扇との戦いから数年後、幼児と言える双子、真希と真依は己の姉とも言える存在に興味津々だった。
知識は母から、実技は手慰みに直哉から、強さとはどういうものなのかは、渡愛から学んだ2人は双子という呪術的にはかなりのハンデを物ともせず跳躍するような成長を遂げていた。
「なぁ、姉さん」
「ん〜?」
「私も当主になれると思うか?」
「・・・んー」
真希はお世辞にも強いとは言えない、直哉の片手間の指導にすら苦戦するほど呪術的な才能は無い、天与呪縛のフィジカルギフテッドとしての強さも禪院甚爾と比べてしまえば燃え尽きた後の灰のような印象すら感じる。
真依も同じようなものである、構築術式は強い術式だ、呪力さえあれば何でもできると言っても過言ではない、実際過去に存在した構築術式の術師は環境から道具から結界から、何でも構築し、自らの強さを証明したとされている。
二人とも弱いわけではないのだ、少なくとも高専の基準で1級に上がれるポテンシャルはある。
だがそれはあくまで1級に上がれる可能性があるだけで、それ以上、直哉と渡愛が目指す特級クラスの怪物にはなれないだろう。
「直哉と張り合って当主になるって意味なら、無理かな」
「ほかの意味なら?」
「自分で分家を建てて、分家の当主になるなら、十二分」
真希はその言葉に苦い顔を隠さない、彼女は禪院以外の家を知らない、一般人の家庭も、他の御三家の家庭も知らず、すべてが禪院の家の空気感だけで構成されている。
彼女は、羽ばたきたがっていた。
真依はどうだろうか、人をよく見ているあの子は、体力が多く、暴れ足りないと言わんばかりに手を出す真希に引き摺られるように取り組み始めるあの子は、何を考えるのだろう。
「真依ちゃんとよく話しなさい、多分真希の考えてる事の解決のきっかけはそこにあるから」
ーーーーーー
美人だと思った。物心付く前からなんとなくそれが美しいものだと思っていた。
母が言うには、姉さん、渡愛姉さんは生まれたばかりの私達を助けたことがあるらしい。
普通の価値観、世間一般の価値観、わからない、私はそれを知らない、教えられたことが本当かどうかすら私は知らない。
みんながそうだから私もそうする、みんなが従うから従う、そんな考え方を吹き飛ばすように、姉は笑った。
「真依ちゃん、今は楽しい?」
私は、あの人がわからない。
でも、悪くない。
「真依」
「真希・・・今寝てたんだけど」
「姉さんが、お前と話せって」
「何を?」
「私が当主を目指すかどうか」
一瞬、何を言っているのか分からなかった。
出来るわけがない、そう言いたかったけど真希は多分本気だ。それくらいは分かる。
「直哉さんを倒さなきゃならないのに?」
直哉さんは、色んな意味で強い。
考える速さも、身体の強さも、術式の改変や、戦う強さ、家の中で力を通す手段だって多彩。
真希が直哉さんに勝てるイメージが湧かないくらいに。
「あのニヤケヅラをぶん殴りてぇしなぁ」
「そんな事言ってるとまたお仕置きされるよ?」
そもそも何故当主になりたいのかが分からない。
「あの人達に」
「ん?」
「姉さん達に、認めてほしいから、当主になりたい」
唖然とした、考えたこともなかった、私は、その言葉を聞いて目を見開いた。
「・・・正直に言うのは恥ずかしいけどよ、お世話になった人に借りを返しましょうって姉さんも言ってたし、直哉さんもそれがええなぁって言ってたし、なら、当主になってこれだけ強くなれたんだって言えたら、良いなぁって」
枕に顔を埋める、真希は私が笑っている事に気付いたようで顔を赤くして地団駄を踏んでいる。
「私は言ったからな!双子なら2人で当主なんだ!お前は置いていかないぞ!良いのか!?」
「あはは!呪霊も見えないのに、頑張るの?」
「呪具があるだろ?この前忍び込んだら呪具の呪力は操れたんだ、使うだけならなんとかなる!」
「そう、なら真希の使う呪具は私が作ろうかな?真希はすぐ壊しそうだから!」
「良し!良いぞ!なら私が使いたい呪具はだな!」
2人の意志は固まった。
双子は呪術的に凶兆である。
その理由は魂が一つの存在であるが二人に分割される事で魂のリソースが分かたれるからである。
だが、2人が同じ方向を向いていれば、あるいは。
未来はまだ、誰も分からない。
次の話から時空が一気に飛びます、双子からは離れて高専に入学させよう。原作の五条悟の過去編からやね。
直哉はどうしようか迷う、高専に入学させたとて活躍させれる機会も少なければ変に伏黒パッパと合わせたら普通に殺し合いに発展しそう感強い、でもそういうの考えてるときが一番楽しい二次創作の楽しみ方だと思います。