ヒーローと名探偵   作:タルマヨ

111 / 116
園子の赤いハンカチ(完)

赤色灯の光が届かぬ、深い森の闇の境界線。

そこには、警察の誰も気づかぬまま、微動だにせず一人佇んでいる男がいた。

大隈勇。

鼻ピアスを開けたあの若い男が、冷徹な一瞥をパトカーの列にくれた後、静かに闇の奥へと足を進めていた。

だが、その身体に異変が起きる。大隈の皮膚のあちこちから、不気味な銀の砂がサラサラと音を立てて噴き出し始めたのだ。砂は一瞬にして彼の全身を包み込み、次の瞬間、質量を無視して膨れ上がった。

 

【挿絵表示】

 

闇の中に咆哮が轟く。現れたのは、鋭い爪と凶悪な牙を持ち、全身が禍々しい文様に彩られた虎の怪物だった。大隈勇の正体は、中級の鬼人クラスのゾルブだった。

彼は金竜会の幹部である綿貫を事前にリサーチし、この場所にたどり着いていた。すべては綿貫を痛めつけ、その背後にある暴力団組織「金竜会」を丸ごと乗っ取るための計画だったのだ。

「な、何よあの化け物は……っ!?」

人間が怪物へと変貌する信じられない光景を目の当たりにし、流石の京極も蘭も目を見開いて驚愕する。園子にいたっては恐怖のあまりその場に腰を抜かしてしまった。コナンも強い衝撃を受けながら、すぐさま隣にいる圭人へと鋭い視線を向けた。

しかし、怪物を前にしても京極の闘志は衰えなかった。

「蘭さん、園子さんを守っていてください!」

京極は勇敢に叫ぶと、凄まじい踏み込みで虎のゾルブへと突進した。人間の域を遥かに超えた速度から繰り出される拳と蹴りの連打。ゾルブの強固な肉体と真っ向からぶつかり合い、京極は凄まじい体術で互角の勝負へと持ち込んでみせる。

「京極さん、そのまま持ちこたえてくれ……!」

圭人は京極が命懸けで時間を稼いでいる隙を見逃さず、誰の目にも留まらないよう素早くその場を離れた。生い茂る木々の奥、完全な死角へと駆け込むと、懐からスパークレンスを掴み出す。迷うことなくそれを胸の前へと掲げ、眩い光を解放した。

 

直後、夜の森に一条のまばゆい光の柱が立ち昇る。

その光は瞬時に一過性のエネルギー弾となって天空を駆け抜け、凄まじい速度の飛び蹴りとなって虎のゾルブの背後へと炸裂した。

 

ドゴォン!!

 

激しい衝撃音とともに、ゾルブが数メートルほど横へと吹き飛ぶ。

突然現れたまばゆい光の体――ティガの姿を見た京極、蘭、園子は息を呑んで驚き、すべてを察しているコナンだけが小さく安堵の息を漏らした。

赤と紫、そして銀のラインが美しいティガ・マルチタイプである。ティガは着地と同時に鋭く両腕を交差させて構え、すぐさま虎のゾルブに向かって猛然と駆け出した。

「ティガ…!」

ゾルブはティガに反応した。そんなティガの初撃はティガスライサー。

走り込みながら右手から放った鋭い光の刃が、ゾルブの胴体を切り裂くはずだった。しかし、ゾルブは獰猛な笑みを浮かべながら両腕を広げ、身体の前面に強力な電磁波のバリアーを展開した。

ビシィィィン!!

