技能英雄 スキルヒーロー   作:松花 陽気

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第七話 炎の反逆者

 

立ち込める煙の中、薄気味悪い笑い声が響いてくる。おそらく、先程火の矢を飛ばしてきた奴だろうと、僕は思った。

 

??「クックックッ……こんな手に引っかかるとは、警軍陣も間抜けだな」

 

男はそう笑いながら、煙の中で薄っすらと影だけが映る。すると、明るく熱い何かを作り出す。それから数秒……その塊が出来上がったのか、真っ先にそれを僕に向かって放つ。

 

宏「んな!!?」

 

打ってきたことに驚きつつ、ナイフの峰部分を使って、その炎を打ち返す。すると、その勢いの力で、煙と一緒に火の玉がそいつ目掛けて飛んでいくが、そいつは特に驚いた顔もせずそれを難なく避けて見せたのだった。

 

男性「ありゃ?……ただの一般人だったか。こりゃざーんねん」

 

宏「よく見もせず打つとは……見境なしかよ」

 

大人びた少女「あなたね、この騒動の犯人は!」

 

男性「……ありゃありゃおかげで煙も晴れちまった。すごいなアンタ」

 

男性「いや〜、本当にお見事お見事…!」

 

そいつはそう僕に向けて言いながら、甲高い拍手をして見せながら、ゆっくりとこちらに歩みを進ませた。

 

男性「いや〜…、本当にお見事。まさかこの俺の炎を打ち返すものがいるとは、驚きましたよ…」

 

その男は、モールの2階の方から姿を現した。そこに目をやると、白い服と黒い服を着こなした男性がそこに立っていた。

その姿は、普通の一般人となんら変わらない格好であった。

 

男性「に……しても、屋上に爆弾を仕掛けるのは簡単だったね〜。姿や身元がバレてないもんだから、思う存分ぶっ壊す事ができたよ〜。隣町ではあんまり暴れられなかったのもあって、こちらとしては好都合…。政府も結構爪が甘いもんだな〜!げはははははは!」

 

大人びた少女「隣町……。まさか、アンタがあの事件のの逃亡者!?」

 

男性「大・正・解!」

 

男は大声でリズム良くそう言った。

 

男性「俺は!この世界に反逆を目論む、リネイガーという組織の一員だ!!そういうアンタは確か……」

 

大人びた少女「私は、警軍陣第一次部隊長官の神崎澪だ!」

 

男性「ほっほぉ〜……。警軍陣の若い長官さんか……可愛いじゃない!」

 

澪「ふん!悪党に褒められたって嬉しくもなんともないわよ。よくも隣町で暴れてくれたわね!ここは私に任せて、他の者は市民たちと早く脱出をーー」

「きゃっ?!」

 

少女があの男に飛び込もうとした、その次の瞬間だった。

突如として炎の壁が彼女の前に立ち塞がり、一番前にいた僕は、その炎の中に取り残されてしまった。すぐさま真奈や警軍陣の皆さんの方を向くが、激しく燃え上がる炎によりなにも見えなかった。つまり、今この中に残されているのは、僕とあの男ということになり……。

 

男性「……とまあ、警軍陣さんの長話は置いといて……だ」

 

宏「やはり、この炎はお前の…」

 

男性「その通りさ。この炎は、俺のスキルだ………と、そんなことはさておき」

 

男がそう落ち着いた表情で視線を僕に向けると、そいつは僕に思いもよらないことを言い出してきた。

 

男性「貴様、俺らの組織に加入する気はないか?」

 

宏「………は?」

 

突然そんなことを聞かれ、思わず素っ頓狂な声が漏れる。まさか、スカウトされるとは微塵も予想していなかったのだから。

 

男性「今俺の率いてるチームは人手が足りなくてな。どうだ?俺と一緒に、この国を壊さないか?」

 

宏「壊す……?お前らはなんでそんなことをする」

 

男性「悪いが、まだ入るかもわかんない奴にそこまで言う気はない。

 

まあ、そうだよな。言うわけないか。

 

男性「それで……入るのか、入らないのか?」

 

男は答えを急かす。だけど、僕の中ではもう答えはとっくに決まっていて……。

だから、僕はそのお誘いを……。

 

宏「それの返事は……ノーだ…」

 

男性「そうか、ならばここで……、死ね!」

 

そう男が叫んだ瞬間、男は拳を硬く握りしめると、そこに炎を纏わせた。それを僕に向けて、勢い良く拳を振るう。すると、勢いよく炎が速度を上げて飛んできた。

 

男性「火拳!」

 

宏「よっっっと…」

 

僕はそれを難なく避けた。

 

