ヴァージニアとデルトラクエスト2   作:アヤ・ノア

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第二部が本格的に始まります。
リーフが新たなデルトラ国王になった時、彼はどうするのでしょうか。
そして、ヴァージニア達は無事に脱出できるのでしょうか。


秘密の海
第1話 彼が国王になった時


 揺らめくランプが暗闇に光の島を作った。

 しわくちゃの手がゆっくりとページをなぞった。

 外では、デルの街は静まり返り、眠りに包まれていた。

 亡くなった愛する人を悼み、長い間、眠れずにいた人々でさえついに不安な眠りに落ちていた。

 作家のランプは隠れていた。

 デルで見える唯一の明かりは、丘の上の城に灯っていた。

 階段の傍で見張る衛兵達を慰める明かり。

 城の敷地を抜け、最も隠された扉へと忍び込む二つの影を導く明かり。

 間もなく夜明けが来る。

 しかし、作家は書き続けた。

 時間の感覚をすっかり失っていた。

 あまりにも長い間、孤独だったため、昼も夜もほとんど意味を失っていた。

 空腹になれば食べ、疲れれば眠る。

 そして、その間の長い時間、作家は書き続けた。

 熟練した手は滅多に揺らぐ事なく、作家の世界は秘密の海の島へと縮んでいった……。

 

 影の大王による我が地への暴政は、デルトラのベルトの魔法と力によって終焉を迎えた。

 我らは再び自由となり、我らの王は、二人の勇敢な仲間と、

 異世界から来た二人の少女と共に盗まれた宝石をベルトに戻し、

 デルトラの故郷へと持ち帰ったあの若き英雄だ。

 民衆の歓喜は想像に難くない。

 私自身の歓喜も、それに劣らない。

 しかし、影の大王の統治した16年間、

 そしてそれ以前から見てきた全ての事を考えると、私はまだ動揺している。

 敵は敗れはしたものの、滅ぼされたわけではない。

 影の大王とそのしもべの怪物達は山々を越えて影の王国へと追い返されたが、

 影の大王のしもべには人間もいる。

 まだ我々の中にいるのではないかと私は恐れている。

 なので、長年守ってきた宝物が城に無事に届くと確信するまで私は身を潜めなければならない。

 いつものように仕事を続けながら、辛抱強く待とうとするが、正直言って、それは難しい。

 一人になったので、市場には短い時間しか出かけられず、情報を得る事ができなかった。

 ここから長く離れるわけにはいかない。

 太陽が恋しいし、この長く孤独な待ち時間にすっかり疲れ果ててしまった。

 だが、宝は守らなければならない。

 それが一番大切な事だ。

 宝がリーフ国王の手に渡れば、太陽と報道を楽しむ時間は十分にあるだろう。

 

 話が逸れてしまったようだ。

 最近、このような事がますます多くなっており、これ以上続けてはならない。

 私の感情などどうでもいい。

 主な目的、つまりこの混乱の時代のデルトラの姿を言葉で書く事に集中しなければならない。

 影の大王は追放されたが、今、影の大王が残した飢餓、悲惨、荒廃との戦いが再び始まった。

 我々が直面するあらゆる災厄の中でも、最も恐ろしいのは、

 どれほど多くの民が奴隷として影の王国に連れて行かれたかが、次第に分かってきた事だ。

 北東と西の農場は人影もなく消え去った。

 メア族と平原族の精鋭の戦士達も連れ去られた。

 唯一の例外を除き、侵略時に虐殺されなかったジャリス族の者も皆、デルトラから消えた。

 数千人もの者がデルトラから消えた。

 大地は癒され、川は浄化され、作物は再び蒔かれる。

 家屋や職場は修復される。

 デルトラ全土で復興作業は既に始まっている。

 しかし、影の王国に囚われている人達は我々の手の届かないところにおり、

 彼らの家族や友人を慰める事もできない。

 市場は噂で騒めいている。

 救出を求める声が高まっている。

 最近はあまりにも大きくなっているので、影の大王のスパイが仕組んでいるに違いない。

 リーフが敵軍を率いて国境を越えて来れば、リーフの商売にはうってつけだろう。

 彼を殺すには、これ以上の方法があるだろうか?

