激重感情を向けてくるヒロインたちが全員メンタル崩壊して病んでしまったので、ひたすら甘やかすことで修羅場を回避するしかなくなった~ヘラったヒロインには飴が効く~   作:花染彩葉@幼馴染ハーレム2巻発売中!

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第7話『先輩と妹』

 リビングに戻ると、夜美先輩はソファに座っていた。

 自分の家かよ……。

 心愛はキッチンの方に歩いていく。

 

「いい家ですね。落ち着きます」

「勝手にくつろがないでください」

「そんな固いことを言わずに。将来的には、私の第二の実家になるんですから」

「なりません」

 

 キッチンから帰還した心愛が、氷と麦茶が入ったコップを夜美先輩の前に置いた。ガンッと、わざとらしく音を立てながら。

 

「どうぞ」

 

 さすが俺の妹。来客に対してのおもてなしを忘れない。敵意丸出しだけど、それはそれ。

 

「ありがとうございます。妹さん」

「心愛です」

 

 俺が紹介する前に、妹が自分から名乗った。

 

「心愛さんですか。私にも妹がいるんですよ」

 

 えっ。それは初耳だ。

 

「仲良くできるといいのですが」

 

 会わせる前提で話を進めないで欲しい。そっちの妹はどうか知らないが、ウチの妹は繊細なんだから。

 ……ん?

 でも待てよ。今になって気づいたけど、心愛のやつ、割と普通に先輩と話せてるな。年齢が離れてるからかな。

 敵意剥き出しとはいえ、これも立派なコミュニケーションのひとつ。

 不登校の改善に繋がるかも。いい傾向だ。

 コロンと氷が鳴る。夜美先輩が楚々とした所作で麦茶を一口。

 

「美味しい」

「別に普通の麦茶ですけど」

「では、心愛さんが淹れてくれたからでしょうか」

 

 妹の悪態にもめげずに、夜美先輩は微笑をたたえていた。

 俺と心愛も腰を下ろす。L字型ソファの短い部分に先輩が、長い部分に俺たちが並ぶ構図だ。

 改めて、俺は先輩に聞いた。

 

「それで、休日になんの用ですか?」

「天宮さんの言葉を借りるのは癪ですが、好きな人に会いに行くのに理由など必要ないでしょう」

「必要です」

「釣れませんね。まあ、今日は確認したいことがあって来ました」

「確認したいこと?」

「天宮さんとは本当になにもなかったんですか?」

「当たり前です」

 

 隣の心愛が観察するように横目で俺を見ている。

 夜美先輩は身を乗り出しながら言った。

 

「本当に?」

「本当に」

「キスとか」

「病人にするわけないでしょう。いや、病人じゃなくてもしませんけど」

 

 俺にそんな甲斐性があるわけない。

 

「抱き締めたりとか」

「してません」

「添い寝とか」

「してません」

 

 夜美先輩は安心したように息を吐いた。

 

「そうですか。それは良い心掛けです」

 

 なにが良いのやら。

 

「しかし油断は禁物ですよ。天宮さん、2年生になってから青鳥くんへの執着がエスカレートしていますし」

 

 同感だけど、俺につきまとうために留年した先輩が言うことじゃない。

 

「人の振りを見る余裕があるなら、我が振りも直して欲しいんですけど」

「今後はしっかりと対策を練っていく必要があるでしょうね」

 

 普通に無視された。

 

「まあ、策など講じずとも、青鳥くんに答えを出してもらうのが一番手っ取り早いのですが」

「どっちとも付き合わないって半年前から言ってますけど」

 

 少なくとも10回は言っていると思う。

 

「そろそろ天宮さんと私、どちらと付き合うか決めていただけませんか?」

 

 本当に話が通じないな……。

 よく勘違いされがちだけど、俺は思わせぶりな態度でふたりと接しているわけではない。両方とも丁重にフッたうえで、それでも執拗に好意をぶつけられているのが現状だった。

 

「あの、先輩。この際だからはっきり言いますけど――」

 

 俺は誰とも付き合う気はありませんと、そう続けようとした瞬間。

 

 ――ピンポピンポピンポピンポピンピンピンピンピン!

 

 と、先ほどの先輩なんか比較にならない速度で、インターホンが鳴り始めた。

 この勢い。思い当たる人物はひとりしかいない。

 

「天宮さんでしょうか。全く、間が悪いことこの上ありませんね」

 

 先輩も同じことを考えたらしい。

 

「私が対応しましょうか?」

「いいですよ。余計に面倒臭くなりそうなんで」

 

 修羅場は勘弁だ。玄関先で軽くいなして、天宮には帰ってもらおう。

 ――ピンピンピンピピピピピピピピッ!

 

「ああもう! うるせぇな!」

 

 壊れたらどうすんだよ。先輩といい、なんでこの手のやつらはインターホンを連打したがるんだ。

 リビングを急ぎ足で走り抜ける。俺は苛立ちを紛らわすように、乱暴に玄関の扉を開けた。

 

「こんにちは。要」

 

 無表情の笑顔と凍てついた声色。

 玄関前に立っていたのは、幼馴染の依織だった。




【天宮来夢】
依存度:★★☆☆☆
危険度:☆☆☆☆☆
病み度:☆☆☆☆☆

【綾倉夜美】
依存度:★☆☆☆☆
危険度:★☆☆☆☆
病み度:☆☆☆☆☆

【音塚依織】(変動あり)
依存度:★☆☆☆☆
危険度:★★☆☆☆→★★★☆☆
病み度:★★☆☆☆

【青鳥心愛】
依存度:★★☆☆☆
危険度:☆☆☆☆☆
病み度:★☆☆☆☆
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