放たれた光線はバリアーの表面で完全に弾かれ、激しい火花を散らして周囲の湿った地面を抉っただけに終わる。

防御されたと見るや、ティガは素早く間合いを詰め、強烈なマルチキックを放った。空手を思わせる重い蹴りがゾルブの胴体に鋭くめり込む。だが、再び展開された電磁波のバリアーがその凄まじい運動エネルギーを強引に吸収し、芯まで響かせない。

「グォォォッ!」

ゾルブが邪悪な咆哮とともに反撃を開始した。

その両目から、バチバチと音を立てる青白い電撃が迸る。不意を突かれたティガの左肩にそれが直撃した。

《くっ……ああっ!》

全身の神経が焼け付くような、痺れる激痛がティガの身体を駆け巡る。体勢を崩したところへ、さらにゾルブの胸部にある不気味な大口が開き、禍々しい電撃光弾が連射された。

ドガガガガ粉砕音とともに凄まじい爆風が巻き起こり、ティガは激しく吹き飛ばされて地面を何度も転がった。

「危ない!」

蘭が悲鳴のような声を上げる中、京極が隙を突いてゾルブの頭部へ目掛けて飛び蹴りを叩き込む。しかし、ゾルブはそれをあざ笑うかのように、とんでもない跳躍力で一気に遥か上空へと舞い上がった。その生物の限界を超えた滞空能力に、京極と蘭は息を呑んだ。

その隙にどうにか地面を蹴って起き上がったティガだったが、ゾルブはさらに執拗に襲いかかる。空中から着地したゾルブの両腕から放たれた電撃が、まるで鞭のように鋭くしなり、大気を引き裂いた。

バシィィィン! バシィィィン!!

電撃の鞭がティガの全身を何度も激しく打ち据え、その度に激しい火花と爆煙が肉体から噴き出す。

度重なる強烈なダメージにより、ティガの胸のカラータイマーが、青から緊迫した赤へと変わり、激しく点滅を始めた。完全に主導権を握られ、森の闇の中でティガはかつてないほどの苦戦を強いられていた。

激痛に耐えながら、ティガの目が一際鋭く光った。反撃の糸口を掴むため、その精神は未だ折れることなく、敵の動きを冷徹に見定めようとしていた。

 

激しい電撃の鞭が容赦なく大気を引き裂き、ティガの強固な肉体を幾度も打ち据える。夜の山林に凄まじい爆煙と火花が散り、赤く点滅するカラータイマーの警告音が、まるで心臓の鼓動のように急き立てる。中級ゾルブである大隈勇の猛攻を前に、ティガは膝をつき、大地を揺るがすほどの苦戦を強いられていた。

だが、その絶望的な状況にあっても、ティガの目は決して闘志を失ってはいなかった。鋭く輝くその視線が、獰猛に吠える虎の怪物の動きを冷徹に見定めている。

《ここで試してみるか……!》

ティガは激痛に耐えながら力強く立ち上がると、額のプロテクター――クリスタルに向かって両手をかざした。張り詰めた空気の中、両腕をクリスタルの前で静かにクロスさせ、そのまま一気に大きく左右へと下ろす。

その瞬間、眩いばかりの光の奔流がティガの全身から溢れ出した。

これまで赤と紫、そして銀に彩られていたマルチタイプのボディカラーのうち、美麗な銀色の部分が、まるで融解した太陽のように神々しい金色へと変化していく。それだけではない。胸を飾る金色のプロテクターは、深淵を思わせる厳かな黒へと色を変えた。

それは、博士と灰原の献身的な技術協力によってもたらされた、全く新しい未知の力の覚醒だった。本来であれば制御の極めて難しいとされる強大な「闇の力」を徹底的にコントロールし、自身が持つ「光の力」と完璧に融合させることに成功したのだ。その究極の結晶が、このグリッターマルチへのチェンジであった。

 

【挿絵表示】

 

「な、何あれ……!?」

「ティガの色が……変わった……!?」

変貌を遂げたティガの姿を目の当たりにし、蘭と園子は息を呑み、世界最強の空手家である京極までもが驚愕の表情を浮かべてその場に立ち尽くした。コナンは眼鏡の奥の目をギラつかせ、完成した新たな力の輝きをその目に焼き付けている。

体中から目も眩むような黄金の輝きを纏ったティガの前に、これまで圧倒的優位を誇っていた虎のゾルブの殺気が一瞬で揺らいだ。形勢は完全に逆転したのだ。

「グオォォッ!」

本能的な恐怖を打ち消すように、ゾルブが鋭い爪を振りかざして突進してくる。しかし、グリッターマルチとなったティガの動きは、それを遥かに凌駕していた。

ティガの右拳が、猛烈なスピードで風を切り裂き、ゾルブの顔面に炸裂した。

ドゴォォン!!

