スズミの幼馴染はクソガキ   作:けいあお

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第3話 もう一仕事

「覚えとけよ~!!」

 

 脱兎の如くヘルメット団員達は逃げ帰っていた。

 

「あ、おい忘れ物だぜ!」

 

 地面に落ちた、アサルトライフルを不良たちのリーダーらしき奴に投げ渡す。

 

「くっそー次こそはお前らを打倒してやるぜ!!」

 

 捨て台詞と共に、リーダーは熱い砂漠の上を走り去っていった。

 その背中を横目に一息つく。

 

「ふう、いきなり戦闘とは、随分な歓迎だったな。」

 

「一応準備はしてたけど、着いて早々に不良と戦う事になるとはね。」

 

「私たちがもう少し遅く着ていたら、アビドスの生徒さんたちは危なかったかもしれませんね。」

 

 確かに、弾切れの状態では数分でヘルメット団に占領されていた可能性もあった事に少しばかり戦慄する。主にアビドスの現在の状況にである。

 不良集団に校舎が襲われるって治安維持できてないじゃん。先生にとって危険すぎない?

 大丈夫か?

 

 アビドスの治安に不安を感じていると、聞き慣れない口調の聞き慣れた声が聞こえた。

 

"おーい。みんな大丈夫?"

 

「え、まあ大丈夫だぜ。」

 

"良かった。二人も怪我は無い?"

 

「う、うん大丈夫だよ。」

 

「は、はい。」

 

"ふう、良かった良かった。"

 

 聞き慣れない口調の先生がアビドスの生徒達と一緒にこっちに駆け寄ってきた。

 

「うへ、君たちがシャーレの部員?おじさんたちの支援ありがとね~」

 

「お、おう。そうだぜ。」

 

「助かりました~♠」

 

「ん助かった。」

 

 アビドスの生徒達は先ず、一人称がおじさんのピンクロリに、100キログラムは超えるミニガンを軽々持ち上げるぽわぽわした雰囲気のお姉さんに、ケモミミのドローン爆撃してた人と、同じくケモミミのアサルトライフル使いに、支援係の眼鏡っ子。

 

 とまあ、中々に幅広い属性の人達が揃っている。

 

「まあ、とりあえずうちの校舎に入りなよ~」

 

「……お邪魔しまーす。」

 

 他の二人+先生と一緒に校舎にお邪魔した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 校舎の中を歩いて、対策委員会の会議室とやらに来た。

 この校舎を歩いて疑問に思ったことをピンクロリにぶつけてみる。

 

「にしてもよ~たった五人で使うには広すぎて困らねぇのこれ?」

 

「うへ~確かにおじさんたちの掃除が行き届いてないとこって結構あるね~」

 

 ピンクロリの間延びした語り口調とおじさんという一人称が不思議すぎて内心つっかかる。

 

「それと、使ってない教室も多くて少し寂しげだね。」

 

「アビドス高校は昔は大勢の生徒が通っていたので、その名残なのでしょうか?」

 

 コウセイの感想にスズミが情報を付け足す。

 どこかで見たが、確かにアビドス高校は昔は、今の三大校に勝るとも劣らない強豪校だったみたいだ。

 

 その自分たちの高校に詳しいスズミを自分たちの学校に興味ありと見たのかピンクロリがスズミを勧誘する。

 

「おーお嬢さん詳しいねぇ。どう? おじさんたちの高校に来ない?」

 

 おじさんという一人称の所為でちょっと字面がどうとは言わないがヤバい。

 目を開ければ、ただの美少女二人がじゃれあってるだけなのだが……

 

「ちょっとホシノ先輩! 勝手に他所の学校の子を勧誘しないで!!」

 

 ピンクロリの勧誘に黒猫少女が待ったをかける。

 

 ……ホシノ【先輩】だと?

 

「もうホシノ先輩ったら……まだ自己紹介もしてないのに。」

 

 黒猫少女は呆れ交じりに一言そう言うと、隣からミニガンお姉さんが口を出した。

 

「確かにセリカちゃんの言う通りですね☆私は【十六夜ノノミ】です♪

 よろしくお願いします皆さん。」

 

 ミニガンお姉さんこと【十六夜ノノミさん】が自己紹介をする流れを作った。

 その流れに逆らうっことなく皆が次々に自己紹介を始める。

 

「ごめんね~セリカちゃん。聞いたと思うけどおじさんは【小鳥遊ホシノ】っていうんだ。

よろしくね~」

 

「【奥空アヤネ】です。皆さんよろしくお願いします。」

 

「ん【砂狼シロコ】よろしくみんな。」

 

「【黒見セリカ】よ……よろしく。」

 

 アビドス生徒の自己紹介が終わったが、まだ自己紹介の流れは止まらない。

 シャーレの部員……俺たちの自己紹介が終わっていないからだ。

 

「俺は【烏城マサト】だ。まあマサトでも烏城でも好きなように呼んでくれて構わねぇぜ。」

 

「【守月スズミ】です。ええっとよろしくお願いします。アビドスの皆さん。」

 

「【長谷川コウセイ】趣味はキャンプだよ~」

 

"もう言わなくても分かると思うけど、私はシャーレの先生だよ。よろしくね!!"

