨てた。するとアイマスクとシルクハット、マントを纏う男へと姿が変わる。
「「ニジー!?」」
その正体は嘘で覆われた世界を目指す『怪盗団ファントム』の一員、『ニジー』だった。
「ハハハッ!マコトジュエルはもらっていくよ!」
「あぁ…!アレは…アレは…!」
「大切ものなのですね。必ず取り返します!」
「いきましょうあんなさん!」
「ポチポチ!」グイッ
「「うわー!?」」
2人はポチタンに引っ張られ…ニジーを追いかけて始めた。
………
そして、ポチタンは逃げるニジーの前へと着地する。
「ふー、やっぱり追い付いてくるか。」
「始祖鳥のレプリカを返して!」
「館長さんの大切なものよ!」
「やれやれ…だから盗んだじゃないか。このマコトジュエルはボクの物だ!まぁ、今回はベイビーたちへのリベンジショーでもあるんだけどね!」
ニジーはレプリカに自身の薔薇を投げた。
「嘘よ覆え!出でよ…ハンニンダー!」
『ハンニンダー!』
始祖鳥のレプリカがニジーと同じくアイマスク、シルクハット、マントを纏い…ハンニンダーとなる。ただ、羽根の形であるため薄く細長い姿となっている。
「このままだと黒い色の始祖鳥が嘘で覆われしまう!」
「あんなさん、いきますよ!」
「「オープン!ジュエルキュアウォッチ!」」
「どんな謎でもはなまる解決…名探偵、キュアアンサー!」
「重ねた推理で笑顔にジャンプ…名探偵、キュアミスティック!」
「「名探偵プリキュア!!」」
「わたしの答え…見せてあげる!」
対してあんなとみくるもプリキュアへと変身した。
『ハンニンダー!!』
先制したのはハンニンダー。自身の周りに大量の羽根を作り出し…2人へと飛ばす。
「はぁぁ…くっ!重…うわっー!」
「アンサー!?…おりゃ!」げしっ
パンチで返そうとするキュアアンサーだったが…次々と集まってくる羽根に押し込まれてしまう。そこへキュアミスティックがキックでフォローする。
「いいよハンニンダー!」
『ハンニンダー!!』
「この攻撃は…避けた方が良さそうだね。」
「どうにか近づかないと…」
「プイキュア~♪イエーイ♪」
追い込まれる2人。しかし、ここで不思議なことが起きる…ポチタンから1つのマコトジュエルが現れ…キュアアンサーの手へと渡ったのだ。
「ポチタン!?」
「アンサー、これって?」
「分からない…けど、何処かでもらった覚えがあるような…?とにかく!はなまる力が沸いてきてる!えいっ!」
『イエーイ!君と一緒にはなまる解決!キラッキランラン♪』
キュアアンサーはマコトジュエルをジュエルキュアウォッチへとセットする。
『ハンニンダー!』
ビュビュビュビュッ!
ハンニンダーは先ほどよりも多くの羽根を飛ばしてきた。しかし、キュアアンサーはそのまま腕を回すと右の拳にキラキラと光る何かが集まってきており…そのまま、拳を前に出した状態でハンニンダーへと突っ込んでいく。
『プリキュア!アイドルグータッチ!』
「キュアっと解決♪」
そして、キュアアンサーはハンニンダーを通り抜けたのだ。
『ハン…ニン…ダ…』
ドカーン!
「さて、引くとしますか…」
ハンニンダーは浄化され、ニジーはその場を去った。残ったのは盗まれた始祖鳥のレプリカと…1つのマコトジュエルだった。
───
「取り返してくれてありがとう。本当にありがとう。これはワシの孫が色を塗ってくれた物でな…」
「良かったです!」
「まさか…私に変装していたとは…申し訳ございません。」
「いえ、寺野さんのせいではありませんよ。」
再び博物館へと戻った2人は館長へとレプリカを返す。それは本物の寺野によりケースへと戻されたのだ。
「凄く綺麗に塗ってあったのですが…もしかしてプロの方なのですか?」
「あぁ、そう聞いとる。ワシ以外の所でも活躍しているそうだ。」
「凄いですね!」
「特にこれは…就職して初めて作ってくれた作品だ。故に一番思い入れがあってな…良かったらまた来てくれ。」
「はい、また来ます!」
そして、あんなは疑問となっていた質問をする。
「所で気になったのですが…博物館の看板とか設置しないのですか?」
「ん…あっ!?そういえば、まだ依頼中だったんだ!道理でお客さんが全然来ない訳か…」
「えー!?いや、わたしたち的にはゆっくり見れて良かったですけど!」
「あ、ワタシからもいいですか?」
「何だ?」
「えーと、その…表札の『サツジン』というのが気になりまして…」
「あ!わたしも気になってました。」
「サツジン?サツ…?あぁ!そういうことか!」
みくるの質問に対して館長は名札を見せる。
『
「ワシのフルネームだ。」
「「ありゃりゃ!?」」ずるっ
サツジン ✕
ザノジン ○
何はともあれ、みくるの謎も解決した。