スズミの幼馴染はクソガキ   作:けいあお

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もうすぐ10話いくのに対策委員会編に行けない小説があるってマジィ!!


第8話 シャーレ業務は地獄

 日が落ちて暗くなったシャーレの部室で男が煙草をふかしていた。

 その男と話をしているのは二人の少年。

 

"なるほどねえ…………昨日会っただけの奴をここまで心配してくれるたぁ嬉しいねぇ。"

 

 男は目元に隈を付けていて、気だるげだった。ネクタイも緩めていて、シャツのボタンも一番上の物は外している。

 先生に俺達がここに来た理由をザックリ話した。

 お返しに特に嬉しそうでもない反応を頂いた。

 

「このキヴォトス中が注目してる先生だからこそだけどな。」

 

"そうかい"

 

 フッと鼻で笑うと、口からふうっと紫煙を吐き出した。

 煙草の匂いは昔から嗅ぎ慣れているが……やっぱり好きになれそうもない。

 あんな、くっせえ臭いを自分から嗅ぐなんて俺には理解できないね。

 

「うッめっちゃタバコ臭いんだけど。窓開けて~」

 

"へいへい"

 

 先生が椅子から立ち上がって窓をガチャっと開ける。

 建付けもよさそうで、窓が止まることなくスーッと開いた。

 その後ろ姿にコウセイが問いかける。

 

「そういえば、先生ってどうやって帰る予定なのさ?」

 

 窓を開ける手が一瞬止まる。

 

"……さあ……な"

 

「けどさ、ずっといるわけにもいかないじゃん?」

 

 先生の弱い呟きにコウセイがそう返す。

 

"……"

 

「普通だったら家族だって心配してるんじゃない?」

 

 先生の表情が露骨に暗くなる。

 コウセイが先生に辛いことを突きつけている。

 家族の顔も思い出せないヤツにそれは泣きっ面に蜂だぜ……

 ここは、フォローを……

 

「あ~、ま、まあよ、アンタだって来たばっかだし……"分かってるぜ、そんなことぐらい"」

 

"けど仕方ねえだろ、俺は記憶喪失で周りは銃持ってて引き金も軽い奴らばっかりと来た。

そんな奴ら相手に勝手できるほど肝は据わってねえよ。"

 

 食い気味に割り込んできた先生だが……やはり精神的にきてるみたいだな。

 

"それに、普通それは連邦なんちゃらの仕事だ。俺が探す義務は無ぇ。それに俺だって帰りたくない訳じゃねぇ!! 俺だって「あ~分かったから、いったん落ち着け」……わりぃ"

 

 取り合えずヒートアップしかけてる先生を止める。

 まあ、連邦生徒会は先生の事の調べを進めてるだろうから、別に先生が何かをする必要は無い。

 だけど、こういう時に何もしないのは却って、自分の無力さを痛感して辛くなる。少なくとも俺だったら。

 

 そう先生の内心を気にしていると、

 

「…………さっきはごめん先生。先生の精神状態は僕も知ってたし、もっと言葉を選ぶべきだった。」

 

"……………………ハッ、ガキが大人の心配してんじゃねぇよ……まあ……こっちこそムキになった。すまん。"

 

 なんか、仲直りしてる。

 まあ、記憶喪失の人に家族の事は禁句だしこれはコウセイが悪い。

 

「……二人とも落ち着いたかよ。」

 

「ごめんねマサト君って僕の事フォローしようとしてくれたでしょ。」

 

"見苦しいとこ見せたな。"

 

「まあ、気にすんなよ」

 

 そういえば…………先生の仕事残ってるけどこれどうするんだ?

 

「それはそうと先生ってまだ仕事残ってね?」

 

"あ……"

 

「あ~確かにまだ書類あったね。」

 

 先生の顔が固まって…………あ、ちょっと青ざめてる。

 

"お前ら……ちょっと手伝ってくんね?"

 

「おう、任せろよ」

 

「失礼したお返しになるしね」

 

 先生の助けを求める顔を見ると、まあこれは見捨てられない。

 今夜は長くなりそうだ。

 

 

 

 

 

「ああああ!何だこのクソみたいな申請書舐めてんのか!!」

 

 

 

"これなんか数あってねぇよな!!"

 

 

 

「何この……ええ。ここ(シャーレ)は大喜利会場じゃないんだけど……」

 

 

 

 

 

「何か文字擦れて読めねぇんだけどコレ!!」

 

 

 

"鉛筆で書いてきてんじゃねぇぞクソが!!"

 

 

 

「あああ、頭がくらくらする。瞼が重い~」

 

 

 

 

 

「カフェイン。カフェインが足んねぇぞ!!」

 

 

 

"あああ~目がキマるぅぅぅ!!"

 

 

 

「あ、あ、ああああ」

 

 

 

 

 

「もう…………チョイで……終わ……るぞ」

 

 

 

"やっと……か………クソ……が…………いつか……絶対……辞めてや……る"

 

 

 

「もう……やだ…………多すぎ……書類」

 

 

 

 

 

 このオフィスに光が差し込む。

 人工的な光とは違う、赤みを帯びた光がオフィスをこの都市を包み込んでいく。

 その光が差すと共に、今まで机に突っ伏してダウンしていた男たちが起き、立ち上がる。

 その様子は正に、歩く死体であるゾンビの様な様相である。

 

「もう……朝か」

 

「あはは……もうしばらく書類仕事は……勘弁かな……」

 

"もう……寝ようぜ…………一秒でも早く……寝たい"

 

 その場にいる誰もが目がバキバキになっている。

 しかし、そこにいる三人とも何故か自然と笑みが浮かんでいた。

 仲間と共に成し遂げたという事実に、その場にいる誰もが満たされた思いを感じていた。

 

"仮眠室……貸してやる…………から……そこで寝よう……ぜ"

 

「へっ……そりゃあ…………嬉しいね」

 

「お言葉に……甘えるよ」

 

 その思いはキヴォトスに来てから一人ぼっちだった先生にはよく効く薬だった。

 




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