 幸いな事に、リーフは影の王国への侵攻を検討する事さえ拒否している。

 影の大王の力に対抗できる強力な力がなければ、

 そのような試みは無駄な人生の味見に過ぎない事を、

 リーフは私と同じくらいよく分かっているはずだ。

 それでも、民衆がリーフに叫び、その希望を断たなければならない時、

 リーフの心はどれほど痛む事だろう。

 私がリーフを助けられると知っていさえいれば!

 私が存在すると知っていさえいれば!

 

 リーフは多くの時間を一人で過ごし、

 デルトラ王国の日常業務を母であるシャーンに任せているという。

 しかも、城の書斎に閉じこもっているとさえ言われている。

 リーフは、旅の信頼できる仲間である城の衛兵の長であるバルダや、

 沈黙の森に住んでいたジャスミン、そして異世界から来た二人の少女さえも避けている。

 彼と時間を過ごすのは、かつてレジスタンスのリーダーであり、

 今でも皆がジョーカーと呼ぶ者だけだ。

 もしかしたら、リーフは囚人達をどうやって捕まえたのか、

 何か手がかりを探しているのかもしれない。

 あるいは、図書館が安全だから、常に危険に晒されている事に気づいているから、

 そこに潜んでいるのかもしれない。

 

 思い出してほしい。

 デルトラのベルトはアディンが作ったのだ。

 太古の昔、デルトラの初代国王アディンはデルトラの七部族を結集させ、

 影の大王に立ち向かった。

 アディンは各部族に、強力な力を持つ宝石をベルトに加えるよう説得した。

 それ以来、アディンの血を引く世継ぎだけが、ベルトの輝きを放つようになった。

 リーフはアディンの世継ぎだ。

 彼自身もまだ少年に過ぎず、万が一の事故や裏切りに遭っても、

 代わりにベルトを巻く子供はいない。

 兄弟も姉妹もいない。

 リーフの死はデルの地を敵の手に委ねる事になる。

 今もなお、影の大王は再び我らの地を狙う計画を企んでいるに違いない。

 影の王国の奴隷達は、影の大王の罠の犠牲者だ。

 しかし、影の大王は決して一つの策略に頼る事はない。

 狡猾な策略が失敗しても、単純な策略が成功する事がある。

 短剣の一突きほど単純で、素早い策があるだろうか?

 

 私はそんな事を考えてはならない。

 リーフ国王がそうしてくれる事を祈るように、私は士気を高く保たなければならない。

 彼が苛立ちに駆られて愚かな行動に出ないようにする事が肝要だ。

 リーフの安全はあまりにも重要だ。

 もう疲れたから、眠らなければならない。

 ランプの灯りが消え、老眼も衰えている。

 もしかしたら、目覚めたら長い待ち時間が終わっているかもしれない。

 私達のケーキが全て同じである事を祈る。

 手遅れになる前に、国王に見せるべきものを見せなければならない。

 ついに、ピラの笛の事を国王に伝えなければならない。

 

