ソードアート・オンライン:夜空の果てに灯る火   作:なぎさんの暇つぶし

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前書きって何書けばいいんでしょう、、、
仕事中に描きたい内容メモリながら頑張って投稿していきます


第二章:妖精たちの空と、小さな爆弾発言

「……っ、ちょっとキリト! どこ持ってるのよ!」

 

思わず声を荒らげたのは、背後から伸びてきた腕が、私の腰を遠慮なくガッシリと支えたからだ。 ここは《アルヴヘイム・オンライン》。私の背中には、現実には存在しない「透き通った羽根」が生えている。けれど、それを動かす感覚がどうしても掴めず、私はさっきから無様に空中でバタついているだけだった。

 

「どこって……腰だよ。ここを安定させないと、コントローラーの感度がバラけるんだ。ほら、変に力を入れないで」

 

背後から聞こえる和人の声は、驚くほど冷静で、そして近い。 耳元に当たる吐息が、VR世界の演算を通した偽物の感触だと分かっていても、私の肌を粟立たせるには十分すぎた。

 

「……分かってるわよ。でも、これじゃ……」

 

現実のバイクに乗せてもらった時も、距離は近かった。けれどあの時は、彼の広い背中を追いかける形だった。今は違う。和人の胸板が私の背中に密着し、私の身体は完全に彼の腕の中に収まっている。 彼が無自覚であればあるほど、私の動揺は深くなる。

 

(この人、本当に……無防備なんだから)

 

キリトはアインクラッドで、たった一人で戦い抜いてきたと聞いた。その強さの裏側にどれほどの孤独があったのか、私にはまだ想像することしかできない。けれど、今私を支えているこの手の温かさだけは、不思議と「本物」だと信じられた。

 

和人の指先が、私の腰にさらに力を込める。 「いいか、シノン。風を見るんだ。銃の弾道を風で読むみたいに……」

 

「……ええ。やってみるわ」

 

私は深く息を吐き、意識を背中の羽根へと移した。 彼に身を預ける。その感覚に慣れていくのが、少しだけ怖くて、けれどそれ以上に心地よい。

 

その時だった。

 

「パパ! 飛行練習、とっても上手です!」

 

キリトの胸元から、小さな光の粒子が飛び出した。 現れたのは、透き通るような肌を持った、手のひらサイズの少女。キリトがアインクラッドの森で一人で助け出したという、この世界の娘――ユイ。

 

「……パパ?」 私が呆気に取られていると、ユイは小首を傾げ、その澄んだ瞳でじっと私を見つめた。

 

「はい! パパを助けてくれた、シノンさんですよね? ――パパ、このお姉さんの心……パパの心ととっても似た音がします。もしかして、新しいママ候補ですか?」

 

「っ!? な、ななな何を言ってるんだユイ!?」

 

それまで冷静だった和人の声が、一瞬で裏返った。 支えられていた腰の手が急に離れ、私はバランスを崩して宙返りしそうになる。

 

「ママ、候補……」

 

ユイの無邪気すぎる問いかけに、私の思考は完全にフリーズした。 耳の先まで熱くなるのが分かる。ケットシーの尻尾が、自分の意思に反してパタパタと激しく振れていた。

 

(……似た、音)

 

和人と私が、似ている。 それは「人殺し」という十字架を背負った者同士の共鳴かもしれない。 けれど、それを「家族」という言葉で結びつけられた瞬間、胸の奥を突き上げるような熱い塊を無視できなくなった。

 

「シノン、ごめん! ユイは、その、時々変なことを……!」 「……別に、いいわよ。子供の言うことだし」

 

私は慌てて視線を逸らし、地面に向かって急降下した。 和人に顔を見られるわけにはいかない。 きっと今の私は、現実の朝田詩乃でも、GGOのシノンでも見せたことがないような、情けないくらいに赤い顔をしているはずだから。

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