不良たちの大反抗で大きく傷ついた市街の中を二人の男が足取りを進めていた。
「そういえば君って名前なんていうの?」
市街の惨状に似合わないような軽い口調で灰色の男は言う。
「そういえば自己紹介してなかったな。俺は烏城マサトだ趣味はカードゲームだ。よろしくな!」
ふーんと黒色の男が反応を示し、「じゃあ僕も」と言うと自己紹介を始めた。
「僕は"長谷川コウセイ"趣味は……そうだなぁキャンプかな。よろしくね」
「こちらこそよろしくな!」
コウセイは片手をこちらに差し出す。
「じゃ、握手でもしとく?」
「おう!」
二人の男は力強く握手を交わした。
「……んアレって?」
暫く二人で何でもない話をしながらスズミを探して練り歩いていたら、遠くの道路の先の、
その影のうちの一つはマサトにとっては良く見慣れた影だ。
「スズミ!」
「!!」
あちらも俺たちの気づいたようで手を振っている。
コウセイと小走りで近づくと、人影たちの正体が分かった。
人影たちの正体ははゲヘナの風紀委員とトリニティの正義実現委員会の人にミレニアムの人にあとは良く分からない大人であった。
「なんていうか……妙な組み合わせだな」
「確かにトリニティとゲヘナの人たちが一緒にいるなんて、明日は外を出るときに傘が要るかもね。」
コウセイは皮肉交じりの軽口を俺は微妙な反応を示した。
犬猿の仲というべきゲヘナとトリニティの生徒が同じ空間にいるのだ。奇妙としか言えない。
ふと気づいたら、大人の人が俺とコウセイの顔を代わるがわる見てきた。
"ええっと……どっちがスズミのお友達?"
「あっ、それ多分俺の事」
この人たちはスズミの連れてきた仲間?でいいのだろうか?
"ともかく無事でよかった"
なんか……この人やけに見ず知らずの生徒の心配してくれてるな……もしかしてどっかで会ったっけ?
そんな俺の心境をよそに話は続いていく……
【トントン】肩を叩かれた。コウセイか?
「マサトくん」
「うえッ!」
振り向くと見慣れたスズミの可愛い顔が目に入って来た。
「少し話しましょうか?」
「お、おう」
ちょっと、ドキドキした……柄にもなく。
なんか……ちょっと変だな、今までスズミと友達やっててドキドキしたことなんてないんだけどな……風邪か?
「何かあの二人良い感じだね……」
"確かに…………今のうちにシャーレのビル奪還に行ってくるよ。"
「僕も行っていい?」
"是非ともお願いします。"
二人はシャーレのビルに向かって行った。
シャーレのビル近くのベンチにスズミと二人で腰かけて互いに向き合う。
なんか、ちょっと湿っぽいな雰囲気が。
「何であんな無茶したんですか?」
「あ、それは……さっき俺と居た黒髪の奴いたじゃん……アイツ助けたくってさ……ちょっとな」
あの時の無茶を思い出す。
戦車にたった二人で対戦車兵器も無く立ち向かったんだからな…………案外俺ってやればできるヤツだな。
俺はその時の状況を細かく話す。
スズミは途中で「戦車!?」とか「たった二人で……」とか、反応を示しながら、俺の話を最後まで聞いていた。
「戦車を二人で……そうだったんですか」
スズミがちょっと驚きを見せた後に少し焦りながら俺に怪我の有無を問う。
「ど、どこか怪我はしてないですよね?!」
「お、おう奇跡的に無傷だぜ」
【よかった】と小声で漏らしスズミは胸を撫で下ろした。
そんな二人の一幕の最中に一人の大人が混じる。
「疲れた疲れた……」
"二人とも今日はありがとね"
変な大人とコウセイが労りの言葉と一緒に書類?を持って俺たちに歩み寄る。
そういえば、大事なことを聞き忘れていた。
「そういえばだけど……あんた誰?」
「ちょ……マサト君、その言葉遣いはちょっとヤバいって。」
コウセイが言葉遣いを注意するが、俺は敬語が苦手なのでこれで行く。
そしてこの中で唯一、身分も所属も分からない人間。根掘り葉掘り聞かずにはいられない!
"あ、自己紹介がまだだったね……私は先生だよ"
「先生?……それって名前じゃないよな本名は?」
「たしかに本名はどうなの?」
自己紹介で役職名ぶち込んでくる変な奴こと先生…………アレ?ちょっと様子おかしくない?
