ついにヴァージニア達は全ての宝石を取り戻し、ワソを影の大王の洗脳から解放した。
後は世継ぎを探すだけだったが、ベタクサ村でバルダがガブリ草に襲われて重傷を負ってしまう。
ヴァージニアの奇跡と、リーフがエメラルドで解毒したおかげで、何とかバルダは完治した。
その後、七部族の代表がデルトラを平和にする誓いを立てると、この場に世継ぎがいる事が判明。
しかし、魔女テーガンの最後の子供イカボッドがデインをさらってしまう。
ヴァージニア達がイカボッドを追ってデルに着くと影の憲兵団がデインを処刑しようとしていた。
リーフは間一髪でデインを助け、デルトラの世継ぎとして彼にベルトを渡そうとした。
しかし、デインの正体は影の大王がスパイとして送り込んだ最強の変身怪物、Aオルだった。
ワソとリーフは何とかデインを倒すが、バルダ達が影の憲兵団に捕らえられてしまう。
ショックで記憶を取り戻したジョーカーの正体は、ジャスミンの父親だった。
ヴァージニア、ワソ、リーフが命懸けでバルダ達を助け、リーフが宝石を正しい順番に戻すと、
デルトラのベルトが真の力を発揮し、ついに影の大王を追い払った。
実はエンドン国王とシャーン王妃は本物のジャードと本物のアンナの替え玉で、
本物のジャードは後のジョーカーになり、デルトラの真の世継ぎはリーフだったのだ。
しかし、エンドン国王はファローに命を奪われ、ヴァージニアとワソはまだ帰れなかった。
それでも、リーフはようやく取り戻した平和に満足するのだった。
それは、リーフがデルトラ王国で即位式を行う前の事だった。
「ジニーとワソって異世界から来たんだろ?」
「え、ええ、そうですけど……」
「それだったら、元の世界に帰る前にお土産が必要なんじゃないかと僕は思ってるよ」
ヴァージニアとワソはいずれ、元の世界に帰るとリーフは信じていた。
しかし、影の大王は決して帰る手段を教えないだろう。
「なんでわざわざお土産を作るんですの?」
「この冒険が、君達にとって幻じゃないって事を証明するためなんだ」
元の世界に帰った時、ヴァージニアとワソはこの冒険を夢だと思うだろう。
しかし、リーフとしてはそんな事は認めたくなかった。
そこで、この世界で作ったものを元の世界に持っていかせたかったのだ。
「幻じゃない、か。確かにあんな場所は幻だと思いたいよ。
でも、忘れちゃったら教訓は得られないからね。リーフ、お土産を作ろうね」
「ありがとう」
「で? アクセサリでも作るんですの?」
「僕はデルトラの王族だけど、鍛冶屋でもあるからね。武器や防具が作りやすいよ」
「でも、刃物はごめんですわよ」
ヴァージニアは修道女なので、刃物を持つ事が禁じられている。
一行は自分以外はみんな刃物を持っているので、それを作るか不安だった。
そんなヴァージニアを見たリーフは首を横に振った。
「大丈夫だよ。ジニーには刃物じゃない別のものを作るよ。それで、ワソは何がいい?」
「刀と銃を持ってるから、扱いやすい武器がいいな」
「そうだね。それを作ろうかな。
それで、ジニーは刃物じゃないものがいいと言ってたね。じゃあ、盾にしようか」
「盾ですの? 確かにわたくしは刃物が使えませんから、助かりますわ」
「うん。小さいけど、丈夫な鉄で作った盾だよ。
元の世界に帰った時に、身を守るためにも使えるからね」
それから数分後、リーフは鍛冶の技術を活かして、
ヴァージニアのために小さな盾を、ワソのためにサバイバルナイフを作った。
ヴァージニアに渡した小さな盾は、ヴァージニアの片手でも楽に持てる大きさだった。
表面にはデルトラの国章を彫っており、
裏にはヴァージニアのイニシャルである「V」が刻まれていた。
ヴァージニアは感激したようにその盾を撫でた。
「こんなに素敵なものを……ありがとうございますわ、リーフ」
「喜んでくれて嬉しいよ。それじゃあ、ワソにはこれを」
リーフはそう言って、ワソにサバイバルナイフを渡した。
それは折りたたみ式のもので、ナイフの柄には細工が施されており、
火を起こすための火打石や、小さなコンパスが入っていた。
ナイフの刃は丈夫な鉄でできており、鋭い切れ味を持っていた。
柄にはワソのイニシャルである「W」が刻まれていた。
「凄い! これならキャンプで使えるね。それに、護身用にもなるし」
「よかった。これで元の世界に帰っても、道に迷う事はないよ」
「リーフ、ありがとう。本当に嬉しいよ」
ワソは感激したようにリーフの手を振った。
リーフは照れくさそうに笑った。
「ジニーにもワソにも喜んでもらえてよかったよ。
これで、君達が元の世界に帰っても、僕達の旅が幻じゃなかったって証明できるからね」
「幻じゃない。本当にそうですわね。こんなに温かい心を、幻だと思うわけにはいきませんわ」
「うん。リーフが作ったこの武器は私にとってのお守りだよ。忘れたくない思い出が詰まってる」
ヴァージニアとワソは、リーフが作ってくれた武具を大事そうに胸に抱いた。
その光景を見て、リーフは静かに微笑んだ。
この武具は、きっと二人にとって、忘れられない旅の証になるだろう。
そして、この出来事は、リーフが戴冠式を終え、
デルトラの国王となった後も、リーフの心に深く刻まれる事になる。
いつか、ヴァージニアとワソが元の世界に帰ったとしても、
この武具が、二人の冒険が真実であった事を証明し続けるのだ。
「僕達、この旅の途中で色々な事を学んだね」
「ええ、そうですわね。わたくしは、自分の未熟さを知りましたし、人の温かさを知りましたわ」
「私もそうだよ。一人じゃできない事も、仲間がいれば乗り越えられるって知った」
「僕も君達と出会って、強くなれたよ。この旅は、僕にとってかけがえのない宝物だ」
リーフはそう言って、二人の手をそっと握った。
三人の間には、温かい空気が流れた。
旅の終着点が近づいていることを感じながらも、彼らはこの一瞬を大切にしていた。
「リーフ、ワソ。この旅が終わっても、わたくし達はずっと友達ですわ」
「うん、もちろんだよ」
「そうだね。どんなに離れていても、私達は友達だよ」
三人は、固く手を取り合った。
その手には、リーフが作った武具が握られていた。
それは、彼らの友情の証でもあった。
この後、三人はデルトラの都へと向かい、リーフの戴冠式を行う事になる。
しかし、その物語はまた別の話。
今はただ、この温かい時間を噛みしめるだけだった。
「さて、そろそろ旅に出ようか。まだまだ問題が残っているからね」
「ええ、そうですわね。さあ、参りましょう」
「うん。みんなで力を合わせて、このデルトラ王国を守ろう!」
三人は、新たな決意を胸に、再び旅路を歩み始めた。
彼らの友情は、どんな困難にも負けない、強い光を放っていた。
そして、その光は、デルトラの未来を照らし続けるだろう。
ヴァージニアとワソは、リーフが作ってくれたお土産を大事そうに身に着けた。
それは、彼らの冒険が、決して幻ではなかった事を証明する、かけがえのない宝物だった。
第二部のプロローグとなります。
このお土産が、力となりますように……。