凄まじい一撃が叩き込まれ、ゾルブの巨体が激しくのけ反る。だが、ティガの猛攻はそこで終わらない。間髪入れずに二撃目、三撃目のパンチが、ゾルブの胴体と胸部へ確実に叩き込まれていく。

ドカッ、バキッ、と、これまでの戦闘とは明らかに次元の異なる、重く鈍い強烈な打撃音が夜の森に何度も木霊する。グリッターマルチの圧倒的なパワーの前には、ゾルブが誇っていた強固な外皮も、展開する間さえ与えられない電磁波バリアーも、もはや何の意味もなさなかった。

強烈な連撃によって完全に意識を朦朧とさせたゾルブに対し、ティガは容赦なく踏み込んだ。その獰猛な両腕を正面から強引に掴み上げると、自らの身体を軸にして猛烈な勢いで回転を始める。

一回転、二回転、三回転――。

凄まじい遠心力を伴ってゾルブの巨体を振り回したティガは、そのまま力任せに前方へと放り投げた。

ドシャァァン!!

何本もの大木をなぎ倒しながら、ゾルブは地面を激しく転がり、完全にその攻撃力を著しく低下させられていた。満身創痍となった怪物は、これが最後の抵抗と言わんばかりに、その大口を血眼になって開いた。胸部と口から、ありったけのエネルギーを注ぎ込んだ電撃光弾を、狂ったように連発して放ってきたのだ。

幾重にも重なる禍々しい青白き雷光がティガの視界を埋め尽くす。しかし、ティガは微動だにせず、冷静にその場に佇んでいた。

迫り来る電撃光弾の群れに対し、ティガは静かに両手を前方へと突き出した。放たれたすべての雷光を、その手のひらで磁石のように完璧に受け止めたのだ。凄まじいエネルギーがティガの手元で渦を巻く。ティガはそのままエネルギーを瞬時に増幅させると、ティガ・ホールド光波の技を用いて、そっくりそのままゾルブ側へと跳ね返した。

「ギィァァァッ!?」

自らが放った強力な電撃を全身に浴び、ゾルブの身体が激しく火花を散らして硬直する。そこに決定的な、致命的な隙が生まれた。

ティガは静かに両腕を大きく広げ、胸の前で交差させて光のエネルギーを一点に凝縮していく。グリッターマルチの全エネルギーが、その両腕へと集束していく。

そして、L字型に組まれた腕から、まばゆい金色に輝く必殺の光線――グリッターゼペリオン光線が解き放たれた。

ズドォォォォン!!

極太の黄金の光線が、闇夜を真っ白に染め上げながらゾルブの胸部へと一直線に突き刺さる。直撃を受けたゾルブは、絶叫を上げる暇さえ与えられず、その強固な肉体の端々からサラサラと銀色の砂を激しく噴き出し始めた。光線の凄まじい熱量とエネルギーによって、怪物の存在そのものが分子レベルで崩壊していく。

やがて光線が収まると同時、虎のゾルブの姿は、森のどこにも一欠片すら残らず、完全に消滅して消え去っていた。

 

 

 

 

静寂が戻った森の中で、京極、蘭、園子の3人は、あまりにも現実離れした光景に完全に放心状態となり、言葉を失って空いた口が塞がらない。

その隙に、ティガは静かに佇んだまま、その身を無数の光の粒子へと変化させていった。キラキラと輝く光の粉が夜空へと溶け込んでいき、跡形もなく消え去る。

すべてが終わったのを確認し、コナンはいかにも幼い子供のような高い声をわざとらしく上げて、その場でピョンピョンと跳ねてみせた。

「わ…わぁーい!やっぱり凄いやティガ! 化け物をやっつけちゃったよー!」

そのあどけない仕草と大喜びする声に、蘭たちもようやくハッと我に返った。

すると、ざわざわと茂みをかき分ける音がして、変身を解除した圭人が、何事もなかったかのようにひょっこりと姿を現した。まるで、最初からずっとその場に隠れて様子を伺っていたかのような自然さだった。