「ああんもう、どうやったらわたくし達は帰れるんですの!」

 影の大王を追い払ったはいいものの、肝心の元の世界に帰る方法が分からなかった。

 自分達を召喚した影の大王が帰る方法を教えるはずがないのだが、

 それでもヴァージニアはパニックになっていた。

「まあまあヴァージニア、落ち着いて。絶対に帰れるから。ほら、リーフが私を助けたみたいに」

「これが落ち着いてられますの!」

「……静かにしてよ。せっかく国王になったのに、こうもうるさいと支障になる。

 ほら、君達は早く城に帰って寝て」

「「ごめんなさい」」

 リーフは騒いでいるヴァージニアとワソに注意した後、寝室に入った。

 すぐに、そこに危険が潜んでいる事を感じ取った。

 リーフはデルトラのベルトを見下ろした。

 手に持った蝋燭の光が、鋼鉄のメダリオンに埋め込まれた宝石を揺らめいていた。

 大きなルビーの深紅、エメラルドの輝く緑が薄れていた。

 ベルトがリーフに警告していたのだ。

 リーフの胃が締め付けられた。

 彼は剣を抜き、疲れた目で影を探った。

 何も見えなかった。

 部屋は朝、彼が出て行った時と全く同じだった。

 格子の窓は剥き出しで、ベッドには覆いもなかった。

 敵を隠せるものは全て数週間前に取り除いていた。

 それでも、危険はあった。

 リーフはそれを知っていた。

 彼は僅かな物音にも耳を澄ませながら、慎重に前進した。

 夜明けが近づくにつれ、空に沈む月が部屋に光を投げかけていた。

 窓の格子の影がベッドに暗く落ちていた。

 リーフは寝床の横のタンスに蝋燭を置いた。

 手を伸ばし、鋭い動きでベッドから毛布を剥ぎ取った。

 白いシーツと枕は月光に照らされて、何の痕跡も残さず輝いていた。

「姿を見せろ!」

 リーフはそう言うが、何も動かなかった。

 彼は再び部屋を見回し、激しい思考に駆られた。

「自分の恐怖に囚われた王に、一体何の役に立つというのだ?

 民が最も望む事をできない王など?」

 かすかな笛のような音、鋭く甘い単音が脳裏に響き、リーフは凍りついた。

 音はほんの一瞬続き、そして消えた。

 リーフは頭を振って頭をすっきりさせた。

 この音は以前にも聞こえた事がある。

 一度は書斎で、一度はここ寝室で、ほんの一、二週間前に。

 リーフは誰にもその事を話さなかった。

 母と友人達は、もう十分心配していた。

 もし耳鳴りがするなら、それは休息が必要だからだ。

 しかし、リーフには休む余裕などなかった。

 リーフは人々からこれ以上長く隠れていられなかった。

 「影の王国の奴隷を救出せよ」という声はますます大きくなっていた。

 人々は間もなく、隠れた王が自分達を顧みていないと感じ始めるだろう。

 リーフへの信頼は徐々に薄れ、ついには完全に消え去るだろう。

 

「でも……」

 リーフは自分の名前を知っているのと同じくらい、この事をよく知っていた。

 人々から遠ざかったリーフの父は、人々の信頼を失っていた。

 こうして宝石はベルトから盗まれ、影の大王は勝利を収めたのだ。

 リーフは剣をさらに強く握りしめた。

(そうだ、僕には何も起こらない)

 リーフは自分に言い聞かせた。

 この罠から抜け出す方法を見つけるためだけに、昼夜を問わず働いてきたのだ。

 明日の事を考え、リーフは切ない気持ちでベッドを見つめた。

 もしかしたら、結局のところ、神経がリーフを惑わせていたのかもしれない。

 まさにその時、彼は小さな引っ掻く音を聞いた。

 あまりにも微かで、本物かどうか確信が持てなかった。

 それはまるですぐ傍から聞こえてきたようだった。

 

 リーフはゆっくりと剣先を滑らかな白い枕の縁に差し込んだ。

 そっと枕を傾けた。

 枕の下に蹲っていたのは、平原のサソリだった。

 紫色に黒の縞模様があり、人の拳ほどの大きさだった。

 突然の動きに警戒したサソリは立ち上がり、毒針を持つ尾を曲げて攻撃を仕掛けようとした。

「うわっ!」

 リーフは叫び声を上げ、枕を払いのけた。

 剣の腹をベッドに叩きつけると、引き裂かれた側面から羽が飛び散った。

 半分潰れたサソリは、まだ攻撃しようともがいている。

 リーフは息を切らし、嫌悪感に身震いしながらも、

 何度も何度も叩きつけ、ついにサソリを倒した。

 

