黒閃が死ぬほど撃てる天与呪縛の女の子   作:リアオットー

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幕間【禪院真依】

昔から呪力は少なかった。

 

私の術式は構築術式、コスパが悪く、作れても物理以外では何も出来ない役立たずの術式。

 

真希に呪具を作ってあげると言ったのは良いもののそもそも私の呪力量で強い呪具を作れるとは到底思えなかった。

 

だから、私はあることをした。

 

呪具庫への侵入である。

 

「呪具庫に入ったのはいいけれど・・・」

 

暗い上に呪いの込められた物がひしめく蔵の中は驚くほどに呪力に満ちていた。

 

呪具は迂闊に触ってはいけない物だが、その呪具がどう作られたのか等はある程度残されている。

 

村の人間全てを斬り、その呪詛と血を吸った妖刀。

 

女子供が嫌いで女子供のみを対象として呪う箱。

 

土地神の力をそのまま封じ込め、解放された瞬間に周りを巻き込む様に因果をずたずたに切り裂く曰く付きの肉塊。

 

私は、それらに手を出した。

 

呪具と呪物はぶっちゃけそこまで違いが無い、術式が使っていた道具に染み込んでいったもの、土地や伝説と似たものに呪力が入り込んでいったもの、伝説の土地と呼ばれた結果、異空間にて生まれた遺物。

 

それらの中から利用しやすいものを抜き出したのが呪具である。

 

私が呪具を作るのなら、それらの理を知るしかない。

 

「生きるか死ぬか、かけてみようかな!」

 

呪具を掴んだ瞬間、呪具の呪力が私を覆う。

 

人を殺せ、食え、犯せ、壊せ。

 

様々な欲望が弱い私に襲いかかる。

 

「・・・構築術式、【解体】」

 

息を整えて呪力を分ける。

 

解体は呪具の呪力を切り分ける概念を持ってくる使い方。

 

私には呪力がほとんどない、ソレは逆に呪力の輪郭はよく見えるということに他ならない。

 

その境目を開く物が作れるのなら、私は呪いによる呪詛など耐えてみせる。

 

ヤスリのように小さくすぐにでも切れてしまいそうなその小さな糸を必死に呪具に押し当て、噴き出てくる呪力を切り分ける。

 

切り分けた端から呪力を飲み込み、吐きそうになりながら飲み込んだ呪力を糸に込める。

 

息が苦しい、目眩がしてくる、呪具の呪力はまだまだ伸びてくる。まるで底なしのそれ。

 

「ねぇ」

 

誰も居ない空間で、私は呪具に話しかける。

 

「なんで人を殺したいの?」

 

呪力を切り分ける。

 

人の血が美味いと感じたからだ。

 

「どうして?」

 

切り分ける。

 

「人を斬った時、使い手の感情が込められた、その時の使い手は、私に悦びの感情を込めていた。」

 

「ほかの人もそうなの?」

 

呪力を切り分ける。

 

「分からない、私を手に取ったものは、皆悦ぶ。」

 

糸から小さなペーパーナイフに変わる、一度に切り分ける大きさが大きくなる。

 

「切らなくても喜べたら?どうする?」

 

「禅問答か?そのようなものは無駄だ。」

 

「ただの雑談だよ。」

 

「・・・私はそれらを知らない、私は人を殺す為に作られたもので、人を殺すこと以外には機能はない。」

 

「呪いを斬るとかは?」

 

「私こそが呪いだろう」

 

「奇遇だね、私も呪いで呪いを祓う人達の一員だよ」

 

「そうか」

 

呪力の核を見つけた。

 

私の身体の大きさでは一度に飲み込めない程の呪力の核、呪具に込められた情報量がそのままそこにある。

 

「私の力を削いだな?」

 

「うん、私は呪いの力は弱いから、少しずつ少しずつ食べたよ。」

 

「趣味が悪い、対話など、常人では狂うだけだろう。」

 

「残念だけど、私には魂を分けた人が居るので、大丈夫」

 

「なるほど、汚染されようとも無事な魂があるか、賭けには勝てたか?」

 

「もちろん、今から君を祓うよ」

 

呪力の核は食べられない、ならば、食われてから乗っ取れば良い。

 

腕を切る、血が呪具に染み込んでいく。

 

今。

 

呪力の核を切り出した。

 

鉄分をそのままメスに変えて呪力の核を細かく刻む。

 

私の中で呪具の物だった呪力が渦巻いている、血の中に違う呪力があるのを感じる。

 

「ごめん、私の為に、力を全部使わせて下さい」

 

拡張術式【解体新書】

 

血を吸う力を呪力を吸う力に、それ以外の物は全て捨てる。

 

「ごめんなさい、あなたの無念は私が知りました。」

 

「良い、溜まった膿は出さなければならぬ、お前は間違いなく一つの呪いを祓ったのだ。」

 

「呪いによって、ですか?」

 

「いや、貴様のそれは呪いではない、それを呪いと言ってしまえば澱しか残らぬ。」

 

「えっ」

 

「貴様のそれは祈祷のようなものよ、何の力も持たぬ祈祷、無常なものだが、時にはそれが力を持つ。」

 

「私の無念を受け止めた貴様には私の力が刻まれた、私の力を自由に引き出すこともできよう。」

 

えっえっ

 

「クハハハ!!」

 

えっあの!説明を!説明ー!!!!

 

一つの呪具を解呪した偉業は直毘人が確認し、正式に拡張術式【解体】を開発したと認められた。




禪院真依の拡張術式【解体】

本人の経験のみに寄って作られる微弱な解体道具によって呪力を切り分けるだけの術式、その際に用いられるのは本人の呪力のみ、かつ生成効率は滅茶苦茶落ちる。

無意識に発動した【解体新書】
呪力の核を取り込んだ真依には呪具の歴史がそのまま刻まれた、これ以降呪具を逆算して作ることが可能になります。

取り込んだ呪具の数によって呪具作成時の呪力効率を極限まで高くする、これらは重複し、要素を抜き取って製作するため取り込んだ呪力は全て効率化の為だけに消費される。

尚、真依は解体新書の事を知らないので呪具の呪力を取り込んで作れるようになっただけだと思っている。
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