「みんな、無事!? すごい音がしたからびっくりして……」

心配そうに駆け寄ってくる圭人の姿を見て、蘭が真っ先に駆け寄り、まだ混乱の冷めない様子で尋ねた。

「圭人! 無事だったのね!?……ねえ、あの鼻にピアスをした男の人は、一体どうなっちゃったの?」

大隈勇が突然怪物に姿を変え、そして光の中に消えていった一連の流れが、蘭にはまだ信じられないようだった。そんな蘭の問いかけに、圭人は優しく首を振って、言い聞かせるように静かに答えた。

「ああ、あの危険な怪物はね、ティガが完全に消滅させたんだよ。だから、もうあの男も、怪物も、どこにもいないんだ。安心して」

その言葉を聞き、蘭と園子は深く安堵の息を漏らして胸を撫で下ろした。

しかし、その傍らで、日本が誇る蹴撃の貴公子・京極真だけは、未だに呆気にとられた表情のまま、ティガが消え去った夜空の彼方をじっと見つめていた。己の拳のすべてをかけても倒せるか分からなかったあの怪物を、圧倒的な力で粉砕した存在。その常識を超えた強さに、京極の心には言葉にできないほどの大きな衝撃が刻み込まれていた。

 

 

 

 

 

群馬の深い山道を、迎えに来た阿笠博士の黄色いフォルクスワーゲン・ビートルが、エンジン音を響かせながら静かに走り抜けていた。

車内の空気は、未だに重い静寂に包まれている。

助手席には大柄な京極真が座り、その後部座席に園子、蘭、コナン、そして圭人が並んで身を寄せていた。定員いっぱいの狭い車内の中で、蘭と園子は窓の外の闇を見つめたまま、先ほど目撃したあまりにも現実離れした光景への動揺を隠せずにいた。突如として現れた人間のなれの果てである怪物、そしてそれを瞬く間に駆逐した神々しいティガの存在。その衝撃は、多感な彼女たちの心を今なお激しく揺さぶり続けている。

ふと、助手席の京極が真剣な面持ちで振り返った。その鋭い眼光が、後部座席の圭人に向けられる。

「圭人君、差し支えなければ教えていただきたいのですが……あの時現れたティガとは、一体何者なのでしょうか。あの圧倒的な力、とてもこの世の者とは思えません」

世界中の格闘家を相手にしてきた京極だからこそ、その常識を超越した圧倒的な強さに、強い疑問と関心を抱かずにはいられないようだった。

車内の誰もが固唾を呑む中、圭人は表情一つ変えず、ごく冷静なトーンを保ったまま言葉を返した。

「いや、俺にもよく分からないんだ、京極さん。ただ、俺たちが絶体絶命のピンチになった時に、まるであの森の守り神みたいに突然現れて、助けてくれたんだよ。きっと、この世界には俺たちの知らない不思議な力が、まだたくさんあるんだろうね」

