スズミの幼馴染はクソガキ   作:けいあお

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第1話 砂漠からのお便り

 シャーレ設立から数週間後、一通の手紙が届いた。

 

 俺は、電話じゃなくて手書きの手紙とは珍しい事もあるものだと思いながら、手紙を開き中身を確認してみる。

 

 内容は、まあ要約すると、【自分たちの学校が不良に乗っ取られそうでヤバいから支援してくれ】ってな感じだった。

 

 本当は行きたくなかったけど、シャーレは目立った活躍が無いって訳だから、このままあじゃあシャーレが解体されちまうかもしれない。

 

 シャーレが無くなっちまうと、俺を守る役職という名の盾が消えちまう。

 そうなったら、この超銃社会で弾丸が雨の様に飛び交うこのキヴォトスで生きていけない。

 こうなったら俺にできる選択肢は一つだけだったからな。

 

 シャーレに所属している生徒の中では比較的フットワークの軽いスズミとコウセイを護衛に着けて、こんな暑苦しい砂漠に来ちまったわけよ。

 

 

"で、そっちは?"

 

 

 こっちもシャーレ設立から数週間後だな、俺はある事件を追ってるんだが、それ関連でな。

 

 俺の追っている事件は、二人の刑事が行方不明になった事件なんだけど、その行方不明になった二人っぽい奴をアビドスで見かけたっていう情報が入って来たから、単身でこの砂漠まで来たってことだぜ。

 

「俺はそんなとこだな。」

 

 冷房の効いた車内でハンドルを握っているマサトはこう問う。

 

「で、なんで徒歩でこの砂漠に来ちまったかを、まだ聞いてないぜ」

 

 

 

 

"ああそれは……"

 

 

 もう日も昇っていてすっかり暑さの頂点に達した砂漠を徒歩で歩く影が3つ。

 一人はキヴォトスではたった一人の大人の先生。

 もう一つは普段は飄々としている黒髪の青年。

 最後はトリニティ自警団所属の白髪の少女。

 

 この奇妙な三人組が目指しているのはアビドス高等学校。

 このアビドス砂漠の学校だ。

 

 だが、砂漠の熱さにやられていて、俺はダウン寸前。

 正確な地図も無ければ水も無い、こんな事なら車で来ればよかったと、本気で後悔した。

 

 その、ダウン寸前の俺が後悔まじりにこう言葉を発する。

 

"もうヤバい、水……は無いんだった。チクショウ、もうちっと準備してくればよかったぜ。"

 

 他二人の生徒は励ます様な言葉を贈る。

 

「仕方ありませんよ、地図の更新が一切されていないなんて、私達も思っていなかったことです。」

 

「そうだよ、キヴォトス生まれの僕らが、何とかしなきゃいけなかった問題だよ。」

 

 とはいえ、もう足元が少しふらついていてもう歩くのは限界……どこかで休んだ方が良いだろうと思っていたら。

 

【ブオーン キキッ】

 

 一台の自動車が、俺たちの横で止まりまった。

 

「あれ? 先生たちじゃん。何やってんのお前ら?」

 

 

 

 

 場面は再び涼しい車の中。

 

"そうして、今に至るのさ。"

 

 マサトは少し考える仕草をした後、俺達に提案を持ちかけた。

 

「俺も一先ずの目的地はアビドス高校だからな。そっちが良いなら送って行くぜ?」

 

 その提案に、俺は脊髄反射で

 

"よろしくお願いします。"

 

 即答した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数分、灼熱の砂漠の中で車を走らせると、砂に埋もれていない建物が見えてきた。

 砂漠に入ってから、目に入って来た人気の無い建物とは違い、何者かの手が入っている生活感を感じた。

 

「あれが、アビドス高等学校だろうな。」

 

"マジであったんだ。都市伝説だと思ってた。"

 

 先生が、冗談8割本気2割ぐらいの声の色でそう言った。

 

「確かに、あれだけ歩いても見えてこなかったし、僕も存在を疑いかけるとこだったよ。」

 

「無事に到着できそうですね。ありがとうございましたマサト君。」

 

「いいって事よ。」

 

 他二人も、目的地が目に入った安心から、口を開いた。

 

 偶然の出来事だが、友達に頼られて悪い気はしない。

 が、そのちょっと上がった気分も次の瞬間には暴落することになる。

 

「…………あれ、なんか戦ってるんだが?」

 

 俺の目に映ったのはまごう事無き戦闘中の生徒達だった。

 そんな俺の呟きをキャッチした三人は、後部座席から身を乗り出してフロントガラスの先を見入る。

 

"マジじゃん。"

 

「ちょ、早速例の不良達と交戦してるっぽいじゃん。」

 

「い、急ぎましょう!」

 

 アビドス高校の校舎付近で戦闘の爆発が巻き起こっていた。

 

 スズミの言葉に従って、アクセル全開べた踏みでアビドス高校を目指す。

 

 

 

 時はちょっとだけ巻き戻る

 

 

 

 熱い砂漠を自転車だけで駆け抜けた少女が、彼らの目的地アビドス高校に登校していた。

 無人の教室が多い中、人の気配のする一室に入る。

 

「シロコ先輩おはようございます!」

 

「んおはようアヤネ。」

 

「あ、シロコ先輩おはようございます。」

 

「んセリカもおはよう。」

 

「シロコちゃんおはようございます☆」

 

「んおはようノノミ」

 

 ここは、アビドス高校。

 全校生徒は僅か5人の小さな学校である。

 