男性「ふむ…、さすがだな…。ならばこれはどうだ!」

 

男が両手の拳に炎を纏わせると、ある言葉を叫んだ。

 

男性「火拳丸(ひけんがん)!」

 

すると、次々と無数の炎がこちら目掛けて飛んできた。

 

宏「数が多いな……でも」

 

確かに数は多い……が、僕はそれを難なく捌いて見せる。あのくらいの火であれば、普通に切れば相殺できる。

 

男性「これならどうだ!」

「フレイムリング!」

 

男は次に、腕を回して炎のリングを作り出して飛ばして来た。

 

宏「ふん。その程度の攻撃、簡単に避けられる」

 

宣言通り、普通に難なく避けられた。死ぬと威張っていた割には拍子抜けだ、早めにさっさと終わらせてしまおう。

と、畳み掛けようとした、次の瞬間。

 

宏「んな?!」

 

急にそのリングは角度を変えて、こちらに戻ってきたのだ。

 

僕は慌てて、そのリングをギリギリというところで避ける。どんなってんだ?!なんで今戻ってきた??

そのまま、炎のリングは男の元に戻っていき、軽々とそれを手に持った。

 

男性「どうした?予想外のことにちょっとビビってたみたいだが」

 

宏「さっきまでのは、ただのお遊びか?」

 

男性「まあそんなところだ。俺は今、楽しみたくてうずうずしてんだ。だからさ、頑張って抗え!俺という強者を!そして……」

 

男は勢いよく走り出し、そのリングを構えて……。

 

男性「死に去らせヤァー!!」

 

宏「…グッ!!?」

 

瞬間。僕は、男の右フックを見事に喰らってしまった。相手の火のリングに集中し過ぎていた。まさか、殴ってくるとは。

男は続けて足蹴りを仕掛ける……が。相手の速度が遅かったのもあり、すぐに避けれた。さらに、僕はそいつの足を掴み体制を崩した。

 

宏「同じ攻撃ばかりじゃ読まれるぞ」

 

男性「……そうだな」

 

だが、男は手の平の炎を僕に一瞬見せると、それを僕の脚に向かって放ってきた。

 

宏「あち!あち!あち!あちちちちちっ!」

 

一応避けてみたが、火の粉が微かにズボンの裾に燃え移ったので、慌てて叩いて火を抑える。

 

男性「どうだどうだ?この俺の攻撃に手も足もでまい?少しはやれるみたいだが、そろそろここまでだ」

 

宏「……なめるなよ」

 

男性「……あっ?なんだって??聞こえーー」

 

僕はその場から勢いよく脚に力を入れて走り出した。ほんの数秒程度で、あっという間にソイツの間合いへと距離を詰めた。

 

男性「なっ!?」

 

男は驚きを隠せず困惑するが、その時間すら与えぬほどの速さで、ソイツの顔面を地面に叩きつける。

 

男性「グオッ!?!……この、オレが……?!」

 

宏「どうだ!」

 

男は、痛そうに唸る。

 

男性「どうやら、思っていたよりやるようだな……だが。こっから俺も、油断しないぜ〜!!」

 

男は先程やった炎のリングを今度は二つにした。

 

男性「食らえー!フレイムトゥーリング!!」

 

流石の僕も、2度も同じ技を喰らうほど馬鹿ではない。なので……一か八か、思いついたことをやってみることにした。

迫り来る炎のリングを二つとも避けた後、即座にそのリングをナイフで切断した。そうして、すぐにその炎をナイフに擦らせて刃に着火させた。

 

宏「くらえーー!!」

 

上手くいくかはわからないが……やってみるしかないだろう。右手に持った燃えるナイフを頭の上に上げ、前に飛ばすイメージでそれを縦に振るう。

 

宏「即席技!」

『火剣ーー!!!』

 

ナイフに纏った炎が刃の形になり、見事にそれは真っ直ぐとそいつに向かって飛んでいった。

 

男性「へん!あたるわけねぇだー……っ!!」

 

だが、思ったより速度が出なかったそれを、男はジャンプして避けた。

男があの斬撃を避けたのも束の間、宙にいる男に猛スピードで僕は近づき、先程と同じように、今度は蹴りでそいつを地面に叩きつけてやった。

 

男性「くっくっそぉぉーー!!こんなはずでは……うっ!!」

 

倒れる男の上に僕は着地し、そいつを押さえ付けるようにのしかかる。

 

男性「おっのれ……貴様ぁぁーー!!!」

 

男は僕に取り押さえられながら、そう苦悶の声をあげた。その男に対して僕は……。

 

宏「そうやって油断してるから、こういう結果になるんだよ」

 

と、そいつに敗因を伝えてやるのだった。

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