幼少期にヘルンと出会うのは間違っているだろうか 作:借金滞納ニート
ベルはアルフィアお義母さんと一緒にへファイストファミリアの武器屋に来ていた
「ベルここは新人鍛治師が作った作品ばかりが並んでいる場所だ。適当に4つくらい好きな武器防具を見繕っておけ。
私が買ってやる」
「ありがとう!お義母さん」
ベルは一見何でもないナイフと片手剣に凄く惹かれていた
手に取ってみると凄くしっくり来た
一つは製作者の名前が入っていたヴェルフ・クロッゾ
もう一つは名前もなく格安で売られていた
他にしっくりくるものはなく、結局ナイフと剣の2本とヴェルフ・クロッゾが作った防具をアルフィアお義母さんの元に持って行った
「ふむ、掘り出し物を見つけたなベル」
「うん!」
「ベルこの籠手をプレゼントしよう。遠慮するな家族なんだから」
アルフィアはベルの性格上遠慮する事がわかっていた
ベルは家族という響きにとても弱く大抵の事は家族なんだからと言えば受け入れる
ベルは先ほどアルフィアお義母さんに買ってもらった装備を身に付ける
「お義母さん!見て!似合ってる?」
「あぁとてもよく似合っているぞベル」
そんな和やかな雰囲気も突如として消える
おい聞いたか町娘達が闇派閥に攫われてダンジョンに連れて行かれたらしいぞ
ベルはとてつもなく嫌な予感がした
「あ、あのすいません。その攫われた人の特徴ってわかったりしますか?」
「流石に聞いた話だから全員の特徴はわからない。でも銀髪の奴がいるってのは確からしいぜ」
「ありがとうございます」
ベルは噂話をしていた冒険者にお礼を言いダンジョンに駆けた
アルフィアはベルと別れ、どうもきな臭いと思い神ヘルメスと神エレボスの所に向かった
ダンジョンにて
「ハハハ、これで冒険者たちの士気も下がるだろう!」
攫われた町娘達は首に魔石が大量に付いた首飾りを付けられ、拘束されていた
そこに現れたのはミノタウロス達だった
そう闇派閥がやろうとしているのは、人工的にミノタウロスの強化種を作り出す事。
魔石を大量に食べればモンスターは強化種になるが、魔石を大量に食べる前に冒険者によって討伐されてしまう
なら町娘達は攫い迂闊にこちらに手出しを出来なくすれば良い。
町娘達はミノタウロスの餌であり、冒険者達の人質なのだ。
「実に楽しみだ!助けに来た冒険者達は目の前で無惨に町娘達がミノタウロスに食べられるのを見るしかない。
それに絶望する冒険者達、あぁ実に良い!」
闇派閥が興奮していると…
ヘルンお姉ちゃん!何処にいますか?いたら返事をしてください!
ベルがダンジョン内で捜索をしていた
明らかに動揺していた銀髪の少女がいた
闇派閥はニタリと嫌な笑みを浮かべ銀髪の少女の口に付けていた布を外す
「ベル君一人で来ちゃダメ!せめてお義母さんや叔父さんを…」
大きな声で叫ぶがそこまで、と言う様に布で口を塞いだ
闇派閥
「ハハハ、最初に餌食になるのはどんな冒険者だ?」
ベルはヘルンお姉ちゃんの声を聞き、駆けた
そこに居たのはミノタウロス達と闇派閥、後ろに拘束されている大量の町娘達
一体のミノタウロスがベルに気付いた
「ウオォォォォ」
ミノタウロスが叫び
他のミノタウロスは町娘達に向かう
ベルは魔法を使った
雷霆・ジュピター
ベルは身体全身に雷を纏いそれに共鳴した製作者不明の剣
(今だけで良い、英雄譚に出て来たアルゴノゥト力を貸してください)
ベルが纏っていた雷は更に強く輝いた
ベルはミノタウロス達に駆ける
ベルの速さはレベル5を軽く超えるスピードになっていた
ミノタウロスの近くに光が通ったと思ったらミノタウロス達は1体を除いて灰になっていた
残った1体はムシャムシャと何かを食べていた
段々とミノタウロスの肌に変化が現れ本来赤い体毛は黒くなっていき、一回りほど大きくなった
ぺっと吐け出されたのは先程いた闇派閥が付けていた服だった
闇派閥が襲われたのは理由があった、人質に付けた魔石の首飾りのストックを大量に持っていたのだ
強化種になったミノタウロスは町娘達に向かう
それを阻む為にミノタウロスに切り掛かるベル
ベルは焦って狙いがズレた
「しまった」
ミノタウロスの腕に切り傷が付いたが、即座に治っていく
それを見たベルは更に焦る
(このままじゃ街の人達やヘルンお姉ちゃんが…)
そんな心配は裏切られた。
ミノタウロスはベルにターゲットを変えた
「ウオォォォ」
ベルはミノタウロスが向かって来た事に安堵し笑った
「来い」
その一言だけ言ってミノタウロスの攻撃を捌いたが、ミノタウロスの強化種の攻撃は重く、ベルが次の攻撃をするまでに時間がかかる
そんな戦いの最中ミノタウロスの口元は笑っていた
何かを懐かしむ様に、そして今この戦いに打ち震えていた
ベルの身体は悲鳴をあげていた、アルゴノゥトの力を借りている。即ち大精霊ジュピターの力をそのまま身体に流し込んでいるのと同じ…
(頼む、持ってくれ…このまま倒れたら…助けたい人達を助けられない)
悲壮な顔になっていたベルは幻聴が聞こえた
「天上の神々よ、見ているか!大地に塞がれていても無理矢理見ろ!精霊達よ、力を貸せ!極上の物語を紡ぐために!