 ある年を境に起こり始めた砂嵐によって、もう瀕死の重病人と化したこの学校に残って復興を目指している生徒の人数だ。

 傍から見れば、無駄な足掻きだろう。まさに、瀕死の重傷を絆創膏一枚で何とかしようとしているようなものだろう。

 だがシロコも他のアビドス生もその不可能とも思える目標を掲げて頑張っている。

 シロコ含めみんなこの学校が大好きだから。

 

 

 一通りの挨拶を済ませたシロコだったが、一人だけ足りない事に気づいた。

 

「んホシノ先輩は」

 

「ホシノ先輩なら屋上で昼寝してると思いますよ♣」

 

 ノノミがシロコの問いに答える。

 

「ちょっと呼んでくる。」

 

「はい☆行ってらっしゃい。」

 

 ノノミからホシノの居場所を聞いたシロコは階段を上り、学校の屋上への扉を開けた。

 そこには、ピンク色の髪の少女が居た。普通はそこで昼寝をしている彼女が3年生だとは一目では分からないだろう。

 

 しかし、シロコ達にとっては、いざという時は頼りになる先輩なのだ。

 

 

 ピンク髪の少女小鳥遊ホシノが目を覚まして、大きく伸びをした。

 

「うへ~、シロコちゃんおはよ~」

 

「んもう全員集まったよ。ホシノ先輩。」

 

「おじさんはもうちょっと寝てたかったな~」

 

「ん時間は有限。早く行こう。」

 

「シロコちゃん速いよ~」

 

 シロコがホシノの腕を掴んで会議室に戻ったが、腕を掴まれたまま階段を降りたにも拘わらず、一切階段から転げ落ちる気配が無かった。

 

 

 それから暫くは会議を続けていたのだが、ここで問題が起こった。

 

 

【ダダダダダダッ!】

 

 

 校庭から突如銃声が鳴り響いた。

 

「銃声!」

 

「んいつもの連中。」

 

 突然の銃声にも戸惑わず、各々の装備を手に取り戦闘態勢に移る。

 

 窓の外からメガホンを手に持った、不良たちのリーダーが攻撃指示を出す。

 

「攻撃だ!奴らの物資はもう残り僅かだ。

 この攻撃であの校舎を私達【カタカタヘルメット団】の物とするのだ!!」

 

「おーー!!」

 

 リーダーの言葉を境に一斉にヘルメット団の団員たちがアビドス生に攻撃を仕掛けた。

 

 アビドス生5人に対するはカタカタヘルメット団員約50人

 単純計算で兵力差は10倍。

 

 普通なら、アビドス側は相手にもならないだろう。

 しかし、

 

「うへ~邪魔だよ~」

 

「お仕置きの時間ですよ~♠」

 

「ん遅い。爆破」

 

「ああもう、何日も続けて襲撃に来て…………いい加減にして!!」

 

 アビドス側が優勢を保っていた。

 

 ホシノのショットガンで数人が一斉に戦闘不能になり、

 ノノミのミニガンの掃射で一気に十数人が気絶。

 セリカのアサルトライフルとシロコの爆撃ドローンで数多の団員が気絶or戦闘不能になった。

 

 しかし、その優勢も長くは続かなかった。

 アビドス側の弾幕が目に見えて弱っていた。

 

「ん弾切れ。」

 

「すみませ~ん、弾切れです。」

 

「あちゃーおじさんもう弾切れだよ~」

 

「く、これが狙いね。」

 

「も、もう予備弾薬も尽きてしまいました。」

 

 そう、本人はまだ戦えても、銃の弾切れによる戦闘不能に陥ったのだ。

 

「わははは!! これでもうお前らは、もうおしまインザミラー!!」 

 

「リーダー急に何言ってるの?」

「さあ? 昔の動画サイトでも見てたんじゃない?」

 

 形勢逆転とはこのことだろう。

 このまま、アビドス側の敗北に終わると思われた。

 

「ホシノ先輩、こちらに向かう車両が一台を確認しました!!」

 

「うへ?なにそれどこの組織の?」

 

 ヘルメット団、アビドス生徒そのどちらでもない勢力が介入しようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えたぜ、どうする!?」

 

「段々弾幕が弱まってるよ。このままじゃあヤバいんじゃないのコレ?」

 

「恐らくは弾切れでしょう。救援を急がないと!」

 

"このままチンタラ行っても手遅れになっちまうぞ。

こうなったら……マサト!このまま敵の集団に突っ込めるか?"

 

「オーライ、アクセル全開!!」

 

 今までもかなりのスピードが出ていたが、今度は今までよりも更に強い慣性が襲った。

 

「突っ込むぜ!!!」

 

 

 

 猛スピードで突っ込んでくる車を目に捉えて、慌てて車の進路からヘルメット団員が逃げ出す。

 

「は?ちょ……突っ込んでくる!!」

 

「ブレーキ付いてねぇのかあの車!!」

 

 障害物をなぎ倒しながら、アビドス高校の校庭に車が入ると。

 ハンドルを大きく切りながらサイドブレーキのレバーを上げる。

【キキー!!!】とタイヤのゴムが摩擦で悲鳴を上げるとドリフト駐車の形で停止した。

 

"お前、運転荒すぎだろ……"

 

「キッチリドリフト駐車は成功したから許せ先生。」

 

「うう、し、シートベルトしててよかった。」

 

「マサト君ってあんな事も出来るんですね…………」

 

「紳士の嗜みよぉ。」

 

 ドリフトの慣性でメチャメチャになった車内で思い思いの言葉を口にする。

 が、ここは敵のど真ん中。各々の武器を手に自動車から飛び出る。

 

"さあ、救援開始だよ!"

 

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