圭人の完璧なポーカーフェイスによる誤魔化しに、すかさずコナンも子供のふりをした高い声で助け舟を出した。

「そうだよ、京極さん! 僕もびっくりしちゃったけど、テレビのヒーローみたいで、すっごくかっこよかったよね!」

「……そうですか。守り神、ですか……」

京極はまだ釈然としない様子ではあったが、圭人とコナンの言葉にそれ以上深く追及することはせず、静かに前を向き直した。

ハンドルを握る阿笠博士が、バックミラー越しに皆の様子を伺いながら、ホッとしたように声をかける。

「まあまあ、何はともあれ、ヤクザの集団からも怪物の襲撃からも、皆がこうして無事で本当に良かったわい」

博士の温かい言葉に、車内の緊迫した空気がようやく少しだけ和らいだ。

すると、蘭がふと思い出したように、助手席の京極の背中に向かって問いかけた。

「底も浅い質問ですけど……京極さん、どうしてこんな群馬の山奥にいたんですか? 大切な大会があったんじゃ……」

その質問を待っていたかのように、園子が隣で「そうなのよ!」と身を乗り出す。

「メールを送った時はまさか本当に来てくれるなんて思わなかったけど……真さん、一体どうしてあの場所にテントを張って待てたの?」

問われた京極は、少し決まり悪そうに頬を掻きながら、大真面目な声で答え始めた。

「実は、園子さんから『今年のイヴイヴは冬の紅葉の下で待ってます』という内容のメールをいただきましてね。しかし、私はお恥ずかしながら、その『イヴイヴ』という言葉の正確な意味がどうしても理解できなかったのです」

「え? 意味が分からなかったって……」

園子が目を丸くする。

「はい。ですから、もしかすると1ヶ月、あるいは数ヶ月前から山に籠もって待っていなければ、園子さんにお会いできないのではないかと考えまして……。念のために早めにこちらの山へ参り、テントを設営して待機していた次第です。大会は、園子さんとの約束に比べれば些細なことです」

京極が一切の淀みなく、大真面目にそう語った瞬間、車内に沈黙が流れた。

「真さん……! 私のために、そんな前からずっとテントで待っててくれたのね……!」

園子は言葉の意味の履き違えなど完全に吹き飛び、京極のあまりにも一途で規格外な愛の深さに、頬を真っ赤に染めて感激に打ち震えている。

一方、その背後で圭人と蘭は完全に目を点にしていた。恋愛のすれ違いというレベルを超えた京極のぶっ飛んだ行動力に、もはや言葉が出ない。

コナンにいたっては、眼鏡の奥の目を完全なジト目にしながら、心の中で盛大に呆れ返っていた。

(オイオイ……。イヴイヴの意味が分からなくて数ヶ月前から山にテント張って待機って、どんだけ自由なんだよこの男は……。相変わらず園子のことになるとリミッターが完全にぶっ壊れやがるな……)

隣で繰り広げられる格闘バカの一大スペクタクルを他所に、圭人は静かに窓の外へと視線を移した。

車の窓ガラスに映る自分の顔を見つめながら、先ほどの激戦の感覚を脳内で反芻する。

(何はともあれ……博士と志保さんの協力のおかげで、あの闇の力を上手くコントロールして、光と融合させることができた。自分のものとして、あの新形態を扱えたことには、ひとまず安心した、けど……)

圭人は無意識のうちに、自身の胸の辺りにそっと手を当てた。新形態となってゾルブを圧倒していた時、肉体を駆け巡っていた凄まじいエネルギーの消耗度合いを、感覚として正確に記憶している。

(あの絶大なパワーを維持して戦えるのは、おそらく使えても30秒程度だろうな……)

光と闇の融合がもたらす奇跡の力は、あまりにも強力であるがゆえに、肉体にかかる負荷も桁違いに大きい。諸刃の剣とも言えるその制限時間を、圭人は冷徹に肌で察していた。30秒という極めて短い刹那の中で、いかにして敵を確実に葬り去るか。それが、これからの戦いにおける絶対的な課題になるに違いなかった。

「あ、そうだ! 真さん、せっかく群馬に来たんだから、明日は美味しいものでも食べに行きましょうよ!」

「ええ、園子さんがそうおっしゃるなら、喜んでお供します」

前方で繰り広げられる園子と京極の賑やかな会話を聞きながら、圭人は小さく微笑み、再びそっと目を閉じた。長年闇に埋もれていた事件は解決し、新たな脅威もひとまずは退けた。ビートルは夜の山道を抜け、静かに市街地の光の中へと進んでいく。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告