「どうした」

 ドアが勢いよく開き、剣を手にしたジョーカーが部屋に飛び込んできた。

 ジョーカーは立ち止まり、白いシーツを染める紫色の塊を見つめた。

 リーフはベッドの端にどっしりと腰を下ろした。

 羽毛がリーフの周りに舞い、髪や肩に落ちた。

「お客さんが来たんだ」

「どうしたの?」

 ジャスミンが戸口に立っていた。

 いつも一緒にいる黒い鳥、クリーが後ろで羽ばたいていた。

 ジャスミンがフィリと呼ぶ小さな毛皮の生き物が、ジャスミンの肩の上で眠そうに瞬いていた。

 彼女の緑色の目は、手にした短剣と同じくらい明るく輝いていた。

 ジャスミンは部屋に入り、一目で状況を把握した。

「平原のサソリよ。まさか自分の意思でここに来たわけじゃないわ。でも、どうして……?」

「ベッドに戻って、ジャスミン。起こしてしまってごめん。大丈夫だよ」

「大丈夫? リーフ、あの枕に頭を置いていたら……」

「幸いにも、そうしなかった」

 リーフは肩を竦めた。

 彼は、どれほど危うくそうなったかは言わなかった。

 ジャスミンは窓辺へ行き、鉄格子を引っ張った。

 鉄格子はジャスミンの手の中で外れた。

「ちょっと! 鉄格子を切ったのに、また取り付けたのね! それで、暗殺者が侵入したのね」

 ジャスミンは空を一瞥し、目を細めた。

 リーフはジョーカーと視線を交わした。

 最初の目覚ましが過ぎた今、ジャスミンが何を考えているのか、二人とも分かっていた。

 夜明けが近づく中、リーフが初めて寝室に戻ってくるとは一体一晩中何をしていたのだろうか。

「ずっと目は覚めていたけど、今は疲れていよる」

 少なくとも、それは本当だと、リーフは後悔しながら思った。

 リーフは眠りたい衝動に駆られた。

 ベッドからシミのついたシーツを引き剥がした。

 剥き出しのマットレスに横たわって、安らぎを得るだろう。

「じゃあ、静かにするからな」

 ジョーカーはそう言って、ドアの方へ歩いて言った。

 ジャスミンは、その言葉が自分に向けられている事を悟った。

 皆がまだジョーカーと呼んでいる男はジャスミンの父親、本物のジャードだったが、

 ここ数週間、リーフ自身と同じくらい話しかけにくくなっていた。

 毎日、ジョーカーは人々に囲まれていた。

 ジョーカーは毎晩、ジャスミンが全く知らない謎めいた用事で姿を消していた。

 彼は部屋を出て行ったが、ジャスミンは後を追おうとはしなかった。

 リーフが一人でいるのを見るのはここ数週間ぶりだった。

 ジャスミンは必ずリーフに話しかけようと決意していた。

 しかしリーフはジャスミンを見ようとしなかった。

 リーフはブーツの紐を解き始めた。

「ジャスミン、少し休まないといけない。明日の朝、トーラへ出発するんだ」

「トーラ?」

 ジャスミンは驚愕したようにリーフを見つめた。

「リーフ、もうデルから離れる事はできないわ!

 みんなあなたに会いたいと騒いでいるのよ。逃げるなんて無理よ!」

「僕はただやるべき事をするだけだよ。もし君がそれを逃げると考えるなら僕には止められない」

 信じられないほどの怒りに駆られたジャスミンは、部屋を飛び出した。

 背後でドアが閉まり、鍵が回る音が聞こえた。

 廊下には誰もいなかった。

 ジョーカーは寝室に戻り、他に誰も動いていなかった。

 突然、ジャスミンは息苦しさを感じた。

 外の空気を恋しく思った。

 ジャスミンは大階段へと急ぎ、駆け下り始めた。

 裸足の足音はひんやりとした大理石の床を掠めた。

「もう、話し相手がいればいいのに!」

「それってわたくし達の事ですの?」

「ヴァージニア! ワソ!」

 そんなジャスミンのところにやってきたのは、ヴァージニアとワソだった。

 二人は帰る方法を探すために、あちこちを探していたが、芳しい成果は得られなかったという。

「わたくし達をこの世界に召喚したのは影の大王だと知ってますわよね?」

「でも、帰る方法がまだ分からない。大きな力を使えば脱出できるとは思っていたけれど……」

「大きな力、ねぇ……」

 ジャスミンはふむ、と首を傾げる。

 無理矢理にでも空間と空間を繋げれば、そこから脱出できるかもしれない。

 だが、どんな力を使えば空間が繋がるのか、ジャスミンすらも分からなかった。

 

