「術式順転・蒼」
先に動いたのは勿論五条悟、地面から物理法則を完全に無視した挙動で浮かび上がり、そのまま俺と甚爾くんに向かって蒼を放つ。
「しゃらくせぇ」
蒼を鎖と天逆鉾で弾いた甚爾君は、そのまま夏油傑の方へと駆ける、夏油君は口裂け女と虹龍を繰り出していた。
「悟くんの相手は俺か?御三家同士仲良うしようや」
「あのフィジカルゴリラ相手するよりかはマシかもな、来いよ禪院、そのお綺麗な顔面ぐちゃぐちゃにしてやるよ」
投射呪法、拡張術式【プリントアウト】。
景色に隠れ、順転を回す。
「俺の術式の投射呪法については知っとるやろ?」
「1秒間に24回のコマ打ちによる高速移動だろ!」
「正っ解!!!」
見えない場所からの拳を五条悟は難なく受け止める、やっぱりその眼はズルやろ!
「今なら出来るかもな・・・」
五条悟の呪力が一気に膨れ上がる、それらは収束していき、俺の目の前で小さなビー玉のように変わる。
「術式反転・赫」
だが、発動しない、呪力が霧散し俺毎周りを巻き込む暴風等は現れない。
「ちょっと油断しすぎちゃうか?」
伸ばされた手を蹴り飛ばし、がら空きの胴に拳をたたき込もうとして、止まる。
「チッ、無下限か」
「流石にキツい、まぁでも拡張術式の多さは認めてあげるよ。」
「生意気言うなや」
呪具を取り出す、使い捨て前提の小規模防護結界をそのまま押し付ける。
「無駄無駄、そう言う小細工は効かねぇよ」
さて、どうなるやろか。
使い捨ての呪具が爆発する、その爆発は決められた空間内のみを確実に削り取る。
「へぇ、やっぱり空間自体には何もしとらんのやね?」
五条が驚きで動きが鈍くなる。
その隙を甚爾君が天逆鉾を使って狩りに行く。
「それを見逃すわけねぇだろ」
「悟!」
「問題ない!」
夏油傑の出した蠅頭を足場にして離脱し、元いた場所に蒼を展開する、引っ張られる甚爾君と俺は位置を入れ替えて甚爾君は五条悟へ、僕は夏油傑の方へと飛んだ。
「次はこっちやな!ちょっと付き合ってや!」
「くっ・・・」
夏油傑が取り出してきたのは身長が高い女、八尺様か。
「追いかけっこか?一人でやっとれや」
八尺様は車と並走できるほど素早い怪談、なるほど今なら確かにつよい。
「そう言うなよ、女の子に追いかけられるなんて幸せじゃないかい?」
「俺には二人で十分やね」
だが俺程やない。
投射呪法でフリーズを押し付け、殴り殺す、数秒と持たない八尺様に苦い顔を隠せない夏油傑は次の呪霊を取り出した。
「あ?」
その呪霊は、銃に取り憑いていた。
「コレは、一定以下の呪力しか持っていない人間にしか配っていない試供品でね、面白い性質を持っている。」
イカの呪霊?炭?それとも、いや違う、軍隊型!
「マーキングした呪力に対して呪力の持つ限り追尾して食らいつくのさ」
夏油傑が持っていた銃は囮!本命は!地面の下!
「影打ち、並びに陽追、放て」
地面の下から黒い槍が吹き出てくる、その全てが音速を超えた速度で俺を追尾し、俺を縫い止めようと追いかけてくる、その上から白い光の矢が振り注ぎ、まるで絨毯爆撃でも食らったかのような衝撃をあたりに撒き散らしていく。
「はっ・・・上等!」
投射呪法じゃ間に合わん、拡張術式やな。
「フィルム」
動きを止め、両手を前に、カメラの画角を視界ではなく両手の間に、人さし指と親指を立てた、人がカメラの画角を指定するその構えを取る。
「シャッター」
パシャっとデジタルカメラが世に出始めた今の時代では少し聞き馴染みのあるシャッター音が鳴り響く。
その瞬間、殺意マシマシで追尾をしていた全てが一度にフリーズした。
「どっせい!」
停止した空間を走り、夏油傑の顔面に拳が突き刺さる。
その衝撃で吹き飛んでいく夏油傑だがその視線の先にある禪院直哉の背中は血塗れだった、呪具による追尾が背中に痛々しい穴を空けていた。
「そんなに血まみれで大丈夫かい?」
「はん、お優しいことで、今は敵やで。」
反転術式による回復をすでに終えている直哉は獰猛な笑みを浮かべている。
「もうちょいギアあげてこや、夏油くん」
「あはは、良いね」
4人の戦いはまだまだ終わらない。
渡愛の影響で変わった直哉と夏油、未だ覚醒してない五条と勘が良い感じに戻った甚爾。
死滅回遊まで考えても普通に頂上大決戦な気がするんですよね。