そして感謝しよう!さぁあの時の決着を!!」
何故か幻聴の言葉をそのまま言っていたベル
「ウオォォォ」
ミノタウロスは更に興奮した
闇派閥が持っていた大剣をミノタウロスは手に取り
剣戟が始まる
カキン、カキンと剣同士がぶつかる音が鳴り響く
人質だった町娘達は、目の前の死闘に目を輝かせていた
まるで英雄譚に出てくる戦いを見ているかの様に。
ヘルンお姉ちゃんは、助けに来てくれた嬉しさと今も傷付いて戦っているベルを心配していた。
(これで決まる)
ベルは確信を持っていた
ミノタウロスも次が最後だと感じていた
お互いの全力をぶつける
「ウオォォォ」
「ハアァァァ」
ガキン
製作者不明の剣は折れた
ミノタウロスが振りかざした大剣はベルを捉える事なく地面に突き刺さった
町娘達とヘルンお姉ちゃんは固唾を飲んで見守っていた
ベルはナイフをミノタウロスに突き刺していた
「今度は英雄の力を借りずに、僕達だけの再戦を」
ミノタウロスは爽やかに笑っていた気がした
ミノタウロスは灰になった
ベルは町娘達の拘束を解きダンジョン外まで護衛した
町娘達がダンジョン外に出るとベルは、緊張の糸が切れその場で倒れた
ヘルンお姉ちゃんや町娘達は急いでベルを治療院に連れて行った
その後、町娘達全員は念のために触診を受けていた
ベルはアルゴノゥトの力を借りた代償として失明しかけていた
アミッドはそれに気付き、急いでベルの治癒に専念していた
(貴方は何故、ここまで傷付きながら人助けが出来るんですか?)
アミッドは冒険者らしくないベルに疑問を抱いていた
アミッドの治癒は終わったが、ベルは起きてこなかった
その間ヘルンお姉ちゃんは泣きながら謝っていた
「私が闇派閥なんかに攫われなければ…ベル君はこんな目に遭わなかったのに…」
そこにアルフィアお義母さんとザルド叔父さんが現れた
「ヘルンの責任ではない。私があの時一緒に行動していれば、こんな事にはならなかった」
「俺がもっと強く鍛えていれば怪我一つなく帰って来ただろう。だから責任は俺にある」
三人はベルが起きないのは自分のせいだと言っていた
そして当然ながら、闇派閥に途轍もなく怒りを覚えていた
アルフィアはベルと別れた後神エレボスと神ヘルメスに聞きに行ったが勝手に暴走した闇派閥と言っていたのを思い出した
「なぁザルド、勝負をしないか?」
「何だ、突然アルフィアらしくもない」
「闇派閥の首を多く討ち取った方が勝ちだ」
「なるほどな、その勝負受けて立つ」
(闇派閥が勝手に暴走したなら、お仕置きが必要だよな?神エレボス)
一方フレイヤはベルが起きない事をヘルンから聞き
フレイヤファミリア全員を呼び出した
「私の大切なものが壊されかけているの、だから私の為に闇派閥を跡形もなく潰してきてちょうだい」
フレイヤファミリアはその日から闇派閥狩りに勤しんでいた
ロキファミリアとアストレアファミリア、ガネーシャファミリアが街の警備にあたり
フレイヤファミリアとザルド叔父さん、アルフィアお義母さんが闇派閥狩りをして
闇派閥が表に出てくる事は無くなった
ヘルンはベルの側で看病をしていた
「ベル君、私の為に頑張ってくれてありがとう…でもベル君が笑ってる姿が見たい…」
ポツリポツリと涙が流れベルに涙があたる
ベルは目を覚ました
「…ヘルンお姉ちゃん泣かないで。ヘルンお姉ちゃんは笑ってる顔が1番似合うんだから」
「…!!!!」
ヘルンお姉ちゃんは泣きながらベル君に抱きついた
「ありがとう、私の為に傷付きながら戦ってくれて、私の英雄になってくれて、ありがとう」
「…これで少しはアルゴノゥトに近づけましたかね?」
少し照れ臭そうに笑いながら質問するベル君
ヘルンはベル君の質問の答えと言わんばかりに唇を重ねた
そこにアミッドが現れ良い雰囲気は壊された
「ヘルンさん!ベルさんが起きたならすぐ知らせてください!!
それとベルさん、2週間も目を覚まさなかったんですから、まず容態を確認させてもらいます。」