 バルダは軍隊を率いてチュルナイへ向かった。

 残忍な指導者であるネズヌクから人々を解放しデルの飢えた人々のために食料を集めるためだ。

 ジャスミンもバルダと共に行くつもりだったが、チュルナイの人々はフィリを恐れていた。

 彼女はフィリを置いていくわけにはいかなかった。

 そこでジャスミンは留まった。

 

 シャーンとジョーカーはいつも忙しかった。

 リーフはシャーンへの信頼を完全に失ってしまったようだった。

 彼は誰にも明かしたくない秘密を抱えていた。

 そして今、リーフは西の大都市トーラへと完全に逃げ出そうとしていた。

 確かに、そこにいれば安全だろう。

 独自の魔法で守られたトーラでは、どんな悪も生き残れない。

 しかし、リーフは永遠に隠れていられるとは思っていなかった。

 あるいは、そう思っていたのかもしれない。

 リーフは変わってしまったのだ。

 

 ジャスミンが知るかつてのリーフは勇敢で、行動力に溢れていた。

 しかし、新しいリーフ――秘密主義で、思慮深いリーフ――を気に入るかどうか、

 確信が持てなかった。

 ヴァージニア達が一階に着くと、階段の下にいた屈強な衛兵達が道を譲ってくれた。

 三人がこんなに早く起きている事を奇妙に思ったとしても、彼らはそうは言わなかった。

 実際のところ、彼らはジャスミンが奇妙な行動を取ると予想していたのだろう、

 とジャスミンは苦々しく思った。

 ジャスミンについては、多くの伝説が語られている。

 恐ろしい沈黙の森で孤独に育ち、木や鳥と話す事ができる、恐れを知らない戦士だった事。

 母親は影の王国で亡くなった事。

 父親は記憶を失うほどの重傷を負ったが、デルトラに脱出し、

 レジスタンスの恐れられるリーダー、ジョーカーとなった事。

 衛兵達が好奇の目を自分に向けている事を不快に感じながら、

 ジャスミンはヴァージニアとワソと共に、

 広大な玄関ホールの床に眠る何百人もの人々の群れの間を縫うように進んだ。

 人々は助けを求め、そして何よりも希望を求めてやって来た。

 シャーンとその助っ人に会うために、一日中辛抱強く列をなして待っていた。

 

 夜になると、彼らは場所を失わないように、立っていた場所で眠った。

 何週間もそこにいた者もいた。

 ヴァージニア達は誰も目を覚まさない事を願いながら、慎重に動いた。

 愛する人を影の王国で亡くした人々と目を合わせるのを恐れていた。

(影の王国についてはリーフはほっぽってるんだね。

 まったく、国王になった途端にこうなっちゃうんだから)

 奴隷達の事を思うと、ジャスミンは身震いするほどの恐怖に襲われた。

 自由を失う事は、ジャスミンにとって死よりも恐ろしい事だった。

 ワソも、影の大王に洗脳されていたため、その事を苦々しく思った。

 安堵しながら、ヴァージニア達は巨大な玄関の扉に辿り着き、夜明けの中へと外へと出た。

 一人の騎手が馬を駆って城に近づいていた。

 騎手が近づいてくると、ジャスミンは驚きと喜びで、それがバルダだと分かった。

「バルダ!」

「来ましたのね!」

 バルダが馬を止めたので、ヴァージニア達は駆け寄って挨拶したが、

 疲れ切った顔に刻まれた険しい皺を見て、立ち止まった。

「ねえバルダ、どうしたの?」

「残念な知らせを持ってきた。チュルナイは空っぽだ。食料は壊滅状態。

 そして人々は皆、影の王国へ連れ去られてしまった」




影の大王の企みは、まだまだ終わっていないようです。
次回もまた、罠が仕掛けられている予感……?
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