激重感情を向けてくるヒロインたちが全員メンタル崩壊して病んでしまったので、ひたすら甘やかすことで修羅場を回避するしかなくなった~ヘラったヒロインには飴が効く~   作:花染彩葉@幼馴染ハーレム2巻発売中!

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第15話『一方その頃……(side来夢)』

 始業前。あたしは校門横で青鳥が来るのを待っていた。一番可愛い自分を見てもらえるよう、とびっきりの笑顔を浮かべながら。

 今日の学校は楽しみで仕方なかった。スキップで登校してしまうぐらい、青鳥と会うのが待ち遠しかった。

 

 目を閉じれば、土曜日の出来事が鮮烈に蘇る。

 

 熱でぼんやりとした視界の中、ベッドの横に座る青鳥の姿。少しゴツゴツした手のひらの感触。

 あんなにも、あたしに優しくしてくれた。どんなに無茶を言っても、どんなに困らせても、最後には必ずそばにいてくれる。

 あの日、あたしたちの距離は確実に縮まった。今日からはもっと、恋人のような毎日を送れるはずだ。

 

「ふふっ……うひひっ……♡」

 

 頬が緩んじゃう。あっ、また他の生徒から変な目を向けられてる。

 でも、あたしはそれを気にはしない。よく頭がおかしいと言われるけど、取り繕うような生き方はしたくなかった。

 ありのままを晒して生きていく。それがあたしのモットーなのだ。

 

「まだかなー。まだかなー」

 

 鞄を揺らしながら道の向こうを見つめる。でも、待てど暮せど青鳥は来ない。校門を通る生徒の流れが完全に途切れても、ついぞ青鳥は現れなかった。

 遅刻かな?

 青鳥にしては珍しい。

 それとも、あたしの風邪が移っちゃったとか?

 校舎から予鈴が鳴って、あたしは仕方なく自分の教室に向かった。

 

『青鳥? 学校来てないけど大丈夫?』

『もしかして熱出た?』

『それならあたしが看病しに行くからね!』

『ほら』

『お見舞いのお礼的な?』

 

 机の下にスマホを隠しながら、ホームルーム中にメッセージを送ってみる。

 既読マークがつくのを待つ。1分経っても5分経っても反応はない。

 おかしい。青鳥があたしのメッセージを無視するなんて。返信はたまにしかしてくれないけど、いつも既読は欠かさずつけてくれるのに。

 

 寝込んでるのかな?

 

 それから昼休みになるまで何度かメッセージを送り続けた。午前中の授業は、ほとんどスマホと睨めっこしていたと思う。

 でも、既読は一向につかなくて。

 昼休みが始まった頃、あたしは何気なく位置情報共有アプリを開いた。

 当然、青鳥の家の住所が表示されると思ったけど――。

 

「――ッ!?」

 

 同期を切られてる!

 いつから!?

 あれほど切っちゃ駄目って言ったのに……!

 

「なんでっ……!?」

 

 思わず叫ぶと、教室の生徒たちが何事かとあたしを見やった。けど、今はそんなのどうだっていい。

 なんで同期を切ったの?

 なんで既読をつけてくれないの?

 あたし、なにか嫌われるようなこと青鳥にしちゃった……?

 

「どうしよう……どうしようどうしようどうしよう……!」

 

 頭の中がぐちゃぐちゃになって、居ても立ってもいられなくなる。

 こんなとき、頼れる友達はひとりしかいない。

 あたしは席を立ち、隣のクラスへと走った。

 

「依織ぃぃっ……!」

 

 別のクラスの教室だけど、緊急事態だから構わず中に入る。

 依織との付き合いはまだ短い。去年の夏からだから1年も経っていない。それでも、あたしが青鳥のことで悩んでるときはいつも相談に乗ってくれて、今では親友と呼べるような関係性になっていた。

 依織は窓際の席に座っている。そこまで駆け寄り、泣きつくように机の上にへたり込む。

 

「聞いてよぉぉぅ……!」

「――――」

 

 ただ、依織はあたしに見向きもしなかった。

 というより、心ここに在らずといった様子だ。口をあんぐり開けながら、手元のスマホを見下ろしている。

 依織の震えた唇から声が漏れる。

 

「なんで……どうして……」

「依織?」

「おかしいよこんなの……なんでまた、わたしを……」

 

 なんだろうと思い、スマホを覗いてみる。そこに表示されていたのはトーク画面だった。相手は青鳥で、依織が大量にメッセージを連投している。

 あたしと同じく既読はついていない。でも、気にする点はそこじゃない。問題なのは内容だ。

 依織が送っていたのは、青鳥への好意を綴った言葉だった。

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