"ええっと…………"
先生は自分の名前を思い出そうと、考えるそぶりを見せているが…………中々思い出せないようで、言葉に詰まっている。
"あれ……私…………【俺】の名前って"
何やら先生はぶつぶつと呟いている。完全に不審者だ。
だが、脂汗も出ているし、なんか表情もさっきまでとは違って、影のある表情だし本気で焦っている様な気がする。
「だ、大丈夫なのでしょうか?」
「ちょ、ちょっとヤバそうだけど……」
スズミもコウセイもかなり動揺してるし、俺も流石に心配になってきた
「え、えっと大丈夫か?」
"キヴォトス……聞いたことの無い都市………………なんで今まで違和感が湧かなかったんだ…………"
俺の問い掛けに答えることなく、何かを
「どうしたのでしょうか……救急車を呼ぶべきでしょうか?」
「それは、ちょっと早くない?」
スズミが先生の傍に駆け寄って、背中をさすっている。だが一向に元に戻らない。
……流石に放っておけない。さっきは優しそうな様子だったし、この変化に何か訳があるのかもしれない。
…………ちょっと手荒だけど、現実に戻ってきてもらおう。
右手の拳を握り締めると、譫言を呟き続けている先生の顔面目掛けて拳を食らわせる。
「え、ちょっと!」というスズミの声が、聞こえたが今は無視だ。
「オラァ!」
"なんで俺はこんな所に…………へぶっ!!"
俺の拳を受けた先生は情けない声を上げるとともに、ちょっと後ろによろめき尻餅をついた。
「……ちょっと手荒になっちゃたな」
「え?え?な、何でいきなり殴ったんですか?」
「?????なんで暴力?」
いきなり、先生を殴った所為でスズミとコウセイが事態を呑み込めてない。
「いや、こうするのが早いかなって思ってさ。」
「???は、早い?」
「?????」
「現実に思考を引き戻すのに」と続けようとすると、先生が俺の拳で赤くなった頬を押さえながら、ゆっくりと立ち上がった。流石に正気に戻ったか?
「大丈夫ですか!」とスズミが先生に駆け寄る。
"…………すまんスズミ。ちょっと取り乱した"
スズミに一言謝罪を入れた。どうやら一旦は正気に戻ったみたいだ。
……何故か、口調が先ほどと比べてかなり砕けている。前の敬語スタイルとは違うが、しかし瞳に光が戻っていた。
「あ~さっきは殴って悪かった!」
"あ、ああ、別に俺は気にしてない。こっちこそいきなり取り乱してしまってすまなかった。"
俺がしっかり謝ったからか、先生は俺が殴った件は気にしていないらしい。いや、単にいきなり殴るやべーやつとあまり話したくないだけかもしれない。
そう思うと、益々バツが悪い。そう思い話題をそそくさと逸らした。
「あ~そういえばアンタ、名前が思い出せないのか?」
"……そうだな。記憶喪失ってやつだと思う。"
き、記憶喪失か。…………待てよ、コイツ今になって気づいたのか?【自分が記憶喪失である】ことを!
どう考えても、こんな、ふとした時に偶然気づくことじゃないだろ。絶対、何処かで気づくタイミングあっただろ。
そう思い、本人に確認を取る。
「それって、今気づいた感じ?」
"たしかに、今気づいた感じだな……"
ふと気づいたように先生は呟いた。
だとすると、色々とおかしいぞコレ。
「…………マジで?」
こんな反応をせざるおえない。
この人のことは、良く知らないけど……かなり心配だな。
と、思っていると。
「あ、あの先生。記憶が無いのに大丈夫ですか?」
「確かに、箸の持ち方分かる?」
スズミは俺以上に先生を心配していた。
確かに記憶が無いのにどうやって先生をやっていくのだろうか?
"無くなった記憶は家族とか友達とかの、所謂思い出だから、知識はきちんと頭に入ってる。"
つまり、記憶喪失で文字が読めない。みたいなことにはならないってことか。
そうして、先生の事を考えてるうちに、ふと俺が殴ってしまった先生の立場が気になった。
「そういえば、先生って今どういう立場なんだ?」
先生は、この不良の暴走を鎮圧するために動いてたのかな…………だったらヴァルキューレ警察学校に派遣された大人なのかなと俺は思った。
同時に、もしそうなら上のお偉いさんに先生を殴ったことについて頭を下げなくてはならない。
そう思い、この予想が外れてくれることを切に願う。
「…………先生は連邦生徒会長が直接指名した超法規的機関シャーレの顧問なんです。」
超法規的機関?
ハンマーで思い切り殴られたとき並みの衝撃が、俺を貫く。
どうやら、俺の頭やクビだけで済む問題ではなさそうだ。…………そう思い、俺は天を仰いだ。
アサルトライフル【フューテリー】
…長谷川コウセイが右手に手にするアサルトライフル。
そのやや長い銃身からは、高い威力と命中精度、連射性が保証された一撃を見舞う。
彼がこの銃を手に戦う様子は、まるで洗練された機械の様だという。
サブマシンガン【オディウム】
…長谷川コウセイが左手に手にするサブマシンガン。
その短い銃身からは、多くの弾丸が高い連射力でバラ撒かれ主に接近戦で光る。
彼がこの銃を手に戦う様子は、まるで得物を大雑把に仕留める獣の様だという。
コレ俺の文章読みにくい?