 

 シャーレの面々の自己紹介も終わったが、今の先生の自己紹介はキャラに合わない感がある。

 なんか、アイドルっていうか、ホストっていうか……

 普段は煙草をふかしてる、めんどくさがりの先生の挨拶には聞こえない

 後で、このことは問い詰めてやるとして、今はアビドスでの仕事に付き合わねぇとな。

 

「うし、自己紹介終了!」

 

"早速で悪いんだけど、アビドスのみんなはこれからどうするの?"

 

「は~い、おじさんはこのまま勢いに乗ってカタカタヘルメット団の前哨基地を襲っちゃう作戦を立案するよ~」

 

 のほほんとした雰囲気とは裏腹に好戦的な案をホシノは出した。

 

「ほ、ホシノ先輩がまともな案を出すなんて……」

 

「ん明日は雨かも。」

 

 ホシノの後輩たちは、この作戦の立案者のホシノの普段の言動をよく知っているらしい。

 にしても、普段どんな案を出してんだよ……

 

「悪く無いんじゃねぇの?」

 

「確かに選択肢としては悪くないかもしれませんね。」

 

"よし、それじゃあ早速そのヘルメット団の前哨基地に殴り込もう。"

 

「「「「お~!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから、数分後には激しい戦闘がヘルメット団の前哨基地で行われていた。

 まだ照り付ける日光は、衰えを知る様子は全くない砂漠に厳しい環境での戦闘だが、アビドスの生徒は戦い慣れた様子で、まだまだ疲れを見せない。

 シャーレの部員たち三人と先生も疲れは見え隠れするが、まだまだ余裕がある。

 

「ったく、アイツら何であんなに元気に動けんだよ……」

 

「現地の人にとっては、この砂漠はホームグラウンドですからね。」

 

 にしたって、絶対平均より相当上の実力はあると思う。絶対、俺より強いもん。

 

 マサトは銃弾を飛ばしながら、このチームに中で自身が一番弱いことにショックを受けていた。

 

「だけど…………別に肉体の強さだけが戦いの勝敗を分かつわけじゃねぇ。」

 

 これがマサトのモットーだ。

 

「戦いは【自由】なんだから。」

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

 

 

 このカタカタヘルメット団のリーダは、非常に焦っていた。

 いつもはこちらから攻めていたアビドスが今日は逆に襲撃してきたのだ。

 よく分からん連中の介入で、あのアビドス校舎での戦闘には負けたが、次こそはと息巻いていた時にこれだ。

 

「クソっ今日は厄日だぜ。」

 

 この前哨基地には、大した物は置いていない。

 あるのは戦車が少しと移動用のバギーが数台といった感じだ。 

 

「金と一緒に私だけでも脱出させてもらうぜ。」

 

「おっと、待ちな。」

 

 コッソリと、前哨基地から脱出しようとする私に話しかける影があった。

 そいつは、このクソ熱い砂漠でトレンチコートを羽織っていた。

 

「誰だテメェ? 珍妙な恰好しやがって。」

 

「別に大したもんじゃねぇぜ。」

 

 こいつは……あの私たちのアビドス襲撃を邪魔した連中の一人!

 ……辺りを見渡すが、誰もいない。コイツ一人か。

 なら、私一人でも何とかなる。

 

「じゃあ、とっとと失せな。」

 

 アサルトライフルを構え……発砲する。

 次弾が当然……発砲する…………ッ何で弾が出ない。

 

「どういう事だ、何故弾が発射されねぇ!!!」

 

 トリガーを何度引き直しても、火薬の破裂音は響かない。

 

「そりゃあ、俺がテメェの銃に細工したからな。」

 

「細工だと……そんな暇は無いはずだ!!」

 

 コイツに私の銃を触る機会なんて、一度も無かったはず。

 

「あるんだなコレが。覚えてねぇのかよ、お前は俺の前で銃を取り落としたことがあったんだぜ。」

 

 ……まさか、コイツ私に銃を投げ渡したときに何か細工をしやがったのか!

 だが、たかが数秒の筈だろうその間に何ができたというんだ。

 

「お、気づいたか。お察しの通りお前に銃を投げ渡したときと、その少し前に細工をさせてもらったぜ。」

 

「何をしやがった!!」

 

 あの数秒では分解なんてできっこない。

 かといって、砂をかけたぐらいじゃあ私のAKには通じない。

 AKアサルトライフルは砂に強いのだ。

 

「そりゃあな【水をかけたんだ】」

 

「水だと?」

 

 男は懐から、水入りのペットボトルを取り出し、それの中身を地面に垂らした。

 

「砂に水をかけると泥になるだろ。あと、お前の銃は元々砂まみれだっただろう?

 そして、この熱砂だ泥になった後はすぐに乾燥する。」

 

 水のかかった泥はその後、数十秒と待たずに再び砂に戻った。

 泥……まさか。

 

「砂に比べて泥だと、砂に戻った時に粒子同士が固まりやすいし、泥は銃内部のさらに奥にも入りやすい。」

 

「多分ボルトの辺りに、泥から戻った砂が詰まってるんじゃないか?」

 

 ボルト部分を確認すると、ボルトが奥に行ったまま戻ってきていない。

 ボルトが奥に行ったままだと、マガジンから弾丸が補給されない。

 

 銃は使えない…………おいおい終わったぜ私……

 

「じゃ、おねんねしとくんだな…………」

 

 そのまま、意識を刈り取られた。

 




ストック尽きました。
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